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浪費家から節約家への変貌:アメリカ人の新しい消費性向の見通しは?
http://www.asyura2.com/09/hasan66/msg/649.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 1 月 01 日 07:20:37: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: 阿久根市長 定期昇給を突然凍結 1月1日付 投稿者 gikou89 日時 2010 年 1 月 01 日 07:18:37)

http://jp.wsj.com/Economy/node_17903

 米国経済は、深刻な景気後退から回復し始めているようだ。しかし、靴メーカーから金融サービス業、高級ホテルに至る各業界は、アメリカの消費者が以前のように惜しみなくお金を使う消費性向に戻ることは当分ないと予想している。消費者は今回の厳しい景気の落ち込みから立ち直っても新しい価値観を捨てないだろうと各企業はみている。つまり、アメリカ人の消費性向は、以前よりも注意深く、実利的になり、また社会性を尊重し、富をひけらかすようなことを敬遠するようになったのだ。

大恐慌のあと1930年代から数十年にわたって倹約的な消費習慣が続いたのと同じように、今回の不況で起きた消費スタイルの変化は、企業の業績や経済成長率が通常の水準近くまで回復しても戻らないと多くの企業は予想している。

 「アメリカ人の価値観は第2次世界大戦以来となる大きな節目を迎えたようだ」と市場調査会社ハリソン・グループのジム・テイラー副会長は語る。同社は先月、1800名に及ぶ富裕層のアメリカ人を対象に調査を行なったが、そのうち48%の人が将来経済的に大きな損失を被る可能性があると考えていることが判明した。「注意深い行動をとることが当然となりつつあり、どうすれば以前の価値観に戻るのか分からない」とテイラー副会長は述べた。

 各社ともに、こうした変化に対処するために、資産運用に関するアドバイスを強化したり、所有欲よりも体験を重視するなどマーケティング戦略を大きく転換している。

 2001年の「9.11」(同時多発テロ事件)後のときのように景気が回復すれば、アメリカ人が以前のような浪費的な消費パターンに戻らないとも限らない。高級品メーカーの中にはその両方に備えた戦略をとっているところもある。米調査会社オートデータによると、独高級自動車メーカーのBMWは、アメリカにおける今年1月から11月にかけての売上高が前年同期比で22.5%減少した。BMWは今回の景気後退に対して、高級感よりも車を運転することの喜びに重きをおいた新しい宣伝キャンペーンを打ち出していた。そのキャッチフレーズは「The Joy of Driving(運転する喜び)」である。

 だがBMWグループ北米社長であるジム・オドネル氏は、消費性向における変化が長引くかどうか確信を持てずにいる。「調査で顧客が消費性向が今後変わるだろうと語っていることは理解しているが、いまだに確信がない」とオドネル氏は言う。仮にこの変化が思ったよりも続かなかった場合、BMWは「The Joy of Driving」キャンペーンで、快楽的なニュアンスをもっと前面に打ち出すように切り替えることも可能だ。BMWは「joy(喜び)」を示唆に富んだコンセプトだと考えており、オドネル氏は「このコンセプトはさまざまな解釈をすることが可能だ」と語った。

 しかし、マーケティングを専門とするハーバード大学のジョン・クウェルチ教授は「景気の低迷が長引けば長引くほど、人々はより費用対効果を意識した生き方を見出すようになり、そうした対処メカニズムは定着するだろう」と指摘する。だからこそ、今回の消費性向の変化が大恐慌のときほど長引くと考えている企業がほとんどない一方で、すぐに以前のような過剰な消費性向に戻ると考えている企業はほとんどないのだ

重要な変化の一つといえるのが、アメリカ人が以前よりも貯蓄し始めていることだ。米商務省によると、アメリカ人は今年10月、可処分所得の4.4%を貯蓄したという。この数字は、過去10年間における年間平均貯蓄率の2.7%を大幅に上回っている。貯蓄率はここ数年の間に何度か0%近くまで下落したことがある。しかし、多くの経済学者は、今後は貯蓄率がさらに上昇するとみている。

 また消費者は、以前よりも社会性や環境を重視した価値観を気にするようになっている。コネチカット州ダンベリーを拠点とする市場調査会社、DYG社による調査によると、商品を購入する際に「社会的、政治的または環境上の理由」で選んだと答えた回答者の割合がこの1年間で10%上昇し、51%に達したという。

