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岡崎久彦氏の戦略論 (リベラルなオバマ政権になっても、やっぱりアメリカ追従!)
http://www.asyura2.com/09/kokusai4/msg/309.html
投稿者 稀代の天才白魔女さん 日時 2009 年 6 月 25 日 16:53:00: u31fCu3ZM.QfQ
 

岡崎久彦氏の戦略論は中央公論が分かりやすい〜産経新聞6月25日[正論]+中央公論09年7月号

 岡崎久彦元駐タイ大使が産経新聞6月25日朝刊[正論]に<米知日派を再び挫折させるな>のタイトルで寄稿していた。小見出しは≪キャンベル氏らの友好姿勢≫≪日本は同盟寄与を考えよ≫≪集団的自衛権決着を期待≫である。

 この問題は中央公論09年7月号の特集[日はまた沈むのか――米中「同盟」の狭間に消える日本]で気鋭の論者がじっくり論じており、岡崎氏も孫崎享元防衛大学校教授との対談<漂流前夜/日米同盟の命運を徹底検証する>で面白い討議をしていたのを思い出す。

 まず産経新聞の岡崎氏コラムを読んでみよう。

 <オバマ政権は、日本に極めて好意的姿勢を示してくれている。それはクリントン国務長官指名の上院証言に既に見られたが、彼女が真っ先に訪問した国は日本、オバマ大統領が就任後初めて迎えた外国首脳は麻生総理であった。これは日米関係にとって画期的な出来事であり、日米双方の外交の成功だった。現にスタインバーグ国務副長官、キャンベル東アジア太平洋次官補はともにこれをオバマ政権の日本重視の証左として強調する発言を行っている。>

 オバマ政権の日本重視姿勢である。岡崎氏にすれば、カート・キャンベル氏らの言葉を額面通り受け止めたいのだろう。

 <しかし、当時の日本のマスコミはG20における中川財務相の挙措の粗相の方を大きく取り上げ、せっかくの米国の好意のゼスチュアを国民によく伝えなかった。これは日本のマスコミの品位を貶めるものであったと思う。1998年のクリントン大統領の訪中は、大統領のセックス・スキャンダル事件の裁判と日程を重ねて国民の関心をそらす意図が見え見えであり、またその趣旨の報道もあったが、それでもクリントン訪中の方が大々的に報道されていた。それが国家の利益、国家の威信に重きを置くマスコミとして当然の姿勢である。>

 クリントン大統領のセックス・スキャンダルが米国で燃え盛ったのがクリントン訪中時期だったのか。忘れてしまっていた。

 <それはともかく、オバマ政権の日本に対する好意的配慮は単にゼスチュアだけではなく、米国の今後の政策に重大な意味を持つ、東アジア担当の高官の人事に端的に表れている。米国人は欧米のことは分かってもアジアのことを分かる人は少ない。どうしても政策は東アジア担当の専門家の知識に頼ることになる。クリントン時代の前半、日米経済摩擦がひどかった時期、ホワイトハウス、国務省、国防総省の東アジア担当には中国専門家は居ても、知日派はただ一人も居ず、日本は取りつく島もなかった。しかし、今回は国防総省の東アジア担当は沖縄の海兵師団長を務め、日本を知っているグレグソン次官補であり、国務省の東アジア太平洋次官補には日米同盟重視のカート・キャンベル氏が新たに就任した。>

