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雇用問題 後足で砂を掛ける政治家達?(世に倦む日日)
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投稿者 あ+ 日時 2009 年 1 月 12 日 20:41:11: 8WlTWJKy3iQ86
 

鳩山由紀夫の裏切り - 1・11サンデ-プロジェクトと派遣村異端化戦術

昨日(1/11)のテレビ朝日の「サンデープロジェクト」で6党幹事長による討論企画があり、その中で派遣法改正問題について重要な動きがあった。新聞各紙がネットで報道しているが、結果としては新聞記事の説明にあるとおり、派遣先が派遣労働者を契約解除する際に、一時的な住宅確保と再就職の斡旋をする責任を負うという内容である。現時点の政治では、派遣問題はこの線で「与野党合意」が図られる見通しになり、製造業への派遣禁止は(朝日新聞の予測と思惑どおり)棚上げにされる格好になった。派遣問題幕引きの政治。昨日のテレビ放送をご覧になった方も多いと思うが、田原総一朗が最初からこの「合意」を狙って狡猾な司会運営をやり、民主党の鳩山由紀夫幹事長が、恐らくは田原総一朗と事前に打ち合わせをしていたのだろうが、視聴者が驚くような裏切りを演じ、公明党の北側一雄幹事長の誘いに乗るように、あっさりと「与野党合意」を固めてしまった。テレビを見ながら唖然としたが、これが政治というものである。

この討論の中で、鳩山幹事長は驚くような発言をした。「私どもも製造業への派遣禁止がすぐにできるなんて思ってはいませんよ。2年や3年はかかるでしょう。問題はその前に今すぐ何をやるかですよ」。この一言で流れが全て決まった。北側幹事長は待ってましたとばかり、住宅確保と再就職斡旋の提案を出し、共産党を除く全党で合意をしようと水を向け、与党側のペースで「合意」が仕切られる結末になった。この鳩山発言は私にとっては卒倒するほどの裏切り行為であり、聞きながら耳を疑うものだった。なぜ寝耳に水かと言うと、製造業への派遣禁止を法改正に盛り込む民主党の政策方針は、単に左派の菅直人代行が主導するものではなく、代表の小沢一郎が指示を与えている決定だと報じられていたからである。1/10の朝日記事にもあるが、派遣法改正に際して、小沢代表は野党共闘を優先する指針を打ち出し、従来の慎重姿勢を転換して製造業派遣規制に踏み込む決断を示している。すなわち、党代表のお墨付きがあった。

この討論の田原総一朗の狙いは、製造業派遣の禁止を要求しているのは共産党だけだという「政治構図」を捏造して浮かび上がらせ、製造業派遣禁止を求める主張が、現実的ではない無理で過激な政治的立場だという認識を視聴者の前で一般化することだった。そして作戦を見事に成功させていた。鳩山幹事長と北側幹事長の2人の連携によって。鮮やかな反動政治の勝利。討論の冒頭では内部留保の話題を出し、大企業は溜め込んだ金を株主配当に回さず雇用に使えという主張を展開しながら、途中から次第に共産党の主張を孤立させる方向に導き、北側幹事長と一緒になって民主党と共産党の間に溝がある点を衝き始め、鳩山幹事長を共産党から離れさせて公明党の方に引き寄せた。もし鳩山幹事長が野党共闘の指針を優先していれば、あれほど簡単に、テレビ番組の即興の席で公明党の提案に乗るとは思えないが、恐らくこの政治には裏があり、最初から党内右派と仕組んでいて、北側幹事長や田原総一朗とも事前に打ち合わせを練っていたに違いない。

もし、あの番組に党首の福島瑞穂が出演していれば、この田原総一朗と北側幹事長の謀略に対して制止の声を上げ、製造業派遣禁止で合意した野党共闘を守るべく果敢に論戦して、鳩山幹事長の立場を引き戻す方向に討論を持って行っただろう。ところが、討論に出席していた社民党幹事長の重野安正は全くの無能で、派遣法や野党共闘の合意内容について何も頭に入っておらず、発言するときは必ず下のメモに目を落として確認する有様で、この重要な討論の中で役立たずで場違いな外野の存在だった。結局、何も言えないまま、モゴモゴと口を動かしては田原総一朗に無視され、田原総一郎の目指す「共産党孤立」構図と与党主導の「与野党合意」を社民党として受け入れる結果に嵌った。重野幹事長のテレビ討論でのパフォーマンスは、20年前か30年前のNHKの政治討論を彷彿とさせるローレベルの仕様で、現在のテレビ政治で求められるスピードの基準とは甚だしい隔絶がある。社民党も、こういう無能な人物を幹事長の要職に据えて支持率や議席が欲しいと言うのはおこがましいと言えるのではないか。

