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国家主義者という病理 (海鳴りの島から)
http://www.asyura2.com/09/senkyo60/msg/421.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 3 月 18 日 19:24:30: twUjz/PjYItws
 

「<佐藤優現象>批判」を書かれた金光翔さんのブログ「私にも話させて」ブログより
http://watashinim.exblog.jp/9464834/


作家の目取真俊氏が自身のブログで、佐藤優を重用する沖縄の左派知識人やメディアを批判し、佐藤への警戒を呼びかけている(私のブログも言及されている)。私も、沖縄の左派、大田昌秀や新川明や仲里効らの佐藤への入れ込みようには唖然としていたのだが、まともな批判がようやく出てきた、と言える。左派における佐藤優(現象)批判のタブーも、弱まりだしたようである。

「国家主義者という病理」
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/82ae9a8d0b28418653f14b827a48674e

ついでに言うと、これまでの例を見る限り、『世界』『金曜日』などの左派ジャーナリズムには、左派の著名人が〈佐藤優現象〉に批判的であることを表明した場合、その人物を誌面に登場させて、そうした批判を無化させようとする傾向があるように思われる。目取真氏も、近いうちに、両誌(のどちらか)に登場するのではないか。


http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/82ae9a8d0b28418653f14b827a48674e
国家主義者という病理
   
             2009年03月13日 14時55分52秒 | ゴーマニズム批判

 『創』09年3月号掲載の佐藤優氏の連載「ナショナリズムという病理」第26回は、「大城立裕氏に学ぶ」と題して小説「二世」についての読解がなされている。『小説新潮』09年2月号に載った佐藤氏の「カクテル・パーティー」の読解も読んだのだが、二つとも長々と引用がなされている割には(その故か)佐藤氏の分析は少なく、インテルジェンスの専門家が関心を持ちそうな作品であることは分かるが、文学作品の読解としては物足りなかった。それよりも、「大城立裕氏に学ぶ」で興味を引いたのは、〈日本の国家統合〉に関する佐藤氏の以下のような立場・見解だ。

 〈筆者は右翼であり、国家主義者だ。それだから、日本の国家統合を何としても維持しなくてはならないと考える。その視点から、現在の日本にとって「弱い環」が二つある。沖縄とアイヌだ。この二つから日本の国家統合が壊れる可能性がある。この危険性に対して、国家を重視する日本の右翼、保守派の論理がきわめて鈍感であることに筆者は危機感をもっている。大多数の右翼、保守派の論者が、強制をともなう普遍主義によって沖縄、アイヌを包摂することができると考えているようだが、これは根本的な間違いだ。文化的そしてある限度内での(この限度とは、分離、独立に至らない範囲という意味である)政治的多元性を担保することで日本の国家統合が維持されるという事実に気づいていない日本人があまりにも多い。筆者と政治漫画家の小林よしのり氏の間で生じている「諍い」の根源にある問題の場が、ここにある。この政治漫画家が商業媒体で展開している沖縄人、アイヌ人が「毛深い」とするなどの差別言説が日本の国家統合を弱体化する恐れがあると筆者は考えている〉(93ページ)。
 
 佐藤氏の思想的立場、沖縄の〈分離、独立〉への考え、小林よしのり氏との対立の意味などが分かりやすく述べられている。佐藤氏は琉球新報にも「佐藤優のウチナー評論」という連載コラム(毎週土曜日掲載)を持っているが、そこではまずお目にかかれないような文章だ。沖縄県内で『創』がどれだけ売れているか知らないが、名護市に限っていえば、市内の書店すべて合わせても5冊前後だろう。『創』を手にしてこの文章を読んでいる人は、沖縄全体でもそう多くないはずだ。そのために沖縄県民の中には、佐藤氏の沖縄向けの発言や文章だけに接して、佐藤氏が沖縄の〈分離、独立〉を支持していると勘違いしている人もいる。
 今年の沖縄タイムス元日特集版で、〈20XX年沖縄独立 識者3人が選ぶ歴史偉人〃最強〃内閣〉という企画が2面を使って大々的になされた。大城立裕氏、新城和博氏(編集者)と並んで佐藤優氏も識者の一人として、尚真王や聞得大君、オヤケアカハチなどを閣僚案として挙げている。さらに「政策目標」として佐藤氏は次のように書いている。

 〈アメリカが保護主義的傾向を示し、中国が大国主義的傾向を強め、日本の一部に沖縄とアイヌ民族を外部とみなすような拝外主義的言説が生まれていることを、沖縄共同体存亡の危機ととらえる。住民相互の助け合い、富裕者の社会的弱者に対する贈与など沖縄地域共同体の特性を強化することにより、いつでも国連に加盟できる独立国となる基礎体力を沖縄につける。そのことによって沖縄が日米中の3大帝国主義を手玉にとって生き残る戦略を組み立てる〉

