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鳩山論文を問題視した米国の深層 【神州の泉−高橋博彦】
http://www.asyura2.com/09/senkyo70/msg/467.html
投稿者 弥太郎 日時 2009 年 9 月 02 日 16:32:22: 2j9DCs8Lv3S7M
 

【神州の泉−高橋博彦】
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/09/post-e453.html

2009年9月 2日 (水)

鳩山論文を問題視した米国の深層

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 私は政治ブログランキングで、上位のものは植草さんのブログ以外にほとんど読まない。しかし、毎日必ず楽しみに読むブログがひとつある。それは「永田町異聞」というブログである。ここの主催者さんの政治批評は、燻(いぶ)し銀のような渋みがあって本質をとらえていると思う。今回の歴史的な政権交代劇も、「永田町異聞」さんは怜悧な客観性で記述されていて、とても面白く読ませてもらった。昔は新聞記事や雑誌等の政治批評にも、こういう重厚な政治批評が頻繁に見られたが、今ではつとに貴重である。

 さて、その「永田町異聞」さんが、今話題になっている「鳩山論文」について、「鳩山論文は反米的か?」というタイトルで書いている。管理人とほぼ近い見解を書いておられるので是非読んでみて欲しい。ただし、管理人の見解には多少違う文脈も存在しているので、今回はそれを書いてみたい。管理人の思想的スタンスが少し出ている。

 ニューヨークタイムズ電子版に掲載された鳩山由紀夫論文の記述は、鳩山論文の抄録というよりも意図的な抜粋に近いものだ。それは鳩山論文の全文を読めばわざわざ説明する話でもない。しかし、ニューヨークタイムズ紙(電子版)も、ソースを検証しないでこれを載せたとしたら、杜撰(ずさん)と言うしかないが、管理人はアメリカが故意にこれをやったと見ている。その理由は、沖縄普天間基地移転問題に関して、ケリー米国務省報道官が、再交渉する余地はないと高圧的に通告してきたことに表れている。

 恣意的に抜粋された鳩山論文がニューヨークタイムズに載り、問題とされたのは次の箇所である。

「冷戦後の日本は、アメリカ発のグローバリズムという名の市場原理主義に翻弄されつづけた。至上の価値であるはずの『自由』、その『自由の経済的形式』である資本主義が原理的に追求されていくとき、人間は目的ではなく手段におとしめられ、その尊厳を失う」

「諸国はそれぞれの国民経済の伝統や規制を改め、経済社会の構造をグローバルスタンダード(実はアメリカンスタンダード)に合わせて改革していくべきだという思潮だった。日本の国内でも、(中略)全てを市場に委ねる行き方を良しとする人たちと、セーフティネットの充実や国民経済的な伝統を守ろうという人たちに分かれた。小泉政権以来の自民党は前者であり、民主党はどちらかというと後者の立場だった。日本社会の変貌を顧みると、グローバルエコノミーが国民経済を破壊し、市場至上主義が社会を破壊してきた過程と言っても過言ではないだろう」

鳩山論文の基本論調は、戦後日本の政治・経済史の俯瞰おいて、祖父・鳩山一郎氏が、フランス革命の有名な三つのスローガンである「自由」「平等」「博愛」の、「博愛」に感銘し、自らそれを「友愛」と名づけ、政治や社会にはこの友愛精神が必須であることを、全体の論理文脈にしたものである。その中で上記の問題とされた、グローバル資本主義への批判が出てきたわけで、論説の構成としてはアメリカ批判が骨子でないことは明白だ。

 管理人は、鳩山氏の該当論文のテーマである「友愛」精神が、万民幸福を願う人間社会に必要だということはまったく賛同する。ただし、基本文脈で管理人が異なるところは、日本という伝統ある国家に、フランス革命の理念にある「アンシャン・レジーム」否定はそのまま適用できないという基本がある。

 その部分を除けば、鳩山氏の言う友愛精神が、日本に伝統的に根付いていた「和の精神」、「日本型共同体(日本的ゲマインシャフト)」に強く整合することは評価できる。その意味で鳩山論文は全体として首肯できるが、地方に関する考え方等やその他では異なる部分も若干ある。それはいずれ考察してみようと思う。鳩山論文には興味深い下記の記述がある。

「各国の経済秩序(国民経済)は年月をかけて出来上がってきたもので、その国の伝統、慣習、国民生活の実態を反映したものだ。したがって世界各国の国民経済は、歴史、伝統、慣習、経済規模や発展段階など、あまりにも多様なものなのである。グローバリズムは、そうした経済外的諸価値や環境問題や資源制約などを一切無視して進行した。小国の中には、国民経済がおおきな打撃を被り、伝統的な産業が壊滅した国さえあった。」

 この基本概念はエコノミストの紺谷典子さんの下記の姿勢とほぼ共通しており、実に興味深い。

「どの国も与えられた条件の中で、自国に最も適したシステムを自然に選択しているはずである。それぞれの国の条件が異なる以上、結果として選択されるシステムが同じであるわけはない。資本主義の形も一様ではない。それぞれの国々は、それぞれに異質な、というより個性的なシステムを持っているのである。」 (紺谷典子『平成経済20年史』P37、第2章「改革」という名の破壊」

