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「事業仕分け」への対応で炎上 「激しく、時には優しく議論を活発に」 長妻厚労相
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/176.html
投稿者 どっちだ 日時 2009 年 11 月 14 日 18:26:46: Neh0eMBXBwlZk
 


ロハスメディカルから転載
http://lohasmedical.jp/news/2009/11/14092716.php

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中医協炎上、「激しく、時には優しく」と長妻厚労相

新井裕充 (2009年11月14日 09:27)


 診療報酬の配分を見直す「事業仕分け」への対応などをめぐって中医協が炎上した。診療側委員は中医協として慎重を求める声明を出すよう主張したが、支払側委員は時期尚早論。診療側委員の「責任を取ってください」との発言に支払側が逆上したところで長妻昭厚生労働相が入室、「激しく、時には優しく議論を活発に」などと挨拶した。(新井裕充)

 政府の行政刷新会議ワーキンググループ(WG)は11月11日、2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」で、病院・診療所間や診療科ごとの点数配分を見直すことなどを決めた。

 13日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)基本問題小委員会の冒頭、厚生労働省保険局医療課の佐藤敏信課長が結果を報告。「これで終わりではなく、恐らく本会議のほうで報告、議論されて最終的な意見が取りまとめられる」と述べ、今後の動向を見守る構えを見せた。
 遠藤久夫・中医協会長(学習院大経済学部教授)も、「最終報告」が出た段階で何らかの意見を表明する意向を示したが、診療側の嘉山委員は早急に声明を出すことを提案、次のように述べた。
 「国家が一度決めてしまうと、それをひっくり返すことは非常に困難。会長は『まだ決まってはいませんね』とおっしゃったが、決まる前に『慎重にやれ』ということを中医協から言ったほうがいいのではないか」

 これに対して、支払側の白川修二委員(健保連常務理事)も、「行政刷新会議はどういう法律の裏付けであのような意見をおっしゃられたのか理解できない」として、WGの決定プロセスを疑問視。「法治国家だから、法律に基づいてきちんと手続きを踏んでやることを我々としては主張すべき」と述べた。

 他の委員からも、WGの議論の在り方を批判する意見が出されたが、支払側の北村光一委員(経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)、勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)がブレーキをかけた。北村委員は「中医協では清々と冷静にその動きを見守って、その結論を頂いてから議論されてはどうか」と慎重論。勝村委員は次のように述べた。
 「中医協に関連する話なので意見交換は多少はいいが、何らかの資料や文書が出ていないので、『ちょっとテレビで観た』という形での議論には一定の限界がある。(国立大学)医学部長会議などで声を出すのはいいと思うが、中医協として今この段階で意見を出すということはちょっと無理がある」

 この発言に対し、嘉山委員は「そういうことをやってきたから、この日本がおかしくなってきた」と反論。財務相の諮問機関「財政制度等審議会」が6 月4日に出した建議を引き合いに、「エビデンスもなく検証もなくサイエンスもない中身のディスカッションをして、政策立案が出てきた。我々のような専門家がここで議論しているので、『慎重に』という声明を出さない限り、我々の存在意義はない」と返した。その後、嘉山委員がさらに「一言」を加えた。

 「そういう反対意見を言った方は、責任を取ってくださいね。日本の制度は、一番問題なのは、その責任の所在が明らかでないこと。『言っておけばよかった』という不作為の罪はしたくない。例えば、『慎重にしていただけないか』というぐらいの意見は言っても構わないと思うが、それすら言えないという中医協は一体どういう意味を持っているのか?」

 この発言で炎上、その最中に入室した長妻昭厚生労働相は、最後にこう挨拶した。
 「国会では、もっとさらに激しい議論がございますので、本当にご遠慮なさらず、激しく、時には優しく議論をですね、議論を活発にしていただくことがですね、論点を曖昧にせずに、詰めて詰めて合意を得ると。安易な妥協は決裂への道というふうに私は自分に言い聞かせてこれまでいろいろな活動をしておりましたので、また今後とも、ご助言を頂きますよう、よろしくお願いします」

