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鳩山由紀夫氏との7年前の対話 【渡久地明の時事解説 沖縄から世界を見る。】
http://www.asyura2.com/09/senkyo72/msg/150.html
投稿者 きすぐれ真一 日時 2009 年 9 月 27 日 02:56:50: HyQF24IvCTDS6
 

http://toguchiakira.ti-da.net/e2566159.html
2009年08月31日
鳩山由紀夫氏との7年前の対話

 8月30日の総選挙で、鳩山由紀夫率いる民主党が歴史的な大勝利をおさめた。鳩山さんとは沖縄についてどう考えているのか、古い原稿があった。

 おきなわ新世紀(02年4月28日、OCN生放送)に鳩山由紀夫氏がゲスト出演した際のテキストをサルベージ、一挙掲載する。出演は島田勝也、大嶺正行、上原守、渡久地明。

 長いし、記事にしたとき(「観光とけいざい」第612号に(たぶん)抜粋して掲載)は別の中見出しが入れてあったが、テキストのみ出てきたので、新たに見出しは付け直した。続きを読むに収録した。
 
 当時といまでは鳩山さんも他の出演者もたとえば構造改革などに関して考えが変わった部分がある。しかし、沖縄の米軍基地問題、一国二制度、自民党政治の総括といった点について、鳩山さんの考えが出ていると思う。

 追記:写真も出てきたので追加(誰もカメラ向いてないけど。撮影は又吉健太郎)。(09年9月5日)


奥さんの尻に敷かれるくらいがいい

《島田》 おきなわ新世紀、今回は復帰三十周年記念番組で、民主党の鳩山由紀夫党首をお招きしています。いま、沖縄に到着なさった。

《鳩山》 沖縄は九回目になります。

《島田》 鳩山さん、今回の沖縄訪問の目的は。

《鳩山》 たくさんあるんですが、こないだ筋ジスの方で春山さんという方にお会いしてカヌチャベイを見ようと思った。沖縄が高齢の方々にとって最も相応しい選択肢じゃないかなと。いままで日本にはなかった施設をつくって非常に人気があるわけでしょ。それを見たい。

 それと民主党が沖縄であまり認知されていないわけでしょ。

《島田》 そうです。

《鳩山》 アハハ。それで認知していただこうと。こういう番組に出していただくのは大変ありがたいことです。

《島田》 鳩山さんの祖父、鳩山一郎さんが政権をとったのが一九五五年でしたか。今日は四月二十八日、日曜日です。実は一九五五年の今日、サンフランシスコ条約発効の日で、東京から見ると独立を勝ち取った日ですね。沖縄から見ると多くの人が屈辱の日となる。沖縄から北側の地域が独立するために沖縄を切り離した。その日からちょうど五十年目にあたるこの日に鳩山さんをお迎えした。

《鳩山》 すごいですね。それと同時に、サンフランシスコ条約から二十年たって沖縄が日本に復帰し、それから三十年という年でもありますから、様々な意味がある。

《島田》 沖縄にはどんな印象をお持ちですか。どんなつきあいがありますか。

《鳩山》 私は沖縄に来たのはそんなに古くないんです。十年くらい前に初めて沖縄を訪れた。そのとき感じたのは、経済にとって一番大事なところところが米軍基地になっているという非常に大きなハンデを背負っているということ。経済的に発展させようといろんな手だてを尽くしてもなかなか難しい。日本全体の重荷の部分を背負わせてしまっているという部分を一番最初に感じました。

《島田》 十年前にそう感じて、それから今回は九回目だとおっしゃいましたね。

《鳩山》 選挙の応援が多くて必ずしも沖縄を知り尽くしたというわけではありません。その意味で、今回は二泊三日で、それでも短いんですが、出来るだけ幅広くいろんな方々にお会いしたい。

《島田》 鳩山さんはホームページで様々な情報を発信しているわけですが、いろんな工夫がある。その中で奥さんのことも出ていまして、食の専門家でいらっしゃる。

《鳩山》 ボクは沖縄の将来の一つは食だと思っているんです。日本で一番健康な県である。今度、女房にもゆっくり沖縄に来てもらって、いかに日本人をもっと健康にするか、それには沖縄の研究をしてくれといっている。

《島田》 はい、お預かりしましょう。で、奥さんにはアメリカで知り合われて、大変仲がいいというか、尻に敷かれてるんでしょう。

《鳩山》 アハハ。よく分かりましたね。政治家はそれがいいんです。国会や選挙でなかなか地元に帰れない。だから、地元のことは全部女房がやる。それで、女房のおかげで選挙に勝ったんだよ、と言われるし、その通りなんです。本人は選挙に来なくてもいいと。


政治不信がきわまっている

《島田》 政治の話ですが、国民の政治不信がきわまっている。

《鳩山》 これほど国民の皆様に政治がバカにされたことはなかったですね。最初は面白くワイドショーでちやほやされるので喜んで出ていたけれども、いったいいつまでこんなことをやっているんだとなりますよね。私は問題は二種類あると思うんですよ。

 誰でもそうですが政治におカネがかかって、台所事情があまりにも厳しいから、ちょっとおかしいことをやっちゃえと詐欺まがいのことをやってしまった。当然反省しなければならない。

