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小沢代表が今、行うべきこと(郷原 信郎「ニュースを斬る 日経ビジネスオンライン」2009年4月14日)
http://www.asyura2.com/09/senkyo61/msg/606.html
投稿者 旅烏 日時 2009 年 4 月 14 日 10:59:49: SWN/9Stw90kzo
 

小沢代表が今、行うべきこと
第三者委員会で検察、メディア問題の検証を行うことの意味 
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090413/191726/?P=4


 民主党が、小沢一郎代表の公設第一秘書が政治資金規正法違反で逮捕・起訴された政治資金の問題に関して、小沢代表の説明責任、検察、メディアの在り方などを検討・議論する党外の有識者による会議を設置。その初会合が4月11日午前、都内のホテルで開かれた。

 同日午後には座長の飯尾潤教授(政策研究大学院大学)と座長代理の筆者が記者会見を行い、正式名称を「政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に 関する第三者委員会(略称:政治資金第三者委員会)」とし、5月中旬までに、計6回程度の会合を開催して検討・議論の結果を報告書に取りまとめる予定であること、委員会開催後には、毎回メディア向けのブリーフィングを実施し、ビデオニュースで公開、ゲスト有識者も招き、意見の聴取、意見交換を原則公開、専用のホームページを立ち上げて広く意見募集を行うなど、オープンな議論を行っていく方針を明らかにした(第1回会合の概要、記者会見の動画などは専用のホームページhttp://www.comp-c.co.jp/panel/で公開)。

 この委員会は、今回の政治資金問題に関する小沢代表および民主党の対応、説明責任、それに関連する検察とメディアの問題を検討することを目的として民主党が設置したものだが、民主党からは完全に独立した位置づけになっており、事務局も新日本有限責任監査法人の子会社が行い、検討の具体的内容、進め方などにつ いては委員会が独自に判断することとされている。


■検察、メディアの問題を検討・議論することの意義

 半年以内に総選挙が行われるという政治的に極めて重要な時期に、野党第一党の党首の公設秘書がいきなり逮捕され、結局、起訴された事実は、3500万円という比較的少額の政治資金規正法違反、しかも、収支報告書に記載された「表の寄附」の名義に関する「形式犯」だけ、という従来の検察の常識からは考えられないものだった。

 一方で、秘書逮捕以降、新聞、テレビでは、出所不明の「関係者供述」によって、政治献金が公共工事の談合受注の見返りであるかのような報道が連日行われた後、世論調査の結果から「小沢氏説明不足」「辞任すべし」が民意だとの報道が繰り返されている。

 しかし、その辞任論の根拠は、「政治資金に関してかねて問題が指摘されていた小沢氏の公設秘書が政治資金規正法違反で起訴されたこと」だけだ。与野党の支持率を大きく変え、小沢氏を首相候補の筆頭から引きずり降ろす結果になった検察の捜査、そして、それに関するマスコミ報道についても検証を行うことが、国民が、小沢辞任論の当否を判断し、総選挙における政権選択を適切に行うためにも不可欠であろう。

 メンバー構成にも、そのような委員会設置の目的が反映されている。小沢代表や民主党の対応や説明責任を明らかにするという委員会の主たる目的からすれば、民主党の在り方等に関してかねて厳しい意見を述べておられる政治学者の飯尾教授が座長として委員会を代表するのは極めて自然なことと言えよう。

 筆者は、検察の現場で多数の政治資金規正法違反を手掛けてきたほか、不二家関連報道におけるTBS「みのもんたの朝ズバッ!」の捏造疑惑の追及を はじめ、メディアとコンプライアンスの問題や新聞、民放会社、NHKなどでのコンプライアンスの指導・啓蒙にも関わってきた。検察やメディアの問題についての検討を主として担当することを期待されているのであろう。

