厳密にいえば、進化論、あるいは進化説は自然科学の手法に基づいて矛盾のないように組み立てられたというわけではなく、状況証拠から過去に何があったのかを推定しているに過ぎないので、自然科学の中ではあまり筋のいいものではありません。まぁ、ここ10年、目覚ましい進展があって、やっと体裁が整って来たと言えなくもありませんが、逆に謎も深まった。

どちらかというと、歴史学や考古学に近い。考古学で説明のできないポイントがいくつかあるのと同様、進化論も、簡単に言えば進化の鎖が連綿と続いているという証拠があるわけではなく、｢説明できない、証明されていない点｣は沢山存在しています。
例えば、オスとメスに、性が別れる過程は、全くといっていいほど解明されていません。
ヒトが自我の存在を認識するようになったのはなぜか、という問題はコンピュータ技術者にとっても、進化論を学ぶ者にとっても興味深い謎です。

後の謎については、これは｢知性は、より知性のあるものからしか生まれない｣という論理学から考えられる結論を援用して(議論をはしょってますが)、インテリジェント・デザインという思想に繋がります。一方で、進化論を貫いてペンローズのように、脳は物理法則によって支配されているので云々と考える人もいます。ここまで来れば、どちらの立場についても、科学の守備範囲を超えているといわざるを得ません。

徹底的な科学的批評の立場に立てば、｢進化論を信じないのは非科学的｣という主張をみるとニヤニヤしながら、鵜呑みにして信じるのも、結構、非科学的だけどね、と茶化したくなりますね。