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日本の難民政策、問題はどこに:出稼ぎ目的の抜け道に:1万人受け入れ宣言を
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/442.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 1 月 29 日 00:14:16: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 

(回答先: 「2015年に日本が受け入れた難民はわずか27人、99%は拒否」(DW English・Suptnik日本・イランラジオ 投稿者 無段活用 日時 2016 年 1 月 28 日 16:41:57)


[創論]日本の難民政策、問題はどこに

出稼ぎ目的の抜け道に 「難民を助ける会」会長 柳瀬房子氏

 欧州を中心に世界は難民の増大に揺れている。日本の政策には受け入れが少なすぎるとの批判がある半面、偽装難民の存在や治安の悪化など懸念材料を指摘する声も根強い。政治、宗教、思想に偏らない活動を掲げる非政府組織(NGO)「難民を助ける会」の柳瀬房子会長と国際政治学者の三浦瑠麗・東大客員研究員に課題を聞いた。

 ――日本政府に難民認定を申請する外国人が右肩上がりで増えています。

 「残念ながら『難民』と定義できる人が少ないのが実態だ。法務省の難民審査参与員として、大臣に申請が認められず異議を申し出た人たちと10年以上前から面談してきた。苦しい立場にある人を何とか見つけ出して助けたい、との思いでやってきた。だが500人以上と話してきて私が難民と見なしたのは、人道的な理由による在留許可を含めて10人にも満たない」

 「申請をする人たちのほとんどは、働く場所を求めて日本にやってきた人たちだ。もちろん出稼ぎは難民の理由になり得ないので、申請者は面談で別のさまざまな事情を話す。隣人との土地争いや身内の財産争いを挙げ、母国での身の危険を訴える人が多い。『不倫相手の夫に殺されるから助けてほしい』という男性もいれば、『同性愛者で母国では迫害を受ける』と訴えたものの、あとで調べてみると日本人女性と結婚していたというような例もあった」

 ――難民とは呼べないような申請が日本で多いのはなぜでしょうか。

 「『日本では難民の申請さえすれば働ける』と指南する仲介業者の存在が大きい。出身国によって申請の理由がほとんど同じというケースに出くわす。日本語を話せる業者が対価を受け取り、渡航から申請の仕方まで教えている」

 「日本の難民制度の抜け穴を突かれて悪用されている。だめ元で申請し、働く時間が惜しいから面談にすら来ない人もいる。出稼ぎ希望者が、豊かで安全な国に行きたいと思うのは普通のことだ。アジアの近隣諸国の出稼ぎ希望者にとって、日本が有力な選択肢になっている。多くの申請者が審査結果を待っており、保護が必要な真の難民の対応にたどり着くまで時間がかかっている」

 ――現状を変えるにはどうすればいいでしょうか。

 「審査の効率を上げることが急務だ。日本は良くも悪くも一人ひとり丁寧に応じるので時間がかかる。繰り返し同じ理由で申請する人は拒否したり、認定の基準を改めて明確に発信したり、もっと柔軟に対応していい。法務省が運用の見直しに取り組んでおり、事態は少し改善するかもしれないが、法改正も含めた見直しが絶えず必要だ。審査期間が長いと日本で結婚し、子どもを産み、母国の家族を呼び、と既成事実がどんどん積み重なってしまう」

 「根本的に重要なのは日本が外国人労働者への姿勢を明確にすることだ。少子高齢化が進む中、労働力を確保するうえで外国人をどう位置づけるか。受け入れるのか、受け入れないのか、並行して議論する必要がある。そこが曖昧だから、出稼ぎ希望者にとって難民制度が一つの選択肢に映っている。移民、労働力、訪日外国人など幅広い視点を踏まえ、国民や政治家が感情論ではなく、経済的な視点も含めて考えてほしい」

 ――国際社会では日本が難民に冷たい印象があります。

 「日本はこれまでも真の難民は受け入れてきたと思う。我々の非政府組織(NGO)のような民間レベルでも、難民の定義を広くとらえて、国内外で苦境にあえぐ人たちの生活を支えてきた」

 「受け入れ数が多ければいいというわけではない。あくまで個別のケースに対応すべきだ。日本には日本の歴史、文化、社会構造にまつわる個別の事情があり、米国やカナダなど移民に積極的な国と並列で考える必要はない」

 ――シリアなど中東を中心に急増する難民に日本はどう対処すべきでしょうか。世界各国では難民や移民に抵抗感も広がる現実もあります。

 「人道上の問題として日本への難民申請とは別の視点で考えるべきだ。安倍晋三首相が昨秋、国連演説で資金支援を表明したが、お金を出すことは大きな助けになる。だがそれだけで義務を果たしたことにならない。紛争から逃れて日本に来たい人は受け入れてもいいのではないか。タイなどに移ったミャンマー難民を受け入れる『第三国定住』の経験が日本にもある」

 「世論は目の前の出来事に影響を受けてしまう。欧州へ渡る途中に溺死した子どもの写真が出ると同情の念が広がり、テロが起こると反対論が噴出する。国民の安全確保が最優先なのは当然だ。難民にはいろんな側面がある。社会は長い目で関心を持ち続けて議論を重ねてほしい」

(聞き手は鳳山太成)

