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【相関関係と因果関係の違いについて】---(宮城教育大学のHPより)
http://www.asyura2.com/09/senkyo72/msg/952.html
投稿者 梵天 日時 2009 年 10 月 09 日 09:50:44: 5Wg35UoGiwUNk
 

(回答先: 日教組の強い地域で、学力テストの点数が低い、ということは--(大学教員の日常・非日常) 投稿者 ミスター第二分類 日時 2009 年 10 月 09 日 09:43:08)


http://staff.miyakyo-u.ac.jp/~m-taira/Lecture/simple-but-important.html

【相関関係と因果関係の違いについて】---(宮城教育大学のHPより)


 気圧計を読むことができないような状況では,直接的に観察しうる指標としてカエルが重要な役割をもつかもしれない。
 直接調べることができない状況でも使いうる,「ユーザーとして重要な指標」を見つけることも心理学的には十分意味がある。
 利用の簡便性という観点が重要とされることもありうるわけだ(数理的な解説は平のホームページに掲載されている講義資料「回帰分析」を参照)。


「カエルが鳴くから雨が降る」
 = 「気圧が変化するからカエルが鳴く」
 → 「カエルが鳴くから雨が降る」


 ただし,因果関係の全体像がすでに明らかにされている場合には,たとえば,「カエルが鳴くから雨が降る」という関係は相関関係であっても,因果関係とはいわない。
 現代人であるならば,カエルが鳴くこと,雨が降ること,気圧計が変化することは,以下のように平行して生じる現象として理解するべきである。

 
「気圧が変化するから」 → 「気圧計が変化する」
「気圧が変化するから」 → 「カエルが鳴く」
「気圧が変化するから」 → 「雨が降る」


 しかし,大昔のように気圧の変化という概念が存在しない場合には,「カエルが鳴くから雨が降る」というのは,因果関係として認められていたのかもしれない。

 つまり,カエルが雨を降らせる何らかの霊力を持つ存在と考えられていた可能性もあるわけだ。
 たとえば,気圧の概念を持ち得なかった江戸時代の人々の場合には,以下のような因果の連鎖と考えても不思議はないだろう。
 また,気圧計を利用できない状況などでは,江戸時代の人々のようにカエルを気圧計の代わりに使うべきであろう。


「(カエルには雨を降らせる霊力を持つから)」

 = 「カエルが鳴く」
 → 「雨が降る」


 たとえば,高校生くらいまでは身長と学力や語彙の数とが相関しているが(学齢が上がるから当たり前),これが因果関係でないのは明白であろう。

 しかし,年齢が全く分からないときには,見た目だけで学力の高さを判断しなければならない。
 そのような場面では,賢そうな顔とかそういった判断基準も有効かもしれないが,身長の高さに基づいて判断した方がより妥当性が高いと言えるであろう。

 つまり,因果関係を直接把握することが難しいときには,このような便宜的な指標を使うことにも意味があるということである。

 以上のことから分かるように,変数どうしの共変動 を相関関係と呼ぶべきか,因果関係と言って良いかは区別しておく必要がある。というよりも,因果関係を主張するときには慎重になるべきである。


因果関係が成立する条件としては以下の4つが挙げられている。

 時間的先行性

 変数間の結びつきの強さ

 関連の普遍性

 関連の整合性

 ちなみに,男性は高校から身長が伸びることもあるが,女性は高校生になると身長が伸びない人が多い。
 要するに身体的な成長に性差があるわけだが,このような場合には,男子高校生では身長と学力の相関が高く,女子高生では相関が低いという結果が得られるはずである。

 心理学では,このように単に相関関係を確認するだけではなくて,属性(e.g., 男性・女性)によって相関関係が違うことを調べることも重視される。
 たとえば,適性処遇相互作用(ATI: Aptitude Treatment Interaction)といった概念は教育効果の測定では基本中の基本である。


さて,上記の相関関係の考察からさらに一歩進めて,「共通する内在変数(潜在変数)」という概念について少し考えてみよう。

 カール・ルイスのように走り幅跳びでも100m走でもメダルを取るような選手がいるし,最近?でもマリオン・ジョーンズ選手のような女性が存在する。

 すなわち, 100m走のタイムと走り幅跳びの距離とは相関関係にあるといえるであろう。
 このような場合には,一方の変数を原因・結果と見なすのは間違いで,両者のパフォーマンスを支える「脚力の強さ」という2つの現象に共通した変数を考えるべきであろう(図1参照)。

   100メートル走のタイム⇔⇔走り幅跳びの距離
       

            脚力

図1.因子分析的なモデル(SEMライク?)


