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【個人情報保護法】調査報道、「巨悪」追求が違法に(asahi.com) 投稿者 ★阿修羅♪ 日時 2002 年 4 月 16 日 05:47:39:

(回答先: 投資家の方の個人情報保護案への意見 投稿者 ザイン 日時 2002 年 4 月 15 日 22:57:39)

【個人情報保護法案】

調査報道、「巨悪」追求阻まれる恐れ シミュレーション
http://www.asahi.com/national/kjhh/K2002031700689.html

【ケーススタディ】法案のどの部分が取材に影響する?
 個人情報保護法案は表現・報道の自由を制約する恐れがある。法案のどこが、どの
ように、足かせとなるのか。政治家をめぐる架空の未公開株譲渡疑惑を想定して考え
てみると、「巨悪」を追及してきたメディアの調査報道は困難になる可能性が出てく
る。

 [1]情報提供

 朝日新聞の社会部。1本の電話が鳴った。

 「政治家が未公開株を売って、ぼろもうけしている」

 電話の主は、東証一部上場の情報関連会社の元社員を名乗った。

 翌日、会った元社員は、会社から持ち出したという1枚のリストを記者に差し出し
た。数人の政治家の名前と数字がワープロで書かれていた。

 元社員によると、社長が会社に便宜を図ってもらった見返りに、10人以上の政治
家に会社の未公開株を譲渡したという。この株式は、公開後の値上がりが確実とみら
れていた。

 政治家は株式公開後に値上がりしたその株を市場で売り、1人当たり売却益は数千
万円から億単位にのぼる、と語った。

   ◇   ◇

 このケースに法案を照らし合わせてみる。

 法案は個人情報を扱う人すべてが対象になる「基本原則」(3〜8条)と、一定量
の個人情報をデータベースなどにして扱う事業者に適用される「義務規定」(20〜
41条)を定める。

 情報提供した元社員は事業者ではないから基本原則を守ることが必要になる。一方、
新聞社は事業者だが、報道目的の際は義務規定が適用されない条文がある。このため、
記者も元社員と同様、基本原則に従う。

 では、法案のどの部分が影響するのか。

 基本原則のひとつとして「適法かつ適正に取得する」(5条)との条文がある。元
社員は会社に無断で持ち出したはずで、これに抵触しかねない。

 また、基本原則には、「利用目的を明確にする」(4条)との条文もある。これは、
どんな目的で個人情報を扱うのかを本人(政治家)に通知すべきだ、という趣旨なの
でこれにも反しかねない。

 記者も、会社に無断で持ち出された情報を得て、政治家に利用目的を通知しないの
なら、この二つの基本原則に抵触しかねない。

 [2]周辺取材

 元社員が持ち出したリストは一部分にすぎなかった。事実かどうか確証を得るには、
完全なリストの入手と関係者への取材が欠かせない。

 記者は証券会社の社員らに何度も取材した結果、何とか完全なリストの入手に成功
した。

   ◇   ◇

 この段階でも、元社員と同じように証券会社の社員にも基本原則が適用される。証
券会社の本来の目的に反して記者に顧客情報を提供したことは、「利用目的を明確に
する」(4条)の条文に抵触しかねない。

 本来なら、顧客の株取引に関する個人データは証券会社内で管理するのが目的とい
える。この場合、証券会社の社員は、政治家などの本人同意もなしに、目的の範囲を
超えて、リストという個人データを外部に提供したことになる。

 [3]社長

 未公開株を政治家に譲渡したとされる情報関連会社の社長に会った。

 「複数の政治家に未公開株を提供しましたね」

 リストを見せても社長の答えは素っ気ない。

 「個人情報を部外者の方にお答えすることはできません」

   ◇   ◇

 社長は個人情報を扱う事業者である会社の代表だから、義務規定が適用される可能
性が高い。

 記者に未公開株の譲渡を認めるとどうなるか。本来の目的に反して政治家本人に通
知しないまま、記者に個人情報を明かすことになり、義務規定の「本人の同意なしに
利用目的を超えて扱わない」(21条)と「本人の同意なしに第三者に提供しない」
(28条)に触れる可能性がある。

 また、情報関連会社の安全管理が不十分だったから、情報提供した元社員による情
報漏えいが起きたとみれば、「(会社は)安全管理に必要な措置を講ずる」(25条)
の条文に反する。仮に、現職の社員による情報漏えいであれば、事業者が従業員に対
する監督責任も問われる(26条)可能性が出てくる。

 [4]政治家

 取材をしていた記者に名指しで電話が入った。疑惑の政治家の一人からだった。

 「私のことを探っているようだな。個人情報保護法違反だ。これまでにどんな取材
をしたのか、教えろ」

 記者は当然、拒んだ。

   ◇   ◇

 基本原則には、情報の取り扱いの透明性を高めるため、「本人が適切に関与できる
ように配慮する」(8条)との条文がある。「配慮」とは、本人への情報開示や訂正
を意味する可能性がある。この条文をたてに、政治家は記者に、自分の個人情報を開
示させ、訂正さえ要求するかもしれない。

 新聞社には義務規定が適用されない。だが、法案は「苦情処理のための必要な措置」
(55条2項)をとるよう努めなければならないと定めている。新聞社も政治家の苦
情を解決する努力を迫られることになる。

 一方、取材を受けた政治家は情報関連会社の社長に対して、自分にとって都合の悪
い株譲渡のデータを消すよう求めるかもしれない。

 なぜなら、法案は、「本人の同意なしに利用目的を超えて扱わない」という義務規
定違反があった場合、個人データを消去するよう本人が要求でき、さらに事業者もそ
れにこたえなければならないと定めている(32条)からだ。

 [訴訟の場合]

 情報関連会社のような事業者が個人への権利侵害をした場合などについて、法案は、
主管大臣がその事業者に勧告や命令などを出す権限を定めている(37、38、39
条)。命令違反があれば6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金となる。

 その場合、大臣は「表現の自由を妨げることがないよう配慮しなければならない」
(40条)とも定めている。しかし、この配慮義務に反しても大臣は罰則を受けず、
「配慮」が何なのか、あいまいだ。

 記事が新聞に掲載されたあと、政治家が報道機関を相手取り、プライバシー侵害な
どの民事訴訟を起こしたとする。その場合、「記者が基本原則に違反したことが、違
法性の根拠のひとつだ」と裁判所に判断される可能性が出てくる。

 調査報道の場合をみると、情報の入手から関係者への直接取材に至るまで、あらゆ
る段階で法違反が問われかねない。

(03/17)
http://www.asahi.com/national/kjhh/K2002031700689.html

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