 それに対して、自分が立身出世したい。そのために政官業の癒着体質を思う存分使ってやれと、国のカネは自分のカネだという思いで、法律に違反することも平気でやってしまう事態になった。

 私は問題を二種類に分けて考えていますが、本質的に悪いのは政官業の癒着ですよ。

《島田》 一部政治家が巨悪ではないことは、国民も分かっていますよ。巨悪にメスを入れないといけない。

《鳩山》 党首討論でも言ったんだけど、要するに自民党はみんな政官業の癒着体質があるから、追求できないんですよ。追求したら「おまえもだろ」とやられる。みんなおかしなことになっちゃう構図だと思いますね。

 そこにメスを入れる迫力をわれわれ野党が持たないといけないし、また、警察とか検察も持たなければならない。

《島田》 小泉さんがいった改革も本当はそこまで入っていかなければならなかったですよね。

《鳩山》 構造改革というのは本当はそこなんですよ。

《島田》 しかも聖域なき構造改革といっていたわけで。

《鳩山》 本来、聖域なんていうものはないんですよ。自分たちを守るための聖域をつくってたんですよ。

 そこを彼が聖域なき構造改革というんだったら、面白いじゃないかと。本気で自民党をつぶして日本を変えるとまでいいきったんだから、やるんだったら面白いぞと、応援しようじゃないかとエールを送ったところ、民主党からおこられましたけれども。

 でも党っていうのはね、私は決して党のためにつくったわけじゃないんですよ。国民のためにいい仕事をするために活動しているんで、それが自分自身の立身出世のためのものになったら、自民党と同じで、われわれはそんなことはしない。小泉さんは正しいことを本当にやるんでしょ、それなら応援しますよというメッセージはいまでも私は決して間違っていないと思いますよ。

《島田》 大嶺さんも聖域なき構造改革という言葉ができてきた瞬間興奮してたよね。

《大嶺》 私も自分の党をぶっつぶすと言った小泉さんには最初期待した。大統領選挙みたいな錯覚をしましたよね。何でもできるのかなと、それで期待した。で、聖域というのはブッ壊さなきゃならない自民党があるわけで、そこに入って行けるのかなという期待はあった。ただ今回、評価できる部分もある。小泉さんが問題点を明らかにしたことだ。なるほど聖域というものがあるのか、ついてはこれをブッ壊さないと次の時代はないことをはっきり示した。次の展開はというと骨太の方針というものを示したけれども、結果的にはできなかった。国民にはいま選択が問われていますよ。小泉さんがもう一度やるぞと言ったって国民はもう期待できない。その土台を作ったということで小泉さんをある程度評価しております。したがいまして本当の改革は次の内閣でなされる。


誰も責任をとらない構造改革

《島田》 小泉内閣に限定してその改革はどうなっていきそうですか。

《鳩山》 まさにこれから今の話の通りに行くと思う。問題点は指摘して、一ページはやった。それでゼロよりいいだろうという話を小泉さんはズーッと続けていくと思うんです。今度、郵政事業に対して民間参入の話がでてるでしょう。あれはまたきっとうまくやるんですよ。つまり法案はできるんです。でも、実際に参入する企業例えばヤマトさん佐川急便さんは「うちはやらない」といっているでしょう。要するに最有力の民間でさえできない形の法律にして、でも民間参入の法律は作ったよ、偉いでしょっていう話。で、これは抵抗勢力から見ても実際民間が参入できなければいいわけですから。だけど法律ができるってことはさすがだろう。自民党をつぶす思いでやったんだ、だからできたんだっていうに決まってるんですよ。落としどころが最初から見えている。

《渡久地》 それと同じことを沖縄ではずいぶんやっているんです。金融特区とか自由貿易地域とか。制度は作ったけれども全然使えないとか役に立たないものがたくさんある。

《大嶺》 今の一ページを作ってまた次の一ページをえんえんとやるということですが、これは国民が成長していない段階のごまかしですよ。しかし、今回の一連の事件は国民を成長させてしまった。またゼロに戻ることを許さない構造ができたはずです。フラストレーションがたまって、それはマグマとして必ず火を噴きますから。

 これからの展開は必ずしも自民党じゃないので、そこにどういった出方をするのか、われわれも考えないといけない。それを真剣に考えるようになったわれわれを作った小泉政権を評価したい。

《島田》 他人事じゃない人が隣に座ってるんで、その話に行きますが、医療、道路など中途半端なことをやってとにかくやったということになっている。これじゃ、国民は納得しないということだよね。

《鳩山》 私もそう思う。何度も同じことを繰り返して結局すべて入口だけ入って、後の部分は抵抗勢力におまかせということの連続だったわけです。それではもうダメだと気づいてるんだけど総理はまた同じことをやってしまう。それではダメだと国民の皆さんが例えば選挙の時に厳しい判断を下していただけるならば、私はこの国は変わると思うんです。だからある意味で政党の垣根を越えて変わる可能性があります。

 それでも小泉さんが今までのやり方は間違っていた、やっぱり一ページだけじゃなくて中身もやるんだという判断をしたならそれはそれで正しい。党首討論でも初心に戻れといったんですが、そのような方向に行くのか行かないのか、その分岐点は越えちゃって戻れないんじゃないかということも国民は気づいていると思う。

