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イスラエル排斥論の大波紋(Newsweek)
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投稿者 gataro 日時 2009 年 8 月 26 日 14:11:45: KbIx4LOvH6Ccw
 

中東
イスラエル排斥論の大波紋(Newsweek Japan)
The Shape of Things to Come?

パレスチナ問題の解決には国際社会がイスラエルをボイコットするしかない──有力イスラエル人学者がそう表明したため波紋が広がっている

2009年08月25日(火)17時45分
スティーブン・ウォルト(ハーバード大学ケネディ行政大学院教授=国際関係論)

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二国家共存は可能か 国際社会の圧力に対してイスラエル社会では反発が強まっている。(写真は東エルサレムで抗議活動をする右派の人々、8月17日) Ammar Awad-Reuters

 8月20日、ロサンゼルス・タイムズ紙は「イスラエルをボイコットせよ」と題した勇気ある論説を掲載した。

 テーマは、ヨルダン川西岸とガザ地区の占領を続けるイスラエルに対する「BDS(ボイコット、資本の引き揚げ、経済制裁)キャンペーン」について。執筆者のイスラエル人政治学者ネーブ・ゴードンは、パレスチナ問題の解決策としてボイコット運動をやむなく支持すると表明した。

 ベングリオン大学(イスラエル)政治科学学部で学部長を務めるゴードンは、多くの著書があり、大学から終身在職を保障されている研究者。敬虔なユダヤ主義者であり、イスラエル国防軍のエリート部門である空挺部隊での兵役中に負傷したこともある。

 論説の中でゴードンは、イスラエルは歴史的な転換点に立っており、最悪の事態を回避する唯一の方法は「国際社会からの強大な圧力」を受けることだと指摘。「イスラエルが国際法で課せられた義務を尊重し、パレスチナ人に自己決定権を与える」ためなら、イスラエルへのボイコット運動もやむをえないと論じた。

 論説が掲載されると、予想どおり激しい議論が沸き起こった。ロサンゼルスのイスラエル総領事はベングリオン大学のリブカ・カルミ学長宛てに書簡を送り、ゴードンの主張が大学の資金集めに影響するだろうと警告。「ゴードンが貴大学の名の下に流布させた嘘を訂正するために」学内にユダヤ研究センターを設立するよう提案した。

学問の自由をないがしろにする学長

 こうした批判に対するカルミ学長の反応は意外なものだった。学問の自由という大原則を擁護する代わりに、カルミはゴードンの見解は「有害」で「道義的に非難されるべき」であり、「イスラエルとベングリオン大学に広がっている言論の自由の乱用」だと断じた

 さらに彼女は、「自国に敵対心をもつ研究者は、仕事の上でも個人的にも別の居場所を探すべきだ」と続けた。大学の広報担当者もこう付け加えた。「われわれは学内に多様な政治見解があることを誇りに思うし、言論の自由が守られる国に暮らしたいと考えているが、ゴードンの発言は常軌を逸脱している」

 この騒動について言いたいことが3つある。まず第一に、ジャーナリストのリチャード・シルバースタインが自身のブログで述べたように、カルミも広報担当者も学問の自由というものをまったく理解していない。

 大学の終身在任制と学問の自由の原則には、研究者が懲罰を恐れることなく自由に発言するという大きな目的がある。ゴードンの主張に反対するのは自由だが、彼の論説のどこを取っても、民主主義において容認できないような内容はまったく含まれていない。

 カルミがゴードンの考えに賛同しないことを問題にしているのではない。私はただ、カルミの発言が学問の自由という原則、本来ならカルミが擁護すべき大原則に反していると言っているのだ。

 カルミがゴードンを解雇することはできないだろうが、ゴードンの論説を「言論の自由の乱用」と呼ぶことで自由な発言を制限しようとしたのは間違いない。自由な意見交換を取り締まるのが、大学の学長の仕事とは思えない。

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占領が長引けば言論統制は拡大?

 2つ目のポイントは、今回の一件によって、占領政策がイスラエルに与えるネガティブな影響が浮き彫りになったという点だ。

 イスラエル国内で強硬な意見が強まり、世論が右傾化するにつれて、反対意見をもつ人々は排除されたり、国外へ追いやられるようになるだろう。イスラエルへのあらゆる批判は、反ユダヤ主義(異教徒からの場合)か「自己嫌悪」(ユダヤ教徒からの場合)のどちらかのレッテルを貼られる。大学はますます政治色を強め、研究者は「容認可能」な範囲でしか発言しなくなるだろう。

 第3に、占領が長引けば、今回のような言論統制もますます増えるだろう。イスラエルとパレスチナの二国家共存という解決策を早急に実現しなければ、イスラエルは占領地域での「アパルトヘイト体制」の運営に行き詰まり、パレスチナ人にさらなる苦しみを課すことになる。

 そうなれば、イスラエルや諸外国にいる現状肯定派の人々は現状を維持するために今まで以上に手の込んだごまかしや弁明を必要とし、批判派に対して一段と辛らつな言葉をぶつけるようになるだろう。こうした状況は誰にとってもマイナスだが、二国家共存を探る試みが失敗に終われば、そうなるのは目に見えている。

 ちなみに、私自身はイスラエルへのボイコット運動を支持していない。どんなに穏便な形であれ集団的な制裁には賛成できないし、ゴードンと同じく、ダブルスタンダードの問題を懸念するのも理由の一つだ(イスラエルへのボイコットが許されるなら、なぜ中国やビルマへのボイコットはダメなのか)。

 それでも、私はゴードンがボイコットを支持した理由を尊重するし、彼の論説を読んでさまざまなことを考えさせられた。もしゴードンが言うように、二国間共存案を実現するにはボイコットしか手段がないとしたら──?

 人々に考えるきっかけを与えることも、研究者の大切な仕事のはずだ。


Reprinted with permission from Stephen M. Walt's blog, 25/8/09. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.


 

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