 昔のことを忘れるので、今の米政権内の人数だけで数える習性がついている。そうなると、中国派が多い、という話になる。

 <日本にとって結構な話である。そこで、今度はその代わりに日本に何ができるかということである。実は昨年、パシフィック・フォーラムなど4団体は50名以上のアジア専門家の参加するセミナーを4回共催して、その結果をオバマ政権の新アジア政策提案として、今年2月に公表した。キャンベル氏はその報告書作成に指導力を発揮したと伝えられる。その中で、enough!(もう沢山だ。聞き飽きた)と言っている個所がある。アメリカは日米同盟にコミットしているのだから、何時までもジャパン・パッシングなどと、うじうじ言っていないで、日本が同盟に寄与ができる方策を、日本の方から考えるべきだ、と言っているのである。実は、キャンベル氏は民主党系では数少ない知日派の一人として、クリントン末期以来日本の政財界挙げてのキャンベル詣での煩雑さには辟易したといわれる。しかし、今回の彼の上院での質疑応答では、そんな些細なことは気にかけるふうもなく、米国のアジア政策の中心は日米同盟にあり、そのことを日本の友人たちに保証すべきだ、と断言している。>

 キャンベルは信頼できるのだ、と。

 <ブッシュ政権発足直後、アーミテージ国務副長官は日米同盟強化のために次官級の戦略対話を提唱したが、当時の日本側の外務省はそれに効果的に対応できず、氏は失意のうちに去った。それに反して後任のゼーリック氏は米中次官対話を始め、それは初回から大成功を収め、たちまちに中国はステイク・ホルダー(責任分担者)の地位を獲得した。>

 <今回も、キャンベル、グレグソン両氏の在任中に何とか日米関係を前進させようとする動きが先方からあると期待される。日本の政情では麻生内閣の後どうなるかは全く先が見えていない。それでもキャンベル氏が初訪日するころはまだ麻生内閣であろう。その短い期間であっても、オバマ大統領の新体制と有意義な意見交換をして、今後の日米同盟強化の路線を、一部なりとも、敷いて残してほしい。さもないと折角のキャンベル、グレグソン、更には、ジョーンズ、クリントン、ゲーツ各氏のチームが対日関係について早々に挫折感を持つ結果となることを恐れる。日本がしなければならないことの焦点も定まってきた。>

 キャンベルの来日まで、がひとつの目標なのだろう。

 <最近の米国の知日派の発言を見ると前は遠慮していた集団的自衛権の問題解決への期待をはっきり言うようになってきた。次は日米同盟の抑止力維持のための日本の防衛力強化である。日米間の当面の懸案は基地再編であるが、これは沖縄の現地事情が複雑に絡まる問題であり、中央政府の施策でどうにもならない面もあり、見通しは不透明である。その解決のために努力をすることは当然であるが、そのために、より基本的な集団的自衛権や防衛費増額の問題を後回しにすべきではない。>

 集団的自衛権問題は簡単なのだと思うのだが、どうして皆そう難しく考えるのだろう? 内閣法制局の人事権は今度は大きな意味では官邸が持つことになるのではないか。そうすれば、集団的自衛権を認めるべきだ、という考えの優秀な官僚を担当部長や次長、長官に据えればいいのではないか。

 何か、神学論争のようにマスメディアや学者たちが勝手に仕立て上げている感じを受けるのだ。

◆中央公論の孫崎享×岡崎久彦対談

 中央公論の対談は面白かった。この二人は上司と部下の関係にあった。考え方は逆である。岡崎氏は保守親米派。孫崎氏はどちらかといえばリベラルで自主独立・多国間協調主義者のように見える。

 孫崎氏の近著「日米同盟の正体――迷走する安全保障」(講談社現代新書、2009年3月20日刊、798円)の「おわりに」で孫崎氏は、

 <筆者は外務省で分析課長と国際情報局長の二つの任についた。岡崎久彦氏と筆者の二人がこの二つの任についた。かつ筆者は岡崎久彦氏の局長時代の分析課長である。あるインターネットのサイトに孫崎は岡崎氏の子分であると書かれていた。人的繋がりではそうである。しかし本書を読んでいただいた読者には十分におわかりの通り、二人の主張点は両極にある。じつはこの傾向は岡崎久彦氏の局長、筆者の分析課長のときにすでに存在していた。当時、筆者は分析課長としてはまずまずの仕事をしていたと思う。ある時岡崎氏が私を呼んで、次のように述べた、「じつはある人間が『岡崎局長、あなたは、孫崎はちゃんとした仕事をすると言っておられますが、彼はとんでもないハトですよ。タカ派で鳴らすあなたの懐にハトが隠れているのです』と言いに来た。それで自分は言っておいた。ハトでもタカでもいい。何かの見解を持つのに十分な勉強をし、しっかりした論拠を探す努力をしているならそれでいい。皆、その努力をしていますか」>

