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洗脳の楽園について 投稿者 ユートピアコレクション 日時 2002 年 9 月 05 日 10:56:18:

(回答先: はじめまして 投稿者 ユートピアコレクション 日時 2002 年 8 月 22 日 02:02:02)

『共同体研究について』
「ユートピア」はトマス・モアの造語で「どこにもない国」つまり「理想社会
」を意味することは良く知られているが”地上に楽園”を創造しようとする試
みは小説の中にだけに在ったわけはない。ヤマギシ会もその試みの一つといえ
るだろう。
今は関心を持つ人も少ないが、まずは理想社会のヒナ型を目指そうとする共同
体運動はそこそこに興隆した分野だった。70年代後半のコミユーンブームが
あっけなく頓挫し解散を余儀なくされたと聞くが、かっては「日本協同体協会
」「日本キブツ協会」「マルチメデイアセンター」と私が知っているだけでも
これだけのものがあった。(人民寺院の集団自殺の影響が大きい)
私は「実験心理学」があるのだから「実験社会学」といった分野があっていい
と思う。社会全体は大きすぎ、複雑すぎて考えるのが難しい。その点、共同体
は”試験管のなかの社会”といった趣がある。この分野の第一人者といえば、
やはり、ヤマギシ体験者である島田裕巳だろうか。(最近は期待していない)
手元に「オウエンのユートピアと共生社会:丸山武志著」がある。オウエンの
提唱した「ニユーハーモニー」実験の壮絶な失敗は、恐らく何時の時代にも、
あるいは共同体に限ることなく、辛辣な教訓を与えてくれるように思う。 
余談だが、この本でもっともスリリングだったのは産業資本家であったロバー
ト・オーエンと金融資本家であったリカードとの論争。「労働者は絞れば絞る
ほど儲かる」と主張するリカードに対して、「労働者の福利を向上させたほう
が、生産性が向上し、さらに労働者が金持ちになれば、労働者にも製品が売れ
る」とするオウエンの論争は、双方とも信念を実践して成功した実業家どうし
の討論だけに迫力がある。現代にだってありそうな話だ。

実はこの「ニユーハーモニー実験」の講義を、80年代初頭、ヤマギシを出た
ばかりの新島順良氏が開いた私塾”新島私塾”での共同体研究会、”講師:新
島順良””司会:島田裕巳(当時東大大学院)で受けたことがある。
ところで”哲学者 新島順良”皮肉には”チョーク芸者”とでも言うんだろう
か、話は面白いのだがサッパリわからない。そこで質問したわけです「どうし
てニユーハーモニーは失敗したんですか?」すると新島氏「みんな管理職に成
りたがったからです」「ハアァ〜ア?!大納得!」。ヤマギシの不満分子がヤマ
ギシを出て発起した、自由で民主的な共同体、黒牧農壮があっけなく頓挫した
直後のことだった。
ロバート・オウエンという強力なスポンサーを持ち、各界がらのバック・アップ
も得て順風万帆なはずの「ニユーハーモニー」が破綻した経緯はこのようなもの
だったらしい。
まず、極端な理念先行型だったこと。技術者や職人といった実務派がいなかった
その、ため生産は停滞し日常生活にも事欠くようになった。
次に意志決定機構として民主主義を採用した。これが最悪だった。権力の監視、
合意の形成には絶大な威力を発揮する民主主義も、こと配分に関する限り最悪の
システムだ。
考えてみてほしい。もし、なんでもかんでもを多数決で決めるとしたら、51%
の賛意が得られれば、のこり49%の公民権を停止出きる。その51%の51%
の賛成があれば・・・・行きつく先は強権独裁か崩壊か? 第一こんなミエミエ
のシステムで多数派が形成されるわけがない。日常、つまり生活の場、生産の場
が政治闘争の修羅場と化す。
その軋轢を避けるために次から次へと規則が作られていく。ついには息苦しくて
満足な生活など出来るものではなくなったのだという。

政治化を抑止する方法には二つの提案がある。一つは、カリスマ的、権威主義的
な指導者を頂き、上下関係,権力関係が明確な組織をつくること。つまり修道院
をイメージするような組織だ。長期にわたって持続する共同体はこのようなもの
しかないらしい。
もう一つは、各人が私有財産(商品)を持ち、市場原理に基づいて交換を行う方
法だ。つまり、分割しシェアリングする。
すでに結論は出ているように思うがどうだろうか。