 長妻厚労相の挨拶の後、委員席から拍手がわき起こった。拍手をしなかった傍聴者は、今回の議論をどうとらえたのだろう。


■ 「最終報告が出た段階で意見を承りたい」 ─ 遠藤会長
 

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 時間になりましたので、ただ今から第147回中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会を開催いたします。まず、本日の出席状況ですが、本日は全員の方がお見えになっております。
 議事に入ります前に、事務局(保険局医療課)より報告があるとのことですので、事務局、よろしくお願いいたします。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 医療課長でございます。ご承知の通り、一昨日、11月11日ですけれども、(政府の)行政刷新会議のワーキンググループ「事業仕分け」が開催されまして、その初日に診療報酬、薬価等についての議論が行われました。
 私どもも新聞報道等を知る限りですけれども、ワーキンググループでの議論については今後、行政刷新会議の本会議に報告され、最終的な意見が取りまとめられ、場合によっては来年度の予算編成に向けての参考にするというふうに承っております。

 いずれにしましても、当日の会場でも、(外口崇保険)局長や私から申し上げましたけれども、中医協の議論にも関連する内容であり、「伝える」ということを申し上げましたので、この場を借りてお伝えをさせていただきます。

 まず1点目、診療報酬についてですが、結論から申しますと、病院と診療所の診療報酬の配分を見直すべき、それから、収入が高い診療科、これは診療所を念頭に置いたものと思われますが、その診療報酬の配分を見直すべきとの取りまとめが行われました。

 それから2点目の医薬品ですが、後発品のある先発品の薬価については、後発品の薬価を目指して、これを引き下げるべきだと、ただし、引き下げの方法については今後議論が必要。それから2つ目ですが、市販品類似薬については保険給付の対象外とすべき。ただし、具体的に対象とする範囲については今後議論が必要との取りまとめが行われました。

 また、先ほどもご議論いただきましたが、保険医療材料については、内外価格差の是正を求める意見がありまして、見直していくべきとの取りまとめが行われました。

 ただ今も申し上げましたように、このワーキンググループの結果、これで終わりではなくて、恐らく本会議のほうで報告、議論されて、最終的な意見が取りまとめられるものと承知をしておりますが、いずれにいたしまししても、現状をまず取り急ぎ報告させていただく次第です。以上です。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。これについては、たぶんご意見、ご質問おありになるかと思いますけれども、今のお話ですと、これがまだ最終的なものではないというふうに理解してよろしいわけですね? (佐藤課長、うなずく)

 ということですので、それ(最終報告)が出た段階で、委員の皆様からの「ご意見」を承るということにしたいのですが......、ま、「質問」はあるかと思いますので......。(委員ら、笑い) 簡単に、時間が大変押しておりますので、質問があれば1つ、2つ、お受けいたしますが......。嘉山委員、どうぞ。


■ 「決まる前に『慎重にやれ』と中医協から声明を」 ─ 嘉山委員
 

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 あの「事業仕分け」を見ていると、かなり乱暴な仕分けをしているので、国立大学医学部長会議から「慎重にやってください」という声明を出します。
 なぜかと言うと、国家が一度決めてしまうと、それをひっくり返すことは非常に困難です。会長は「まだ決まってはいませんね」とおっしゃったんですが、決まる前に「慎重にやれ」ということを中医協から言ったほうがいいのではないかと思います。

 中医協の議論を全く無視した仕分けをする可能性がありますので、「会長のご見識で何か声明を出していただけたら」というのが私の意見です。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 最初から「意見」になりましたけれども......。(会場、爆笑) あの、これはなかなか、皆さんにお諮りをしなければいけない話になりますので......。即断は私、この場でできませんけれども、ほかにじゃ、せっかく意見が出ましたので、もう1つぐらい、意見、ご質問......。

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 会長。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 安達委員、どうぞ。


■ 「伸びたから下げようという議論は乱暴」 ─ 安達委員
 

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 「事業仕分け」は我々、テレビで放映されたものしか見ておりませんので分からないのですが、具体的に例えば、病診間点数の是正とか、個人診療所における高点数診療科、あるいは伸び率の高いと言われる診療科の是正というご意見が、仕分けをされる委員の方から出た。それは我々も承知しておりますが、その根拠については、何かお示しになった上で、そういうご指摘なんでしょうか。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、これは質問ですので、事務局(保険局医療課)どうぞ。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 当日、現場に財務省が作成したスライド用の資料が出ました。この基になったものは、例えば「医療経済実態調査」の直近の結果等でございました。

