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http://www.news.janjan.jp/government/0903/0903088929/1.php
小沢代表問題で「政府高官」明かさない記者クラブメディア
山本ケイ2009/03/08
小沢民主党代表周辺への捜査に関連して「政府高官」が「自民党には波及しない」と語ったと伝えられ、大きな波紋を呼んだ。だが、これを伝えたメディア自身がその「政府高官」の正体をオフレコ取材を理由に明かさない。国民の知る権利に奉仕すべきジャーナリズムが、記者クラブ取材にあぐらをかいた役割放棄ではないか。
民主党の小沢一郎代表に関する西松建設からの迂回献金疑惑で、新聞各紙で「政府高官」なる正体不明の人物の発言が波紋を呼んでいる。民主党が国会でこの政府高官は漆間巌官房副長官だとして参考人出席を求めたため、漆間氏が発言の主と推測されるが、そもそも政府高官が氏名公表を渋っているのは記者クラブの「内閣記者会」でのオフレコ懇談の席上での発言だったからと報じられている。今回はオフレコ発言が表ざたになったが、内閣記者会に加盟する報道機関が未だに匿名で報じているのは国民の知る権利に著しく反する行為である。
時事通信が６日に配信した記事では「政府高官は５日、西松建設の違法献金事件に関する東京地検特捜部の捜査が自民党の議員にまで拡大することはないとの見通しを示した。その理由について政府高官は『（小沢一郎民主党代表の逮捕された公設第１秘書の場合は）西松建設への請求書があった』と指摘した。ただ、小沢代表は『不公正な国家権力の行使だ』と検察批判をしていることから、捜査の見通しを示した政府高官の発言が反発を招く可能性もある」となっている。
この発言に民主党が真っ先に反発、鳩山由紀夫幹事長は６日午後の定例記者会見で「うっかり口を滑らせた。馬脚を現した。なぜ確信的言動ができるのか、極めて不思議。疑念を禁じ得ない。内閣と検察の間で何らかの会話が行われていたのではないかという気がする。また、検察から内閣に何らかのメッセージが送られていたのではないかと疑わざるを得ない」と批判した。
当の小沢代表も同日、「その話は直接聞いていないのでコメントする立場にないが、それが事実とすれば、ちょっと奇異な感じがする」（いずれも民主党ニュースから）とコメントした。
永田町では高官の人物を特定して議論が交わされているが、国民の側から見れば、匿名の人物が語ったことで大騒ぎしていることに違和感を持つのではないだろうか。一体、誰が語ったのかというニュースの基本原則が伏せられ、そのことに対して何の反省も説明もなく、報道機関は読者や視聴者をバカにしているのだろうか。
朝日新聞の報道では、内閣記者会が７日、当人に名前を明かすよう求めたが拒否されたという。公人でしかも国の政策決定に関わる立場にある人物なのだから、許可を得なくても発言を直接聞いた記者が実名記事を書けばいいことである。
オフレコと約束した上での発言だから氏名を公表しないのだという。だが、内閣記者会のメンバーだけが名前を知っていて、読者・視聴者には知らされないというのは知る権利に著しく反する。内閣記者会は政治家との懇談は国民の代わりに行っているのだということを自覚しなければならない。
背景には悪名高い記者クラブ制度の存在がある。ジャーナリストの上杉隆氏は著書「ジャーナリズム崩壊」（幻冬舎新書）の中で「事実を知りながら報道しない政治記者」の項で「日本の記者クラブメディアは『不偏不党』を謳いながら、その実態は、政権与党に擦り寄った報道を繰り返しているに過ぎない。とくに政治部だ。政治記者たちは、政治家へのアクセス権を独占し、政権に肉薄し、永田町の実情をつぶさに知りながら、いまだかつて政治家への厳しい報道をしたためしがない」と記者クラブを厳しく批判している。
今回の事態はまさに上杉氏が指摘している状況だ。さすがに今回は見逃せない発言として報じているわけだが、８日段階でも主だったマスコミが匿名扱いというのは奇異な状況である。民主党の動きがなければこの「政府高官」の正体を国民は知らされないままでいたわけで、知る権利に奉仕するジャーナリズムの役割を果たしていない。報道機関は自らの責任の下で政府高官の氏名を公表すべきである。
関連リンク：
・違法献金事件、自民に拡大せず＝政府高官が見通し（時事通信）
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date3&k=2009030600011
・民主党ウェブサイト
http://www.dpj.or.jp/index.html
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