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gataro-cloneの投稿
<どこが問題 小沢流「国会改革」>名古屋大学教授本秀紀さん/民主主義の貧困化【しんぶん赤旗】
テーマ:電子版にない「しんぶん赤旗記事」
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どこが問題 小沢流「国会改革」/名古屋大学教授本秀紀さん/民主主義の貧困化
2009.12.20 日刊紙 2頁 総合 (全1,194字)

民主党の「国会改革」案は、官僚答弁の禁止(「政府参考人制度の廃止」)を眼目の一つとしています。1999年の国会審議「活性化」法以来の「官僚依存からの脱却」を建前としています。
しかし、国会審議の活性化という場合、官僚が答弁するかどうかという基準だけで議論するのはおかしな話です。
日本国憲法は国会を「国権の最高機関」としており、それは国民主権の大きな現れです。国民の代表者が集う国会で、国民の目に見える形で、国政上の重要問題に関する議論をいかに豊富にするかが一番の基準となるべきです。問題を究明するために、もし官僚への追及が必要なら発言を求めるべきで、官僚が答弁したらなんでも「官僚支配」だというのはおかしい。逆に、「日米核密約」を外務事務次官が代々継承してきた問題など、官僚支配があればあるほど、いま何が起こっているかを官僚に答弁させるべきです。
官僚答弁の禁止は、方向が逆で、むしろ国会審議を形骸(けいがい)化させる方向に進むのではないかと危ぐします。
また、法案審議と切り離して行政監視の場を設けるというのも、国会の格下げにつながりかねません。
総合的な役割
国会は「最高機関」として、国政上の重要問題について審議し、立法という形で決定もするし、国民に情報を提供するために、国政調査をはじめさまざまな活動を行うことで、国政をリードしコントロールします。形式的に法案審議と行政監視を分けてしまったのでは、そういう総合的な役割は果たせません。
そこをあえて分けるのは、法案審議については、官僚答弁を禁じつつ、政府提出法案をさっさと通すということに狙いがあるのでしょう。
今回の「国会改革」案は、小沢氏が90年代から追求してきた「政治改革」の総仕上げにあたります。小選挙区制をベースに「二大政党」状況をつくり、さまざまな政治局面をくぐりぬけて「政権交代」を成し遂げた。「マニフェスト」を「錦の御旗」に、内閣と政権党指導部などの中枢部だけで政治を効率的に動かす仕組みをつくり上げるのが狙いです。
この流れは、「国民主権」や「民主主義」を旗印としてきましたが、実際には、日本の民主主義を貧困化させました。
権力集中進む
小選挙区制では国民の選択肢は事実上二つしかなく、二つの党の違いは明確ではありません。しかも政党助成制度のもとで、政党と国民の結びつきが弱まる一方、資金配分を通じて政党指導部への権力集中が進みました。
選挙後は、勝った政党の「マニフェスト」だけが問題にされ、そのほかの政策や、その後の議論は無視される。与党内ですら本質的な議論を欠いたまま、中枢を握る政治家の意見だけで政治が動くようになっていきます。
こうして、国民の要求をくみ上げるルートが狭まるなかで、不満の声はますます強くなるでしょう。広範な国民の運動だけが、民主主義の貧困化を食い止めるのです。
聞き手 中祖寅一