《島田》 あとは受け皿をつくる方々が受け皿を見せるということなんでしょうがそこは後で聞きます。上原さん、構造改革の中の金融特別委検査の発表があったよね。これは構造改革の中の柱の中の柱だったんですが、彼はこの結果に怒ってるんです。

《上原》 昨年暮れから年初にかけて金融機関がバタバタ破綻した状況があって、不良債権はかなりの部分処理されて、本来、四月一日のペイオフ解禁が来る前に四月一日以降は銀行はだいじょうぶなんだ、安心してくれというためのものだった。それで特別検査が入ったのかなと思っていたら発表が四月十二日、結果は大手行の自己資本比率は軒並み一〇%を越えて横並びになっている。これでは結論が先にあってその過程をどうしようかという説明にしかなっていない。国民は本当に安心できるかというと疑問符がつく。危機が延長されている。

《鳩山》 全く今の話は正しいと思います。先送りなんですよ。あの検査は二百数十兆円ある貸出の中のわずか三・八%だけをチェックして、そこを調べただけでも四兆七千億円もありましたが、これを処理すればだいじょうぶですなんていうのはとんでもない話で、残りの九五%以上はどこに何があるのか分からない。それで終わりだという話じゃない。何でそうなったかというと、一部だけを調べておけばいくらまずい話になっても自己資本の一〇%を越えないよという答えがまさに先にあったんですね。

《上原》 そうだと思います。最終的には責任もだれもとらないということも結論としてあって、検査を進めた。だから柳沢金融担当大臣の風当たりが強くなっていますけれども、ホントのことを公表していけば彼の責任もかなり問われる状況なんでそれを外した。

《島田》 責任を回避したというのはいわれているとおりなんですか。

《鳩山》 この問題に対しては小泉さんは最初から大蔵族で、大蔵の肩を最初から持っているわけですよ。だからそこの責任追及は絶対にしないんですね。そのために柳沢さんと一緒にやってるんです。ですから、柳沢金融担当大臣のクビを飛ばさない限りこの不良債権の問題は永久に先送りですよ。責任回避ですよ、今の政権は。


一気に景気を戻すべきだった

《島田》 民主党ならできるのかね。

《上原》 九七年に証券や銀行がバタバタ破綻する。九八年に本当に危機があって、金融国会といわれた。その時、民主党がかなりがんばって法案をつくり、これでどうだといったときに自民党が丸飲みして通しちゃった。ここで転機があったと見るんですが。

《鳩山》 その前半戦まではよかった。後半戦に石原さんとか開明派の自民党の人達が追っ払われて、早期健全化法というのがずぶずぶになっていく。本来ならもっとしっかりやらなければならないところが、全部残してしまったおかげですべて先送りの現象が今でも続いているという状況です。

 で、私どもならできるかという質問でしょう。できるんです。

《島田》 九八年秋というのはずぶずぶになる心配がなかった。

《鳩山》 そこで厳格な資産査定を行って、一挙に引き当てを行えばよかったんです。

《島田》 あれから五年経って国民全体が負担すべきものは甚大なものになったよね。

《大嶺》 国民の側から見たら銀行の自己資本比率何%というのは関係ないですよ。銀行が健全になってくれたらそれでいいんです。一般の企業から見たら自己資本比率三〇%が当たり前です。そこから見たら一〇%も八%も四%も変わらないレベルなんです。

《島田》 民主党ならできるということは公的資金を入れる以外にないんでしょ。

《鳩山》 やるときには厳格な査定をしますが、どうも今でている不良債権の規模は一部だけなんじゃないか。ちゃんと調べたら桁違いにあるのではないか。そしたら三十兆円といったケタの公的資金を投入しないと解決しないです。それを一気にやって、一気に景気を戻さないと行けない。こういうのをずるずるやっているといつまで経っても景気は戻らないです。

《大嶺》 やろうと思ったらできるんです。三十兆円でもかまわないです。ズルズル行くからそんな金額じゃおさまらない。

《島田》 その三十兆円というのを国民に説得して納得してもらう。それから責任をとらせねばならない人達からの抵抗が起きますね。そのふたつをやれると。

《鳩山》 これはできます。例えば韓国を見れば分かるように、一時銀行を国有化しても景気がよくなれば株が上がって公的資金の大半は取り戻せるんですよ。ですから三十兆円ロスするという話じゃないんです。でも、ズルズルとやっていればズーッとロスするばかりなんです。その違いをしかりと国民の皆さんに訴えれば分かってもらえると思います。

《大嶺》 加えてこのことは銀行をつぶすのが目的じゃありません。感情的に銀行が嫌いという人はいますが、明快に区別して早くやることです。

《鳩山》 もう早くないけどね。

《島田》 九八年の話ですからね。いやほんとはもっと早く始まってますね。

《鳩山》 宮沢さんの時からです。あのときだったら一桁でよかったかも知れない。

《島田》 その時は鳩山さん達はどういう認識だったんですか。大したことないと思ってたんではないですか。


政権交代しかない

《鳩山》 あの頃は、そうだと思います。ほとんど覚えてないんですが、われわれは自民党を飛び出す算段をしていて、さきがけ、という新党をつくろうとしていた直前で、その方向で細川さん方と動いていて、金融政策はある意味正確な認知はなかったかも知れません。

