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【bizmakoto:出版&新聞ビジネスの明日を考える】現場で感じた……“週刊誌離れ”が進む理由 (by吉富有治)
http://www.asyura2.com/09/hihyo9/msg/166.html
投稿者 passenger 日時 2009 年 3 月 21 日 03:48:21: eZ/Nw96TErl1Y
 


【bizmakoto:出版&新聞ビジネスの明日を考える】現場で感じた……“週刊誌離れ”が進む理由 (by吉富有治)
 
 


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http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0903/19/news010.html

2009年03月19日 07時00分 UPDATE
コラム
出版&新聞ビジネスの明日を考える:

現場で感じた……“週刊誌離れ”が進む理由


『フォーカス』『フライデー』など、最盛期には毎週200万部以上の売り上げを記録した写真週刊誌。しかし「ビートたけし事件」をきっかけに部数は減少、さらに総合週刊誌も苦戦を強いられている。週刊誌の部数減に歯止めがかからない背景には、何があるのだろうか?

[吉富有治,Business Media 誠]
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 「どう? 売れていますか」

 「いや、厳しいですね」

 最近、週刊誌の編集者たちと会うたびに、まるで時候のあいさつのように、このような会話が交わされる。大阪ナニワの商人は街中で顔見知りと出会えば、「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんな!」が決まり事のあいさつのようになっているというが、多くの週刊誌では、その落ち込みぶりは目を覆うばかり。とてもじゃないが「ぼちぼちでんな」と悠長には構えていられない状況だ。週刊誌は厳冬の時代をはるかに超え、今や“氷河期”である。むろん、私が専属記者をしていた『F』も例外ではない。

 写真週刊誌の草分けになった『フォーカス』(現在は休刊中)に続けと、大手出版社が競うように類似の週刊誌を発行したのは1980年代中頃のことだった。これまでの活字中心の誌面構成をガラリと変え、写真1枚で世相を表現する手法は誰の目にも斬新に映ったものである。写真週刊誌の生命線は文字通り「写真」だ。記事は写真の補助役にすぎない。取材現場の主役もカメラマン。あくまでも記者は付き添い役である。

 当時から活字離れが叫ばれていたが、写真週刊誌なら記事の行数は少ないので、活字が苦手な人でも手にとって買ってくれる。写真週刊誌がウケた理由の1つは、このような背景もあった。

 ピーク時には『フォーカス』『フライデー』『フラッシュ』『エンマ』『タッチ』の5誌が書店に並び、1誌だけで週に100万部を売り上げることも珍しくなかった。ちなみに『フォーカス』は、最盛期には毎週200万部以上の売り上げを記録している。先輩カメラマンたちは当時の様子を、「とにかく寝る間がないほど取材に追い立てられていた」「ハイヤーを自宅前で常時待たせ、イザ出動のときに備えていた」と一様に語るが、それも昔の話。今ではフリーの記者やカメラマンは編集部からのオーダーが極端に減り、かれらの年収も下がるばかり。私の周辺にも「転職を考えている」と切に訴えるフリー記者は何人かいるし、実際に他業種へ転職したカメラマン、記者も少なくない。


●写真週刊誌が凋落していったきっかけ


 勢いのあった写真週刊誌が凋落していったのは、1986年12月に起こった「ビートたけし事件」がきっかけである。知人女性への取材方法に怒ったタレントの北野武さんが、深夜、彼の弟子10数名とともに『フライデー』編集部を襲撃。編集者らにケガをさせるなど暴行傷害事件へと発展したのだ。北野さんたちは警視庁に逮捕され、この事件が原因で北野さんもテレビの世界からしばらく干されることになってしまった。

 ところが世間の厳しい目は、逮捕された北野さんにではなく、“被害者”であるはずの写真週刊誌の方に向けられたのだ。暴力に訴える北野さんの抗議方法に世間は必ずしも同調はしなかったが、それ以上に、写真週刊誌の過激な取材スタイルやプライバシーを暴く記事のあり方を重く見たのである。この事件が契機となって写真週刊誌全体の販売部数は落ち込み、休刊する雑誌も相次ぐことになる。「ビートたけし事件」は、これまで過激さがウリだった写真週刊誌に冷や水をかける一方、週刊誌全般にも取材や表現の方法に見直しを迫る転機となったのは間違いない。  

 私が週刊誌記者をはじめた1998年ころを境に、雑誌の売上げはさらに下降線をたどることになる。1990年代半ばには毎週100万部以上を販売し、売り上げナンバーワンを競っていた『週刊現代』と『週刊ポスト』は現在、部数も半分以下。昔から、他誌に比べて部数が安定している週刊文春と週刊新潮は売り上げトップを競う仲だが、それでも両誌ともピーク時より部数は落ちている。『朝日ジャーナル』や『週刊宝石』など、廃刊や休刊になった週刊誌も少なくないし、“休刊予備軍”はまだまだ控えていると私の耳にも入ってくる。
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http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0903/19/news010_2.html

●手軽にスクープのおこぼれにあずかれる

 週刊誌離れが起こっているのは、1980年代のように度を超した取材方法やプライバシー侵害などがあらためて問題視されたからではない。確かに、以前に比べて人権感覚が発達したことで、名誉毀損裁判などで週刊誌が訴えられるケースは増えているが、これが部数減につながっているとは思わない。原因は複合的で決して単純ではないが、1つには「わざわざ買ってまで読みたいとは思わない」という人が、かなり増えてきているからだ。