 心理学の分野では「脚力」のように抽象的で測定(定義・定式化)することが難しい要因を,実際に目に見ることができる現象の原因と想定して研究を進めることがある。

 この場合の因果的予測の方向性は「脚力から100mのタイムや幅跳びの距離をを予想する(脚力=外生的な潜在変数)」ことになるだろうが,実際の方程式の中では逆向きの「100mのタイムや幅跳びの距離から脚力を予想する(脚力=内生的な潜在変数)」となっても構わない。どちらの方向の方程式を採用するかは研究目的と照らし合わせて決めるべき問題である。

 他にも,理科系の学力とか文科系の学力など,直接観測はできないけど想定しておくと便利な潜在変数というのが心理学では沢山ある。たとえば,受験時の試験科目として5教科が課せられているとして,その中で,どの教科の得点が入学後の取得単位状況にどのような影響を持つのかを考えるようなときには,この手の潜在変数を含んだ分析モデルを考える必要があるだろう。
 入学試験(センター試験や内申書を含む)の重みづけは,その学部・学科の学力モデルを具現化したものとも言えるので,受験で課している科目と入学後のカリキュラムとがミスマッチを起こしているかどうかを考察するときにも,こういった潜在変数を含んだ思考方法は便利である。

 更に別の例を挙げるならば,朝食を食べる児童は学力が高いという「相関関係」が存在するらしいが,朝食を食べたからといって,学力が上がると素直に信じる人は誰もいないと思う

(しかし,マスコミに発表されるときには,この相関関係が因果関係として提示されるので…ヘンテコな話として流布される)。

 裁判官が餓死したり,欠食児童が多数存在していた時代ならイザ知らず,今の日本でこの関係が因果関係でないのは明らかであろう。この場合には,社会的な階層性とか,家庭の教育力とか,「隠れた学力 (hidden curriculum)」を共通する潜在変数として想定すべきであろう。


 話を整理すると,要するに,心理学では,観測可能な変数(観測変数: observed variable)と,観測することが難しい変数(潜在変数:latent/unobserved variable)という二つの異なる種類の変数を扱うことがあるといえるだろう。

 因子分析などで頻出の因子(factor)が代表的な潜在変数の例であり,これは正確に書くと,共通因子(common factor)と表現されることもある。観測された変数(観測変数)どうしの共変動が相関関係であったばあいに,その相関関係を成立させている原因(潜在変数)を明らかにするための分析が因子分析であると言い換えることができるかもしれない。


 調子に乗って少し脱線すると,観測された変数の変動(説明的に書くと→質問紙の中の各項目のバラツキ=分散)は,共通因子とそれ以外(独自因子: unique factors)から説明可能と見なすのが,因子分析の基本的な考え方である。

 つまり,潜在的で観測できない変数には,系統的にまとめることができる共通因子と,そうでない独自因子(誤差)の二つが存在するということである。

 そして,それぞれがどの程度観測変数に影響を持っているかを分かりやすく?表現したモノが,因子負荷量(factor loadings)と因子パターン(factor pattern)である。
 前者が直交回転(orthogonal rotation)をしたあとの結果,後者が斜交回転(oblique rotation)をしたあとの結果に相当している(斜交回転をしたときには,因子間相関係数も忘れずに)。
 どちらの回転を選ぶかは,モデル(仮説)と照らし合わせて検討すべきことなので,分析をする人間が決めてよい。
 しかし,先行研究が沢山おこなわれているような状況でない限り,一般論として,いきなり直交解を求めるのはあまり好ましくないかもしれない。。。なぜならば,互いに独立した因子であるという仮説が必要とされるから。 cf. 心理学論文の典型例