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 はい、意見を言わせていただいてよろしゅうございますか。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 安達委員、どうぞ。

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 「病診間点数の是正」という最初の問題につきましては、実調(医療経済実態調査)のデータ等が影響を与えていると思いますので、そのデータの精査を前回お願いしたところでございます。近々にそのデータを出していただけるということですので、そこでまた議論させていただきたいと思います。

 2番目の、個人診療所の診療科点数における、特に皮膚科、整形(外科)、この2つの指摘があったと思いますが、「伸び率が高い」という。このデータについては、たぶん本日、日本医師会が記者会見をさせていただくと思いますが、「事業仕分け」について。
 日本医師会のデータでは、そうはなりません。日本医師会の基本的データは「TKC全国会」の調査データに基づいております。それが1点でございます。

 2番目に、基本的な考え方としてご意見を申し上げさせていただきます。整形外科、皮膚科の伸び率が高いということが直ちに点数設定の議論になるべきなのかということに対しては、大きな疑問がありますということを申し上げたいと思います。

 前から嘉山委員がご指摘のように、個々の診療科の技術について、それをどう評価するかというのが点数設定の話であって、「伸びたから下げよう」という議論はあまりにも乱暴と言いますか、我々から申し上げれば、そこに社会的ニーズが増加しているので、その点数が上がっているだけの話で、むしろ個々の点数掛ける、「掛け算」の、算定回数の増加がそれに影響しているということはデータから明らかだと思いますので、それと点数設定の議論との直結は大変疑問であると申し上げたいと思います。以上です。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。1号(支払)側、何かご意見ありますか、ご質問ありますか。白川委員、どうぞ。


■ 「行政刷新会議はどういう法律の裏付けか」 ─ 白川委員
 

[白川修二委員(健保連常務理事)]
 質問ではないんですが、私が委員になったときに診療報酬が決定されるまでの流れについて説明を受けました。それによれば、内閣で上げ幅下げ幅(改定率)を決め、社会保障審議会(の医療部会と医療保険部会)で基本方針を決め、その方針に沿って中医協で(配分を)議論するんだと聞いておりました。

 それが法律の裏付けのある手続きだと思いますので、今回の仕分けチーム、行政刷新会議はどういう法律の裏付けであのような意見をおっしゃられたのか理解できないんですが、まあ、法治国家ですから、「法律に基づいてきちんと手続きを踏んでやる」ということを我々としては主張すべきであると思っております。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。鈴木委員、どうぞ。


■ 「人民裁判でも見ているようで怖い感じ」 ─ 鈴木委員
 

[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
 私もテレビを観てびっくり......。初日は司会の方が非常に感情的というか、高ぶっているような感じ、高揚しているような感じがあって、あたかも「人民裁判」でも見ているような感じがして、ちょっと怖いような感じがしました。

 やはり我々(中医協)は少なくとも専門家が集まって、数百時間にわたって議論を重ねて結論を生み出そうとしているわけですから、わずか1、2時間なのか知りませんけれども、見たところ医療関係者はいらっしゃらないようですし、そういったもので新たに決めたものに(中医協が)拘束されるというのは、私はちょっと......、在り方としておかしいのではないかなという気がいたしました。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。(西澤委員が挙手) まず1号(支払)側、北村委員、どうぞ。


■ 「中医協は冷静に動きを見守って結論を頂いて議論」 ─ 北村委員
 

[北村光一委員(経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)]
 確かに、会議の雰囲気には全く私も同感です。そんな感じを受けました。いずれにしても、新政権の下で、あのような形で進み出したわけですから、この中医協では清々と冷静にその動きを見守って、その結論を頂いてから議論されてはいかがでしょうか。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。牛丸委員(公益)、どうぞ。

[牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授)]
 質問ですが、私もテレビだけを観ていたので、それで何かを言うのはちょっと偏見になるかもしれませんので、出席された方にお聞きしたいのですが、時間は1時間なんでしょうか。
 それから、事前に中医協がやってきたこういう議論の問い合わせが全くなく、ただそこに行って向こうから説明を受けて、いろんなことを言って......。事前の資料要求とか、あったのかなかったのか、教えてください。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、では事務局(保険局医療課)お願いします。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 医療課長でございます。1項目について1時間ということでしたが、実際には取りまとめというか、結論を出す時間があったので、私も正確に時間を計ったわけではないのですが、45分から50分ぐらいであったように記憶しています。

 それから、進め方については、あらかじめテーマの通告があります。そうでないと答えられませんので、ある程度の資料のようなものは提出したということです。

 また、当日その現場に行きますと、恐らく財務省がお作りになったと思われる資料が提示されておりまして、従いまして冒頭に、今回の場合ですと外口医政局長(ママ)がお話しいたしまして、そして財務省から恐らく5分ぐらいだったと思いますが、話があって、そして後は評価者を含めた質疑で、(厚労)省側がお答えをするという形式でございました。

 そして、40分か45分ぐらい経過したところで評価票を書いていただいて、それを取りまとめられて、最終的にはコーディネーターの方がその結果をその場で公表されて、即断即決という形で進むという状況でした。

 ▼ いつもながら役者。うまい。まるで遠い世界で起きたことを伝えているかのようだ。


[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 西澤委員、どうぞ。


■ 「中医協として何らかの意見を出していただきたい」 ─ 西澤委員
 

[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
 北村委員から、「向こうの結論が出てから」というお話がありましたが、それだと遅いと思いますので、先ほど嘉山委員が言ったように、中医協として何らかを申し上げることが私も必要じゃないかなと思っています。

 本当に、45分、1時間の資料もほとんどない中での向こうでの意見だと思います。私たちは毎週2回ですね、3時間からあるいは......。事務局(保険局医療課)からは今後、「これじゃ足りないからもっと延長」という話もございます。(委員、笑い)

 そういう中で、膨大な資料を見ながらですね、考えてやっているので、やはりこういうところを尊重していただかないと、私たちも何のために忙しい中、来ているのか分からないと思いますので、ぜひ嘉山委員が言ったような方向で、何らかの意見を出していただきたいと思います。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 では森田委員、先ほどお手を上げていました。


■ 「概算要求額と税収の乖離で何を考えるか」 ─ 森田委員
 

[森田朗委員(東京大大学院法学政治学研究科教授)]
 少し私から説明させていただきますと、私自身が厚生労働省担当の「仕分け人」でございます。(会場、笑い) ただ、申し上げておきますと、この中医協関係の診療報酬に関しましては、両方の立場を代表すると言いますか、利益相反の関係になりますので、お話があった最初の段階から、これには全く参加しないということで、私の個人的な見解はともかくとして、何も申し上げないということで了解を得ております。

 これは事前に関係省庁との接触を厳密に禁止するというお達しもございまして、そうしますと、ここに出てくることも非常に難しくなるわけですが、公表された段階で会長さんにはご了解を頂いているところでございます。今回の診療報酬の件については、何も申し上げるつもりはございません。

 実は、一昨日(中医協を)キャンセルして(事業仕分けに)出席を、という話もございましたけれども、そういう事情でお断りいたしました。昨日もちょっと地方に出ていたものですから、実は(この日の中医協が)終わった後、別の案件で初めて仕分けの会議に出席いたします。 どういう雰囲気か、出席していないものですから何とも申し上げかねますけれども、事前の打ち合わせその他も含めまして、いろいろとご批判を受けるやり方であろうかとは思っております。

 それは、ご批判についても、妥当であるとか妥当でないとか申し上げるつもりはございませんけれども、あの仕組みがつくられました背景には民主党政権からの......。私も大臣からの依頼でお引き受けしたわけでございまして、厚労省担当というのは引き受けた後で聞いたものですから、ちょっと困ったわけです。

