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アメリカより低い日本の貯蓄率、その意味するところは、、、。
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投稿者 taked4700 日時 2009 年 12 月 02 日 03:04:57: 9XFNe/BiX575U
 

アメリカより低い日本の貯蓄率、その意味するところは、、、。

 この投稿の最後に3つの記事を引用する。どれも、日米の貯蓄率について述べたものだ。書かれた日付順に古いものから並べてある。最後にある「日米家計貯蓄率の逆転」は、短い記事だが、とても興味のあるものなので、ぜひ読んでいただきたい。

 ともかく、日本の貯蓄率は二番目に引用してある記事にあるように昨年、つまり、2008年5月時点ですでにアメリカより低くなっている。その原因は最後に引用してある記事にあるように日本の人口構成が少子高齢化により退職された方の比率が高くなったためと、もうひとつは格差社会化のためエンゲル係数の上昇によりそもそも貯蓄の余裕がなくなってしまった家庭が増えてしまったためだろう。日本の貯蓄率低下は今後も続くはずで、日本は多分2%を切って1%を多少超えるか超えないかぐらいで安定すればいいほうだろう。このような状況は多分かなりのことへ影響を与える。それを、ここ数年の動きを含めて、多分今後起こるだろう現象順に追っていこう。

1.  アメリカが今までのような消費大国ではなくなる。つまり、日本を始め世界の多くの国がアメリカへ輸出して経済を回すということができなくなる。これは、すでにそうなっている。

2.  日本で国債や地方債を買うための国民資産が足りなくなり、国債や地方債の表面利率が上がる。または、日銀が直接国債や地方債を引き受ける事が大規模に始まる。まだ表面化していないが、3との兼ね合いであり、今の民主党政権を見ていると、来年後半から再来年には国債利率の暴騰がありえると思う。

3.  日本国内での公的支出の切りつめが急激に進む。このことは、現在すでに進行しつつある。こちらも2との兼ね合いで、一種の悪循環に入る可能性が高い。新しい産業の開拓ができず、税収が長期に減っていき、かといって増税するとますます景気が悪化すると言う悪循環だ。2009年現在、すでに予備費とか積み立て基金がほぼ底をついた自治体がかなりある。国は新たに地方債を発行することを認めることで財政を回そうとしているが、地方債そのものをこれ以上受け入れることができない状況に早晩なるはずだ。株の配当金への増税や高所得者への増税ができればこの悪循環から抜け出すことがきるはずだが、どうだろうか?

4.  どちらにしても、日銀が無制限に国債引受をすることはできない。単に輪転機を回して金を出せばそれで経済が動くと言うなら、誰も働かなくなるからだ。日銀が輪転機を回せるのは、単に、富の偏在があり、その偏在をある程度、暴動が発生しない程度にほんの少し埋める範囲でのことだ。富の偏在を完全に埋めることは金を持っている連中にとって、自分たちの金が無意味化することだから絶対にやろうとしない。

5.  民間部門の疲弊がひどくなり、地方経済の落ち込みや都市部での生活困難者の激増、都市部地方部を問わず治安の悪化が表面化など、市民の生活環境の激変が起こる。多分、地方公務員への風当たりが非常に激しくなるはずだ。具体的には生活困難者の激増とそれに対応できない市役所への非難ということだ。それとともに、高齢者や若年単身者の孤独死といったものが一般化する可能性が高い。そしてこれが一層の治安悪化につながる。

6.  地方のマスコミの淘汰が始まる。現在でも地方のテレビ局は、かなり経営が苦しいところが多い。多分、1県1民間テレビ局といった体制になるか、または、地方のブロック化が進み、四国4県で民間テレビ局がひとつと言った体制になる。新聞も同じような経過をたどるだろう。2009年現在では地方紙がその地元のほとんどの世帯を押さえている県も多い。しかし、経済そのものが全体的に落ち込んでしまうと、却って占有率の高さが裏目に出ることもある。また、多分少し遅れて中央のマスコミの淘汰が始まる。多分、2015年ぐらいまでにはそういった動きが出てくるだろう。