 また,知能研究などで典型的に当てはまる話であるが,こういった潜在変数は,どうしても操作的な定義(operational definition)にならざるをえない。

 質問紙の中で全ての観測変数を網羅することは事実上不可能であるため,その状況で観測可能な項目が,その潜在変数の実質的な定義になってしまうからである。

 つまり,本当は,潜在変数に関わる全ての要素を測定すべきであるが,それは実行不可能なので,「知能検査で測っている内容が知能である」といった操作的な定義になってしまうということである。
 逆にいうと,心理検査で測っている内容は,一般的に極めて限定されたものであるということである。
 そして,後述するような妥当性の問題がでてくるのである(研究者が独自の理論・モデルにもとづいて知能を定義することは自由だが,それが妥当かどうかは別の話ということ)。 だから,心理学が占いよりも当たるかどうかというよくある質問も,当たるときもあるだろうし,当たらないときもあるだろうという回答になるのである。 cf. 講義資料: 知能指数,心理検査・心理テスト


 蛇足ながら,分析手法としては,前者のモデル(潜在変数を元に予測)では因子分析 ないしは共分散構造分析(SEM)を利用するのに対して,後者(潜在変数を予測)では主成分分析とか 重回帰分析を用いることが多い。
 予測(推定)をするときには常に誤差がついてまわるので, 誤差項(独自部分,攪乱変数など)がどこにあるのかに着目すると,それほど混乱しないで済むと思う。

 また,ここまでパス図的な思考に慣れてくれば,ニューラルネットワーク的なモデルにあと一歩のところまできたことになる。意欲的な人は,ぜひそちら方面にも手を出してみて欲しい。 この辺りはすっかり自分のことを棚に上げて書いていますが…。


しっかり朝食の子、6割が「学校楽しい」・千葉大教授ら調査

 本当かどうかは分からないけど・・・。こんなニュースが流れていました。マスコミって恐ろしいですよねえ。

 主食と主菜、副菜、一汁の4品がそろった朝食を食べている小学5年生の61.8%が「学校がとても楽しい」と感じていることが28日、千葉大の明石要一教授(教育社会学)ら研究者グループが2006年に実施した調査でわかった。

 朝食が不足している子どもは生活の夜型化の傾向が進んでいることも明らかになった。

 食事などが子どもの生活リズムに与える影響などを調べている明石教授らの調査研究会が実施。06年9月、東京や鳥取など1都2県の小学校4校の5年生計231人を対象に調べた。 (07:00)

 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070529AT1G2803928052007.html
TV shows make you fat


 このタイトルはThe Japan Timesの記事で見かけたものですが、有り得ない因果関係を利用して読者の興味を引きつけている点で、記事としてよくできていると思います。 ↓は元ネタでしょうか…。

 Entertaining TV shows make you eat more
 --- Distracted brains don't notice how much you're shoveling into your mouth

 It seems that distracted brains do not notice what the mouth is doing, said Dr. Alan Hirsch, neurological director of the Smell and Taste Treatment and Research Foundation in Chicago.
 http://www.msnbc.msn.com/id/19014841/ (2007.06.06)


 直訳すれば、「テレビ番組があなたを太らせる」というニュースですが、因果関係の誤謬がいくら一般的でも、テレビを見ているだけではカロリーを摂取できないのは明らかです。
 モニタから発せられるある種の電磁波を受けることでカロリーの消費が著しく低減すると推論することも可能かもしれませんが、これも、あまり賛同は受けないでしょう(そもそも不健康ですし)。
 この場合には、テレビの視聴時間と肥満度の関連性を成立させているような、何か別の要因が存在することが容易に分かるでしょう。


 要するに、娯楽番組を見ていると(テレビを見ながら)食べていることを忘れてしまうので、普通の状態よりもより食べてしまい、結果的に太るということです。

 おそらく、テレビを見ている時間が長いと運動不足にもなるから、そういう加算効果もあるでしょう。
 つまり、この現象も、特定の生活スタイルをもつ視聴者層という潜在変数的な考えが有効である事例になっているような気がします。

 

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