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金融危機転じて環境投資花盛り義務としての温暖化対策から、成長分野として注目
http://www.asyura2.com/09/hasan65/msg/966.html
投稿者 Orion星人 日時 2009 年 11 月 18 日 11:38:34: ccPhv3kJVUPSc
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2151
2009.11.17(Tue) 関口 研二

12月にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が目前に迫ってきた。海外メディアでは、環境やエネルギー問題を取り上げる特集記事が増えてきた。

 同会議は「ポスト京都議定書」の新たな枠組み(2013年〜2020年までの温室効果ガス削減目標の決定)についての合意を目指している。しかし、先進国と新興国が削減目標をめぐって対立するなど、合意までにはいくつかの重要なハードルをクリアする必要がある。粘り強い準備協議が行われているようだが、現時点では、新たな枠組みを今年中に作ることは困難との見方が優勢だ。

 ただ、2008年秋以降の金融危機の修復過程で見えてきた世界経済の変化は、地球規模での気候変動への取り組みにフォローの風となっている。金融危機後の世界では、環境対策や新エネルギーなど「気候変動への取り組み」が、世界中の投資家にとって一躍メインの投資テーマとして浮上してきている。

 金融危機がもたらしたグローバル経済における3つの重要な変化を指摘しておきたい。

【世界のリーダー目指す中国】

「新興国代表」であると同時に、米国と並ぶスーパーパワーを掌中に入れようとしている(中国・胡錦濤主席)〔AFPBB News〕

 まず第1に、先進国と新興国のパワーバランスの変化が鮮明になった点。主要新興国は、今回の金融危機の反省から、米国主導のグローバル化の恩恵を享受するだけでなく、世界経済のルール作りに自ら主体的に参加していくべきだという姿勢を明確にしている。

 中でも、国際舞台で米国と並ぶスーパーパワーを手に入れようとする中国の野望には目をみはるものがある。金融危機直後には、4兆元の巨額経済対策と超金融緩和政策でいち早く景気回復を実現し、消費の拡大を進めながら内需主導経済への転換を試行している。さらに、国際通貨体制の再構築を求める国際世論に乗って、国際通貨基金(IMF)での発言力向上と人民元の国際化を推し進めようとしている。

 9月22日の国連気候変動サミットで、胡錦濤国家主席は、国際協調の姿勢を示す一方で「発展途上国の発展段階を十分に考慮しなければならない」と釘をさすことも忘れなかった。中国が、新興国代表であると同時に、世界のリーダーの一翼を担う立場を確固たるものにしていくことで、合意に向けての新たな役割を期待することができよう。


【エコは景気回復の先導役】


鳩山由紀夫首相は9月22日、米ニューヨークで開かれた気候変動サミットで日本の温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減する方針を表明した〔AFPBB News〕

 第2には、金融危機後に各国政府が導入した環境分野での経済対策が産業界の対応を加速させた点だ。エコカー購入補助を初めとする環境関連のさまざまな支援策によって、環境関連産業が雇用機会の創出や、景気回復の先導役としての役割を期待されることになった。

 グリーンニューディールを提唱するオバマ政権の誕生が推進力となり、鳩山政権も「温室効果ガスの排出量の25%削減」提案を行い国際社会からの評価を獲得した。こうした各国の対策は、エネルギー効率の良い車や住宅の購入促進を通して短期的に景気回復を支えたのみならず、企業の中期戦略に重要な影響を及ぼしている。

 省エネルギーや新エネルギーへの対応力が企業間競争の重要な要素だ。そして、先進各国が低成長を余儀なくされる中でも、原子力、風力発電、太陽光発電、バイオ燃料などは数少ない成長分野と見なされている。

 日産自動車、三菱自動車が電気自動車(EV)の開発に注力する方針を表明するなど、成熟産業の自動車業界においても、「エコ」は成長分野だ。ガソリンエンジン車から、EV、ハイブリッド、燃料電池など新たな動力機関へのバトンタッチが加速している。

【原油高止まりで、新エネ開発にインセンティブ】

自動車各社は、ハイブリッド車や電気自動車(EV)の開発に力を入れている〔AFPBB News〕

 第3に、原油価格の1バレル=100ドル定着が改めて確認された点。2008年夏まで急騰を続けていた原油価格は、金融危機後に30ドル台まで下落し、2009年3月以降の株価回復局面で再び上昇基調を強め、足元は80ドル近辺で推移している。

 世界経済が完全回復していない中での原油価格の上昇は、中国など新興国の需要拡大がエネルギー価格を中期的に押し上げるトレンドを改めて認識させた。IEA(国際エネルギー機関)は、11月10日発表の「世界エネルギー見通し」で、新興国の一定の需要拡大を前提に、2030年の原油価格が1バレル=190ドルまで上昇すると予測した。

 原油価格が高止まりしたり、さらに上昇する可能性が高まれば、新エネルギー開発投資のインセンティブとなる。新エネ開発は環境イメージだけでは進まない。政府からの補助金(もしくはペナルティー軽減)、またはエネルギー価格上昇のいずれかによって経済合理性が確保されることが前提となる。9月のピッツバーグ・サミットでも、「非効率な化石燃料補助金を段階的に廃止する」といった、政策による環境負荷の小さい新エネルギーへの誘導が示された。


【環境対策が成長ビジネスに】

 CO2排出に対するペナルティー賦課などのネガティブインセンティブや、道徳的説得によって企業が環境対策を推進する時代は終わりを迎えつつある。今や、数少ない大きな成長ポテンシャルを持つ分野として、「環境」企業にとって積極的な選択肢になり得るのだ。環境投資の動機はリピュテーションの獲得ではなく収益や企業価値の極大化であり、その点において投資資金の提供者である投資家と目線が一致している。


いまや中国は自動車大国。エネルギー安全保障の観点からも、石油依存からの脱却が課題となっている〔AFPBB News〕

 そして、世界中の企業が注目しているのが、国際社会で台頭しつつある中国の背後にある巨大市場だ。

 中国がCO2削減義務を受け入れるかどうかは不透明だが、もはや、ゼロ回答を決め込むことも難しいだろう。中国では急速にモータリゼーションが進展、自動車の販売・生産で米国・日本を抜き去り世界一になることが確実視されている。

 このままのペースで自動車販売の増加が続けば、エネルギー安全保障の点からも重大な問題が生じる可能性がある。そのため、かつてブラジルがエタノール燃料の生産と普及に国策として取り組んだように、政府主導でEVなどのエコカー開発に取り組み始めている。

 加えて、インド、ロシアをはじめとする他の新興国の取り組み姿勢次第では、市場の拡大はさらに大きなものとなる。今後、アジアを中心とする新興国の成長を縦軸に、環境対策を横軸として投資テーマが展開していくことは確実だ。

 環境関連分野は、数少ない成長分野であると同時に、巨大な市場の広がりが期待できるだけに、競争もまた一段と厳しくなる。低炭素技術や新エネルギーの開発においてイノベーションを実現していく企業、拡大する市場に適切にアクセスし先行メリットを享受できる企業はどこか。12月のコペンハーゲンで、首尾よく次の10年に向かって新たな枠組みとロードマップが示されれば、競争はいっそう加速していくだろう。

 

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