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"ショック療法" にはなるかもしれないが、政権交代しても、本質は何も変わらない(マガジン9条 森 達也)
http://www.asyura2.com/09/senkyo66/msg/1034.html
投稿者 ダイナモ 日時 2009 年 7 月 08 日 19:52:33: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.magazine9.jp/other/sosenkyo/mori.php

 最初に断っておくと、僕は民主党にまったく期待してません。政権交代して民主党政権ができたとしても、いまの政治の枠組み自体が変わらない限りほとんど何も変わらないでしょう。
 正直、民主党っていまだによくわからないんです。その正体も、なにがやりたいのかも。よく言われることだけど、憲法や安全保障の問題にしても左右の両端が全部そろっている。護憲派には民主党が政権をとったら「改憲」へ一気に突き進むんじゃないかという危機感があるかもしれないけれど、それもわかりませんよね。そういうわからない政党に、あまり権力を与えたなくないって気持ちもあるんだけれど……。
 結局、民主党の中枢にいるのは元自民党の人たちで、その意味では自民党のコピーでしかない。周辺には面白い人もいると思うけれど、それは自民党も同じ。それに結局周辺だから、どうしても発言力は弱くなる。
 ただ、僕は「裁判員制度」のことを矛盾だらけの無茶苦茶な制度だと思うけれど、実際に始まってしまったからには、これまた脳死状態の刑事司法への“カンフル剤”にするしかない。毒をもって毒を制すじゃないけれど、何をしてもこれ以上刑事司法が地に墜ちないのであれば、裁判員制度が多少の刺激になって、状況が少しでも上向くことを期待しようと考えています。かなり無理矢理だけど。
 それと同じレトリックで、いまの日本の政治はどうしようもないんだから、民主党も自民党もほとんど違いはないけれど、政権交代すればどこかできっと摩擦が起きるから、その摩擦に期待して、このまま自公政権が続くよりは民主党を中心とした政権のほうがいいかな、ってそのレベルの認識ですね。

「護憲」が大事ならば、護憲政党に投票を

 政権交代を実現するために、今回の選挙に限っては護憲を主張する人も社民党や共産党じゃなくてあえて民主党に投票する――つまり“戦略的な”投票行動。その発想も大事だとは思うけれど、一般の国民までがそんな戦略的な振舞いをすることについては、……何となく違和感があります。何となく不健全。それよりこの4年を振り返って、「政策がブレていない共産党を支持するぞ」とか、そういった声のほうが尊重されるべき。選挙は、有権者一人ひとりが何をファースト・プライオリティと考えるかで投票するものだと思うから、「護憲」が一番ならば、結果的に「死に票」になろうが、社民党か共産党に投票すればいい。

 そもそも「二大政党制」そのものが、この国の今の状況では無理がある。衆議院・参議院の「ねじれ」がダメだって言う人も多いけれど、ねじれのどこが悪いのかわからない。ねじれる可能性も含めての二大政党制なのに。メディアがあまりに安易に「ねじれ」という言葉を使うから、これを是正しなくてはならないような雰囲気になっている。本末転倒です。

 結局は小選挙区制導入が二大政党制実現の前提になったわけだけど、小選挙区制が本当に良いのかどうか、その議論をこのあたりでしなくてはならない。でもそんな声はほとんど挙がらない。民主党が政権をとっても変わらないでしょう。

メディアの優先順位がわからない

 このまま行けば、次の総選挙は民主党の圧勝でしょう。ここまでメディアが「政権交代」を盛り上げると、日本人って実は“判官びいき”ではなくてむしろ勝ち馬に乗りますから。民主党の勝ちが一気に加速します。僕自身は死に票でもいいから、どこか小さいところに入れようかなと思っています。選挙って現実への反映も重要だけど、自分自身への決意表明でもあると思うので。

 だから心配なのはメディア。最近は報道のプライオリティが明らかに乱れている。いまは連日のように東国原(宮崎県)知事で大騒ぎしているけれど、少し前は鳩山邦夫(前総務大臣)さん辞任関連の記事が一面のトップ。それによって麻生政権の支持率が下がったと言うけど、これだけ報道されればダメージを受けるのも当たり前。どうしてあの程度のことで大騒ぎするかが僕にはまったくわからない。明らかに変でしょう。

 鳩山邦夫さんはいずれ民主党に入るんじゃない? 一時的には自民党を離党して小さな政党をつくったとしても、民主党が政権をとったらそのうち合併するでしょう。さらに加藤紘一さんや山崎拓さんも自民党から出て民主党と一緒になったら……。そしたら政権交代しても何も変わらないでしょう。まあ加藤さんや山崎さんは政治家として評価しているけれど。いずれにせよ、乗組員が沈む船(自民党)からどんどん脱出して、浮いている船(民主党)に移っているだけ。

 だから繰り返しになるけれど、政権交代しても本質は変わらない。ただこれだけ体がボロボロなんだから、多少のショック療法にはなるかもしれない。なかば投げやりな意見ですけどね。


森 達也
1998年、オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画「A」を公開、各国映画祭に出品し、海外でも高い評価を受ける。2001年、続編「A2」が、山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。著書に『死刑』(朝日出版社)、『ぼくの歌・みんなの歌』(講談社)、『視点をずらす思考術』(講談社現代新書)。近著に『神さまっなに?』(河出書房新社)、『きみが選んだ死刑のスイッチ』(理論社)がある。

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今はあらゆるマスコミが「政権交代」の一大キャンペーンを行なっている。あたかも政権交代それ自体が争点であるかのように世論を誘導している。これはかつての「郵政選挙」キャンペーンと同じ誘導行為だ。国民はそういった一種の「お祭り」に流されやすい。「郵政選挙」キャンペーンは悪質だったが、「政権交代」キャンペーンは歓迎すべきことだろうか。

政権交代の前に「政策」、そしてその「政策の実現性」が大事だと思うが、そういった情報はほとんど報じられることがない。自公政権と民主党の政策はどこが違うのか。民主党は憲法9条をどうしようとしているのか。ワーキングプア問題にどう対処するというのか。果たしてどれだけの国民がはっきり峻別できているのだろうか。マスコミの大キャンペーンによって政権交代が実現すれば問題の多くが解決するかのような幻想を国民は持たされている。こうした世論誘導が非常に危ない。

もし、政権交代が実現したなら、民主党自体がこれまでにない危機的状態に陥る可能性がある。もとより自民党以上の野合集団でしかない民主党が政権を取った場合、国民の利益になる大胆な改革は期待することができない。それでも「政権交代」自体に価値があるという人もいるだろう。だが今の民主党が政権を取ったらパンドラの箱を開けたような何でもありの政治情勢に陥る可能性がある。その結果、より右翼的集団が政権を掌握する最悪の事態も考えておかなければならない。

今は国民全体が「政権交代」という大きな流れに流されるがままの状態にある。そのことを自覚し、その流れから抜け出し、今一度考え直す必要があると思う。

 

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