 というエピソードを紹介していた。お二人はそういう関係なのだ。

 それを前提にして、中央公論の対談を読むと、岡崎氏の駄々っ子のような「それでも正しいことは正しいんだ」という主張をいなしながら、考えに考えた孫崎氏がポツリポツリとしゃべる言葉の重さが伝わってくるのだ。

 つまり、岡崎氏の戦略論は非常に単純なのだ。つづめて言えば次のようになる。

 <僕の戦略の目的は単純だ。日本の国民の安全と繁栄だ。どんなことであろうとも、日本の国民の安全と繁栄を犠牲にはできない。政治家や国際政治学者である以上は、国民の安全と繁栄が損なわれてもいいという理論は成立しようがない。安全の中には自由と独立が入る。といっても、ちょっとアメリカに肩を張って独立だなどという甘っちょろい話ではない。たとえば、冷戦時代、ソ連に占領されたら自由も独立も何もない。そういう国家の根源的安全が守られなければならない。そのための戦略は何か。七つの海を支配しているアングロ・アメリカン世界との協調、明示開国以来これ以外に絶対ない。日英同盟とその前後の30年間、それから日米同盟の半世紀以上、これが日本が全く安全で繁栄した時代だった。約400年間も世界の海洋を支配しているアングロ・アメリカン世界と同盟しない限り日本の生命はない。僕の戦略はそれだけ。だから、僕のコメントは、すべてこの基準から出てくる。>

 そういう基本路線をふまえて、この対談で岡崎氏は@防衛費を増やすA集団的自衛権を認める――とする。孫崎氏がオバマ政権の言う通り、アフガンに派兵すると世論が反対すると言うと、

 <世論が全員一致して真珠湾攻撃を成功と考えた時期がある。その場合でも攻撃は失敗だった。僕は真珠湾は明治以来の大戦略に反するから反対なんだ。1588年以来のアングロ・アメリカンが覇権を握った世界と、それから1853年にペリーが来て以来の日本とから導き出される大戦略に対しては、それぞれの時点でもって世論がどうのこうのなど関係ない。>

 と意気軒昂なのである。

 細かい点を詰めようとする孫崎氏に対し、最後に岡崎氏は、

 <あまりローカルな問題は考えなくていい。大原則を考えればいいんだよ。大原則は日本国民の安全と繁栄なんだ。そのためには日米同盟堅持なんだ。その胆さえ維持できれば、何言ったっていいんだ。つまり日米同盟をあなたが言うみたいにアジアだけに止めておいて、中東へ行くのは反対だと。それでも日米同盟が大事っていうことさえわかっていれば、それでいいんだ。それがわかっていれば、必要によっては中東行きも支持する。どうしても必要なら。そうでしょう。そこまで国民は反対しない。要は戦略の基本に一本筋が通っているかどうかなんだ。>

 と言い放って、対談は終わる。

 岡崎氏の戦略論の原点を見るようで目から鱗が落ちる。

 この対談を読み、その後、岡崎氏の様々な新聞、雑誌の論文を読むと、どういうコンテキストで発言しているのかが見えやすい。

 岡崎氏の論は日本人の対米ナショナリズムという重要な問題を避けて通っている感じもするのだが、戦略論とすれば基本的に「一本筋が通っている」というか、筋が通り過ぎている感じがする。

http://hakusanjin.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/625097-e4f3.html  

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