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電子政府成功の要諦は、地に足のついたデジタルと間引きであり、郵便局フル活用と霞ヶ関廃止、が重要です。
http://www.asyura2.com/09/lunchbreak30/msg/523.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2009 年 11 月 08 日 15:06:10: 4sIKljvd9SgGs
 


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【壮大な電子政府の失敗】 なぜこのようなことが、起こったのか 【IT Leaders】
http://www.asyura2.com/09/senkyo74/msg/589.html
投稿者 愚民党 日時 2009 年 11 月 08 日 14:30:50: ogcGl0q1DMbpk

http://it.impressbm.co.jp/e/2009/08/28/1128

電子政府・電子自治体プロジェクト、総額12兆円に対し希薄な存在感

佃 均

- 2009年8月28日(金) 08:00

ITの導入には成功したが、IT化に失敗した典型的な事例が、電子政府・電子自治体プロジェクトだ。投入された税金は、国と地方公共団体を合わせ総額12兆円と巨額。だが存在感はないに等しい。廃止となったシステムも少なくない。なぜこのようなことが、起こったのか。

写真1 システム・コンサルタントの奥谷義典氏「情報化、IT化について、雑誌などでしばしば、“動かないコンピュータ”が話題になる。しかしそれは技術的な問題に過ぎない。深刻なのは使われないシステムだ」。今年3月4日、高松市で開かれたJ-SaaSキャラバンセミナーに出演したシステム・コンサルタントの奥谷義典氏(ソレキアの元高松支店長、現顧問)の発言に、一瞬だが会場がざわめいた。

「システムはちゃんと動くのに、誰も使わない。つまりITの導入に成功しても、IT化に失敗するケースが見受けられる。多くは、現場のユーザーや業務の実態を無視した頭デッカチ、机上の空論に起因している」。

思い浮かぶのは、2001年1月のe-Japan重点戦略をきっかけに始まった、電子政府・電子自治体プロジェクトだ。例えば2004年の3月に鳴り物入りでスタートした「パスポート申請システム」。開発と運営に、政府は約21億円もの巨費を投入。都道府県が別途負担した実用化システム構築費を合わせると、総額は30億円を上回る。にもかかわらず、当初2年間の利用は133件に留まる。

国費による1件当りの処理コストは1580万円、都道府県の負担分を加えると2200万円を超える。それだけではない。パスポートの電子化について、諸外国の合意も得られない。財務省から「無駄ではないか」のと指摘を受け、法務省は「これ以上の利用増加が見込めない」として、同システムは2007年3月、事実上の廃止に追い込まれた。

「なぜ、誰も利用しないシステムを作ってしまうのかというと……」と、奥谷氏は次の4点をあげる。

1.現状分析の不十分さ。
2.システム設計の立ち位置と、ユーザーの実情との乖離。
3.現状に合わせた情報システムにするのか、組織や制度を運営を含めて変えるのかが、不明確。
4.強いリーダーシップの欠如。
「CIOの役割は重要であり、肩書きだけではダメ。経営者に準じる立場で、予算と人事の決定権を持たなければ機能しない」と同氏は言う。

相次ぐシステムの廃止・停止

利用されない電子申請・手続きシステムは、パスポート申請システムのほかにも数多くある。J-SaaSキャラバンセミナーが全国で開かれていた同じ3月、電子政府評価委員会(座長:須藤修・東京大学大学院情報学環教授)が、「行政機関等に係るオンライン申請等手続システムの利用状況等調査」を取りまとめた。同委員会は国の電子申請・手続システム61件を対象に、1件当りの情報処理コストを算出して改善点を指摘している。

同調査で示されたデータを集計すると、過去に投入された整備費(開発費)は913億489万1000円、2006年度の運営費は209億6354万4017円、利用件数は1億7532万7089件だった。単純に割り算をすると1件当りの運営費は119円60銭になる。

銀行の振込み手数料やATM使用料と比較すると、何となく妥当な数字に思えるが、忘れてならないのは、ここには運営にかかる人件費が含まれていないことだ。並存する紙ベースの申請・手続きの事務処理コストもかかっている。国民や企業が負担する総コストで分析しなければならない。

その中で「ワーストワン」となったのは、防衛省の「申請届出等システム」だ。開発費3億8626万円、年間運営費3692万円に対し、2007年度の利用件数はわずか4件。開発費を含めると、1件当りのコストは1億円に達する。

