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昨今のIT騒動に終結宣言(毎日新聞の記事) 投稿者 座頭市 日時 2002 年 5 月 28 日 23:22:36:

ITブームの中心にいた方が、今ITの革命の幻影に終止符を打たれました。
3年前のダボス会議の霊力とは、所詮この程度だったのだというべきか、あるいは
予定した一定の成果を収めたというべきか。
毎日新聞平成14年05月27日(月曜日)より全文引用。


【引用開始】

『ITは単なる道具。革命ではない。』
     成毛 眞

文化 批評と表現
グローバリゼーションの光と影  第2部 変わる企業社会A

成毛 眞(なるけまこと 1955年生まれ。マイクロソフト日本法人社長を退任後、
投資・コンサルティング会社インスパイアを設立。)


  「IT革命」やら「インターネット革命」という言葉もずいぶんと使い
古された。今ではちょっと口にするのも気恥ずかしい。ITは決して革
命ではない。ベンチャーキャピタリストとその周辺に群がる目ざとい
人々が考え出した「ごまかし」に過ぎないからだ。

 たとえば、二〜三年ほど前まで、こんな議論があったことを覚えているだ
ろうか。「革命以前には完成品メーカーは系列部品メーカーから長期契約に
基づいて部品を購入する。しかし、革命後には、部品はマーケットプレイス
(インターネット上の取引市場)での売買に変わる」、という議論である。それ
によって、常に世界中からもっとも安い部品を購入できる、卸業者が中抜き
されるので取引コストが大幅に減少する、部品メーカー側の利益も最大化す
る、といいことずくめのはずだった。

 が、もはやこんな議論を信じる人はいないだろう。第一に、汎用部品で作
られた自動車のどこに魅力や差別化要素があるのだろうか、というマーケテ
ィングの視点が欠如している。第二に、決済の問題も欠落していた。現実的な
決済インフラを握っているのは銀行だし、日本で言えば大手都市銀行に限ら
れている。にも関わらず、マーケットプレイスの議論では、銀行すら中抜き
される、とされた。

 現実の経済の営みを無視した、乱暴な議論−。それを正当化するために
人々は「これは革命なんですから」と言い訳して回っていたのだ。その意味
では、「革命ブーム」を作った人々のプレゼンテーションの能力に敬服するほ
かはない。

 あらためて、 「不景気」といわれる中で高い収益を上げている企業を見回
してみよう。多くは、IT革命やインターネット革命という言葉に踊らされること
がなかった会社であることに気がつくだろう。


   なかった「主役」の交代

 トヨタ自動車、任天堂、シャープ、キャノン、リコー、エプソンなどの高
収益企業にとって、ITは使い勝手のいい道具に過ぎない。少なくとも、経
営トップが革命などという言葉をおおっぴらに使っていないはずだ。これは
米国でも同じこと。ネットワーク機器やコンピュータ関連企業が軒並み業績
を悪化させる中で、止まっているのはGEであり、ウォルマートである。革
命的な主役交代はなかったのだ。

 生活にだって、革命なんか起こっていない。たとえば音楽を考えてみよう。
音楽の聴き方で「革命的」といえるのは、ソニーの「ウォークマン」の登場
だろう。が、それ以降は、生活に変化をもたらすような断絶がない。ネット
ワークを通じて音楽を聴くことができるNTTドコモの「Mステージ」や「F
OMA」は、ユーザーから見れば変形ウォークマンだ。

 レコード会社の側にも革命的な変化はなかった。つい二年ほど前、米国で
は音楽データ交換サービスのナップスターが全盛期を迎えており、インター
ネット社会における著作権のあり方が延々と論じられたものだ。が、先ごろ、
このナップスターはドイツの総合メディア大手ベルテルスマンにわずか八百
万jで買収されてしまった。その間に、コピーを防止する技術も、けっこう進
化している。古い秩序は守られているのである。

 インターネットを通じて書類や音楽CDなどの注文を受け付けるアマゾン
・コムが登場したからといって、町の本屋が消えるわけではないし、まして
やペーパーメディアが滅びるわけでもない。雑誌、書籍、マニュアルなどに
用いられる用紙の量は増える一方だ。紙といえば、典型的な「アナログ」だ
が、IT化が進めば進ほど、オフィスやら家庭内で用いる紙の使用量はな
ぜか増えていく。それだけ、紙は一覧性に優れた便利なメディアなのである。

 電子メールによるコミュニケーションが普及したところで、郵便が大きな
打撃を受けるわけでもない。「いや、それはダイヤルアップ接続の遅いインタ
ーネット。これからは高速・常時接続のブロードバンドだ。いまやブロードバ
ンド革命のときだ!」と勇ましく叫ぶ人もいるが、それって本当だろうか?


   付き合いはほどほどに

企業と同様に、個人の生活においても、ITやインターネットは「便利な
道具」に過ぎない。決して、古いものを破壊し、それに取って代わるもので
はない。ほどほどの付き合いが、心地よいのである。

 そういえば、政府のe−JAPAN2002計画には年間二兆円もの予
算がつき、ずいぶんと景気がいい。中央省庁における電子入札、ITを活用
した自治体横断型の戸籍情報管理など、「電子政府」をめざすらしい。そ
れって、本当に必要ですか?政府もそろそろ「IT革命」の熱から覚めて、
他にやらなければならない本業について、考え直すべきでは?
【引用終了】

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