《上原》 バブルが崩壊した後でバブルが定義づけられる時期です。その後また景気は回復するという期待感でいろいろやろうとしていた時期です。金融庁がさざなみ委員会というのをつくって公的資金を投入するときも大手行さんに千億円ずつ同時に入れようとした。これでもういいんだと。その後また新しく法律ができて七兆五千億円入れた。一気に韓国型でドンと入れるということをしなかった。日本型という先送りの構図がありますね。だからどこかで決断して最終的にいつ投入するかということをやらないと国民経済全体よくならないし、デフレも止まりにくい。

《島田》 一年前小泉政権ができたときの最大の問題はそこだとはっきり言ってたわけですが。

《鳩山》 いや、常にはっきり言ってるんですよ。森さんの時もそこだといいながらね。でも責任をとらせたくない。まさに政治の責任であり、柳沢さんの責任なんです。それをやりたくないからズルズルと来て、責任をとらない中での政策ですから常に結論は先延ばしになっちゃう。

 だから政権交代するしかないんです。自民党の中でいくらやっても権力闘争で新しい人がでてきてもこの問題は変わらないんです。官僚の組織も変わらない。

《島田》 民主党の中には日銀出身の若い人がいますね。やりきれるパワーはありますか。

《鳩山》 大塚君とかね。やりきれるパワーありますよ。われわれより若い連中はすごい能力ありますからね。彼らが育ってくれば、育ってますが、相当な力になりますよ。私は特に沖縄のみなさんに信じていただきたいんですが、若い人達の顔を見て下さい。自民党と民主党と、ま、われわれ年寄りはいいですから。明らかにわれわれの若い民主党に託そうという気持ちになりますよ。

《大嶺》 期待したいですね。そろそろそのタイミングでしょう。

《鳩山》 いいこといって下さるなあ。

《島田》 小泉政権はどうなります。

《鳩山》 小泉さんは予測不可能なところが面白がられているんですよね。

 私は一ヶ月前から解散しかない、政治不信がきわまっているときにいくら議論してもだれも聞く耳持たないよ。ならば全部チャラにするしかないでしょう。国民一人ひとりに自分たちの選挙区ではだれがいいかもう一度責任を持ってみていただいて選んでもらう。そこがスタートしない限りこの国の政治にはだれもいうこときかなくなります。だから解散を要求しているんですが、私は解散の可能性があると見ています。

 時期は六月です。会期末でしょ。ぎりぎりの中で何が起こるか分からない。というより起こして行かなきゃならない。

《島田》 今日も大きな選挙が三つあるんですね。新潟・和歌山・徳島とまだ結果はでていないですが。大事な選挙の時に沖縄に来ていていいんですか。

《鳩山》 アハハ。それは投票当日は地元の方々に任せて、三連勝して沖縄からメッセージを出したいですよね。


有事法制は必要だが

《島田》 今国会では有事法制をやってますが、これは沖縄は他の四十六都道府県とは違う高い関心があるんです。過重な負担がますます大きくなるという報道になっています。

《渡久地》 ますます過重になるよ。この問題は日本中であまり感心がないみたいですんなり通るんじゃないかな。沖縄はこれだけ米軍基地があるのだからアメリカがどこかで戦争をやっている限り、必ず反撃の対象となるわけで、そうすると沖縄はいつも攻撃される恐れがある。沖縄はアメリカが戦争をしている限り常に有事状態だとなる。で、有事だということになれば日本全体が警戒態勢になるわけですが、こないだのテロの時に分かったように特に沖縄は警戒するわけでしょう。その結果、観光客が激減しましたけど、それと同じことがまた起こる。だから、攻撃される恐れがあるというところまで含めると沖縄は厳しい。

《鳩山》 この問題は深刻だと思っています。

 私どもは緊急事態法制というのは必要だと思っているんです。それは他国が日本の領土に攻め込んできたときの話ですよ。その時、無防備にというか、なるがままよという無政府、無秩序、超法規でなんでもやればいいんだというのはやっぱり怖いわけです。そうなっちゃいけないからその時に自衛隊が行動しやすくするために何らかのわれわれの基本的人権が制限されることがあるかも知れない。でもそれは極力抑えなければならない。そのバランスをどうとるかって言うのが一番重要な議論で、その議論を今回の有事法制の中でしてないんですよね。

 われわれの基本的人権が侵されたときに例えば補償などはどこまで求められるのかというところが極めて曖昧になっている。テロとか不審船とか様々な緊急事態があるのにそれも議論してませんよね。これでは議論のしようがありませんよというのが率直な気持ちです。

 それからいま沖縄の話がありましたが、沖縄はやはり米軍基地があるだけに「恐れがある」という話になれば例えば周辺事態ということになれば、周辺事態の定義として将来このまま行けば日本が何らかの攻撃を受ける恐れがある、ということが周辺事態なんです。だから、周辺事態も含まれるという話になってしまうと、周辺事態も有事だと、有事法制に収めるんだということになってしまうと、非常に怖いんです。

 しかもアメリカに対しては協力を求めるということになっていますから、日本国内では自衛隊は日本の法律に則って行動しなさいよと。でもアメリカ軍はその時は法律はなくてどうぞご自由にやって下さいという話だとアメリカ軍の方が自由度が高いという話になってしまって、あべこべなんですよね。その部分が法律としてお粗末だから、私たちはよし分かったといって目をつぶってハンコなんてことにはならないんです。

