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山口一臣の「ダメだめ編集長日記」;検察に正義を求め過ぎるのは気の毒だ
http://www.asyura2.com/09/senkyo60/msg/564.html
投稿者 一般ピープル 日時 2009 年 3 月 21 日 21:07:52: zkY.B9mkzvW4Q
 

検察に正義を求め過ぎるのは気の毒だ
http://www.the-journal.jp/contents/yamaguchi/2009/03/post_56.html

 民主党・小沢一郎代表の秘書の勾留期限があと3日に迫った。さらなる「悪事」での再逮捕があるとすれば、このタイミングしかない。はたして「東北の業者一斉聴取」の成果は出るのだろうか。「出ない」という意見が強い。だが、もしいわれている政治資金規正法違反の起訴だけで終わっても、「検察の敗北だ!」などと囃し立てることは慎んだ方がいいと思う。プライドの高い検察が批判に耐えきれず、さらに戦線を拡大する可能性があるからだ。そうするとまた、税金が無駄に浪費される。今回の捜査では、すでに地方検察庁から多数の応援検事が呼び寄せられているとの報道がある。その人たちの旅費、滞在費、出張日当などの経費はすべて税金なのだ。ぼくたちは、そのことをもっとしっかり認識しておく必要がある。

 この捜査は、本当に公益にかなう(税金を支出する価値のある)ものなのか?

 捜査指揮経験のある複数の検察OBに聞いたが、誰もが判で押したように「もし、私がこれを決裁する立場にあったら、捜査着手は見送っただろう」と言っていた。つまり、それほど異常な捜査なのだ。それがなぜ、今回に限ってゴーサインが出てしまったのか。検察の動機はなんなのか? これまでのぼくの取材や報道を通じて見えてきたことを、とりあえず整理しておこうと思う。

 まず、民主党がいうような「国策捜査」説にはくみしない。

 検察が、官邸や政府与党に動かされているという主張は、ぼくには信じられない。19日の参院予算委員会で民主党議員が首相に「指揮権を発動した事実はないか」などと質問していたが、時間と税金の無駄である。意味がないので、この種の質問はやめたほうがいい。

 秘書逮捕が小沢氏の例の「第7艦隊発言」の直後だったことから、「アメリカの陰謀」説を唱える人もいる。週刊朝日の編集部にも、その種の意見を言ってくる人が少なくない。でも、いくらなんでも、こりゃないだろう。週刊新潮じゃないんだから(爆)。

 きっかけは、だぶんもっと人間臭いものだと思う。

 検察官といえども人間だ。出世欲もあれば物欲、性欲もある。好きな政治家、嫌いな政党もあるだろう。いや、ないほうがおかしい。あって当たり前だ。たとえば、10年前に当時東京高検検事長だった則定衛氏が、不倫がバレて辞職する事件があった。それをかばった最高検の堀口勝正次席検事が、「浮気は、捜査現場の活力になっている」と発言して問題となった。さらに、「浮気の経験がある者が、ひょっとすると検察の中には半分はいるかもしれない」と言った。軽率だと指弾されたが、ホンネだと思う。

 人間はスケベである。検察官も例外でない。もちろん、ぼくだってスケベで欲深だ。カネも欲しい。喜怒哀楽もある。

 たとえば、秘書逮捕直後の小沢氏の会見を聞いた検察幹部が、その挑戦的な態度に激怒したという話がある。記者が聞いてきた話では、幹部は小沢氏が「政治的にも法律的にも不公正な国家権力、検察権力の行使だ」と発言した点をとらえ、「政治的にというのはまだいいにしても、法律的にもというのは絶対に許せん!」と言い、「こうなったら、あっせん利得でも収賄でも、必ずやってやる」と息巻いたという。いかにも人間臭い。

 だが、もしかしたらこうして始まったかも知れない「あっせん利得」や「収賄」に関する捜査の目的は、この幹部の「怒りを慰撫すること」または「溜飲をさげること」ということになる。公益とはちょっと違う。いや、だいぶ違う。しかし、人間の集団が何かを始めるきっかけは、実はこういうことがかなり影響していると思うのだ。

 幹部の怒りが現場に伝わり、「上司のご機嫌」をとろうとした現場指揮官が部下にハッパをかける。現場指揮官の目的は、いうまでもなく出世である。さらに上層部にはまた、別の思惑があって……などなど。組織の意思決定には、こんなふうに構成員の思惑と欲望が複雑に絡み合っているものだ。