 沖縄タイムスの上記企画で佐藤氏のこの文章を読めば、佐藤氏が沖縄の〈分離、独立〉を支持していると勘違いする人が出るのも無理はない。それにしても、『創』3月号の文章と沖縄タイムスの文章では、沖縄の〈分離、独立〉について正反対の見解が示されているが、よくもまあここまでかき分けができるものだ。右から左まで多様な商業媒体で執筆している佐藤氏だが、それは想定される主要な読者に応じて思想的立場を変え(あるいは曖昧にし)、内容かき分けることによって可能となっている。この程度のダブルスタンダードなど、インテリジェンスの専門家からすれば訳もないことなのだろうか。
 「大城立裕氏から学ぶ」を読めば明らかなように、佐藤氏は沖縄の〈分離、独立〉には真っ向から反対する立場であり、〈右翼であり国家主義者〉として〈日本の国家統合〉を維持することを目的に沖縄に関わっている。母親が沖縄の久米島出身であり、「沖縄関係者」として「遠隔地ナショナリズム」を持つという佐藤氏であるから、沖縄に対する心情や意識は単純ではないだろう。しかし、商業媒体によって文章の書き分けはしていても、〈右翼であり国家主義者〉としての思想的立場は一貫している。「大城立裕氏から学ぶ」で述べられていることは目新しいものではなく、佐藤氏が発する膨大な評論やエッセー、対談、集会、シンポジウムなどの発言で、これまでもくり返し明らかにされてきたことだ。
 佐藤氏は〈強制をともなう普遍主義〉ではなく、〈文化的そしてある限度内での(この限度とは、分離、独立に至らない範囲という意味である)政治的多元性を担保することで日本の国家統合が維持される〉と述べている。これはいかにも元外務相の官僚らしい見解である。現在の右翼・保守層でその見解が共有されていないことに、佐藤氏は危機感を抱いているようである。しかし、日本の政治家や官僚、マスコミなどでは佐藤氏の見解はむしろ一般的であろう。日本政府の沖縄に対する姿勢を見ても、それはサミット(先進国首脳会議)の主会場に沖縄が決まるあたりから顕著になった。九州・沖縄サミットが開催された頃、私は以下のようなことを感じ、考えていた。

 〈八〇年代の半ばに、中曽根首相による「単一民族発言」がありましたが、そのときにはアイヌ民族や沖縄人もいるじゃないかという批判がありました。中曽根発言が出る背景には、天皇制が日本全体に広く浸透していて、天皇のもとに単一の日本民族が成り立っているという意識・幻想を持った人達がまだ主流だったんだと思います。
 ところが、サミットの主会場に沖縄が決まった一九九九年には、政府をはじめ日本人の意識にも変化があったと思います。もちろん辺野古の海上基地建設を進めるための政治的な目論見もありますけれども、それと同時に、沖縄を積極的に出すことが、むしろ日本の中の多文化的な、あるいは他民族的な要素を世界にPRできるんだ、という発想の転換があったと思います。
 単一民族や単一文化であるよりも、民族や文化の多様性を強調した方が、今の世界では評価されると日本政府は判断したのではないか。政治的に無害である限りでは、沖縄の異文化的要素を出した方が、国民受けもするし、沖縄の人たちを慰撫する効果もある。そういう発想があったはずなんですよ〉(『沖縄「戦後」ゼロ年』168〜169ページ)。
 