《渡久地》 テロの時に今回のテロは有事だと首相がいえば有事になるんですか。

《鳩山》 首相がというより、アメリカがいったら首相がいうという変な話になりそうな気がするでしょ。そこが一番怖いんですね。

《渡久地》 そうすると沖縄はアメリカの都合で永遠に有事ですね。しかも地域限定で。他の県には米軍基地は(少く)ないんですから。

《大嶺》 今の話うちの会社も北海道から沖縄まで事務所がありますが、沖縄以外ではほとんど関心ないですね。私は軍事は専門ではありませんが、私的所有権はどうなるんでしょうか。それは二年以内に決めるとして先に有事三法は通してしまえじゃとんでもないですよ。

 場合によっては沖縄は常時有事ということもあり得る。われわれの私的所有権がどこにあるのか見えない。もっとロジックを固めるべきです。もっといえば他県の社員が関心がないということは侵される恐れがないんです。有事が身近じゃない。この温度差は大きい。

 有事に国民を守るというのは当然のことですが、その時のリスクは沖縄も含め国民全体で平均的に持つべきではないですか。この温度差も大きいですよ。

《島田》 百三十万人くらいの人口があるのですから忘れないで頂きたい。

《鳩山》 忘れることはありません。

《島田》 九月十一日のテロがあって、それまで沖縄は観光という産業を育ててきて、基地と観光は別のものだと思ってきた。しかし、テロで観光客が三割も四割も落ち込むことが分かった。有事となると直接観光に響いちゃうことも分かった。

《上原》 テロで観光客が激減したというのは首相にも大きな責任があります。テロはアメリカと中近東の戦いという構図があって、日本はかかわってない。アメリカ軍はかかわっているけれども沖縄という地域は関係ないんだよということを首相がパチーッといえばかなり日本国民の動揺はおさまったんじゃないか。その辺のリーダーシップを発揮すべきだった。

《鳩山》 おっしゃるとおりだね。小泉さんも沖縄に関してはほとんど頭の中にないんじゃないですか。それは非常に大きな問題だともいますね。

《島田》 修学旅行はしばらく沖縄はひかえなさいというような書面を文部科学省が出したんです。それはやっぱり危ないということを政府として言ったということで今の上原さんの話になるんですね。

《鳩山》 私の選挙区でも有珠山というのがあって一時有珠山の周辺から小学生の姿が消えた。今は少し回復しましたが、その問題とね沖縄には基地があるから観光は危ないというのは全く違うんですよ。

《島田》 機動隊五百人が米軍基地を守ると言って配備されたのですがこれで、どっとキャンセルに勢いがついた。有事に関してはここまでにしましょう。

《渡久地》 有事にしないために一生懸命すべきだね。

《鳩山》 それが一番です。


当然に過去の清算を行う

《島田》 さて、小泉政権の歴史的意義はなんだったと考えますか。

《鳩山》 歴史的役割を終えたと自民党に対して言われていて、その自民党をぶっつぶすと言うことを一年間やってきた。そこでどこが問題なのか顕在化した。しかしそれに対して解法まで示したかというとそれは全然見つけていない。という意味で私は国民にとって大変もったいない一年だったと見る。

 問題の発見ということならわれわれに政権を与えてくれれば当然に過去の清算を行うわけですから問題点を指摘できたし、当然それだけじゃなくて例えば官僚組織を変えるとか、政と官のあり方を変えるところからスタートしますから政策自身も変えることができたんです。

 したがって遅くはないからわれわれに政権を渡してくれと。野党のみなさん方との協力の下でしっかり政治をやりますというメッセージをこれからわれわれは出していく。


小沢さんとの信頼関係を高める

《島田》 先週東京に出張したら毎日新聞の一面をつぶしての鳩山さんと小沢さんの対談がでていた。たびたび会われているんですね。

《鳩山》 それは本会議場に行けばお会いしますけれども。

《島田》 小泉政権を倒すということを鮮明にしている。どんなスケジュールになりますか。

《鳩山》 一番大事なのは自らの力を高めなければなりません。批判ばかりじゃなくてわれわれに政権を任せたらこういうビジョンで国が回復しますよと。一番は地域中心の国造りです。そういうものを鮮明に打ち出していくことが必要だ。

 それを行いながら当然候補者の擁立も急ぐ。まだそれが十分できていないので急がなければなりませんが、民主党のパワーを高めながら他の政党にも協力を呼びかける。自分が弱いのに協力を求めれば烏合の衆となりますから、自らを高めていく努力が一番先です。

 それをやりながら例えば自由党の小沢さんと安全保障や経済活性化などいろんな議論をきちんとやっていく。どこまで協力ができるか、特に今日大事な選挙が行われているわけですが、選挙への協力体制を高めていって、選挙で協力すれば勝てるじゃないかという思いをみんなが自信として持つことが大事ですね。