 DYG社のマデリン・ホッホシュタイン社長は、多くの人が本当にこうした崇高な理由で買い物をしているか疑念を抱きつつも、「消費者は人からそのように見られたいと語っている」と説明する。

 ラスベガスに住む2児の母親である42歳のブリジット・グラウリヒ氏は、今回の景気後退以前はブランド物のハンドバッグを月に平均2個購入していた。今では、レストランのオーナーである夫の収入が以前と変わらないにもかかわらず、支出を大幅に切り詰めている。

 彼女は「金持ち、貧乏にかかわらず、誰もが変わったと思う。職を失った人には誰もが同情するでしょう。私も浪費すれば罪悪感を感じるわ」と語った。

 グラウリヒ氏は実際に何か買うときも、いかにも贅沢に見えるものは選ばないという。「(ブランドの)ロゴが見えないように気をつけるようになったわね」と彼女は語る。

 こうした価値観を尊重しているメーカーは多い。

 ニューハンプシャー州ストラサムにあるティンバーランド社の本部で今月初め、マーケティング、生産及びデザイン担当の各取締役が集まって会議を開き、向こう1年以上にわたって消費者が求めるものについてブレインストーミングした。

 ティンバーランド社の頑丈なワークブーツは90年代に入ると人気に火が付いた。流行に敏感な消費者の強いニーズに応えるため、ティンバーランド社は金属製の大きなロゴがついた靴やブーツの生産を年々拡大した。

 現在、ティンバーランド社は曲がり角に来ている。同社マーチャンダイジング部門のシニアディレクターであるアンディ・リチャード氏は、昨冬初めて兆候が見られた倹約志向が強まっており、「クール」と思われる価値観が変わったと指摘する。「(消費者は)知り合いに見せびらかすのではなく、好感を与えるような賢明な買い物をしないと自尊心が満たされないようだ」とリチャード氏は語る。

 同社の最高ブランド責任者(CBO)であるマイク・ハリソン氏は、自社のブーツを机の上におきながら説明した。「ロゴを小さくしたのはそのためだ」とハリソン氏は言いながら、ここ数年採用していた金属製の派手なロゴではなく、さりげないデザインに変わった2010年秋物のロゴを指さした。

 ハリソン氏は「賢明な買い物とは、カスタマイズされた製品や手作りの製品、また環境にやさしい製品を購入することも当てはまる」と付け加えた。10年秋物のブーツは、ラバーソールが取り外してリサイクルできるようになる予定だ。同社の取締役は、2011年春物のソールは消費者のニーズに合わせてカスタマイズできるようにすることを検討している。ブーツのターゲット層はこれまで通り都会の富裕層の男性だ。

 リチャード氏は「こうした人たちは、欲しいものが何でも買えるほど資産をもっているが、彼らは自分がリサイクルできる靴を買えることを友人に自慢しているのだ」と述べた。

 消費者が買い控えるにつれて、ティンバーランド社は消費者の著しい倹約志向が定着しつつあると判断し、同社は1シーズンの履き物アイテムの生産ラインを、08年秋の1700種類から11年春までに1000種類に削減する方針だ。

 消費者の買い控えに加え、以前のようにステータスシンボルとして商品を購入することを疑問視する消費者もいる。

 フロリダ州ウィーキーワッチーに住む56歳のフィナンシャル・アドバイザー、マイケル・カニア氏は最近、自家用車をジャガーXJからヒュンダイのジェネシスに買い換えた。カニア氏は、ジャガーの性能とブランドイメージには不満がなく、買い替える際にはBMWやフォードのほかジャガーの新型モデルも検討したが、費用対効果の観点からジェネシスに決めたという。

 カニア氏は「韓国製の車を購入することについては不安もあった」と語る。同氏は「最終的に、ブランドのステータスではなく、支払ったお金で得られるものによって決めるべきだと判断した。重要だと考えていたことは、実はどれも大して重要ではなかった。もはや見せびらかす必要はないのだから」と述べた。