 では今回、「小沢の秘書をパクってしまえ」という意思決定は、どのように行われたのだろう。以下は、出ている情報と取材をもとにした推論だ。

 まず、現場に相当強いプレッシャーがかかっていたのは間違いない。

 東京地検特捜部が、西松建設が海外で裏金1億円をつくって日本に持ち込んでいた事実をつかんで外為法違反容疑で家宅捜索していたことがわかったのが、去年6月のこと。それから約半年の捜査を経た今年1月、ついに西松建設の前社長逮捕に行き着く。なにしろ1億円の裏金だ。当然、その行方に関心が集まり、「特捜部は海外から持ち込んだ資金の流れの全容解明を進めるものとみられる」といった記事が新聞をにぎわした。

 すると、それまで120円〜140円前後で動いていた西松建設の株価が一気に70円近くにまで暴落した。100円を切った株価は「倒産危険水域」といわれている。このままでは、「検察の捜査」によって「中堅ゼネコン1社が潰れる」ことになるかもしれない。すでに事件のせいで、国交省からの指名停止も受けていた。だが、この段階で立件できていたのは外為法違反だけ。そんなチンケな捜査でゼネコン1社潰したら、どんな批判をされるかわからない。ただでさえ、雇用不安が叫ばれるご時世なのだ。中途半端なことで西松建設の社員を路頭に迷わすわけにはいかなかった。

 なんとかして外為違法違反を「政界疑獄」にまで持っていかないとマズイ。そう考えた担当検事の動機は保身である。さいわい、逮捕した西松の前社長はベラベラといろんなことを話してくれる。なんとか「政界ルート」へ、と考えるのも無理はない。

 ところが2月下旬、目星をつけていたルートで聴取していた重要参考人が自殺する失態を犯してしまう。当然、新聞記者にも嗅ぎつけられる。担当検事は焦りまくった。上からは「年度末までには決着をつけろ」と言われていた。もう、時間がない。どうしよう。そんなプレッシャーの中、検事が西松前社長の供述から見つけ出したのが、他でもない。「小沢献金」にまつわる話だった。「なぁ〜んだ、いいネタがあるじゃないか」。

 検察の矛先は本来、職務権限のある与党政治家に向かうものだ。その方が手柄も大きいはずだ。だが、野党でも第一党の党首なら獲物としても遜色はない。しかも、田中角栄の系譜を受け継ぐ土建政治家の小沢氏なら、世論も味方してくれるだろう。「いけ〜!」「やれ〜!」の怒号が現場に飛び交うことになる。あ〜わかりやすい。

「半年以内に確実に選挙がある」という状況など、すっかり頭の中から消えていた。あるのは年度末の人事異動だ。もともと現場には長くまともな「政界ルート」を手掛けてこなかったことへのフラストレーションが溜まっていた。1カ月後には異動が迫っている。それまでになんとか「実績」を残したい。特捜検事は、特捜部在籍中にどれだけ実績をあげたかが、将来の出世につながる。大物政治家関連の捜査に携わった経歴は、退官してヤメ検弁護士になったときの「ハク」にもなるようだ。

「政治には極力影響を与えないようにする」という検察の不文律は、出世とカネの前にあっさりと破られた。

 そういえば、3月22日号の「サンデー毎日」に、最高検刑事部の東京担当として今回の捜査に関わった大鶴基成検事に関する面白い記事が出ていた。この人が特捜部長時代に、現場が乗り気でなかった前福島県知事の事件を立件する際、「これができるかどうかで俺が検事正や次席になるかが決まる」と息巻いて、部下を怒鳴り散らしていたそうだ。

 ちなみに、現在の佐久間達哉特捜部長は、最高裁で無罪が確定した長銀粉飾決算事件の主任検事だったそうだ。そのとき特捜副部長として指揮していたのがいまの東京地検検事正の岩村修二氏、つまり今回の小沢秘書逮捕を決裁した検事である。この二人はネットでは「国策捜査のプロ」などと散々な書かれようだ。何をやったのかといえば、不良債権問題にはほとんど関わっていなかった当時の長銀頭取を粉飾決算だけで逮捕し、その一方でイ・アイ・イなどに対する巨額不良債権の山を築いた元頭取の罪を問わなかった。巨悪を逃して小悪を処罰しようともがいたあげくに、最高裁に完全無罪を食らってしまったというわけだ。「国策捜査のプロ」ではなく「見込み捜査のプロ」かもしれない(この見込み捜査では、複数の自殺者まで出している)。