 それとまだ信頼関係が必ずしもないんですよ。小沢さんと私の間も。それで信頼関係を高めていくためには人間的にお互いを知らなければならないと思っています。

《島田》 小沢さんと鳩山さんじゃ雰囲気違いすぎますよね。

《鳩山》 アハハ。高校は同じなんですよ。彼が先輩なんですけど雰囲気違うんです。

《島田》 それで一緒に倒閣しようということになっている。

《鳩山》 倒閣という大きな目的のためには、小さな違いはやっぱり乗り越えなければならない。党は違うんですよ。一つの党になろうっていう話じゃない。

《島田》 細川政権の時もそんな形でしたね。

《鳩山》 そうです。あのときの失敗はわれわれの教訓です。

《島田》 国民から見ていると九八年の金融国会の時に、もしかしたら政権がとれたんじゃないか。去年も森さんがあれほどガタガタの時に森さんを追い込まないでズーットやらせていて、追い込んだから小泉さんみたいなのがでてきたわけで、あそこでも政権がとれた。二回のチャンスを逃したわけですが。

《鳩山》 逃したという言い方ではなくて、先ほどからいっているように国民の生活の方を大事にして菅直人が「政局にはしない」といったんです。いうべきだったかどうかは分からないけれども、ごたごたの中で政権を担当することを選ぶよりも、すなわち金融を破壊的な状況に追い込めば国民もこんな政権じゃダメだということになるでしょう。そのような金融破綻敵情帯にしていいのかということを悩んでそれよりも小渕さんでも助けて国民のために仕事をしてもらおうじゃないかという発想になったんです。

 ですから、小沢さんと私の違いはそこにあっただろうと思う。彼は金融破綻があってもかまわない、何が起こってもとにかく政権をとるのが大事だというのが小沢さんの考えですよね。

 私どもは国民のことを考えながら、政権も目指していくという二律背反に見えるものを目指している。

《大嶺》 われわれはどの政党が政権をとるかには関心はないんです。どんなことをするか、それだけです。いまはこの指とまれで集まる時代ではないですか。確かに自民党による政治というのはもうシステム疲労に陥っているという印象です。小沢さんとの連携などいろいろありますが、むしろこんな国にしますよといってもらえばわれわれもついていきますよ。

《鳩山》 そのご批判は甘んじて受けたい。ただ、政権を代えない限り過去の総括というのが出来ないんです。戦後処理もいまだに終わっていないという話はね、自民党政治がズーッと続いているからそこの部分の総括さえ出来ていない。

 私どもは総括します。なぜ小泉政権ではだめだったのかを総括して、例えば細川政権は今の官僚制度の上にのっかった政治をやっていたのがいけなかったという私どもの大きな反省があり、そこから大きく変えますから、できるんです。


地位協定、平成の条約改正目指す

《島田》 政権交代となった時に一番首相のイスに近いのが鳩山さんです。ここの四人は根っからの沖縄人で、日本語もあまり上手じゃないんですが、沖縄の話。ここ一週間くらいで米軍機が空からポロポロ物を落とすんですよ。なかには燃料をばらまきながら飛んだ米軍機もある。この状況を変えられますか。

《鳩山》 そうだね。だから根底の部分を変えなきゃだめということでしょう。

《島田》 その根底は日米同盟の問題になって行くんでしょうけれども、一つは地位協定というものを改正してくれと沖縄側は言い続けてきた。

《鳩山》 私ども民主党も当然、地位協定の改正を目指します。これは平成の条約改正といっているのですが、これはやらんといかん。そのくらいの気迫で臨む。

 小泉さんは経済政策もないんですが、一番まずいのは対米コンプレックスの固まりなんですよ。これは沖縄にとってものすごい悲劇だと思う。アメリカに対してこの総理はものをいえないんです。結果として日米地位協定などという話も気兼ねして何も改正を求められないでしょ。

 われわれは政権をとれば当然日米地位協定は条約改正だという思いで取り組んでいきますよ。緊急の場合、やむを得ないことがあるかも知れませんが、それ以外は民間の空港を使ってはいかんということなどきちっと盛り込まなければならない。環境保全も含めて当然条約改正は求めていきます。

《渡久地》 根底は基地そのものです。地位協定はその周囲にあるものでしょう。しかしそれさえ歴代外相や首相が何もいえなかった。官僚にコントロールされているからでしょうか。

《鳩山》 官僚もそうですけど、政権全体の問題です。何か弱みを握られているのかどうか私は分かりませんが、アメリカにものがいえない。

 私はアメリカは好きですよ。六年間留学してもいましたし。だからといって、世界の中で一極しか軍事大国がないという状況の中で、何でもしていいっていう話じゃない。

《渡久地》 アメリカと率直に話し合えば相手も分かるものがあるはずなのにそこまで行かない。

《鳩山》 そうでしょ。迫力がないですよ。

《渡久地》 アメリカの大統領と首相がこうしようよ、話すべきです。アメリカの言いなりになっている小泉さんはホワイトハウスの中でも相当にバカにされていますよ。タフに交渉せんといかんですよね。

《鳩山》 居酒屋で酒飲んでりゃいいってもンじゃないですよ。仲良くなることはいいんですけど、仲良くなったらいいたいことをいう。友人であれば間違っていればきちんと正す。

《渡久地》 そんなことができない人達がズーッと首相を務めてきたわけだ。

《島田》 この問題は官僚の問題でなく、政治が決めるべきです。役所に言ったって仕方ないですよ。

《鳩山》 だって韓国だってドイツだって地位協定の改正はやってるんだから、何で日本はできないんだっていう話でしょ。


海兵隊は最重要課題

《島田》 次ぎに、いま、普天間基地の移設が焦点です。橋本首相が県内移設を決め、その後議論があって北部に空港を造って移す、使用期限を十五年に限りたい、ということになっている。この問題についての考えは。