 今、グローバル資本主義というアメリカのワシントン・コンセンサスが編み出した破壊的な世界思想は、各国の正当な固有性、自立性、多様性を根こそぎ破壊する方向に進んだ。それを修復するためには、真の国際化を友愛の精神で再構築しなければならない。そのためには、アメリカの私利私欲で計画された悪魔の思想、グローバル資本主義の非人間的な市場原理至上主義(弱肉強食の欲望資本主義)を否定すべきである。鳩山氏は、資本主義が原理的に追及される時、人間は目的外に追いやられ、単なる手段にカテゴライズされてしまうと述べているが、まさに至言であろう。

さて、管理人は、今回ニューヨークタイムズ電子版に載った鳩山論文の恣意的抜粋は、アメリカの対日戦略の一環だと思っているが、その理由は民主党新政権に対する強い牽制を効果的に行うためである。要は日本は、対米従属構造から決して逃れることはできないよ、わかってるだろうな?と言ういつもの脅しに他ならない。アメリカ・アングロサクソンに逆らったら、お前らどうなるかわかってんだろうなというヤクザの脅しである。

 このアメリカ政府の心理を深読みすれば、これは明らかに郵政民営化利権収奪に関するアメリカ・エスタブリッシュメントの焦りと言えるだろう。アメリカが一番恐れているのは民主党政権による「郵政民営化」の見直しなのである。鳩山論文は郵政民営化について下記のように言う。

「郵政民営化は、長い歴史を持つ郵便局とそれを支えてきた人々の地域社会での伝統的役割をあまりにも軽んじ、郵便局の持つ経済外的価値や共同体的価値を無視し、市場の論理によって一刀両断にしてしまったのだ。」

 麻生総理や鳩山邦夫前総務相の郵政民営化に対する見直し言動は、アメリカにとって緊急に対処すべきものであり、中川秀直氏を中心とする偽装CHANGE派に梃子入れして、官邸に強い圧力をかけたのである。おそらく最終的には、横田幕府が麻生太郎氏個人を恫喝したものと管理人は読んでいる。その結果、政治から郵政民営化見直し気運は消滅してしまった。一安心していたアメリカは政権交代が実現して、再度郵政民営化問題が浮上することを憂慮したと思える。

 そのために今回、鳩山論文を捻じ曲げて米国の一流紙に掲載し、民主党の対米政策を『反米ではないのか?』と印象付けて、予告的にバッシングしたものと思える。管理人はこう思う。アメリカは宗主国なのだから、郵政民営化も従え、年次改革要望書も疑うなと、命令形、断定形で堂々とやればいいではないかと思うのだが、アメリカはそれをせず、姑息な手段で、日本が内政的な判断でアメリカの意図を汲むように仕掛けている。

 皆さんには、その理由がおわかりだろうか。核も持たない、交戦権を有する軍隊もない丸腰の日本が、軍事大国アメリカに逆らえないのは物の道理である。だが、アメリカは必死に日本を同盟国として表面的には対等に扱おうとしている。この理由は一つである。アメリカは国際社会の批判を恐れているのだ。国際社会は日米二国間関係が宗主国と属国の関係であることを常識として弁えている。だが、民主主義をテーゼとするアメリカがそれを堂々と国際社会に提示するわけには行かないのだ。

 だから日米両国の政府首脳たちは、表面的には対等関係を必死でつくろっているということである。核を持たない日本が、現在の状況でアメリカのくびきから脱する一つの方法は、国際社会に向かってアメリカの非道な対日戦略を公言することだ。日本は普通の先進国として、独立したいと国際社会に向かって言うことだ。アメリカが敵国条項を前面に出した場合、こう言えばいい。それなら、日本は戦後の60数年間、一度でも他国と紛争を起こしたり、戦争を仕掛けたりはしなかったではないか、それに比べてアメリカはどれだけ自ら紛争を起こし戦争を起こしたんだと、堂々と言ってのけることができるのだ。

 東京裁判の基本論調は、日本人が本来的に極悪な習性を有しているから、アメリカという正義の国には従うべきだという、まことに馬鹿馬鹿しいものである。戦後を冷静に振り返って見てもわかるが、戦争好きの習性はアメリカにこそある。日本は本来的に平和を指向する民族だということは時間が証明しているのだ。

 アメリカが日米関係について、表面的な対等を堅持するのは、自分たちの日本収奪を国際社会に知られたくないからだ。だから、日本はアメリカのその弱点を衝くことによって突破口を築けると思う。しかし、たとえ、それが成功したからと言って、自主防衛の構えがなければ、中国の属領化に向かうだけだろう。自分の家族は自分で守るのが家庭の父親だ。日本の国は日本人が守るべきなのだ。今、日本は収奪国家に軍事的国防を頼っている。自殺行為である。宗主国を中国に変えても状況は変わらない。それどころか、事態はより悪化する。

 鳩山論文はアメリカが脅しに使うつもりだったが、この問題を拡大させた場合、日本人の東京裁判史観を揺るがす契機にもなる。管理人はこの問題が拡大して欲しいと思っている。それはまた別の機会に考察してみたいが、鳩山論文は基本的には植草さんや城内実さんの万民幸福の原理と合致していて、管理人は高く評価する。

 

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