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投稿者 ダイナモ 日時 2009 年 12 月 23 日 21:55:43: mY9T/8MdR98ug
 

http://president.jp.reuters.com/article/2009/12/22/95B2DCB6-E9FF-11DE-9688-25BA3E99CD51.php

追い打ちをかけるようで恐縮だが、退職金の支払いもあやうい状況になってきている。ロスジェネ世代には退職金などはなから当てにしていない人が多いが、上の年代の多くは、自分たちの世代は何とか貰えるのではないかと期待していることだろう。

そもそも退職金とは、給与の後払いという性格を持っている。月給を少なめに支払い、それを企業がプールして運用し、退職時に後払い分をまとめて支払うのが退職金制度の実像だ。毎月の給与支払い総額が少なくて済み、キャッシュフローも良好にできる。政府も退職金制度を支援するために、税制上の優遇措置(退職所得控除)を採用してきたから、退職金制度は日本企業にとって、採用するのが当たり前の制度として定着してきた。

しかし、退職金の積み立てが多くの企業の業績を圧迫し始めている。リーマンショックによって、その数はさらに増加したはず。もはや、このままでは退職金を支払うことはできないからと、早々に401kに切り替えた企業も多い。最近はあまり聞かれなくなったが、退職金制度を勧奨する税制を縮小すべきだという声もある。税制調査会の議論の中に、退職所得控除の縮小というテーマが何度も顔を出しているのが、何よりの証拠だ。

退職所得控除の縮小が実現すれば、日本企業から退職金制度が消えてなくなるかもしれない。退職金を当てにしてライフプランを考えてきたロスジェネ以上の人々は、サラリーマン人生の最後にとんでもないしっぺ返しを食らう危険性があるのだ。

冒頭述べた通り、現在の高額所得者の未来にいい話はほとんど思いつかないのだ。仮に給与水準が維持され、退職金制度が維持されても、極端に進行してしまった二極化を是正するために、税制による所得の再配分が早晩断行されることになるだろう。再配分の方向は無論、富める者から貧しい者へ、である。

構造改革を称揚していた中谷巌氏は『資本主義はなぜ自壊したのか』という“懺悔の書”を書いたが、いわゆる新自由主義の行き過ぎによるツケは、行き過ぎのお陰で分不相応に高い所得を得てきた層が支払うことになるのである。

一方、ロスジェネ世代の未来も決してバラ色ではない。この世代は社会人になった瞬間から灰色の人生を歩んでいるから、そうそう甘い夢は見ていないだろうが、これから先は灰色どころか暗闇が待ち構えていると言っても過言ではない。

リーマンショック以降、街中を観察していて奇妙なことに気がつかないだろうか。100年に一度と言われる大不況に見舞われているというのに、明らかに貧しい身なりをしている人を見かけることが少ないのだ。消費が低迷しているとはいうものの、休日のショッピングセンターはそこそこの賑わいを見せている。そして、給与水準が低いはずのロスジェネ世代も、皆こざっぱりとしたビジネススーツに身を包んでいる。

なぜ、こんなことが可能なのかと言えば、彼らの多くが“親がかり”だからである。

ロスジェネ世代の中には、正社員として働いているにもかかわらず、親から仕送りを受けている人もいる。そこまでいかなくても、結婚費用や出産費用を親に出してもらったり、マンション購入の頭金を親に払ってもらったロスジェネ世代は多いはずだ。


図表2を見てほしい。これは、年代別に無貯蓄世帯の割合を調査したデータだが、年齢が下がるに従って無貯蓄世帯が増加していくのがわかる。20代では、恐ろしいことに約3割がまったく貯金を持っていない。

給与水準が低いから仕方ないと言えば仕方ないのだが、彼らが、受け取っている給与以上に贅沢な生活を送ることができるのは、ひとえに日本経済が最も順調だった時代を生きてきた彼らの親世代が、いまだに多額の蓄えを持っているお陰である。ロスジェネ世代は、親の蓄えを――言葉は悪いが――少しずつ引き出しながら、小奇麗な生活を送っているのが実態だ。

だが、こうした状況も、いまや危うくなってきた。まず、リーマンショックによって親世代が持っている有価証券の価値が、ほぼ半値になってしまったという事態がある。不動産価格の下落も周知の通り。

リーマンショックの影響は、当然ながら資産の多くを投資に回していた資産家ほど大きい。実際に資産が半分になって私のところに相談に訪れる人も存在する。ロスジェネ世代の親たちも、多かれ少なかれ資産を減らしたはずである。

私は、決して投資をやめろと言うつもりはないし、現在持っている株を売却してしまえとアドバイスするつもりもない。もう少し損切りを我慢すれば、株価は元に戻るだろう。現在の株価の低迷は、特に日本株の場合、あまりにも実体経済からかけ離れた低水準にある。つまり、本当に損をしたのは、パニック状態に陥って狼狽売りをしてしまった人たちなのだが、いずれにせよ、ロスジェネ世代の親のかなりの数が子供に回す資産を失ってしまったのは事実だろう。

同時に、政策的にも、親世代が持つ資産を消費に回そうという動きが進んでいる。典型は、相続時精算課税制度だ。この税制は、65歳以上の親が20歳以上の子供に2500万円までであれば財産を贈与しても贈与税をかけないというものだ。

この制度を利用しても、最終的に相続があったときには、贈与した財産を相続財産に加算して相続税を課税されるが、本当にお金が必要な時期に贈与を受けることができるのがポイントである。給与も貯蓄も少ないロスジェネ世代に、親の貯金を消費させて、内需の拡大を図ろうというわけだ。

政府の狙いはわかるが、こうした政策は非常に危険なものだと私は考えている。親世代の貯蓄は、本来、消費に回すべきものではない。なぜなら、親世代が築いてきた膨大な個人資産は、日本にとって非常に大きな武器だからだ。この武器を安易に消費に回してしまうのは実に愚かなことだ。もう少し長期的な視点を持って、この国が持続的な発展をするための投資に回す政策を考えるべきではないだろうか。

そして、内需を煽る政策は、当のロスジェネ世代にも不幸をもたらすことになる。すでに身の丈以上に贅沢な生活をしている彼らが、その贅沢な生活を維持するために親世代の金を使ってしまうと、後がないのだ。彼らがこれまでそこそこの生活を送ることができたのは、親という“ダム”が満々と水を湛えていたからである。そのダムの水を、一気に放水してしまったら、一瞬でジュッと蒸発しておしまいである。

給与水準の低い彼らが、親に頭金を出してもらうことで、さらに分不相応な住宅取得という暴挙に出たら、その先、一体どうやって住宅ローンを支払っていくというのだろうか。短期的に内需を煽ったところで、国力が根本的に回復することはない。ダムの水は枯れてしまったらそれでおしまいなのである。

 

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