 検察の説明責任については、行政法学者で行政組織の説明責任の問題にも詳しい、学習院大学の櫻井敬子教授が加わられていることで議論の客観性が確保される。また、メディア論の専門家でBPO放送倫理検証委員会の委員でもある立教大学の服部孝章教授の参加は、今回の政治資金問題の事件報道の在り方の検討・議論のためであろう。
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 民主党が、小沢代表の説明責任の問題に関して、このような有識者会議を設置することに対しては冷ややかな見方もある。4月3日に、鳩山由紀夫・民主党幹事長の定例会見で有識者会議の設置が公表された際の報道には、「小沢氏の政治資金の調査には消極姿勢を示した」「党内外で指摘されている小沢氏の『説明不足』批判をかわす狙いがある」というようなことも書かれていた。

 そのような見方は、検察の捜査や起訴に問題があったとしても、それは公判で争えばよいし、メディアの事件報道に問題があったのであれば、それは 別途問題にすればよい、総選挙を目前に控え、小沢氏の説明責任や代表の進退の問題を解決することが先決で、小沢氏は、それとは別に政治家として説明責任を果たし、それが十分に果たせないのであれば党首を辞任すべきだという考え方を背景にしているのであろう。

 確かに、一般的には、刑事事件について起訴された事実について犯罪が成立するかどうかの判断は検察官・弁護人が公判で主張・立証を尽くしたうえで 裁判所が行うもので、政治的責任論はそれとは切り離して行うべきだと言えよう。しかし、今回の問題には、果たして、その一般論がそのまま適用できるのであろうか、そこに重大な問題がある。


■検察捜査を巡る問題が先決事項である理由

 第1に、刑事事件とは言っても、今回の問題は、殺人や窃盗のような道義的・倫理的な問題ではなく、小沢代表の資金管理団体の政治資金の処理という政治に関する手続きの問題だ。小沢氏の説明責任、辞任論の発端が、政治資金の手続の問題であり、その前提となる 政治資金規正法の解釈と罰則適用に疑念が生じている以上、その点を先決事項として検討するのは当然だ

 そして、もう1つ重要なこと、小沢代表の秘書が逮捕され起訴された事実が、果たして、政治資金規正法違反になるのかどうか、違法なのかどうかについて、根本的な疑問があるということだ。

 3月11日の「代表秘書逮捕、検察強制捜査への疑問(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090310/188674/)」 でも述べたように、政治資金規正法では、収支報告書に「寄附をした者」、つまり寄附の外形的行為を行った者を記載するよう求めているだけで、寄附の資金を 誰が出したのかについては記載する義務はないというのが、これまでの一般的な解釈だ。小沢氏の秘書が、寄附の資金が西松建設から出たものだと知っていたとしても違反にはならない。違反になるとすれば、寄附名義の政治団体には全く実体がなく寄附行為者になり得ない場合、しかも、それを小沢氏側が認識していた場合だ。しかし、事務所を賃借し、常勤の役員もいると言われるこの団体が政治団体としての実体がないとは言い難い。それが実体がないと言うのであれば、全国に何千、何万とある政治献金を行うだけの目的の団体の設立届が虚偽で、それを寄附者と記載した収支報告書は虚偽記載ということになる。

 もう1つ、あえて検察の解釈論を忖度するとすれば、今回の寄附名義の政治団体は、実体があっても、人的にも資金的にも西松建設のダミーであって、 西松建設と一体のものだから、このような政治団体の実体を認識した以上、西松建設を寄附者と記載すべきだという、脱税事案などでよく用いられる「法人格否認の法理」のような考え方を取ろうとしている可能性もある。

 しかし、実質的な所得の帰属に応じて課税しようとする税の世界の問題、その中で、実質的に多額の所得を得ているのに、それを形式上ごまかして税を免れよ うとしている人間を処罰する脱税事犯の摘発の問題と、政党・政治家が共通のルールによって政治資金の透明化を図り、健全な民主主義を実現していこうとする 政治資金の世界とは全く異なる。従来の解釈を逸脱した法解釈による罰則適用は捜査機関による不当な政治介入を招く恐れがある、もし、そのような解釈論を取るのであれば、事前にそのことが明示される必要があろう。