 その最大の理由は、やはりインターネットの急速な進歩だろう。研究者やマニアが使っていた時代と違い、今ではネットにつながったPCや携帯電話があれば、週刊誌を買わなくても概要が分かってしまう。週刊誌を買った人がネットの掲示板で中身を紹介することもあるが、近年ではワイドショーやスポーツ紙が週刊誌のスクープを先に報じて、その内容が掲示板にも流れていく。インターネットの普及でこのサイクルが一気に加速、週刊誌離れに一層の拍車をかけているのだ。

 余談だが、テレビや新聞などが発売前の週刊誌を手に入れ、その記事を元にして取材に動いたり、ワイドショーで紹介されることがある。週刊誌や月刊誌などの雑誌は、書店に並ぶ前日にはすでに印刷が終わり、取次店から全国の書店へと発送されていく。発売前の雑誌を「早刷り」と呼ぶが、メディア間の相互協定により、この「早刷り」を各メディアは流通過程で手に入れることができるのだ。むろんテレビや新聞だけではなく、週刊誌も同様である。とくに発売日が同じ週刊誌の編集部は互いに、ライバル誌が明日、どのような記事を書いてくるか戦々恐々としているものだ。

 ところが、いつのころからか「早刷り」を見たワイドショーやスポーツ紙が、特に芸能ニュースを週刊誌より先に報道してしまうケースが増えてしまった。これなら自社のスタッフを使わずとも、手軽にスクープのおこぼれにあずかることができるからだ。一応、番組担当者や新聞の担当デスクは週刊誌編集部に事前の許可をもらってはいるが、中には許可も取らず勝手に報道してしまうこともある。

 また芸能ニュース以外でも、新聞社などは週刊誌の記事に社会性があると判断すれば、「一部週刊誌によると」という表現で紙面を割くことがある。これなどはまだ良心的な方で、中には「○○であることが、分かった」と、まるで自社の独自取材でネタをつかんできたかのようなひどいメディアもある。誰のおかげで「分かった」のか、てんで知らんぷり。


 ちなみに、前回紹介した星野仙一元監督の勇退スクープも、「早刷り」を読んだ通信社が元監督に確認。ウラが取れたので記事が配信され、全国紙が一面で扱うほどの大騒ぎになってしまった。このとき「一部週刊誌によると」と発信源を明かしたメディアは、わずかだった記憶がある。

 読者にとって週刊誌が唯一の情報源だった時代と比べ、今では週刊誌が報じた主要なニュースはインターネットをはじめとするほかのメディアに拡散され、ほぼ発売と同時期に、しかも無料で知ることが可能になってしまった。これなら「わざわざ買ってまで」読まなくても、ニュースの概要くらいなら知ることはできる。編集部が満を持してスクープを放っても、予想より売れないのは、以上のような理由からだろう。

 それでも手にとって読みたいというコアな読者だけが、今の週刊誌をかろうじて支えている。週刊誌の作り手にすれば由々しいことだが、もはやこの流れは誰にも止められないかのようだ。
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http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0903/19/news010_3.html

●週刊誌が売れないもう1つの理由

 週刊誌が売れないもう1つの理由は、やはり中身の問題だろう。買いたいと思わせるほど魅力的に映らないのだ。週刊誌に勢いのあった時代に比べて、記事が薄い。企画モノや特集にしても、時代を感じさせるタイムリーなものが少なくなってきた気がする。それもこれも、記者も編集者もサラリーマン然として、小ツブになったためではないか。タブーを恐れず、イケイケドンドンの型破りなタイプは少なくなった。

 私の周囲にも取材力のあるベテラン記者や腕のいいカメラマン、企画力のある編集者は本当に少なくなってしまった。おまけにどの週刊誌も、経費の削減で取材費は2〜3割のカット。原稿料も以前に比べてずいぶん安くなった。これではロクな取材もできないし、ほとほと愛想を尽かして週刊誌から足を洗うベテランが増えるのも無理はない。その結果、記事の中身はスカスカとなり、さらに読者の週刊誌離れに拍車をかけてしまう。そこでまた売れなくなって、経費カットで取材費をケチり……。ホント、悪循環である。

 この負のスパイラルは週刊誌だけではない。新聞もテレビも、いまでは同じジレンマに陥っている。国民の新聞離れから、米国ではいくつかの名門新聞が倒産し、日本でも夕刊を廃止する新聞が目立ってきた。テレビ局も広告収入が落ち込み、人件費や制作費のカットを迫られている。ラジオ局も同様だ。電波と紙の既存メディアは大きな岐路に立たされているが、いまだ暗中模索。脱出する方法を見い出せないでいるのだ。

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著者プロフィール

吉富有治(よしとみ・ゆうじ)

1957年12月生まれ、愛媛県生まれの大阪育ち。金融専門紙、地方新聞、週刊誌、テレビと各メディアを経験。現在は地元新聞で連載コラムを執筆し、『ムーブ!』(大阪朝日放送)の準レギュラーコメンテーターとしても活躍。目下のテーマは地方自治問題。著書に『大阪破産』(光文社刊)。
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