7.  マスコミのブロック化が進んだ場合、ほぼ同時進行で、または、先行して、地方自治体のブロック化が始まる。一種の道州制だが、国からの税源委譲がある程度されて、それ以上の国の負担を避けると言う必要性があるからだ。しかし、その結果、きめの細かい行政が却ってできなくなり地域の衰退が加速する。ブロック化は単に行政の延命のためと言う意識で行われてしまう可能性が高い。こちらも2015年ぐらいまでにはほぼ確実にそういう体制へ移行しているはずだ。

8.  円安・ドル高基調が鮮明になる。2009年12月現在、円高が急激に進行しているが、アメリカの貯蓄率が高ければ、それが産業資本としてアメリカ国内の工業生産へ投資され、アメリカの輸出産業が伸びる結果につながる。実際、オバマ大統領の政策は産業振興であり、今後、アメリカ国内の工業生産が伸びて行く可能性は高い。日本国内の団塊の世代が年金受給年齢の65歳になるのが2013年ぐらいからであり、2015年には日本の財政破綻が鮮明になり、それも円安を招く要因だ。

9.  国外への出稼ぎが一般化する。2009年時点で多少そういった動きが目立つようになってきているが、中国やインドの経済発展に伴って、それらの国々への出稼ぎが加速度的に増加する。多分、ある程度技術を持った中高年がまず海外へ出かけて行き、その後、日本国内で就職先が見つからない若年層が続くと言う形になるはずだ。日本国内では産業自体が衰退し、高齢者のケアビジネスも経済悪化により雇用の吸収ができない。また、資産家層の海外移住も進む。オーストラリアのパースなどに日本人村ができていくだろう。

 では、今できることは何か?

 まずは、円高が進行しているので頃合いを見て外貨貯金がお勧めだ。自分はすでに余裕資金がないので外貨預金ができないが、もし自分が今やるとしたら当然ドルを買う。ドルの破綻はありえないと思う。ただ、あくまでご自分の責任でやっていただきたい。うまく行かなかったときに僕に責任を求められても責任をとることはできない。

 次に、日本国内のエネルギー確保をさまざまな形でやることだ。余裕資金があるなら、太陽光パネルをつけることもいいと思う。将来、大きな地震が来たら、その地域で電力供給が止まってしまう可能性は高い。できれば、地域で、地熱発電をやるべきだと思う。これは繰り返し言って来たことだが、地域で産業を起こせる規模のエネルギー供給ができることがその地域が経済的に自立できるもっとも基本的なことだからだ。今後、電気代は高騰する。太陽光発電などの買取費用が一般の電気代へ転嫁されるし、原子力発電の高レベル廃棄物の処理費用や、廃炉費用などが発生するからだ。原子力発電の発電単価は1kw時5円と言われているが、これは原発の建設費用と運転費用のみで計算したもので、現実の原発の発電コストは廃棄物処理や廃炉費用などでかなり高いものになる。このことがほぼ表面化するのがやはり2015年ぐらいであるはずだ。それに、原油やLPGなどの値段も今後高騰するはずだ。需要が伸びることと、炭素税のような形で国際的に原油やLPGに課税がされるはず。地熱発電は温熱の供給もできるから、それを基礎インフラに使っていくことができる。安い電力供給ができればそれを求めて多くの企業が集まるはずだ。

 その他、地域のコミュニティ強化など、かなりいろいろと取り組んでおくべきことは多い。しかし、何よりもまず安いエネルギー確保が大事であるはずだ。

 もし、日本全国の自治体で地熱エネルギーの開発が進めば、高齢化社会への対応もでき安定した市民社会の確保ができていくはずだ。そして、地熱開発への投資余力がある期間はそう長くない。

ここより下は引用記事;
http://voiceplus-php.jp/archive/detail.jsp?id=178&nif=false&pageStart=0
貯蓄率急落の先にある悲劇

伊藤元重(NIRA理事長、東京大学教授)