 やなせ・ふさこ 1969年フェリス女学院短大卒。79年から難民を助ける会で活動。2000年に理事長。09年から現職。67歳。

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1万人受け入れ宣言を 東大客員研究員 三浦瑠麗氏  

 ――日本で難民の受け入れが進まないのはなぜですか。

 「『基本は受け入れない』ということが事実上の基準になっているからだ。虐殺から逃れてきた人に対して、虐殺を認定する書類を出せと言っても出せるわけがない。これまでは政治犯や古典的な革命家のような人が難民の対象だという発想がある」

 「ほとんどの日本人が単一民族的な国家観や社会観を持ち、(人々の)新規参入を前提にしていない。新しく国家に参加するという概念がほとんどない。外国人妻への対応などをみても明らかだ」

 ――そのような特徴を持つ日本社会で難民の受け入れは難しいのでしょうか。

 「数人しか認定していないことは問題だ。過去に1万人規模のインドシナ難民を受け入れた実績はある。きちんと政策を整えればできないわけではない。一つの小学校が外国人の子供で多く占められるようになれば、周回遅れとはいえ自治体も責任を感じていろんなことを始めるだろう。何もできないわけではない」

 「ただ日本の歴史的な責任の範囲内にあるインドシナの難民と、歴史的な文脈が乏しいシリアの難民は違う。その際、大事なのが生活態度だ。生活態度が違う者に対して日本人は極端に反応する。日本人的なことを言えることが評価される社会だという特徴がある。その文脈を全く理解していない人を受け入れれば恐ろしいことになるだろう」

 ――日本人的な生活態度を重視する考え方が問題の本質だとすれば、どのような変化がありうるのでしょうか。

 「多様性を認めて、幅を持たせることはできるだろう。『日本人は礼儀正しく列に並ぶ』というような、つくられたイメージをある程度美化しつつ、新規参入者もここが日本のいいところだということで染まっていく。これを私は『同化』と呼んでいる。逆説的だが、同化しないと多様性は担保できない。多様性を許容するためには、ある程度同化しないと共存できない」

 ――日本人の社会が共存する覚悟がないまま受け入れたらどうなると考えますか。

 「排外主義がもっと高まると思う。左右両極が極端なことをやりだし、国内の対立になっていくのではないか。排外主義とアンチ排外主義の対立になる」

 ――日本の難民認定制度をどう見直すべきですか。

 「そもそも認定に当たる人員が不足している。人材育成が必要だろう。難民認定とは別に、今問題になっているのが外国人実習生の取り扱いだ。ブラックな労働をさせるなどあまりにもひどい事例が出てきた。日本人に対して、とても悪いイメージを持って帰っていく人たちが増えているのは損失だ。受け入れるなら、基本的な語学能力などを教える体制が必要だ。これは移民の受け入れでも、難民の受け入れでも大事になる」

 ――主要7カ国(G7)首脳会議でもテーマになりそうです。日本は議長国として何をすべきですか。

 「まずは1万人ぐらいを受け入れると宣言してみればいい。過去の経験からすると、1万人ぐらいが十分に対応できる数なのかなと思う。さらに宣言だけでなく、しっかりした施策を打たないといけない。それができないなら、できませんと言ってきちんと受け入れ国を支援する。そこは政治家の判断だ」

 「1万人でも受け入れれば外交上はかなりの得点になるだろう。欧州の今の疲弊状況をみると感謝される規模ではないが、欧州内にも急速な移民の受け入れは間違いだったという論説が出てきている。たった1万人かと糾弾されることはないだろう。『ゼロです』というのは、あまりに協調性がないと思われる」

 ――1万人なら排外主義的な動きは出てこないですか。

 「きちんと対処すればいいと思う。実際は、その1万人に対して大変手厚い保護をすることになるだろう」

 ――国内ではどんな議論をするべきでしょうか。

 「実際はみんな結論にたどり着きたくないのかなと思う。テレビ番組で議論しても、落としどころは『難民や移民の受け入れについて、少なくとも日本はよく考えましょう』という程度で終わる傾向がある。これでは何もしないのと同じだ。最近は少なくとも移民の労働力に期待するという論者が出てきたが、どういう対応をするかが大事だ。移民と難民は別物だが、受け入れる側の体制づくりは同じだ」(聞き手は甲原潤之介)

 みうら・るり 2004年東大農学部卒業。10年東大院法学政治学研究科博士課程修了。国際政治、比較政治などが専門。35歳。

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<聞き手から>先送りはコストを伴う

 法務省によると、2015年の難民認定の申請数は7586人で、前年の約1.5倍に膨らみ過去最高となった。出身国はネパールやインドネシアなどアジアが大半を占める。在留許可数は人道上の理由から滞在を認めた人を含めて106人。桁が違う欧州や中東の難民問題と事情が異なるとはいえ、数字は日本の制度の重い課題を映し出す。

 難民に限らず、移民や技能実習生などの外国人と社会がどう向き合うか。2人の論者は問題認識に違いがあるものの、広い視野で受け入れの是非を考える点で一致した。島国の日本では政治が本腰を入れる機会が乏しかったとの見方も共有しているようだ。

 ドイツは2000年ごろまで外国人の大量流入を直視せず体制づくりが後手に回り、失業者の発生などに悩んだ。包括的な法律を整えた今も、難民らによる暴行事件などで世論は揺れる。問題の先送りは相応のコストを伴う。他国の取り組みを教訓にしつつ、歴史や実態を踏まえて熱のこもった議論が今こそ日本に求められている。

(鳳山太成)


[日経新聞1月24日朝刊P.9]


 

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