 もう1つは、今の国家財政の下で概算要求の総額が95兆円とか言われていますが、来年度の国税の税収が38兆少しぐらいという、その乖離の状況の下で何を考えるかというのが問題意識にあるということは申し上げておきたいと思います。以上です。
 従いまして、このことについては、私は何とも発言するつもりもありませんし、お答えもできませんし、(語気を強めて)ご批判をされても困りますので(委員から笑い声)、よろしくお願いいたします。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 ありがとうございます。勝村委員、どうぞ。

 ▼ ここまでは意見書の提出を主張する診療側に対し慎重論を唱える支払側という展開。「事業仕分け」に対しては診療側も支払側も疑問を呈している。公益側の森田委員から「批判を受けるやり方」との発言もあった。しかしこの後、1号(支払)側の勝村委員と、2号(診療)側の嘉山委員との間で激しいバトルが勃発した。
 勝村委員は医療事故の被害者の立場から幅広く活動しているが、中医協にはあくまでも「支払側委員」として参加。診療報酬の配分についてはかねてから「ダイナミックな改定」を主張しており、診療所と病院の配分を大胆に見直すことを求めている。


■ 「中医協として今の段階で意見を出すのは無理がある」 ─ 勝村委員


[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 (事業仕分けは)この中医協に関連する話ですので意見交換は多少はいいと思うんですけれども、今日はそれに関する何らかの資料とか文書が出ているわけではないんで、「ちょっとテレビで観た」とかいう形での議論には一定の限界があると思いますので、まあ、(国立大学)医学部長会議とか何かというところで声を出すのはいいと思うんですけど、中医協として今この段階で意見を出すということは、北村委員と同じで、ちょっと無理があるんじゃないかと思います。

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 (強い口調で)そういうことをやってきたから、この日本がおかしくなってきたんであって、(財務相の諮問機関である)財政制度等審議会の(建議の)中身を見ると、専門家が一切入っていなくて、今年の4月6日(ママ)に出ているんですよ。

 ▼ 財政審は6月3日、与謝野馨財務・金融・経済財政相(当時)に対し、2010年度予算編成に向けた建議(意見書)「平成22年度予算編成の基本的考え方について」を提出した。建議では、▽診療報酬の配分あり方 ▽医師の適正な配置 ▽医療従事者の役割分担の見直し─の3つの課題に取り組む必要性を指摘。医師の絶対数は増えているとの認識から、偏在を解消するための「経済的手法」と「規制的手法」を提示した。
このうち、「経済的手法」は医療費の配分を見直すこと。診療所に偏った配分を見直すため、診療報酬改定のプロセスについて改めるべきと主張、中医協の構成や役割も見直す必要があるとした。「規制的手法」としては、医師の適正配置を挙げている。建議は、こちら【PDF】を参照。

 ぼくは詳しくあれを読んだんですが、例えば1つの例ですが、委員には1人も医療関係者がいません。はっきり言えば、こんなことを言うと叱られるかもしれませんが、町のおじさん、おばさんが集まってですね、医療のことを話している。
 (建議の)中身はどういうことかと言うと、「産婦人科専門の大学をつくったらいいんじゃないか」と。産婦人科の患者さんは心臓病や糖尿病を持っていることもある。

 ですから、そういうふうに......、エビデンスもなく検証もなくサイエンスもない中身のディスカッションをして、政策立案が出てきたんですよ。ですから、我々のような専門家がここで議論しているので、「慎重に」と言うことぐらいは......。1つ1つの事例は、今、資料がないから言わなくてもいいけれども、「慎重に」ということぐらいは声明を出さない限り、我々の存在意義はないんですよ。

 勝村委員はそうしたら、これに何のために出てきているか分からないことになりますから......(支払側から、「いや」との声あり)、存在証明をするためには、やはりきちっとした......。(ここで遠藤会長が発言をさえぎる。支払側はこの発言で着火)

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 (早口で)はい、嘉山委員、分かりました。時間も限られていることで......。(嘉山委員から)お名前が出ました、勝村委員どうぞ。(支払側はざわついている。白川、北村委員らが怒っている様子)

 ▼ 全然、火消しになっていない。支払側委員はこれまで、診療側の嘉山・安達両委員に一方的にやられていたので、ここで一気に巻き返して、これまでのうっぷんを晴らしたいところかもしれない。勝村委員にとっては「別の闘い」かもしれないが......。

