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ノーベル賞経済学者にして元世銀副総裁だから言える痛烈批判〜発展途上国を喰い物にするIMFは米ウォール街の代弁者でしかない〜コロンビア大学教授 ジョセフ・E・スティグリッツ(SAPIO6/12号) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 5 月 22 日 16:09:10:

ノーベル賞経済学者にして元世銀副総裁だから言える痛烈批判〜発展途上国を喰い物にするIMFは米ウォール街の代弁者でしかない〜コロンビア大学教授 ジョセフ・E・スティグリッツ(SAPIO6/12号)

【PROFILE】1943年、米インディアナ州生まれ。アーマスト大卒後MIT、英ケンブリッジ大などで学び、27歳の若さでイエール大学教授となる。以降、スタンフォード大、英オックスフォード大、プリンストン大などで教鞭をとり、93−97年、クリントン政権において大統領経済諮問委員会の委員長、97〜01年、世界銀行上級副総裁兼チーフ・エコノミストを務める。01年に「情報の経済学」理論を築き上げた功績により、ノーベル経済学賞を受賞。主著に「公共経済学(上・下)」「マクロ経済学」「ミクロ経済学」など。現在、コロンビア大学経済学部教授。

*IMF(国際通貨基金)1946年に世界銀行と共に設立された国連専門機関。44年にGATT(関税・貿易に関する一般協定)を含めた3つの創設が決定された(ブレトンウッズ体制)。IMFの目的は、為替安定促進と加盟国への資金融資による国際収支不均衡の是正が中心とされ、資金のない途上国にとっては「最後の貸し手」として位置づけられている。本部はワシントンに置かれ、現在の加盟国は183か国。

昨年、ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツ米コロンビア大教授の最新刊『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(日本語版は徳間書店より刊行)が、いま世界で注目を集めている。
米経済諮問委員会委員長、世界銀行副総裁を歴任したスティグリッツ教授はその中で、「米財務省とウォール街は、自分たちの利益にIMF(国際通貨基金)を奉仕させ、そのツケを発展途上国に支払わせている」と断言しているのだ。世界に公正を要求しながら、自らは非公正な政策を貫く米国の《傲慢》を内部から告発する。

1993年、私はクリントン大統領の経済諮問委員会に入り(95年に委員長に溌任)、97年には世界銀行に移って、2000年1月に辞すまでの釣3年間、上級副総裁兼チーフ・エコノミストを務めた。このワシントンにいた7年間、私は大学教授としての長年の調査研究をもとに、さまざまな経済・社会問題と取り組んだ。
しかし、その現場で私が目撃したものは、援助対象国の事情を理解した上で、中立的立場から有効な経済政策を打ち出していくべき国際機関、IMF(国際通貨基金)が、経済原理ではなくイデオロギーや政治的判断によって決定した経済政策を途上国に《強制》している姿、そしてIMFを背後で操る米国の姿だった。