《鳩山》 まず民主党は最初県内移設じゃどうにもならないと反対していました。ただもう県を含めて名護の沖に移設するということで、知事選も市長選もありました。したがって、県民の意志を重視しなければなりません。そこででてきたのが十五年期限ですよね。私は十五年の使用で充分だと思うから、十五年ならまさに政府はそこの所に命を懸けた交渉をするべきです。で、十五年経ったあとで県民の皆さんからまだけっこうということがあるかも知れませんが、基本的には十五年という約束を決めてその中で使用を認める。軍民供用はいうまでもありませんが、それも含めてもっと厳しく交渉していく。これはやっぱり政府の問題なんです。

《島田》 政府の立場で十五年使用期限を受け入れてもいいじゃないかと。

《鳩山》 そういうことです。

《島田》 県内移設が決まる前は鳩山さんは県外移設を主張された。本音は。

《鳩山》 いま決まっている話の中でセカンドベストは十五年使用期限です。しかし私は海兵隊そのものが果たしてどこまで二十一世紀の世界の安全保障の中で沖縄に居続ける必要があるのかと、グアムというところをあえて出しながらグアムに移設するのが本来の筋ではないかと思っている。

 旧民主党の時代に申し上げたのは、常時駐留なき安全保障という考え方です。常にアメリカ軍がここにいるという話を考えてみて下さい。世界の歴史の中で一国の中に他国の軍隊が当たり前だという顔をして居続けて、その国がそれによって平和が守られている思うのは決して正常な発想ではないわけですよ。ですからどんなに時間をかけてもいいから、そういう状況から脱しなければならない。それは五年とか十年とか簡単なスパンじゃないかも知れないけど、長い歴史を考える中で常時駐留がなくなるような方向を目指す。ただ日米安保破棄ではないんです。日米安保の中でそういう方向を目指しなさいと、その中で基地の縮小、撤退は充分あり得る話でその方向を求めて行くべきだ。

 そこで例えば海兵隊の話なら、グアムに移設はどうですかという議論をしてました。それをいまでもベストだという発想で臨みたい。

《島田》 移設先にご出身の北海道という話もでました。最近では岩国が有力だという人もいます。

《鳩山》 苫小牧移設は沖縄で私が打ち出しました。本土というのも可能性の一つですが、本土よりも国外の方が正しい解決だと思います。

《島田》 海兵隊をどうするかという問題にも正面から取り組むと。

《鳩山》 最重要課題でしょう。東京が日々の仕事の中で忘れてしまったということでしょう。

《島田》 交渉力も弱いし。

《鳩山》 交渉力がないんです。最近はジュゴンの話がありますね。

《島田》 これはアメリカの自然保護団体も動くでしょうし、アメリカが本当にあそこでいいと思っているかです。

《鳩山》 環境省などがかなり努力をしてジュゴンの話を前面に出していくことになれば、はたしていまの場所でいいのかいいかどうか。これ根底から問題がまたぶり返すんじゃないかという気がします。


権限、財源を地方に移す

《島田》 さていま沖縄県は十年ごとの振興開発計画を三つ終えて、第四次の十年計画に入って行くところです。これまで高い失業率、脆弱な経済などを解消して自立していこうということが課題ですが、鳩山さんはどう見えるか。

《鳩山》 様々に政府が上辺を糊塗しているというか大きなことをしているぞといいながら実質は何も進んでいないという気がしますよね。先程、空港の所に自由貿易地域という立派な門構えがありましたが、ほとんど訪れる人がいない。

《島田》 いまコールセンターになっています。

《鳩山》 そのようですが、ああいうことじゃいけない。

 私どもは国と地方の関係を全取っ替えしたいんだ。すなわち、国が偉くて地方がその下に置かれているという発想はもうだめだ。そうじゃなくて一番大事なのは市民、国民の皆さん一人ひとりなんだ。その人達が地域で努力されているとすれば、地域がその次ぎに重要なんだ。国はどうしても国でなきゃ出来ない仕事だけやるようにすればいいんだという発想に変えるべきで、それに合わせて権限、財源を国から地方に移設するべきだ。

 これは沖縄の話だけじゃないんですが、とすれば一国二制度なんてのは当たり前の話で、一国四十七制度があってそれぞれ切磋琢磨するくらいがいい。

 失業率が高かったり、仕事がなかなか見つからない地域、経済力の差がまだしばらくあるでしょうから、その中では何らかの調整措置をする必要があると思うけど、最終的にはそれぞれの地域が自分たちの考え方で努力して権限も財源もつけて行動できるようにしていかなければならない。そのために米軍基地が集中している地域はそれなりの配慮は当然あってしかるべきだけれども、それを前提として様々な特区があるようですが、一国二制度を本気で沖縄全体で行わせるくらいの覚悟を持って政府が臨むべきなんです。

 ただ政府は中央集権的な発想ですから、地方にはやらせたくないわけですね。いまの内閣ではそういうことを小出しするくらいで済ませようとしているんじゃないですか。

《島田》 そこに踏み込んでいただけるんですね。ずっと前から望んでいたことです。

《鳩山》 私どもはそれをやるんです。

《渡久地》 本当は地域を囲って特区みたいな小さいことをいうんじゃなくて沖縄全部を特区にすべきですよね。運動場三つ分くらいの自由貿易地域では何もできないよ。沖縄全体で自由にやれよというくらいでないといけない。