日本の家計部門の貯蓄率が急速に低くなっていることを知っているだろうか。OECDのエコノミック・アウトルックの付属統計表の数字で見ると、1990年代の初めには15%もあった日本の家計部門の貯蓄率は、2007年には3%前後まで下がっている。大変な下がりようである。米国の家計部門の貯蓄率が低いということがよく話題になるが、場合によっては日本の貯蓄率のほうが米国よりも低くなる可能性もありうる、と指摘するエコノミストもいる。

 日本の貯蓄率は国際的に見ても高いほうであると考えている人が意外と多いようだが、家計部門で見るかぎり、日本の水準は世界的に見ても非常に低い水準となっている。こうした動きは将来の日本経済の姿を考えるうえでも非常に重要なポイントとなるのだ。

 そもそも、なぜ日本の貯蓄率はこんなにも急速に下がってきたのだろうか。その要因はいろいろあるだろうが、もっとも説得的な理由は少子高齢化の進行である。人口のなかに占める高齢者の割合が増えるほど、経済全体の家計部門の貯蓄率は低くなる傾向になる。一般的に、人びとは現役時代に貯蓄して老後の生活資金を蓄え、引退してからはそれを切り崩して生活資金に充てていく。その結果、現役世代の貯蓄率は高くなるが、高齢世帯の多くは貯蓄率がマイナスとなるのだ。

 以上で述べたことは、いまの日本経済の一般的な認識とはかなり異なる。よく知られているように、日本国民が保有している金融資産の額はきわめて大きい。年間可処分所得との比で見ると、国民1人当たり約4倍の金融資産を保有している。ドイツやフランスの2倍、米国や英国の3倍に比べて群を抜いている。

 金額で見ても、約1400兆円あるといわれる個人金融資産の70%前後が60歳以上の人によって保有されている。大金持ちは少ないが、小金を貯めている高齢者が多くいるのだ。

 いま日本でいわれているのは、多くの高齢者が貯蓄に励みすぎ、消費が少ないことが日本の内需不振を招いているということだ。国民がもっと積極的に消費を行なえば、日本経済もこれだけ輸出に頼る必要がない、という思いをもっている人は多いはずだ。

 こうした経済の見方は、これまでの日本経済の姿、あるいは現在の状況を理解するうえでは基本的に正しいだろう。しかし、足下で家計の貯蓄率が急速に下がっていることは、「過剰貯蓄国日本」の姿が急変していることを示唆している。日本も特殊な国ではない。ほかの多くの先進国と同じように、高齢化が進んでいけば貯蓄力は急速に衰えていくのだ。若いときにはたくさん稼いで貯蓄に回し、年をとったらその貯蓄を崩して消費に回していく。これは1人ひとりの個人についていえることだが、同時に国についてもいえることだろう。そうした意味では、日本の貯蓄率が下がっていくことに過剰に反応する必要はない。

 ただ、この現象を、過度に積み上がった政府の債務とダブらせてみたとき、非常に厳しい将来の姿が浮かび上がってくる。いったい誰が日本政府の債務をファイナンスするのかという問題だ。

 日本政府は国・地方合わせてGDPの150%前後という膨大な債務を負っている。その一方で財政赤字は縮小するどころか、この不況のなかでさらに拡大する傾向にある。税収が大幅に下がる一方で、経済対策で大胆な歳出拡大が行なわれているからだ。赤字が増えれば、政府の債務はさらに増えていくことになる。

 これだけ厳しい財政状況であるにもかかわらず、国民も企業も政府債務膨張の歪みを直接感じることはない。通常は政府の財政状況が悪ければ、長期金利の急騰(国債の価格の暴落)が起こるか、悪性のインフレとなることが少なくない。日本の場合にそうしたことが起きていないのは、潤沢な国民の貯蓄資金が国債をファイナンスしているからだ。国民の多くが銀行などの金融機関に預けた貯蓄の相当部分は、政府の国債購入に回っているのだ。