[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 きちんとした議論をするならば、資料とか出してやっていく手続きをちゃんとしてほしいということで、ま、近々に急ぐということもあるのかもしれませんが、それだと、今日、具体的に、報道を通じてみんながイメージしているものと、実際にどういう文書があって、ということなので、やっぱちょっと、手続きを......。

 まだ......、頻繁に行われているわけですから、ちょっと今日、何にも資料がないところで何かを出すかということに対しては、報道では......という話でやるのはちょっと......、急ぐにしても、ちょっと手続きは踏んでほしいと思う。

 ▼ この時点ではまだ落ち着いた口調。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 分かりました。あの......、時間もありませんので(まだ2時間近く残っているが)、あの......、ご発言の趣旨、双方ともよく分かります。(ここで、予定通りまとめに入る)

 で、中医協の意思決定のプロセスはですね、基本的に「全会一致」なんであります。特に今回のように、中医協として外に向かって発言するということは、基本的には「全会一致」ということで決めてまいりました。

 ▼ 前回改定での再診料引き下げをめぐる議論は「全会一致」ではなく、土田武史会長(当時)の判断(公益裁定)で決着した。

 このルールはこれまで生きておりますので、ただ今のお話を聞いておりますと、マジョリティーは「(中医協として)意見を述べたほうがいいだろう」ということではありますけれども、反対意見もあるということですので、今の段階で、中医協として統一声明を出す、意見を述べるということは避けたほうがいいと思っております。

 ▼ 厚労省によると、中医協の議事を「全会一致」で決めるという法律上の根拠はなく、慣例はあるという。「社会保険医療協議会令」の2条2項には、「中央協議会及び地方協議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる」と規定されている。

 ただ、今後の議論でどう展開するか、発言する内容についても話し合ってですね、それで合意が得られれば、その段階で発言をしたいと思っております。よろしいでしょうか?

 ▼ 新体制になる前なら、これで打ち止めになったが......。

 嘉山委員、どうぞ。


■ 「個人の人格、意見を無視する」 ─ 白川委員
 

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 最後に一言。そういう反対意見を言った方は、責任を取ってくださいね。(しばらく沈黙。支払側がざわつく)

 日本の制度は、一番問題なのは、その責任の所在が明らかでないからです、歴史上。従って、流されて、誰かが......、「全会一致じゃなきゃ駄目だ」ということで、消えていった。(ここで、白川委員が「よろしいですか」と挙手)

 ですから私、責任というのはね......。(支払側が騒ぎ出して一斉に挙手) ちょっと、今、私がしゃべっているんで。(北村委員が「どういう意味?」「訂正してもらわないと駄目だ」などと突っ込むが)

 要するに、責任というのはどういうことかと言うと、「言っておけばよかった」と、不作為の罪はしたくない。不作為の罪はしたくない。ですから、例えば、「慎重にしていただけないか」ということぐらいの意見は言ってもぼくは構わないと思うんだけど、それすら言えないという中医協は一体どういう意味を持っているんですか? (支払側が複数挙手)

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 じゃ、順番にまず、白川委員、それから北村委員、勝村委員の順でお願いします。

 ▼ 遠藤会長や厚労省にとって、支払側委員が「代理戦争」をしてくれる展開は大歓迎かもしれない。

[白川修二委員(健保連常務理事)]
 今の嘉山委員の発言は重要だと思います。(支払側から「重大ですね」と声が上がる。勢いづく支払側委員)

 まあ、この中医協はそれぞれの立場がございますけれども、それぞれ自由に......。医療とか国とか患者とかを思って、自由に発言できる場だと認識しておりますので、その発言そのものについて、個人として責任はもちろん持って発言いたしますけれども、その発言がご自分の意見と合わないからといって、(語気を強めて)「責任を取れ!」という言い方を......、これは個人の人格、意見を無視するということになりますので、ぜひとも......、それは。

 私は今回の件については、嘉山委員と意見は同じですけれどもね、もちろん反対の方もいらっしゃるわけで、「その人格を無視する」ということは非常に失礼なことに当たるということは、私は感じますので。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 北村委員、どうぞ。