《島田》 そのことが日本の国際貢献になりませんか。いままでの三十年間は過重な負担に対する対価としての振興策だったと県民も気づいてますよ。政府もそう思っているでしょう。しかしこれからやることは国際的に沖縄が貢献してくれということにしていくべきです。

《鳩山》 全くその通りです。


アジアの中の沖縄をサポートする

《島田》 地元の覚悟が必要だと政府からはいわれますが。

《鳩山》 それはやらせてくれっていう話でしょう。民主党にやらせてくれというのと同じですよ。どうせ与党も野党もできないのならオレ達にやらせてくれというわけでしょう。国と地方も同じですよ。どうせ地元ではできないだろう。だから国が守ってあげるよみたいな発想でしょ。これが一番まずい発想で、国が何でもやろうとするから無駄が出るんです。それで政治腐敗を招いたんです。また環境も破壊してきたんです。こういう弊害を除去するにはオレ達の町はオレ達にやらせてくれよ、そのかわりやるよというくらいの覚悟を見せなければならいけど、覚悟あるんでしょ。

《大嶺》 はい、あります。

《島田》 そのときはやらせますね。

《鳩山》 もちろんです。

《大嶺》 同じことだと思うんですが、国はカネは出しても口は出すな、というのが正直な気持ちです。基地の件ともつながりますが、結局国にとって都合のいいカネは出るけど、そうでないカネは出せんのだとなる。基地を愛している人はいませんよね。ただ経済には組み込まれているからその意味では同じカネを使うならわれわれの自由にさせるべきです。

 先程のヤマト運輸が郵政事業に参入しないといっているという話でも、表向きは参入制度を作るんですが本当はいやがらせなんです。われわれが持っている特区もそういう状態になっている。ついては制度も地方が使えるように造れ。カネは出す。口は出さないに尽きます。責任はとれということならわれわれがとりますよ。

《上原》 経済の話になりますが、新振計の目玉は金融特区になりますが、何もできないでしょう。しかし、活かす方向に持っていかなければいけないので、特区の中のことでいちいち国にお伺いを立てることが出てきて東京まで行かなければならないという状態にしないように、三つくらいの省庁を集めて副大臣クラスを置いて沖縄の中で判断が下せるようなサポート体制が必要です。

《渡久地》 副大臣なんかいらないよ。上原守が判断すればいい。

《島田》 そういう時代が来ますか。

《鳩山》 政権をとればできますよ。いや、だから今のままじゃできないと思いますよ。官僚の手の平に乗せながらどうぞ自由に泳いでいいですよという発想でしょう。これじゃいつまで経っても良くならないですよね。

《島田》 先日台湾のお客を迎えたのですが、医療、教育、金融、国際救助などの分野で沖縄は日本の制度から外してもらえという。それだけで充分なことができるんじゃないかというわけです。で台湾の人達は自分たちは自治があるからできるよ、君たちはないでしょうというわけです。

《鳩山》 自治体といいならが自治がないもんな。

《島田》 台湾はだからあそこまで体を張って自治を持っている、そのことが非常に心に響いた。

《鳩山》 ホントの意味での自治だよね。自治省というのがいままであったというのもおかしいんだよね。国が地方に対して自治省といっておさめていくという発想だったでしょう。それが総務省になって名前は変わったけど考え方は残っているわけでしょ。

《島田》 この番組は沖縄だけで流れているのではなく、インターネットで世界中でみられるようになっているのですが、最後に沖縄県民へのメッセージをお願いします。

《鳩山》 沖縄の皆さん。こういうケーブルテレビの番組に出させていただいたことをは私は非常に喜んでいます。私の思いが少しでもご理解頂けたなら何よりです。

 いま申し上げたように民主党という党が国と地方というものの力関係をひっくり返したいというそこの部分が、自民党と民主党とどこが違うのかさっぱり違いが見えないという中で私は一番大きな違いだと思っています。その違いを活かせる一番の利点を持っている県が沖縄県だと私は思います。

 その意味では本来私たちの考え方が一番理解していただけるのが沖縄県の皆さんだというふうに確信しております。これからも様々われわれの思いを皆さん方に聞いていただきたいと思います。

 皆様方が今日、大変ある意味での苦しい状況の中でご努力されてきたことに心から敬意を表しながら、いよいよ沖縄復帰三十周年を迎えてこれから二十一世紀は世界の中での沖縄のあり方、アジアの中での沖縄の生き様というものを自ら見いだすことができるようなそんな沖縄になっていけますように私どもはサポートできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。

《島田》 有り難うございます。首相のイスに一番近いという鳩山さんです。ここでの発言は映像として残こしてズーッと持ち続けますので、首班を受けられたときも、そうでないときでもぜひくれぐれも沖縄のことをよろしくお願いします。

《鳩山》 当然です。

《島田》 では週末は沖縄の海も楽しんでいただいて、無事にお帰り下さい。これからもご活躍祈っております。

タグ :政権交代米軍基地一国二制度鳩山由紀夫

Posted by 渡久地明 at 13:54│Comments(0)│TrackBack(0) │琉球の風(区別不能の原稿)
との7年前の対話 (8/31)
 

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