『洗脳の楽園のついて』
共同体研究は興味深いとはいっても、取材となるとそう簡単とはいかない。共同
体は生活体であると同時に企業体であもあるわけだから、犯罪でも起こさない限
り、企業秘密やプライバシーの保護がある。細部に渡っての調査など不可能だ。
ただし、この点でもヤマギシは例外だろう。ヤマギシを閉鎖的な共同体と指摘す
る声もあるがこれは誤認。実はヤマギシはあまりに人の出入りが激しすぎて(こ
れが問題なのだが)機密の保持など不可能な団体なのだ。しかも参画者には、元
文学少年、少女、つまり表現欲求過多な御人が多いから、商業出版、自費出版、
ミニコミを問わずヤマギシを書きまくる。さらに最近はインターネットまでこれ
に加わった。資料を集める気になれば、いくらでも集まる団体でもある。
そんなヤマギシをルポした本に「洗脳の楽園」がある。これが実はトンデモな本
なのだ。ざっと内容を要約すればこんな具合。「ヤマギシの村人は日夜、背徳的
なセックスにふけり、その合間にケンサンと称するSMまがいのセミナーを催し
その結果、すっかりアタマがおかしくなっている」というものだ。これはどうも
事実らしい(笑)
この本がトンデモなのは、その内容ではなく実はその存在のほう。
「洗脳の楽園」は著者の米本和広氏が、宝島30、ビユースなどに寄稿した記事を
編集加筆し売り物である”特講体験取材”を加えたものだ。
実は私はフリーク、ほとんど”宝島30命”の人だったから、ヤマギシ関連以外に
も宝島30、宝島別冊に載った米本氏の記事はほとんど読んでいる。島田裕巳氏も
常連執筆者で、あの歴史的大チョンボ「第七サティアンは宗教施設」もこの雑誌
への寄稿だ。内情はよく知らないが、宝島30の編集方針は比較的自由なものだっ
たのではないか。同一誌内に正反対の見解が載ることもしばしば。傑作だったの
は、常連執筆者のほかにいかにも人件費の安そうな”突撃アホライター”といっ
た人もいて、かなりヤバそうな団体に取材を申し入れる。するとその団体からは
「オタクのような偏向三流雑誌の取材には応じられません」と門前払いを食わさ
れる。するとその一部始終を記事にする。エッセイストで主婦の「まついなつき」
はある日、その原稿を夫に見られた「なつき、オマエ、こんな原稿書いてなんに
なるんだ?」「原稿料が貰えるジャン」とまあ、こんな雰囲気の雑誌だった。
モロモロ雑多に交錯するなかで、「宝島30」全体を貫くトーンとは「何、マジに
なってるの? マジって何か変?」といったものではなかったか。これも推測で
恐縮だが「宝島30」の30とは、当時のサーティーズ。つまり「全共闘世代」と
「オタク世代」に挟まれ、マジに成り切れない世代のことだったのではないだろ
うか。
無論、熱いところが、全くなかったわけでもない。ライバル紙「噂の真相」に向
かって「いまどき、言論機関なんて言い方恥ずかしくないの」と噛みつき、プロ
の悪口合戦を楽しませてくもした。

そんな「宝島30」掲載されたのが「洗脳の楽園」初稿だ。これは宝島社よりヤマ
ギシに正式に取材を申し入れ、米本氏がルポしたものだという。
”トンデモ”になるのはこの辺からだ。単行版「洗脳の楽園」には多くの人が取
材協力した。特講体験取材にしたところでヤマギシに取材であることを前もって
説明し、ヤマギシの許可を得たものだという。「ヤマギシを考える全国ネットワ
ーク:以下ネットワーク」「救う会」その他ヤマギシOBも多数取材協力した。
つまり、この本が出版されるまでその出版に反対した人は皆無に近かった。事前
にどんな本になるか十分に予見されたにもかかわらずだ。ところが出版されるや
いなや、出版元の洋泉社、広告を載せた新聞社、推薦を寄せた文化人などに抗議
の電話が殺到したのだという。
たっだら何故取材に応じたの? あるいは取材の条件に「原稿は検閲する」とか
前もって条件をつければよかったんじゃないの?太っ腹のヤマギシのことだから
「隠すようなことはありません。何でも取材してください。ありのままを書いて
もらえればいいんです」なんて言ったんじゃないのぉぉお?。あれ、どこかにあ
ったな、この経緯?「ワットワーク」の抗議はさらにわからない。”いづみ”な
どによれば米本氏が、情報提供元が「ネットワーク」であることを書かなかった
のがけしからんという。場合よっては名誉毀損で訴えられかねない内容の本だ。
むしろ情報源を特定できないように配慮するのがプロであり普通というものだろ
う。「ネットワーク」にその努力、影響力といったものを誇示したい、といった
要求があるならこれは不当とは思わない。
だったら何故そのことを情報提供の条件にしないのか。文中などといわず、前書
きでも、表紙にでも「協力、ヤマギシを考える全国ネットワーク」と入れろ、と
事前に説明し条件を出せばよかったのではないか。
他人様は勝手に生きている。所詮自分の思いどうりにはならない。
他人が自分の思いどうりならないのは、なにか背後に邪悪な陰謀が隠されている
と考えるのは大抵の場合、妄想である。無論、この前提には「他人は自分の都合
どうりになって当然」とするとんでもないワガママがある。これでは小児性自我
肥大症、単なるガキということではないのか。
無論、男子三日合ざれば剋目すべしてはあるにしても・・

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