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参院単独過半数へ「小沢幹事長」が目論むウルトラC   【フォーサイト】
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投稿者 愚民党 日時 2009 年 11 月 06 日 17:24:15: ogcGl0q1DMbpk
 

参院単独過半数へ「小沢幹事長」が目論むウルトラC(2009年10月号)

野々山英一 ジャーナリスト


 「最近、体調もいい。二十年前に戻ったつもりで、鳩山政権を支えようと思う」

 民主党新幹事長・小沢一郎氏は最近、側近議員にこう漏らす。剛腕とは思えない殊勝な言葉は、揺るぎない自信に裏打ちされている。「二十年前」とは一九八九年、海部政権で幹事長に就いた時のことをさす。二十年ぶりの与党幹事長就任で権力の中枢に返り咲いた小沢氏は、早くも次の一手を打ち始めた。

 今、小沢氏の頭の中には来年夏の参院選のことしかない。民主党は衆院では三百を超える議席を持ったが、参院では過半数に九議席足りない。民主党が政権運営で完全に主導権を握るには、参院選で勝ってねじれを解消する必要がある。だから小沢氏は参院選を最優先に考えているのだ。

 だが単独過半数を得るのは難しい。先の衆院選の結果をそのまま参院選に当てはめた場合、自民党と公明党の選挙協力が機能すれば民主党は単独過半数は確保できないというシミュレーションがある。衆院選を上回る追い風が民主党に吹くことは考えにくいことを考慮すると、単独過半数は限りなく困難な数字だ。

 しかし小沢氏は、勝算ありと考える。九月十日には党本部を訪れた側近議員に、参院選勝利の秘策を「二人区の二人擁立だ」と明かした。

 二〇〇七年の参院選で、民主党代表だった小沢氏は全国で二十九ある一人区を主戦場と位置付け自民党に圧勝した。一方、十二ある二人区の大半は自民党と民主党が一議席ずつ分け合う「指定席」となり無風だった。小沢氏は来年の参院選では二人区に戦線を広げ、二議席独占を図ろうとしているのだ。

 二人区の大部分からは、現職が再出馬する。もう一人の候補をどう探すか。小沢氏に近い民主党関係者が、小沢戦略を語る。

 「人材はいくらでもいるが、有力候補は自民党にもいる」

 衆院選で、自民党大物が相次いでバッジを失ったのは記憶に新しい。彼らは引退するか「次」を目指すか決めかねている。馬齢を重ねた政治家にとって、最長で四年後となる次の衆院選は、あまりにも遠いのだ。ならば、前自民党衆院議員を一本釣りして来夏の参院選に出してしまおうというのが小沢氏の発想だ。

 定数二のうち一議席は民主党現職が取る。残る一議席を自民党候補と前自民党衆院議員の民主党候補が争う図式に持ち込めば、うまく行けば二議席独占できるし、そうでなくても自民党現職の票をある程度奪うことができる。

 衆院選で敗れた自民党大物のうち、参院二人区を地盤にするのは茨城の丹羽雄哉氏、長野の小坂憲次氏ら。彼らにも自民党で育ったプライドはあるだろうが、一年で政界復帰できるなら魅惑的な提案なのは確か。民主党としても後援会に支えられた彼らの票は、のどから手が出るほど欲しい。

 小沢氏は先の衆院選で、この実験を既に行なっている。比例代表の下位に元自民党議員の沓掛哲男、小林興起の両氏らを滑り込ませ、当選させているのだ。清新さで売る民主党のイメージとは合わないが、二人は地元では一定の影響力を持つ。二人を味方につけて自民党にダメージを与えることに成功した。

 小沢氏は当選した自民党衆院議員にも秋波を送る可能性がある。小選挙区で当選した自民党衆院議員は、六十四人だが、加藤紘一氏、園田博之氏、保利耕輔氏ら十八人は民主党の候補のいない選挙区から勝ち上がっている。彼らは、選挙区事情を見る限り自民党を見捨てて民主党に行っても支障は少ない。民主党にとって衆院の議席を増やすメリットは、あまりないが、彼らが加われば参院選で強力な助っ人となる。

 自民党大物を使って参院過半数を目指す……。実現性にも疑問はあるが、相手に楔を打ち込んでから戦いに挑むというのは、いかにも小沢氏が考えそうな戦術ではある。

http://www.shinchosha.co.jp/foresight/20th/2009/09/65.html



 

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