●東アジア危機でIMFがとった《非経済学的》政策

その最も顕著な例が東アジア危機に対するIMFの対応だ。
97年7月2日のタイ・バーツ暴落に端を発した東アジアの経済危機は、アジアからロシア、ラテンアメリカへと波及した。
過去10年問、1ドル=25バーツ前後で取引されていたタイ通貨が一夜にして25%も下落し、そのショックはマレーシア、韓国、フィリピン、インドネシアをも襲った。その年の終わりには、為替相場の災厄として始まったものが、東アジア各国の多くの銀行、株式市場、さらには経済全体にマイナスの影響を及ぼした。現在、既に危機は去ったとはいえ、インドネシアなどの国はこの先数年は影響の余波が続くだろう。
この時IMFがとった最大の《暴挙》が、各国への公定歩合引き上げ要請である。今まさに景気後退に突っ込もうとしている経済に25%以上の引き上げを迫ったのだ。援助の引き換え条件として出された要求に対し、韓国はまず25%まで金利を引き上げたが、真剣にやる気があるのならもっと引き上げろと言われた。インドネシアは機先を制して危機直前に引き上げていたが、それでも十分ではないと責められた。他国でも金利引き上げが実質的に《強制》された。
IMFの理屈は単純だ。その国の金利を上げれば、投資先としての魅力が増し、資本が流入する。資本の流入は為替相場を支え、通貨を安定させる。
しかし、実際には(IMF自身も指摘していたように)アジアの企業は負債比率が高く、また負債比率の高い会社は金利の影響を受けやすい。とくにIMFが推進したような異常なレベルまで引き上げられれば、その多くが破産、もしくは債権者に巨額の債務返済を迫られて、純資産を激減させる。
このような分析・シミュレーションが一切されずに金利引き上げが《強制》された結果、無数の会社が破産・経営難に陥り、それにより融資の利払い不履行にあう銀行が増えた。例えばインドネシアでは全事業会社の75%が経営難に陥り、タイでは銀行融資の50%近くが利払い不能に陥った。同時にIMFの銀行に対しての「自己資本比率の基準を満たせ、さもなくば閉鎖せよ」という要求が経済をさらに悪化させた。大半の銀行が経営不振にある中でのこの要求によって、銀行は貸出先企業に融資の返済を求め、会社はますます経営難に陥り、それによって銀行の自己資本比率は一層下がる・・・と下降スパイラルの一途を辿った。
そもそもIMFとは、この種の危機を避けるために、あるいはそれに対処するために設立されたものだ。しかし、この騒乱の時期にIMFが東アジア各国に押しつけた政策は、状況を一層悪化させる結果を招いたのだ。
いま振り返れば、IMFの政策は下り坂の経済をさらに悪化させたことにとどまらず、部分的には経済下降の引き金にもなっていた。IMFが各国に要求した、あまりに急速な金融市場や資本市場の自由化が、この危機の最大の原因だったことは問違いない。
危機が始まったとき、私が会ったアジア各国の蔵相たちは危機の《元凶》が、資本市場の自由化とともになだれ込んだホット・マネー(投機的資金)であると認識していたし、IMFの政策に従えば、危機回避が不可能であることは十分に承知していた。しかし独自路線を貫けば、IMFから非難され、国際資本が引き揚げてしまうかも知れない。結局、マハティール首相率いるマレーシアだけが金利を低く抑え、投機的資金の急激な流出をできるだけ食い止める政策をとった。当時は四方から非難されたが、マレーシア経済の下降は他のどの国よりも短期間で、被害も小さくてすんだ。一方、IMFの処方箋に従ったタイは依然として景気は後退したままで、GDPは危機の前よりも2・3%も低い。再起を果たした企業はほとんどなく融資先の40%近くが未だに金利未払いである。
問題はなぜIMFがそのような政策・・・援助対象国の経済事情を考慮すれば、経済悪化をもたらすことが明白な政策・・・をとったのか、ということだ。経済学の観点からいえば、「インセンティプ」は何か?それによって誰が得をするのかということだ。