[北村光一委員(経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)]
 やはりあの......、なんて言うんですかね、今、仕分けというのは、あれこそ日本を変えようという、新しい動きなのかなあと思っています。ですから、私は「しばらく待ったらどうかなあ」と申し上げただけで、私は本当にそれだけですから。(嘉山委員が割り込む)

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 分かりました。ただですね、私はこういう委員会を、今まで審議会を見ているとですね、やはり委員会で言ったことが政策になって、これが国民にとってとんでもないことになったときに、一体誰が何を言って、どういうふうになったのか、全然分からないんですよ。私みたいな一般国民では。

 ですから、責任と言う意味はですね、何かをやめろとか、そういう意味じゃなくて、心の中で......。例えば......。ぼくは早く言ったほうがいいと思うんですよ。なぜかって言うと、一度政策が決まった場合には、今度の民主党政権になって、自民党が19兆でしたか22兆円でしたっけ、補正予算でやった分を、一回決まっちゃった分を直すのは非常に困難。今、民主党がやっているわけですよね。

 実際、「これはとんでもない、無駄なものだ」というものでも執行しちゃったから、これは変えられないということで、それで流れてきたんですよ、この国は。
 でも、やはり知力があるのであれば、大人であれば、悪いことは、間違っていることは戻しましょうということが大人の社会だと思う。それが文明国の人間のやることだと思っているんですよ。今まで、「もう決まっちゃったから」「しょうがないからそのまま行っちゃおう」というのではね、やっぱり国民にとって良くないことだと思うので、「心の中で責任を感じてください」ということです。

 ですから、白川委員が言うような人格を無視した発言ではないので、それは誤解しないでいただきたいと思う。(支払側はざわついていて収らない様子)

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 すべて......、実はですね、診療報酬の決定については、中医協委員全員が責任を持っております。そういう意味で、マスメディアはある意味で厚労省を叩いておりますけれども、中医協を叩かれても仕方がないというところがあるわけなんですね。

 そういう意味で、我々はそういう責任で、覚悟で審議をしているということなので、審議の内容もですね、できるだけ時間をかけてやりたいと思っておりますので......、(診療側を見ながら)もし、お許しいただけるならば、早速審議に移りたいなと思っておりますが......。(会場、笑い)

 はい、安達委員、どうぞ。


■ 中医協炎上 ─ 勝村委員 VS 嘉山委員
 

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 私が(議論を)まとめる必要もないんでしょうけれども......。(笑い) あの......、まとめ的なことで皆様方のご了解を頂ければと思って申し上げるのですが......。 (発言中に長妻昭厚労相が入室)

 1つは、政権公約の中に医療崩壊への認識がおありになる。今の政府はですね。その中で、医療費のある程度の引き上げは必要だろうというお考えがあったはず。それと、この「事業仕分け」の中身が......。
 非常に短絡的に短い時間でやられて、(政権公約と)乖離しませんかということを、医療崩壊の観点から言えば全体として危惧しなければならないというのが我々の認識なのではないだろうかということであります。

 「早いほうがいいかもしれない」と申し上げるのは、白川委員にもご賛成いただいておりますが、全体の認識として、こういう仕分けの議論が改定率幅を決めるところの数字に、そういうことで影響が出るのではないかということの懸念だろうと思います。そういう観点から議論していただければということをお願いしたいと思います。 (長妻厚労相が着席)

 ▼ ここでいったん下火になったが......。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 それでは......、あ、最後に、高橋委員、どうぞ。

[高橋健二委員(全日本海員組合中央執行委員)]
 中医協の場はですね、いろんな意見があって構わないんですけどね、議論して最終的に取りまとめをするんだという委員会だと私はずっと思っている。
 人を恫喝するようなね......、意見なり......。それは我々は、私はそういうふうに受け取りました。(ここで遠藤会長が「分かりました」と割り込むが、さらに続けて) そういうふうな話ではないと思っている。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 それは、私からですね、嘉山委員に、今のように受け止めた方がいらっしゃるということでありますので、発言には、今後ご注意を頂きたい。

