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三井造船玉野事業所の下垣慶紀艦艇部長、「技術の維持を図るのに精いっぱいだった」 【朝雲新聞】
http://www.asyura2.com/09/hasan66/msg/276.html
投稿者 hou 日時 2009 年 11 月 30 日 22:30:40: HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: 三菱重工業の伊藤一彦防衛航空機部長 「自衛隊の戦闘機が飛べなくなる」  【朝雲新聞】 投稿者 hou 日時 2009 年 11 月 30 日 07:40:40)

http://www.asagumo-news.com/news.html

技術が消える!
窮地に立つ防衛産業<2>

艦艇建造の現場
槌音消えたドック 現中期防で受注は半減


 建造中の海洋観測艦「しょうなん」。生産基盤の維持には安定受注が不可欠だ(6月11日、三井造船玉野事業所で)

 「7年ぶりの進水式だ。うまく浮いてくれよ」。今年6月29日、岡山県の三井造船玉野事業所で行われた海洋観測艦「しょうなん」の進水式。艦艇建造技術者のトップとして壇上に立った同事業所の下垣慶紀艦艇部長は、固唾を飲んで式典を見守った。
  円陣を組んで最終チェックの報告を終えた技能工らが船体から離れ、岸信夫防衛政務官が船体とドックをつなぐ支綱を切断すると、「しょうなん」はゆっくりと滑り出し、艦首から七色のテープをたなびかせながら海面へ。この日を待ち望んでドックに集まった大勢の関係者や市民から歓声と拍手が沸き起こった。

  同事業所は昭和28年度護衛艦「いなづま」を手がけて以来、これまでに護衛艦や輸送艦など計28隻を建造した艦艇造修の“老舗”だ。日本初のガスタービン搭載護衛艦「いしかり」のほか、設計や技術力が求められる「1番艦」を数多く建造している。
  下垣部長は昭和59年度艦の「やまぎり」以来10隻の海自艦艇を手掛けてきた。「艦艇部門に来た当時は、とにかく忙しく、海自艦で常にドックが埋まり、資材を前倒しして発注しなければ間に合わなかった。休日出勤は当たり前で深夜まで工場のあかりが消えることはなかった。当時六本木にあった防衛庁にも仕様書や設計図を持って足しげく通った」と、繁忙期を振り返る。

  しかしここ数年、穏やかな瀬戸内に面したこの造船所にも、防衛費削減の荒波が押し寄せてきた。平成16年に補給艦「ましゅう」を引き渡して以来、今回進水した「しょうなん」受注までの約4年間、造船所内から艦艇建造の槌音は途絶えていた。
  「艦艇建造の技術を喪失させてはいけない」。危機感を持った同社の幹部と現場の技能工は一丸となって、いつになるか分からない次の受注に備えて技術の継承に取り組んだ。護衛艦の建造には、商船とは違う複雑な船体構造の設計や、高張力鋼といった強度のある鉄板を加熱しながら水で冷やして少しずつ曲げていく溶接技法など、設計者や技能工のいずれにも高い技術力が求められる。「しかし、肝心のフネがない。構造が似ている海上保安庁の巡視船や高速船など特殊技能が求められる船体の建造に艦艇の技能工を充てて、技術の維持を図るのに精いっぱいだった」と下垣部長

  日本造船工業会によると自衛隊の艦艇建造にかかわる国内企業は護衛艦が2523社、潜水艦では1462社、掃海艇では1084社あり、このうち約80%を中小企業が占めている。受注できなければ当然ながら、技術基盤の喪失や企業の存続を左右する事態に追い込まれる。実際に「商船での代替受注は困難」「受注できなければ設備投資が回収できない」と苦しい内情を訴える中小企業も少なくない。

  防衛費の減少は正面装備の発注減少となってこれら下請け企業を直撃する。昭和61〜平成2年度中期防では護衛艦や潜水艦など計33隻の造修契約実績があったが、平成17〜21年度中期防では計17隻に半減した。下垣部長は「予算の削減は建造基盤の弱体化を招く。もっと長く受注が途絶えたら、技術的に自衛隊の艦艇を作れなくなる可能性がある」と危機感を募らせる。
  こうした厳しい受注環境で少しでも優位に立とうと、最新技術を取り入れて建造基盤を強化するなど先行投資を行った企業ほど、防衛費減少の重荷がのしかかるという現実もある。
  アイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドはIHI船舶部門とマリンユナイテッドの統合により、平成14年度に海自艦艇の建造を横浜工場に集約し、ソナーピットや浮きドック、レーダーを調整するためのタワー、大容量の電源設備、部品保管庫など建造に必要な特殊施設を新たに設けた。
  さらに、実際に艦艇を建造する前に、コンピューター上で仮想的な一番艦を構築し、艦内の装備品や配線・配管の設置場所などを検証、設計できる「CADシステム」を導入。専用ゴーグルをかければ、艦橋や艦内の光景が目の前に広がり、操作パネルが手を伸ばして届く位置にあるか、配管をどこに接続していいかが一目でわかる。担当者は「仮想現実の艦内に入り、操作バルブの位置や艦橋の視認性が設計段階で確認できる。船体全体の断面なども瞬時に分かり、大容量、高密度な護衛艦の設計には欠かせないシステム」と胸を張る。
  今後、新造の護衛艦が大型化された場合、艦艇を造修する各造船所はさらなる設備投資の必要性が生じる。だが、設備の減価償却には10年から20年かかることから新たな投資には二の足を踏む企業が多いのが実情だ。
  同社の幹部は「長期にわたり艦艇を建造できるとの前提で設備投資を行ってきた。競争入札制度が定着すればするほど受注が難しくなり長期展望も持てず、設備や技術、人員といった資源維持ができなくなる」と話す。
  防衛装備の生産が不可欠である以上は、国が率先して防衛産業の基盤維持に乗り出してほしい、というのが生産サイドの切なる願いだ。(続く)
 

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