この日、福島党首はNHKの番組の方に出演していて、テレビ朝日の方は各党幹事長を揃える企画になった。田原総一朗は重野幹事長の無能を十分に計算に入れて戦略を立てている。野党共闘を繋ぐ要は社民党にあり、ここが機能しなかったら民主党と共産党は一つに纏まらない。だが、問題は共産党の側にもある。田原総一郎が、「製造業派遣禁止なんて言っているのは共産党だけなんだよ」とか、「その(製造業派遣禁止の)主張はラディカルなんだよ」と責めたててきたとき、書記長の市田忠義は「そんなことはない」と反論し、菅直人と福島瑞穂が合意した1/7の方針を証拠として提示し、田原総一朗に切り返して論破するべきだった。田原総一朗とテレビ朝日が狙っているのは、「製造業派遣禁止は共産党の主張である」という政治構図の醸成であり、その「認識」で衆目を固める世論工作である。これは、田原総一朗と朝日新聞だけが仕掛けている政治ではなく、2ちゃんねるのネット右翼や田中康夫が派遣村攻撃で採用している貶めの戦術でもある。派遣村や製造業派遣禁止を求める動きを、「あれは共産党だ」と決めつけて卑下し、異端派の衣を被せて排撃する政治手法である。

この攻撃は世論工作として効果が小さくない。このとき、共産党側にはマイナスの習性と生理があり、この攻撃を仕掛けられたとき、自分たちを一般化したり多数化したりする政治方向に反撃を展開するのではなく、逆に、「だから共産党だけが正しいのだ」と唯我独尊の殻に閉じこもる属性をネイティブに持っている。正義と真実は常に共産党だけの持ち物だと言い張る意固地な姿勢になり、社民党や民主党と立場を一致させる政治方向を際立たせようとせず、逆に自己の独自性を無理に強調して(他野党と区別して)支持調達の材料にする方向へと動いてしまう。昨日(1/11)の市田書記長の対応は、重野幹事長の無能という要素があったためにやむを得ない側面もあったが、自分たちの立場が世論の多数なのだと主張する態度が弱かった。製造業派遣の禁止など当然で、それを国会で通した 2004年の法改悪こそが間違いなのだ。法改正に2年も3年もかかるなどあり得ず、逆に法を現状のまま放置すれば派遣切りで路上生活者の群れが出るだけだ。この共産党の(異端攻撃を自ら受け入れてしまう)性向に関連して、昨日(1/11)の朝日新聞の1面記事に対する共産党支持者の反応についても考える必要がある。

あの記事は共産党を評価する記事ではない。そのような外装を纏いながら、実際には「派遣村=共産党」の捏造表象工作を助長している政治なのである。朝日の読者に「派遣村=共産党」の印象を植え付け、正月に盛り上がった派遣村運動に対する疑念の契機を生じさせ、結果的に、民主党右派と政府と経団連が狙っている法改正先送りを納得する世論へと国民を誘導するための意図的な記事である。支配の側からの巧妙な世論操作の政治だ。ところが、共産党支持者はそのようには受け取らず、共産党が朝日新聞に評価されたと無邪気に歓迎する心理へと流される。異端の生理。政治は多数を取らなければ目的を実現できない。政治は多数化の技術である。この点、共産党と支持者はもう一度考え直す必要があるだろう。それと、私が気にするのは派遣村実行委の対応で、1/10に記者会見を開いたらしく、その報道が赤旗新聞に載っていて、関根秀一郎が厚労省の無責任な対応を批判している発言がある。この記者会見は他の新聞では記事になっていない。記者会見の席に湯浅誠の姿はあったのだろうか。普通に考えれば、テレビ局の夜のニュース番組に映像で取り上げられてもいいようなバリューの高い報道ソースである。

マスコミに無視されたのは何故だろう。何度も言っていることだが、派遣村実行委は日比谷公園での活動を終えた機会に、運動を支援してくれた全国の国民に向かって、村長自身が感謝の言葉を発する記者会見をするべきだった。その行事を盛大に行って、大きな報道と政治のモメンタムを作るべきだった。そして、異常きわまる右翼や新自由主義からの派遣村攻撃に対して反撃を入れ、さらに派遣村支持の国民世論を拡大するべきだった。公開の場で湯浅誠が発言するときは、必ず映像を撮影し、マスコミが無視してもネットで動画を配信するように手配をするべきだった。今からでも遅くない。必ずそうするべきである。全体を見ながら、政治戦として見たとき、派遣村側が機会を逸している感が強い。人手が足りないこともあるだろう。中心になるべき指導者は、湯浅誠、関根秀一郎、河添誠、鴨桃代、この4人である。4人で任務を分担して、例えば厚労省との対応で湯浅誠が事務的負担が増えないように、河添誠と鴨桃代が村長代理で弁護士と一緒に対応するとか、そういう手配の分担と連携を考えるべきではないか。国民の前に派遣村代表で出るのは、あくまで湯浅誠であり、メッセージをテレビに撮影させ、撮影させたものは必ず報道させなくてはいけない。

多数化し、一般化し、普遍化すること。派遣村を異端演出しようとする政治策動を撃退すること。指導者である湯浅誠が意識的に出ることだ。まず国民に感謝の言葉を言え。このままだと、派遣問題は政治の手で幕引きされ、派遣村の報道はマスコミの手でフェイドアウトされ、ネット右翼が「あれは共産党系の労働運動だ」と波状攻撃をかけるままに放置される。勢力を立て直せるのは、問題を打開できるのは、湯浅誠のカリスマとリーダーシップだけだ。反動側の政治を甘く見てはいけない。

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