 問題はこうした政府債務のファイナンスがいつまで持続可能であるのか、ということだ。家計部門の貯蓄率が下がっているということは、個人の保有する金融資産が頭打ちになっていくということでもある。場合によっては、将来は貯蓄資金の切り崩しも起こるかもしれない。一方では、政府の借金は増えつづけている。増えつづける国公債を誰が所有してくれるのか。

 不況の時代には、皆が安心して国公債を保有する。それがいちばん安心だからだ。株や不動産や資源へ回る投資も少ない。しかし景気が回復してくれば、資金も国公債から、よりリターンの高い株や不動産などへシフトしていくだろう。こうした動きが、国公債市場に大きな打撃を与える可能性も否定できない。経済が不況であるあいだはそうした厄介な動きが起きにくい、という意味で、いまはおかしな安定状況にあるともいえる。

 いずれにしろ、経済の大きなトレンドは財政問題深刻化の方向に着実に針を進めている。家計部門の貯蓄率の低下、垂れ流されつづける財政赤字で膨れ上がる政府債務、こうした動きの先には何があるのだろうか。軽度な財政破綻による金利高騰なのか、より深刻な財政破綻としてのインフレなのか、それとも日本経済を見限った円の暴落なのか、悲観的な想像をしたらきりがない。

 日本の家計部門の貯蓄が大量に国公債購入に回っているということは、日本国民が日本の将来に資金を出しているということである。財政問題が顕在化すれば、日本国民の多くの資産が毀損することになる。国債価格下落による資産価値低下か、インフレによる資産の購買力の低下か、それとも円安による円の購買力の弱体化か、その具体的な姿についてはわからないが、いずれにしてもあまり明るい未来像ではない。

 こうした事態に陥らないためにも、一刻も早く、財政健全化に着手しなくてはならない。
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http://jp.fujitsu.com/group/fri/column/opinion/200808/2008-8-1.html
日本より高い米国の貯蓄率
2008年8月20日(水曜日)
米国商務省の統計雑誌 Survey of Current Business の08年7月号が先日届いた。日本国内ではあまり関心をもたれていないが、その中に5月の所得、消費と貯蓄についての面白いデータが出ている。米国の個人貯蓄率が急上昇しているのだ。はじめにデータを紹介しよう。比較のため1年前の5月の数字と並べて書き出した。(数字は年率に換算したもの。)ここから不況に突入したと見られている米国経済の本当の姿が垣間見られる。

減っていない米国の個人所得
先ずは収入だが全体として6.4%とインフレ率(4.2%)を上回る収入増が見られる。景気後退とインフレ加速で米国人の実質収入は減っているように言われているが、今までのところはプラスの成長を維持している。勿論雇用増の効果もあるので1人当たり平均の収入ではマイナスの可能性もある。このうち大きな伸びが見られるのは公的移転所得で、これには年金などに加えて失業保険が含まれており、雇用情勢の悪化に伴い、保険金の支払いが増えていることが見て取れる。

筆者が注目しているのは税金支払額の減少だ。米国政府は本年はじめにサブプライムローン(SPL)問題の経済への悪影響を抑えるため、国民1人当たり最大800ドルの所得税の戻し減税を実行することを決めた。実際に国民に米国歳入庁(IRS)から小切手が届いたのは4月の最後の週であるから、この減税の効果は統計上は5月になってから顕れることになる。米国民が支払った税金は1年前と比較すると3,340億ドル減少している。戻し減税の総額が1,680億ドルといわれていたので、それ以外でも所得税や金利や配当にかかる税金が減少していたことになる。その結果、可処分所得は10.7%増えた。米国経済はリセッションに入る瀬戸際のような印象が広まっているが、このデータから見る限り、そのように考える根拠はどこにも無い。

米国の貯蓄率は日本よりも高い
問題は戻し減税により米国国民が手にした所得のうち、どれほどが消費に向かったかである。今までにもこの戻し減税の効果については、米国の高い消費性向から見て相当の消費刺激効果があると期待する見方と、ほとんど貯蓄に廻って消費刺激効果は少ないという見方とがあり、エコノミストの間でも意見が分かれていた。5月の支出額は前年同月比5.3%の伸びで、収入に比べて半分ほどの伸びに止まった。これは4月の5.2%とほぼ同率で、戻し減税による景気刺激効果はほとんど無かったことになる。政府の意図に反して、消費者の懐に留まってしまったのだ。

