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シビリアン・コントロールはチャーチルに学べ = 日下公人の「現実主義に目覚めよ、日本」
http://www.asyura2.com/09/warb0/msg/608.html
投稿者 Orion星人 日時 2009 年 9 月 08 日 13:26:39: ccPhv3kJVUPSc
 

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090904/179016/?P=1
2009年9月4日

【軍艦のエネルギー源を石炭から石油に変えたチャーチル】

 英国のチャーチル元首相が実施した、対ドイツ遠隔封鎖では、巡洋艦が重要な役割を果たしていた。巡洋艦は敵に追いつくためのスピードと、補給回数を減らすための航続距離が重要であった。
 その頃の英国海軍は、世界中のいたるところに、補給のための石炭基地をつくっていた。アジアでは日本の長崎の石炭を購入して上海に運び込んでいた。それから、ベトナムのカムラン湾にはフランスの石炭基地があった。巡洋艦隊の寄港先と石炭の品質(カロリー)は、大事な軍事情報だった。
 チャーチルは対ドイツ戦略において、艦隊への補給を重視。戦艦、巡洋艦のエネルギー源を、石炭ではなく、ようやく実用段階を迎えつつあった石油燃料に切り替える方針を立てた。石炭は、人手がかかり、石油に比べて非効率なことは明白であった。
 ところが、石油への転換は海軍省のほとんどが反対だった。その理由は、まず英国の本土には石炭ならいくらでもあるのに、石油はないこと。それから、海軍の軍人や政治家などが石炭業界と癒着していたことである。
 そこでチャーチルは、海軍省の予算から約200万ポンドを出資して、アングロ・ペルシャ石油会社の筆頭株主となり、石油を確保した。「それぐらいしてでも石油に転換しないと、ドイツに勝てないのだ」と、政治家の手腕で実行してしまった。
 それがシビリアン・コントロールである。わたしはそれを日本の防衛大臣に言いたい。経産大臣や外務大臣にも言いたい。防衛のためになすべき仕事は多い。


【チャーチルは日本の満州占領を認めた】

 英国の対ドイツ遠隔封鎖では、当時ドイツの支配下にあった中国の青島を日本に叩かせた。日英同盟が役に立った。日本にも少しエサをあげなければいけないから、サイパン島やパラオ島など、ドイツの植民地を日本が獲ることを認めた。
 第2次世界大戦のときも、チャーチルは、日本が満州を占領したとき、「日本が満州でしているのは何も悪いことではない。英国がインドでやっていることとまったく同じだ」と言った。日本が満州でしていることを悪いと言ったら、英国がミャンマーやインドでやっていることも全部悪いことになってしまう。当時の常識では帝国主義は強い国には当然のことであった。
 それから、チャーチルは「英国は航空母艦をつくるべきだ」と言った。そして「飛行機を飛ばせ」とも言った。当時はレーダーも人工衛星もないから、7つの海を支配するには、やはり飛行機で見渡さないといけない。索敵、哨戒のためには飛行機を使う。だから航空母艦をつくった。
 ところがその頃の飛行機は、まだヨタヨタで使いものにならなかった。だからチャーチルは失敗したと言われているが、単に早すぎただけだったと思う。
 航空母艦だけでなく、戦車の元祖もチャーチルである。それだけ具体的なことをすれば、軍人たちは内規など言わなくても、チャーチルの言うことを聞くようになる。


【対中国、対北朝鮮における遠隔封鎖とは】

 私は、日本の防衛大臣に、シビリアン・コントロールの観点からのこれからの防衛に関するビジョンを聞いてみたい。
 まず、インド洋でインド海軍と中国海軍が激突すると、どんな戦争になるのかというビジョンを教えてほしい。そのとき沖縄をにらんでいる中国海軍はどのくらい転用されるのか、インドと中国の両方が対立するのは日本にとってうれしいことか、悲しいことか。
 日本はどんな対応をするのか。やはり、近接封鎖か、あるいは遠隔封鎖か、はっきりさせなければならない。中国に対しても近接封鎖でいくのか、それとも遠隔封鎖でいくのか、両方をやるのか。これは対北朝鮮についても同様である。
 そういう国防会議の創設を、防衛大臣が提案すれば、反対する人はいないはずだ。最高国防会議を考える司令部をつくるべきである。安倍元首相がつくりかけて、福田前首相がやめてしまったから、今、日本には国防を考える機関がない。そんな国家があるだろうか。
 シビリアン・コントロールの観点から見た国防には、さまざまな要素が絡み合ってくる。金融や貿易も大事な手段である。臨検もする。それらに加え、日本が持っている各種の技術を武器としてどう使うか。インドには教えるが中国には教えないとか。やり方はいろいろある。
 日本の技術はそのまま軍事技術になる場合が多い。ヤマハの産業用無人ヘリコプターを中国は買っていった。あるいは、ソニーのプレイステーション2は、使用部品の性能の高さから、兵器転用のおそれがあるとして、発売当初は輸出規制の対象となった。日本では玩具でも、外国が使うと武器になる。そういう技術をどう使うか。


【日本はインド洋上に軍事基地を持つべきだ】

 中国や北朝鮮に対する遠隔封鎖を考えるなら、日本はインド洋に軍事基地をつくったほうがいい。軍艦というのは、走ってばかりでは人間が参ってしまう。上陸できる場所があれば、補給の上でも、海上自衛隊の隊員たちにとってもメリットがある。アンダマン諸島かシンガポール辺りに海軍基地を借りてはどうだろうか。
 米国は、ディエゴガルシア島という海軍基地を持っている。インド洋の真ん中にある島を、使い放題に使っている。その基地があるから、米国は湾岸戦争ができた。
 そのディエゴガルシア島の一部を、日本が借りることも可能だろう。米国は多分貸してくれる。インドも、シンガポールも、マレーシアも南ア連邦も、日本に軍事基地としての場所を貸すだろう。それは、海上自衛隊への信用が厚いからである。
 過去、日本海軍がどこかで悪いことをしたという話はない。日本海軍の長年の信用が、現在の海上自衛隊への信用につながっている。

【石油から原子力へとエネルギー源を換えよ】

 さらに国防を考えると、エネルギー転換という問題が出てくる。石油をアラブ以外から買う。それから、そもそも原子力を使えば石油はいらないということも可能である。石油でなくてはダメなのは、航空機の出発便の分だけである。
 チャーチルが石炭から石油にエネルギー源を転換したことになぞらえると、日本の空母や潜水艦は、エネルギー源を原子力に換えればいい。そうすれば飛躍的に強くなる。それは海軍省(日本では防衛省)の予算でやればいい。
 海上自衛隊の原子力化という大看板を掲げ、防衛省の予算で原子力研究所をつくり、発電所をつくり、造船所を持てばいい。反対するのは石油業者だけだろう。
 一番の目玉は原子力潜水艦である。今は日本にないから、つくればいい。そうすると、それが水中からの制海権になる。まさに『沈黙の艦隊』(かわぐちかいじ)という漫画の世界である。漫画のほうがよほど進んでいる。
 日本は国防会議を創設し、そういうことを考えてもらいたい。そして、たとえば「海の平和」というような大きな看板を載せて、世界に発信すればいいと思う。その総論にはみんなが賛成するだろう。そのあと、各論に入っていけばいいのである。
 

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