保守すべきものとは　　
衆議院議員　城内　実
http://gekkan-nippon.com/?p=3467
『月刊日本』４月号

　私が郵政民営化法案採決で青票（＝反対票）を投じてから六年半になろうとしている。その間色々なことがあった。詳しくは別の機会に譲るが、確実に言えるのは無用な政局のあおりを受けて善良な多くの国民がこれまで受けてきた当然の、かつ最高のサービスを受けられなくなってしまったことである。
　言うまでもなく、郵政とは「ユニバーサルサービス」、つまり日本に居住するすべての人間に対しあまねく地理的、社会的、金銭的に平等に供されるものである。言うは易し、であるが過疎地域や中山間地域、あるいは離島に居住する方々にまで同じサービスを行うためには、配達一つとっても、人力が必要なのである。かつて局員は郵便を届けると同時におばあさんが孫の為にこつこつ貯めたなけなしのお金を預かっていた。そのお金が、国民一人一人の血と汗と愛情が詰まったそのお金が国家中枢へと集められ、めぐりめぐって日本国家国民全体のために供され還元される。まこと共存共栄の日本にふさわしい世界に誇る史上最高のサービスであったと言ってよい。これができなくなった。
　さらに本質的に言えば、郵便局のネットワークとは中央の皇室と地方とが山間僻地まで細い糸で繋がれる日本の國體の象徴であった。ふるさとを、日本を愛する者にとっては文字通り「保守」すべきものであったのである。それを効率非効率や合理化、あるいはグローバルスタンダードなどというわかりやすいが極めて怪しいスローガンを使って捨て去ろうとしたのが郵政民営化であると私は確信した。これこそ私が六年半前青票を投じた最大の理由である。
　はたして保守とはなんなのか。郵政のネットワークのように守るべきものを守らないのに「保守」と言ってよいのか。私とて保守派と呼ばれる一人ではあるが「保守」と呼ばれることに嫌悪感を覚えた時期もあった。そこで私なりに考えた。　結局日本が「保守」すべきは國體ではないか、つまり皇室を中心とした国民（御民、はらから、青人草）による共同体ではないか。保守とはつまり、神を敬いご先祖様を大事にし、皇室をしっかりとお護りして国を愛すること、すなわち敬神崇祖尊皇愛国ではないかと。
　これは、個人としても立法府の議員としても私の重要な価値基準の一つである。ＴＰＰについても同じである。国體に対する脅威になりはしないか。実際、日本が天地開闢以来連綿と創り上げてきた社会制度や伝統がＴＰＰによって否応なく崩壊の憂き目を見かねない。だから反対である。（以下略）

＊本稿は編集部の許可を得て投稿しています。
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コメント
01. 2012年3月23日 16:53:38 : esmsVHFkrM またまた右翼保守の本質が見え見えだ。 原発のおかげで、先祖伝来の美しい国土は放射能汚染され半永久的に放棄せざるを得なくなり、その土地を拓き慈しみ守ってきた日本人は放射能被曝してその生命健康が脅かされ命を継いでいくことすらできなくなっている、この未曾有の「国難」において、 「保守とはつまり、神を敬いご先祖様を大事にし、皇室をしっかりとお護りして国を愛すること、すなわち敬神崇祖尊皇愛国ではないか」と郵政民営化には反対したしTPPにも反対だとドヤ顔だ。 原発はどうするんだ。放射能汚染は。国民の被曝はどうなるんだ。 「結局日本が「保守」すべきは國體ではないか」というときの「國體」を守るとは「神を敬いご先祖様を大事にし、皇室をしっかりとお護りして国を愛すること、すなわち敬神崇祖尊皇愛国」であって、生きている現実の日本人なんてまったく入っていないじゃないか。 「國體」を守るためなら「国民」を犠牲にするのなんかなんでもないというのが日本の右翼保守だ。軍国日本が、東京大空襲、大阪大空襲、広島・長崎で膨大な数の日本人特に女子供が殺されるのもかまわず、あの勝ち目のない戦争をダラダタと続けたのは「國體」を守るためだったことは衆知の事実だ。 城内実の口は原発とその大災厄について沈黙する。 これが、日本の右翼保守が口ではどんなに偉そうなことを言っても、ほんとうはどんなシロモノであるかを如実に物語っている。 女子供が放射能被曝しているときに何が「國體」だ。
02. 2012年3月23日 21:24:49 : 0EZ4BnKpdE 中曽根から頭のイカれた保守層を引っ剥がして、正道へ導く必要があるだろ。 俺にとっては保守思想なんぞクソ食らえの一言だが、 城内がやってみたいというんなら、やってみればいいじゃないか。またそれは必要なことでもあるし。
03. 2012年3月24日 01:17:45 : nQLX6LpRz2 > 郵便局のネットワークとは中央の皇室と地方とが山間僻地まで細い糸で繋がれる日本の國體の象徴であった。ふるさとを、日本を愛する者にとっては文字通り「保守」すべきものであったのである。 其ノ逓信事業ヲ嘗テ支ヘタル日本國有鐵道ヲ解體シタルノ張本ハ大勲位閣下也。國體ノ礎ヲ毀損セシメタル国賊ノ眷族如キガ何ノ顔アッテ尊王ノ志ヲ説カン。嗤フベシ。
04. Ｓ荒木 2012年3月27日 13:12:19 : UgZiymWEnMd.Q : lRAxc8J6rk 日本の国家官僚が、いわば「国家封建制」を目指し、小沢冤罪事件、消費税増税、 憲法改正等、つぎつぎに計画を進めてきている。 「原子力は安全」というキャッチフレーズで、人類史上に特記されるべき福島の 原発事故をおこしたにもかかわらず、無能、無責任、敵前逃亡、利権体制の構築 等、目にあまるものがある。 日本の官僚が「他とは協力ができない」非民主的な組織であることは歴史的な事実 だ。民主主義には、ドイツ・日本と戦うためにアメリカとイギリスが国家の枠を こえて組織的に協力した歴史的事実が内包されている。 もし、日本の価値が評価されるべきものであれば、それは「民主主義」という価値 のうえに生成されなければいけない。 すなわち、現状認識ができ、「望ましい姿とそれを実現するプランの提示」ができ ること、その上で他と議論を重ねて協力することができる「日本人」を育てなけれ ばいけない。 そうでなければ、日本の発展を可能とする中国、韓国、台湾、ベトナム等の人々 と一緒に仕事をすることができない。 そのことによってのみ、日本は世界の中で生きていく道を見つけられる。 なにをいまさら「すべての事実をかくし、現実を見ない」日本の伝統に帰る必要 があるのか。 結果的に、財務省等の国家官僚がすべてを割り振り、すべてのマスコミの論調を 支配し、とてつもない税金に苦しみ、文句をいえば冤罪に陥れられる国家封建制 の実現を助けることにしかならない。 国民を愚弄して本来の意図をかくすコメントはやめてもらいたい。

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