収入が失業保険や戻し減税で増えているのに対して、支出が横這っているのだから貯蓄は当然のことながら増えている。1年前の30倍だ。その結果、個人貯蓄率は1年前の0.2%から一挙に5%に上がった。この数字は1994年以来最も高い数字であり、日本の3.1%(2007年OECDデータベース)よりも大幅に高い。日本では、日本人は熱心に貯蓄をするが、米国人は借金をしつつ消費を続けている、という通念が根強く残っているが、事実はその逆になった。無論このような傾向が長期にわたり続くとも考えられないが、一時的にせよ日米の貯蓄率が逆転したことは注目に値する。

個人消費が底支えする米国経済
それでは消費を刺激しようとした米国の政策は失敗したのだろうか。そうとも言えない。米国の個人消費はGDP の70%超を占めており、これが停滞すると経済全体も振るわない。しかしながら、過去の統計をみると、米国の個人消費は景気の悪い時もそれほど大きくは落ち込まず、安定要因であることが多く、今回もそのように機能していると見るべきだ。先日発表になった第2四半期のGDPでも年率で1.9%の成長のうち1%ポイントは個人消費の寄与である。これは通常時に比べて1%ポイントほど低いが、原油の値上がりにより米国が産油国に追加的に支払っている代金がちょうどGDP の1%である。これを考慮すると米国の消費の減速は主として原油価格の上昇によるもので、SPL問題に起因するクレジットクランチや株価や住宅価格の下落によるマイナスの資産効果は一般に言われているほど大きくはないのではないか。

米国の今年前半の成長率は第1四半期0.9%(実質年率)、第2四半期1.9%と、年のはじめに予測されたようなリセッション、つまりマイナス成長にはなっていない。7〜9月期は落ち込むという見通しが大勢を占めているが、その根拠は戻し減税の効果が剥落するとみられるからだ。だがそもそも減税の効果が無かったのだから、今後成長率の低下を見込む根拠も無いことになる。おそらく下半期も2%程度の成長を維持する可能性が高い。

米国依存のつけは世界が払う
米国の双子の赤字、すなわち財政赤字と経常収支赤字が世界経済の不安定要因であるとするエコノミストは多い。そういう視点からすれば、米国における個人貯蓄率の上昇は大いに結構なことだ。財政赤字は増えそうだが、家計部門で貯蓄が増えれば、米国全体としては外国の資金に頼らずにやっていける。すでに米国の経常収支の赤字は昨年夏以降、目に見えて減少している。

当然のことながら、それは米国への輸出を増やすことで成長してきたアジアや産油国にとってはネガティブな影響を持つことになる。日本のGDP 成長率は4〜6月期になってマイナス2.4%(年率)と急落した。アジアもヨーロッパも当面成長率の低下が避けられそうに無い。原因は米国が収入に合わせて支出をカットしており、かつてほど輸入しなくなっているからだ。米国の巨大な市場がこれ以上外国からの商品を吸収できなくなった時、その痛みは米国だけでなく世界に拡散することになる。見方を変えれば、それは世界経済の行き過ぎた米国依存を修正するコストであり、その調整が早ければ早いほど次の成長期も早く訪れる。わが国も新興国に輸出市場を開拓するとか、内需拡大など新たな対応を迫られることになる。
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http://www.nli-research.co.jp/report/econo_eye/2009/nn090708.html
日米家計貯蓄率の逆転