文部科学省の「オンライン申請システム」は、開発費が11億7886万円、年間運営費1億900万円に対して年間利用件数は115件。2年間で250件の利用があったとして、開発費と運営費を合算した1件当りのコストは515万円だ。両システムとも今年3月末で運営停止になったが、遅きに失した感がある。

もう1つの視点は、申請・届出の総数だ。年間数十〜数千件しか申請が行われない行政手続きを電子化する意味があるのか。民間ならオンライン化の必要を議論するまでもないことだ。

地方公共団体でも同じことが起こっている。ある県では2001年度から133の行政手続きを相次いで電子化したが、2006年度に「当面利用が期待できない」と判断した107システムを廃止した。

立て直しに招聘されたCIO補佐官は、「これによって巨額な開発費、運営費の無駄を抑制することができた」と胸を張る。将来の無駄を省くことは大切だが、なぜそのようなシステムを作ってしまったのかを検証しなければ、多額の税金を無駄に使われた県民の怒りは治まらない。


表1 行政機関等に係るオンライン申請手続システムの利用状況等調査
1件当たり処理費用のワースト8(図をクリックで拡大)

身内すら使わないシステム

表2は同じく電子政府評価委員会が作成した「オンライン申請手続の認知度・利用度・満足度に関するアンケート調査」の概要である。調査は2006年度に行っているので、直近の状況と若干の誤差がある。またアンケートということもあって、細々した設問で調べたものではない。


表2 アンケート調査に基づく各オンライン申請手続きの認知度・利用度・満足度
設問に挙げた10システムについて、認知度を見ると全体の単純な平均は75.6%となる。国の行政手続きが電子的にできるということは、広く一般に知られている、といっていい。特に士業(税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士)での認知度は90.9%と高い。ところが周知しているはずの士業における利用率は35.1%だ。企業における平均利用率は8.6%、個人は12.5%で、全体は26.5%となる。

目に付くのは利用率が50%に達していないことを示す「—」の多さだ。満足度の評価対象となるのは、個人と企業のレベルでは0、士業レベルで4。評価対象4システムのうち「×」(期待はずれ)が3、「△」(ちょっとは使える)が1という手ひどい結果が示された。公務員すら持っていない住基カードと同じように、最大の利用者であるべき士業が「満足に使えない」(使い物にならない)と回答していることになる。

各省庁が提供する利用者端末用アプリケーションは、Java実行環境(JRE)のバージョンやデータ構造が違っていた。このため企業や個人が複数の省庁に手続きを行うには、それぞれのJREをダウンロードしなければならなかった。使用する技術を標準化すること、インタフェースを共通化する「共通スキーム」をベースとすることといったシステム設計の基本原則が、ごっそり抜け落ちていたのだ。

この根本的な問題に目を向けず、行政側は「住基カードの普及が予想を下回った」ことを理由に挙げる。つまり個人認証のベースとなる住基カードが普及しなかったので、電子手続きが利用されなかった。住基カードが普及しなかった理由は、市民団体の過剰な個人情報保護意識である、という論理だ。

住基カードの交付枚数は、やっと約300万枚。そこで総務省は全国の市町村に「普及策を講じろ」とハッパをかけ、地域通貨やクレジット機能の追加など条例による対応を求めている。

だが、その前にやるべきことがあるのではないか。「身内はどうなのか」という問いかけだ。なにしろ国家公務員は約95万人、地方公務員は約304万人。公務員全員が住基カードを持てば400万枚。国会議員、地方議員、その秘書や関係者、第3セクターの職員やその家族もいる。身内すら持っていない住基カードが、どうして広く一般に普及するだろうか。

民主党の事業仕分け

今年5月中旬、国会議事堂内の参院控え室で、民主党の議員5人が総務省の官僚と対座していた。同党政策調査会の総務部会(座長:原口一博衆院議員)の政策事業仕分け会だ。5人にNPO法人、地方公共団体、IT専門家を加えた8人が、総務省担当部局と意見を交換し、個々の施策を「廃止」「民間移行」「地方移管」「改善」「継続」に分けていく。

俎上に乗せられた施策のうち、電子政府・電子自治体に関連するのは「電子政府推進員制度」「共同アウトソーシング」「地域SNS」「地域情報通信プラットフォーム」などで、2009年度の予算総額は6億3500万円だ。