 このように考えると、小沢氏の資金管理団体の収支報告書について虚偽記載罪が成立するのか否かについて重大な疑問があり、そもそも、これを政治資金規正法違反だとする検察の主張自体が、公判審理に入る前の段階で崩壊する可能性すらある。
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 このような指摘が正しいとすれば、今回、小沢代表の秘書が政治資金規正法で起訴されたことが、ただちに小沢代表の説明責任や辞任の問題につながるということにはならないはずだ。

 この事件の勾留満期の当日の3月24日の「小沢代表秘書刑事処分、注目すべき検察の説明(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090323/189737/)」の中でも述べたように、検察には、今回の起訴の前提となる法解釈について説明すべきだ。

 (1)政治資金収支報告書には「資金の拠出者」の記載も義務づけられている、(2)「実体がない政治団体」は「寄附者」として記載してはならない、(3)特定の法人・団体のダミーのような存在の政治団体は「寄附者」として記載してはならない、このいずれかの法解釈を取らない限り、本件について虚偽記載罪が成立することはあり得ない。

 そして、この(1)〜(3)のいずれの解釈も、もし、それが取られるということになれば、総選挙を控え、最も活発になる政治活動と政治資金の収支に重大な影響を与えるものだ。この法解釈の問題を放置したまま、総選挙に突入すれば、選挙運動や選挙を巡る政治活動は大混乱に陥ることになりかねない。

 今回の事件の起訴の当日、司法クラブ記者向けのレクチャー(非公開であり「記者会見」ではない)の中で、東京地検幹部は、これらの点については、 「公判で明らかにする」と述べたようだ。しかし、これらの法解釈の問題は、事件の中身についての証拠関係とは切り離して説明することができる一般論の問題だ。本件の起訴の前提となる法解釈が、近く行われる総選挙に与える重大な影響を考えれば、検察にはこの点についての説明責任がある。

 検察が、この点について説明を行う姿勢を見せていない以上、今回の第三者委員会において、あらゆる可能性を想定して、法解釈に関する問題を検討し、その結果を国民に示すことの意義は大きいと言うべきであろう。


■メディアの事件報道を巡る問題

 本件の事件報道に関しても多くの問題が指摘されているが、報道内容が検察に有利な方向に偏っていることは、これまでの特捜事件の多くに共通する現象であり、捜査当局と担当記者クラブとの関係や、取材現場の特異な状況など様々な構造の下で生じているもので、「検察リークによる報道」と単純化できるものではないし、それら全体を検証することは今回の委員会が行うべきことではない。

 しかし、今回の事件報道には、従来にはなかった一つの特徴がある。それは、従来、「関係者によると」「とされている」などと完全にぼかされていた取材源が、「捜査関係者」などと特定されている記事が多かったことだ。

 そして、その報道の中には、看過し難い重大な問題を含 むものもある。

 1つは、陸山会代表としての小沢氏の「監督責任」に関する3月8日の産経新聞の記事だ。3月25日の「検察は説明責任を果たしたか(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090324/189886/)」で述べたように、代表者の責任は「選任」にも過失がある場合に限られるのに、ことさらに「監督責任」だけを強調し、小沢氏を議員失職に追い込めるように報じたこの記事は、この問題に関する関係者の行動や社会一般の認識に重大な影響を与えるものであった。

 もう1つは、検察の小沢代表秘書起訴を受けて、小沢代表が重ねて違反事実を否定し、捜査・起訴の不当性を訴えて、代表続投の意向を表明した直後の25日午前0時から翌朝にかけて、「小沢代表の秘書が『西松建設からの献金だと認識していた』と、収支報告書へのうその記載を認める供述をしていることが 関係者への取材でわかった」とトップニュースで報じたNHKの問題だ。