 金融大手UBSは、神経生物学者が「記憶痕跡」と呼ぶものの影響を投資家が受けていると推測している。記憶痕跡とは、トラウマとなるような出来事のあとに続く情緒不安のことだ。UBSウェルス・マネジメント部の責任者であるマイク・ライアン氏は、投資家が約1年前に起きた金融市場の大暴落を経験したため、いまだにリスク回避傾向にあると指摘する。ライアン氏は「市場心理が一新されないと、投資家は再びリスクテイクするようにはならないだろう」と語った。

 UBSのフィナンシャル・アドバイザーは慎重な投資家に対して、生活費6ヶ月分から2年分ほどの現金を、また一部の投資家に対しては5年分相当の現金を安全なマネーマーケットファンド(MMF)や短期米国債で塩漬けすることを推奨し始めた。同社のアドバイザーは、株式市場が急騰し始めた数ヵ月経った10月にその方針を発表した。

 投資信託大手のフィデリティ・インベストメンツは、投資家が以前よりもアドバイスを求めていることに気がついた。フィデリティは、5年前から継続している個人投資家向けの自社の投資信託に対して強引に勧誘する販促キャンペーンを今年3月で打ち切った。その代わりにフィデリティは、「相場の局面が変わる時期」にテーマを絞ってアドバイスするキャンペーンを大々的に展開した。このキャンペーンでは、カーナビのごとく手取り足取りわかりやすく投資家を目標に向かって確実に案内することに重点をおいている。

 ほとんどの高級ブランド各社は、昨秋に始まったバブル崩壊さながらの展開の影響でいまだに不振が続いている。多くの企業は、顧客を取り戻すために自社のブランド・イメージを再構築している。以前のように贅沢を美化するのではなく、正反対の戦略をとる企業もある。そうした企業は、顧客の贅沢に対する相反する気持ちに理解を示し、物欲よりも体験を重視している。

 リッツ・カールトンは、かつては銀のお盆を持った従業員のイメージに代表されるような高級ホテルチェーンの贅沢なサービスに焦点を当てた宣伝を行なっていた。しかし、同ホテルを担当する広告代理店のチームワンは昨年実施した調査により、一部の顧客が浪費に対して罪悪感を感じていることに気がついた。

 その一方で、顧客が休暇をもっと取りたがっていることもわかった。チームワンはリッツ・カールトンに対して、顧客が浪費を控えたがっている気持ちを考慮するように助言した。

 チームワンの戦略的計画担当の取締役であるマーク・ミラー氏は「顧客は『以前より収入が減った人に対する思いやりを見せてほしい』と言っている。顧客は再びお金を使う許しを求めているのだ」と分析する。

 リッツ・カールトンの新しい広告では、3名の子どもが湖で泳いでいる数枚の写真が掲載されている。少年が湖の桟橋から飛び込んでいるところがアップで写っている写真もある。その広告には「今年は休暇について考え直しているのではないですか。私たちもそうしています」というコピーがついている。

 リッツ・カールトンは割引とともにこの新しいキャンペーンを打ち出し、顧客が心理的に休暇をもっと取りやすくなるように後押ししている。同ホテルの親会社であるマリオット・インターナショナル社はその結果をまだ分析してしていないが、リッツ・カールトンは、今年第1四半期に底入れしたあと業績は上向いていると語っている。

 リッツ・カールトンの販売及びマーケティング担当の上級副社長であるブルース・ハイメルスタイン氏は「景気が回復したあとでさえも、弊社は富裕層の顧客に対して対策をとる必要があると予想している。顧客の消費に対する意識が様変わりしてしまったのだと思う」と語った。

 フロリダ州デルレイビーチに住む61歳のジョン・パットナム氏は昨秋、年収数10万ドル稼いでいた投資アナリストとしての職を解雇された。その後、パットナム夫妻はカントリークラブを解約したほか、高級レストランで食事をするのもやめて自宅で夕食会を開くようになった。また買い物もブルーミングデール百貨店ではなく、スーパーマーケットのウォルマートでするようになった。

 パットナム氏は最近新しい職に就いたが「状況がよくなったとしても今のつましくなった消費スタイルを元に戻すかどうかはわからない。いったん慣れてしまえば、つましい生活も悪くないよ」と述べた。
 

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