 まあそんなわけで、現場の保身と出世とカネという人間臭い理由で決裁をスルスルとくぐり抜けた「小沢秘書逮捕」は、いよいよ検察上層部へ上げられる。

 上層部の思惑も、いろいろある。ひとつは人事だ。この説は、3月20日号の「週刊朝日」でジャーナリストの上杉隆さんが指摘してから、いろいろなところで言われている。それは、民主党が政権を取ったらポリティカル・アポインティ(政治任用)によって官僚人事を見直すと宣言していることである。鳩山由起夫幹事長が「局長以上は辞表を提出してもらう」と宣言しているように、もし、本当に民主党政権が実現したら、いまいる検察幹部が飛ばされる可能性だって出てくる。しかも首相は、あの金脈政治家、田中角栄の流れを汲む、憎き小沢一郎なのである。だから絶対、政権交代は阻止したい。若干、政治臭くなったとはいえ、これもいってしまえば保身である。

 功なり名を遂げた人間は、次に名誉が欲しくなるという。検察官も高検検事長クラスになると、叙勲を気にし始めるらしい。もう少しで勲章に手が届きそうなところで、ポリティカルなんたらだか、何だか知らないが、ひっくり返されたらたまらない。

 もうひとつ言われているのが、この5月に施行される裁判員制度である。法務・検察が一体となって推進してきたこの制度に小沢氏は、「日本人には馴染まないのでは」と違和感を表明していた。さらに、民主党として制度導入の引き換えに、すべての取り調べを記録(録音・録画)する、いわゆる捜査の可視化を盛り込んだ法案を出した。これは先進国では当たり前のことだが、密室の取り調べ室で被疑者を脅したりすかしたりしながら調書を取る日本の捜査当局にとっては受け入れがたいことだった。

 つまり、前検事総長の但木敬一氏から裁判員制度を託された樋渡利秋検事総長にとって、民主党も小沢氏も「好ましからざる存在」だったのだ。

 もっとも、裁判員制度がなくても、樋渡総長の「民主党嫌い」は検察内部でも有名だったようだ。その理由については、前述の上杉論文に詳しいのでここでは触れない。要は、そういう人間としての感情やさまざまな思惑、欲望が「検察の不文律」を超えて、小沢秘書逮捕に向かってしまったのではないか、と思うのだ。

 もちろん、それだけではないかも知れない。ただ、こういうことが組織の意思決定には確実に影響している。それはどの会社だって組織だった同じである。検察だけが、特別な存在だとは思わない。あなたの会社も、わたしの会社も同じである。

 それは「いい、悪い」の問題ではない。人間の組織だから仕方ない。ただ単に、「そういうものだ」ということだ。ただ、そういうものだということを、ぼくたちは納税者として知っておくことが大切なのだ。検察や検察の捜査を語るとき、なんとなく違和感があるのは、多くの人が検事をスーパーマンだと思っているように感じることだ。スーパーマン的な「正義の体現者」を求めても、それは酷ではないか。もちろん、検事を職業と選んだからには、それなりの正義感を持ってもらわなければならないし、実際に正義感にあふれたまじめで論理的な人が多いのはわかる。だが、一皮むけば同じ人間なのだ。メシも食えば、うんこもする。ひとり検察だけに、過剰な「正義」を求めるのは気の毒だ。

 正義だけを考えている人間などいるわけがない。

 さて、なんでこんなことをつらつら書いてきたかというと、これから先、小沢秘書の起訴や初公判の冒頭陳述などで、またもや大量の「検察発情報」がタレ流されると思うからだ。それはまた、バランスを取るため自民党議員にも及ぶかもしれない。検察情報がタレ流されることを批判する人もいるが、ぼくは情報が出ないより出たほうがいいと思っている。それを「受け手」がどう受け取るかということのほうが、より大事だと思うからだ。

 つまり、検察から出てくる情報は、正義の情報ではなく、あくまでも検察にとって、あるいは担当検事にとって都合のいい話だということだ。そう思って情報に接すると、同じ新聞記事が違ったふうに見えてくるから面白い。さらに、その記事を書いた記者や新聞社にはどんな人間臭い思惑があるかを考えると、もっと面白くなってくる。新聞社によって記事の傾向に色がある。ネタ元(情報源)の違いが出ていたりする。

 さて、勾留期限まであと3日、どんなことが起きるか楽しみだ。
 

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