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堀氏の選択に誤りはないのか 投稿者 sasa 日時 2002 年 5 月 21 日 22:45:33:

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堀紘一氏は日本経済を救えるのか?

「SONYやHONDAを百社作ろう」を合言葉にベンチャー企業支援のドリームインキュベータを設立した堀紘一氏。同社は5月10日に東証マザーズに上場。この堀氏の選択に誤りはないのか!?

堀紘一氏と言えば、大手外資系コンサルティング会社であるボストンコンサルティングの日本法人の元社長で、テレビキャスターなども務める有名人ですが、その堀氏が経営する会社(株式会社ドリームインキュベータ、以下「DI社」という)が5月10日に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、株式時価評価で約60億円の資産家になりました(証券コード4310)。

 堀氏の経営するDI社の事業は、インキュベーション事業です。インキュベーションとは、親鳥が卵を雛に孵すようにベンチャー企業を創業期から徹底的に支援しその成長を促すことを意味し、その親鳥の役目を果たす者をインキュベータと言います。このインキュベーション事業は、JAFCOやNIFのようなベンチャーキャピタル会社のベンチャーキャピタル事業とは、ベンチャー企業を支援しているという意味では同じですが、似て非なるものと言えます。

 すなわち、日本のベンチャーキャピタル会社は、最近やっと役員を投資先であるベンチャー企業に派遣したりして経営の関与度を深め成長性に貢献しようとしていますが、担当者1人で何十社も担当していては、経営戦略を策定したり営業支援を行ったりする時間を割くことは実質的に不可能ですので、支援活動は出資などによる資金的支援に限定されているようです。

 一方、インキュベーションという事業は、単に資金支援するだけでなくベンチャー企業経営者と一緒に経営戦略や営業戦略を考えたりするだけでなく営業に同行したりして、日々起こるあらゆる経営的課題に対応すべく知恵を使い経営者と一緒になって汗を流すことによって、ベンチャー企業の成長性を加速させることになります。したがって、上記のベンチャーキャピタルとは、その支援活動の広さと深さにおいて大きく異なります。

 そして、マイクロソフト、シスコ、ヤフー、イーベイなどのベンチャー企業がアメリカ経済再生の牽引役を果たしたように、またSONYやHONDAなどベンチャー企業が戦後の日本経済成長の牽引役を果たしたように、現状の日本経済の衰退を打開し日本経済再生の果たすために第2のSONYやHONDAのベンチャー企業待望論が沸いています。

 しかし、技術革新や消費性向の変化などベンチャー企業をとり巻く環境変化のスピードが以前より格段に速くなっているため、ベンチャー企業経営者だけでタイムベース競争に打ち勝ち事業を成長させていくことは以前よりずっと困難になっていると言えます。そこで、ベンチャー企業及び経営者に不足している知識・能力・経験や経営資源を補完してくれるインキュベーション事業の重要性がクローズアップされているのです。

 さて、そのインキュベーション事業を行うDI社が株式上場を果たしましたが、インキュベータとして正しい選択だったのでしょうか。何故ならば、アメリカの成功しているインキュベータは通常株式上場を行わず非公開で事業を展開しているからです。

 株式上場を何故選択しないかというと、インキュベータ自身が株式上場をすると株主に対して四半期ごとに業績情報を開示しなければならないため、インキュベータ自身が自社の売上・利益など業績の伸長に焦点を充てざるを得ないため、投資先の利益に反して株式上場時期を早めるように投資先に勧めたり、インキュベーション活動による投資回収よりも売上や利益計上に即効性の高い大企業向けコンサルティングビジネスに傾注し始めるなど投資先の利益を第一義に考えながら2年〜3年間根気よくベンチャー企業の成長を促進していくという本来のインキュベーション事業に支障を来たすからです。

 したがって、DI社は株式上場すべきではなかったと思います。特に日本経済を再生させるようなベンチャー企業経営者をたくさん創出するという崇高な目標を掲げるのであれば、株式上場の準備や大企業向けコンサルティングなどに時間を費消する余裕はないはずです。何故株式上場したのか理由はよくわかりませんが、株式上場時に堀氏及び経営陣自身が保有しているDI社株式を売却し(売り出し)、約7億円の個人収入を得ているところにDI社のインキュベーション事業への真剣度を垣間見ることができそうです。


経済コラムニスト 河井 蒼佑
提供:株式会社FP総研

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