 このNHK報道がきっかけとなって、多くの新聞、テレビが、「大久保隆規秘書、容疑事実を大筋で認める供述」などと報じたが、27日、大久保氏の弁護団は、大久保氏が自白していることを真っ向から否定した。
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 この報道が行われた後、各新聞、テレビで世論調査が行われ、「小沢代表の説明に納得できるか」「小沢代表は続投すべきか」という質問に対する回答結果が、翌週の初めに次々と公表された。NHKの報道と、それに追従した他のメディアの報道によって、多くの人が、起訴された秘書が違反を認めているのにな おも違反を否定し続けている小沢代表の「苦しい言い逃れ」との印象を受け、「小沢代表の説明には納得できない」という回答に誘導されたと考えられる。

 この報道が、小沢代表秘書の政治資金規正法違反事件による起訴をどう受け止めるべきかについて国民に誤った認識を与えたことは否定できない。

 取材源の秘匿、報道の自由への配慮との関係もあり、第三者委員会は、取材や報道の内容について直接 事実関係を調査すべき立場ではないことは言うまでもない。しかし、このような報道の問題に関して、それを行った報道機関がどのように受け止め、どのように 検証しているのかという点は、この問題の第一次的な当事者である小沢代表の対応と説明の在り方を考えるうえでも重要だ。

 第三者委員会では、これらの点を中心に、検察、メディアの問題を前提事項として検討・議論したうえ、小沢代表と民主党の対応と説明責任の問題を中心に幅広く有識者をゲストとして招いて意見交換を行い、その模様をできる限り公開するとともに、国民からも広く意見を募集するという方法で、この問題についての議論・検討の場を国民全体に広げていくことを目指している。


■不可解な小沢代表秘書刑事事件への対応

 一方で、不可解なのが、今回の政治資金規正法違反事件についての小沢代表秘書の弁護側団の動きとこれに対する小沢代表自身の姿勢だ。

 刑事事件については法解釈上の問題も含め、当事者が公判で主張立証を行い、裁判所が判断を行うのが原則であり、これに関して第三者委員会の検討・議論を行うとしても、あくまで副次的な手段だ。

 小沢代表は、今回の事件が政治資金規正法違反に該当しないと一貫して主張してきた。 しかも、筆者が指摘するように検察の起訴事実について重大な疑念が生じている。そうである以上、最も重要なことは、公判の場で早急に結論を出すことだ。選挙違反事件について公職選挙法で「100日裁判」が要求されているのと同様に、今回の事件についても、早急に公判前整理手続で争点を整理し、集中審理によって、早期に判決が出せるようにするべきだ。私は、起訴直後から、「選挙との関係を考慮し遅くとも7月ぐらいまでには判決が出せるようにすべきだ」と述べてきた(3月25日付朝日新聞など)。

 弁護側が、早急に手続きを進めることを強く求めれば、裁判所も、検察もそれに応じざるを得ないはずだが、報道されている限りでは、小沢代表秘書の起訴から20日余り経過した現在まで、保釈に関する動きも公判手続きに関する動きも全くない。違反に該当するかどうかも微妙な形式犯で40日以上も秘書の身柄拘束が続いているのは、決して容認できることではないはずだ。

 今回の事件が小沢代表の政治資金管理団体の問題であり、起訴された被告人の大久保氏が、今も小沢代表の公設第一秘書の立場にある以上、小沢代表は、今回の刑事事件について当事者に準じる立場にある。小沢氏から公判審理の促進を強く求める意向が示されれば、 被告人の秘書本人も弁護人も従うはずだ。

 秘書の逮捕直後から一貫して検察の捜査を批判してきた小沢代表の主張が変わらないのであれば、公設秘書が起訴された政治資金規正法違反事件に真正面から向き合う姿勢を明確に示し、公判での真剣勝負に挑むべきだ。そうでない限り、今回の問題について、小沢代表が、国民から理解と納得を得ることはできないであろう。

 第三者委員会での議論・検討が、本当に意味のあるものとなるか否かも、刑事事件に対する小沢代表の姿勢にかかっている。
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