 サミットの主会場を沖縄に決定したのは小渕恵三首相であった。橋本内閣で北海道・沖縄開発庁長官を務めた鈴木宗男氏は、小渕内閣では内閣官房副長官を務め、沖縄に積極的に関わっていた。鈴木氏の盟友である佐藤氏が、外務省の職員として九州・沖縄サミットにどのように関わったのかは知らない。ただ、佐藤氏の文章を読んで当時のことを思いだした。反基地運動が高揚して日米安保体制の根幹を揺るがしたり、沖縄独立運動が生じたりしない範囲で、つまり、〈政治的に無害である限り〉で、沖縄の文化的多様性を日本の多民族的要素として強調した方が、沖縄内部に溜まった不満を解消し(ガス抜きし)、日本国家への〈統合〉を強化できる。九州・沖縄サミット当時から日本政府はそういう姿勢であったし、佐藤氏の沖縄に対する姿勢もそれと基本的に同じである。
 九州・沖縄サミットの決定から10年が経ち、この数年、小林よしのり氏や藤岡信勝氏らといった面々が、沖縄に積極的に関わりだした。彼らに代表される最近の右翼、保守派の沖縄に対する関わり方が、佐藤氏には〈強制をともなう普遍主義によって沖縄、アイヌを包摂することができると考えているように〉見えるのだろう。それによって〈日本の国家統合を弱体化する恐れ〉を佐藤氏は懸念している。実際、小林よしのり氏の無知と偏見に満ちたゴーマンな言動は、沖縄とアイヌの双方に反発を引き起こしている。沖縄では、大江・岩波沖縄戦裁判や教科書検定をめぐる藤岡氏への反発も強い。
 しかし、佐藤氏の懸念はあくまでも〈右翼であり、国家主義者〉としてのものだ。〈筆者と政治漫画家の小林よしのり氏の間で生じている「諍い」〉と佐藤氏は書いている。だが、その〈「諍い」〉とは見た目の仰々しさとは裏腹に、ほんのわずかな違いをめぐるものでしかない。〈右翼であり、国家主義者〉として、〈日本の国家統合を何としても維持しなくてはならないと考え〉、〈現在の日本にとって「弱い環」〉が〈沖縄とアイヌ〉の二つであると認識することにおいて、佐藤氏と小林氏との間になんの違いもない。違いはただ、〈沖縄とアイヌ〉を日本国家に〈包摂〉するために、どのように関与するかという方法(認識と手法)にあるだけだ。
 佐藤氏から見れば小林氏の方法は、単純かつ粗雑、そして逆効果にしか見えないだろう。一方、小林氏からすれば、佐藤氏の〈沖縄とアイヌ〉への関与の仕方は、「サヨク」におもねっているまやかしにしか見えないだろう。付言しておくなら、小林氏にしても佐藤氏が言うほど単純に〈強制をともなう普遍主義によって沖縄、アイヌを包摂することができると考えている〉わけではない。政治的に無害であり、日本という枠を越えない限りでは、小林氏も沖縄の文化の独自性や愛郷心を持ち上げる。その点では佐藤氏が強調するほど、両者の間には大きな違いはないのだ。しょせんは〈右翼であり国家主義者〉である二匹の狢が、同じ穴で争っているだけのこと。私にはそう見える。
 夜道を歩くときに注意をしなければならないのは、より化かすのがうまい狢の方だろう。〈右翼であり、国家主義者〉とは対立する立場と思われる沖縄の知識人とも、佐藤氏は積極的に関係を作ろうとしている。接近する前に相手を褒め殺しに近いほど持ち上げ、対談や往復書簡、シンポジウムなどで関係を作っていくという手法は、何とも見え透いているのだが、一定の効果は挙げているようだ。
 沖縄では『創』の読者も少ないが、『紙の爆弾』の読者はもっと少ないだろう。金光翔氏の「私にも話させて」というブログを読んでいる人は、どれだけいるだろうか。ただ、それらを読んでいなくても、膨大な量を書いている佐藤氏の文章に接することは容易であり、ある程度の注意力があれば、その思想的立場はすぐに分かりそうなものだ。よほど雑誌類は読まず、インターネットもやらず、情報に疎く無知なのか。それとも読解能力がないのか、ただの沖縄的テーゲーなのか。沖縄の「自立」や「独立」、あるいは「反国家」を唱える者たちの中でも、佐藤氏に対する警戒心は弱いように見える。沖縄タイムス元日号の企画はその好例である。〈沖縄独立20XX年〉という企画に佐藤氏を起用し、「政策目標」を書かせている沖縄タイムスの記者の無知と不見識には呆れる。それとも、最初からおふざけ企画でブラック・ジョークを放つつもりだったのだろうか。
 小林よしのり氏も『新ゴーマニズム宣言SPECIAL沖縄論』を単行本にする際に「カメジローの戦い」を書き下ろして付け加えたり、沖縄講演会に糸数慶子参議院議員をゲストに招こうとしたり、沖縄の革新側にも同調者、協力者を作ろうとそれなりの工夫をしていたが、うまくいかなかった(いくはずもないが)。小林氏が失敗したところを、佐藤氏はうまくやっているとも言える。
 今演じられている小林氏と佐藤氏の〈「諍い」〉は、見かけは激しく対立しているように見えるが、その裏面には、日本国家への沖縄の〈包摂〉を異なった方法、人脈からそれぞれ追求している〈右翼であり、国家主義者〉たちの相互補完的な関係がある。そこにこそ注意を向ける必要がある。

■関連投稿
金光翔「<佐藤優現象>批判」
http://www.asyura2.com/09/senkyo59/msg/492.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 3 月 01 日

金光翔「佐藤優の議員団買春接待報道と<佐藤優現象>のからくり」
http://www.asyura2.com/09/senkyo59/msg/493.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 3 月 01 日  

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