2009/07/08号


エコノミストの眼
1.昔の話となった日本の高貯蓄率

2007年度の日本の家計貯蓄率は2.2%に低下しており、日本の家計貯蓄率が高いというのは、今や昔ばなしになってしまった。一方、家計貯蓄率が低いことで有名だった米国の方は2005年には0.4%にまで低下していたが、5月は6.9%にまで上昇している。日本の家計貯蓄率がその後急上昇しているとは考え難いので、日米の家計貯蓄率では米国の方が日本よりも高いという、これまで見られなかった逆転現象が起こっていることになる。
おなじような日米の経済統計の逆転現象は、かつて失業率でも見られたことがある。日米の失業率は日本の方が米国よりも低いというのが長年続いた姿だった。バブル崩壊による長期の低迷に加えて97年の消費税率引き上げなどによって景気が悪化したことから日本の失業率が上昇し、米国経済がITバブルに沸いていた1999年から2001年頃にかけ米国の失業率の方が日本より低いという逆転現象が見られた。こちらの方は、ITバブルが崩壊して米国の失業率が上昇すると、再び米国の失業率が日本を上回るという昔からの姿に戻った。果たして貯蓄率の方はどうなるのだろうか。


2.誤解が多い日本人特殊論

日本の家計貯蓄率が高いのは日本人が貯蓄好きだから、と言われたこともあるが、人々の行動について日本人特殊論的な解釈をすると、後に間違っていたということになることが多い。そういう意味では、日本人は勤勉だとか手先が器用だとかいう話もかなり怪しい。一口に日本人とひとまとめで語る方が無理であり、まじめな人もそうでない人も、器用な人も不器用な人もいる。人種や国籍による違いよりも、個人差の方がはるかに大きいからだ。
日本の家計貯蓄率の高さは、老後生活のために貯蓄に励んでいる現役世代の割合が高かったという人口構造に由来するところが大きかった。高齢化が進んだことによって65歳以上人口の割合が22.1%に上昇し、老年人口割合が最も高い国のひとつとなったことで、日本の家計貯蓄率は大きく低下している。一見、日本人の特殊性に起因するように見えることも、多くの場合には制度やそのときの経済・社会構造によって説明できることが多い。

3.日米逆転の意味するもの

貯蓄率の日米逆転は、どのような意味があるだろうか。サブプライム・ローンに代表される借入れ拡大に依存した消費を続けたことによって、米国家計のバランスシートは大きく傷ついており、問題を改善するためには消費を抑えて貯蓄に励み債務を削減する必要がある。米国の貯蓄率は、2000年代半ばのほぼゼロという状況が異常だったと考えられるので、それ以前の2%程度に戻るはずだ。一時的にはそれよりかなり高い水準となるだろう。米国の消費が住宅バブルの頃のように活発になることは難しく、貯蓄投資バランスの考え方からは、貿易収支の赤字幅が縮小すると予想される。
一方日本の貯蓄率の方は、景気が回復して家計所得が増加したり金利が上昇したりすれば多少上昇することが期待できるものの、老年人口割合が2023年には30%に達するなど、高齢化によってさらに低下していくと考えられる。日本の貿易収支の黒字が縮小し、近いうちに赤字が定着するということになるだろう。
 

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コメント
 
 貯蓄率についてはマイナスになると言う予測もあるそうです。数年のうちにマイナスに振れるということです。確かに、高齢者世帯がこのまま増えていけば、そして、年金などの支給が減額されていけば、貯金を切り崩すしかなく、貯蓄率はマイナスになります。

 そうなったら、本当に、誰が国債や地方債を買うのでしょうか?
2009/12/02 11:24

週刊東洋経済11・21号の63ページに「預金取扱機関全体でも預貯金660兆円に対し、貸出金は380兆円しかない。その差の多くは国債で運用される」とあります。まあ、250兆円から300兆円ほどが国債に回っているということ。その他、保険業界から国債に回っている金がある。

預金や保険に回す金が今後減っていけば、これら300兆円から350兆円ほどの資金が国債からしだいに離れていくことになり、それは少なくとも新規発行の国債の引受手がいなくなることを意味している。だから、無利子国債を発行して、市民に国債を引き受けさせようとかいろいろ手を考えている。

つまり、今後、民間の余裕資金はどんどんと国債によって吸い出される事態になるはずで、国債券をそのまま通貨として使おうかと言う議論もされつつある。
2009/12/03 01:47

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