「すでに国会で09年度予算は通過しているので、ここで廃止と決まってもストップはかけられない。しかし、ここでの議論は来年度予算の編成に反映されていく。また政府予算全体では取るに足りない金額に見えるが、国民目線では決して小さな額ではない。細かな施策を1つひとつ検証するのは、我々が政権を担うようになったときの準備となる」と、仕分け人代表の田嶋要衆院議員は説明する。政権交代の可能性が現実味を帯び始めた時期だっただけに、総務省の官僚たちも神妙だ。

─電子政府推進員の意見は、どの程度、システムの改善に反映されているのか。

─242人の推進員の意見を年1回聞くだけなら、Webによるパブリックコメント方式のほうが効果的ではないか。

─双方向機能を備えた地域コミュニティサイトがすでに多く存在しているのに、税金を投入して、あえて時代遅れの地域SNSを構築しようとする意味が分からない。

8人から厳しい質問が飛ぶ。総務省の官僚たちは最初、施策の必要性を流暢に説明していたが、質問に答える段になると目線は伏し目がちになり、声が小さくなる。中には返答の言葉が続かず、しどろもどろになる場面もあった。

─システム構築の初期段階で省庁間、市町村間の調整が取れていなかった要因は何か。また地方分権といいながら、中央からのトップダウンで電子自治体プロジェクトを進めるのはどうか。

この指摘に対して、総務省側は“沈黙は金”とばかりに黙りこくった。

─わたしたちは1省庁の1部局、1施策を担当しているに過ぎず、電子政府・電子自治体プロジェクト全体の齟齬や施策の是非について答える立場にない。

というわけだ。

ここで気がつくのは、彼らの思考から「自分も国民の1人」の視点が欠落していることだが、それを官僚の理論と批難するのは当たらない。企業や組織に属する人が陥りやすいソーシャル・トラップなのだ。今は官僚を責め立てている議員たちが政権与党に回ったとき、同じトラップに陥らないといえるだろうか。


写真2 民主党政策調査会の総務部会が実施した政策事業仕分け会
CIO機関の必要性

とはいえ、官僚たちは「だからこそ施策の強化が必要」という主張から退かない。様々なほころびが露見し、利用率が低迷していることを認めているにもかかわらず、である。結果として、失敗を糊塗するために無駄を重ねているかに見える。

なぜ利用率が低いか─答えは簡単だ。電子政府・電子自治体のシステムが行政サイドの管理プロセスに沿って構築されているからだ。つまり利用者不在である。要求仕様自体の欠陥だったと言わざるを得ない。

素朴な疑問として浮かぶのは、なぜ行政関係者は厳密な利用予測ができないのか、ということである。紙ベースで行われていた手続き件数や利用者層を分析すれば、利用度は容易に予測できた。

そのうえで電子化のメリット、デメリットを精査すれば、「電子化しない」という結論があってもよかった。電子化することが目的となり、国の機関は縦割りのままそれを推進し、市町村はシステムの共通化や共用化でなく、独自性・独創性を競ってしまった─。

行政機関では、ITの理解度は考慮せず、事務方のトップがCIOに就き、補佐官として民間のCIO経験者を招聘するか、業務を委嘱するケースが少なくない。「2年、3年の契約で来たCIO補佐官がどんなにいいことを言っても、現場は動かない。権限も部下も持たないCIO補佐官に何ができるのか、それを考えると空しいものがある」。住宅機器メーカーから、県の委嘱職員に転進したCIO補佐官はいう。

「国の機関や地方公共団体のCIO、CIO補佐官のキャリアパスを明確にし、並行して行政手続きの抜本見直しを含めて全体最適を進めるには、実効力のある中央CIO統括機関が必要ではないか」─政権交代を視野に入れて、民主党内でこのような声が上がっている。

佃 均 ITジャーナリスト
1951年生まれ、57歳。コンピュータ業界紙の編集長を経て2004年4月IT記者会代表幹事。情報システムのユーザー企業や情報サービス産業の動向に関わる報道を通じ、一貫して情報システムや情報サービス産業の高度化を提言している。主な著作に『日本IT書紀』『ルポ電子自治体構築』などがある。


http://it.impressbm.co.jp/e/2009/08/28/1128

 

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