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 ただですね、やはりこの場で医療費が決まるわけですから、我々としてはあのことに対して、例えば、それに対して「今は早い、遅い」という判断があるわけです。個人個人の。それはいろんな思惑......、思惑じゃないが、いろんな情報から判断しているわけですが、人格まで否定するつもりは全くありません。
 ただし、議事録にはきちんと誰が反対だか賛成だかみたいなことは記録されるんですね? (勝村委員が発声して挙手。スイッチオン)

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 もちろんです。もちろんそう。では勝村委員、手短にお願いします。

[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 (強い口調で)あの、もう一度繰り返しますけど、ぼくは今、昨日(ママ)の「事業仕分け」に対して賛成、反対は一切言ってなくって、「議論はきっちりしなきゃいけない」って言ってる!

 嘉山委員の言い方だと、「事業仕分けは議論がきっちりされていないんじゃないか」という言い方をしているわけなんですから、ここで何を土台にして、みんな「テレビを観た、テレビを観た」というところで、だからちゃんと議論をして、急ぎたいんだったら急ぐで、手続きがあるはずなんで、そういう手順をちゃんと踏んで、自分たちとして責任を取っていきましょうということを言ってるんで、意見、昨日の結果に対して賛成、反対、ぼくは一切言ってない。議論のやり方について言っているだけ。(支払側も一斉に身を乗り出して怒り顔。大臣を前にしたパフォーマンスか)

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、あの......、よく分かりました、ご意見。(大臣の挨拶に移りたい様子) 嘉山委員のおっしゃっている......。(嘉山委員がさえぎる)

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 要するに私は、簡単に言えば、「慎重にしてください」という声明を出すと......。(ここで勝村委員が「原案を出すとか文書で」などと声を荒げる)

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 ですから、あの......、そういう意味で、「全会一致」には至っておりませんので、今の段階で中医協として声明を出すということはやりません。

 ▼ 再診料の引き下げをめぐる議論は「全会一致」ではなく、土田武史会長(当時)の判断(公益裁定)で決着した。厚労省によると、中医協の議事を「全会一致」で決めるという法律上の根拠はなく、慣例はあるという。「社会保険医療協議会令」の2条2項には、「中央協議会及び地方協議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる」と規定されている。今回の件は投票で可否同数になることが予想されるので、会長裁定で決める議事は法的に問題ないかもしれないが、「全会一致」は法律上の要請ではない。


■ 「激しく、時には優しく」 ─ 長妻厚労相
 

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 ご意見として、今おっしゃった内容はすべて議事録に残りますし、また、メディアが一杯いますから、「中医協紛糾」とかなんとか、そういう......。(会場、爆笑)
 あの......、中医協としては今の段階では声明を出すということはいたしません。全会一致でないということでありますから。ただ、「今後また議論を続ける」ということでは合意が得られていますので、議論......、進め方を見ながら議論していくと、そういうふうに思っております。

 それでは本日、長妻厚労大臣がお見えになっておりますので一言。

 ▼ 政権交代後、厚労相の中医協出席は初めて。

[長妻昭厚労相]
 どうも皆様、今日も含めて連日、本当に頻繁にご議論いただきまして、明日の日本国の医療全般について、本当に皆様のご助言が必要でございます。
 新たに委員になられた方もおられますけれども、今後とも活発なご議論を頂きたいと思います。

 国会では、もっとさらに激しい議論がございますので、本当にご遠慮なさらず、激しく、時には優しく議論をですね、議論を活発にしていただくことがですね、論点を曖昧にせずに、詰めて詰めて合意を得ると。安易な妥協は決裂への道というふうに私は自分に言い聞かせてこれまでいろいろな活動をしておりましたので、また今後とも、ご助言を頂きますよう、よろしくお願いします。

 大変、ご挨拶が、こちらに出席するのが遅れまして、恐縮でございますが、本当にお時間がない中、頻繁にこの会に来ていただきますことを感謝申し上げて、私の挨拶といたします。どうも、(議論の)途中で申し訳ございません。(委員から拍手、以下略)

 ▼ 拍手しちゃうのか......。


 

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