●途上国を場い物″にするウォール街と米財務省

結論からいえば、IMFは米国の金融界、いわゆるウォール街と米国財務省の利益とイデオロギーを代弁している。ただし、ウォール街・米財務省イコール米国ではない。東アジア危機そのものは米国全体にとっての利益ではなかったし、グローバルな経済政策では国務省など他の勢力・組織が前者に異議を唱えることもある。
危機の際、IMFが経済を悪化させてでも東アジア諸国の金利引き上げに執着したのは、ウォール街と米財務省が、インフレをこの世で最悪の事態だと考えているからだ。というのも、インフレは債権国に支払われるべきものの真の価値を下げ、債権価格の暴落につながると見ているからである。いってみれば、彼らにとっては自分たちの資産以上に《神聖》なものはなく、発展途上国の失業問題などはまったく眼中になかった。
もちろんそれによって利益を受けるのは米国だけでない。同様にアジアに対する債権者である国々、特にG7への返済を保証する点で、IMFは《G7の集金人》でもある。
しかし何といっても《主犯》は、IMFの最大の出資者であり、また拒否権を持つ唯一の加盟国として、IMFの政策決定に圧倒的な影響力をもつウォール街と米財務省である。
彼らはアジアに対して、自らが先頭に立って、資本・金融市場の急激な自由化を迫って危機の一因を作っておきながら、さらに危機で資産価値が下がると、IMFを通じて特売価格で資産、あるいは会社を売却することを要求した。その売却業務を行なった海外の金融機関はかつて資本を引き揚げて危機を加速させた当の金融機関と同一だ。これらの銀行は経営難に陥った会社の売却・分割で多額の手数料を手にしている。ちょうど、最初にこれらの国々への資金導入で多額の手数料を手にしたように。
もちろん為替変動を利用した《投機》によっても彼らは膨大な利益を手に入れた。
これが投横家が互いの資金の中で儲けを競うなら、それは平均すればリターンがゼロのハイ・リスクな活動にすぎない。
しかしなぜこの投機が儲かるかといえば、IMFの支援を受けた各国政府が資金を出すからである。例として、IMFとブラジル政府は98年未、過大評価された為替レートを維持するために釣500億ドルを費やした。
しかし、その金はどこへ行ったのか?ほとんどが投機家のポケットに入ったのだ。勝者・敗者があっても、投機家全体で見れば政府が失ったのと同じ額を儲けたことになる。ある意味で投機家をビジネスにつなぎとめているのは、他ならぬIMFなのである。そして同じようなことが東アジア危機や翌98年のロシア危機でも起きている。
そこにこそウォール街がIMFに影響力を行使し続ける理由がある。過去25年、IMFと世界銀行が活動してきたところは、ほぼ例外なく発展途上国であった。しかし、途上国サイドはその政策に対し、何もいうことができない。ちなみに暗黙の合意によってか、IMFの長には常にヨーロッパ人が就き、世界銀行の長は常に米国人が独占してきた。しかも、その選任は閉ざされた扉の背後でなされ、発展途上国での経験の有無が選任の必要条件とされたことは一度もない。これはいわばゲームのプレーヤーと審判を同一人物がやっていることに等しい。
またIMF幹部の多くは金融界出身で、彼らは《出身地》の利益のために十分働いた後、再び金融界で報酬のいい仕事に就くのが現実だ。

●自由競争を謳う財務長官がカルテルを主導

世界に公正を求め、自らは非公正な手段をとる米国の欺瞞はIMFなどの国際機関を通じたものに限らない。
94年に米国が自国の利害から自由貿易の原則をかなぐり捨てた「アルミニウム事件」は、その最も端的な事例といえる。
94年初め、世界のアルミニウム価格が急落した。それに対して、米国のアルミ製造業界は、ロシアがアルミをダンピングしたためだと非難した。しかし、どの経済市況分析をみても、ロシアがダンピングなどしていないことは明らかであった。ロシアは国際価格でアルミを売っていたに過ぎず、国際価格の急落は世界の成長が緩慢なことによって需要がグローバルに低迷したことなどが原因だった。
驚くべきことに、この事態に対し、米国大手アルミ製造会社アルコア会長だったポール・オニール(現財務長官)が提案したのは、世界規模のアルミ・カルテルの形成だった。
彼はさらに、カルテルに参加しないのであれば反ダンピング法で訴えると《脅迫》した。
反ダンピング法では、商品が「公正市場価格」を下回る価格で売られている場合、米国はその商品に特別な関税をかけることが許される。しかし、市場経済を機能させるのは自由競争である。私はカルテルに反対した。
実際、米国内ではカルテルは違法なのだから、世界的にも違法とされるべきであろう。米国にとって、世界規模のカルテル形成を助けるのは、あらゆる原則に反する。
しかし、オニールらアルミ業界側が国務省などを味方につけることに成功したため、カルテルが結成された。その結果、しばらくはアルミ価格が上昇し、アルコアなどのメーカーは収益を増やし、その一方でアメリカの消費者、さらに世界の消費者が被害を蒙ることとなった。
これは単なる過去の話ではない。今年に入ってオニールは、今度は鉄鋼業界のカルテルの結成とセーフガード発動に意欲を見せている。しかも、そこではアルミニウム事件が成功例として掲げられている。財務長官として「世界の問題は、資本主義が多すぎることではなくて、少なすぎることにある」と発言している人物の行動がこれなのだ。
最近のエネルギー大手、エンロンの破綻事件も、米国の欺瞞が明らかになったケースだ。興味深いのは、東アジア諸国が経済危機に直面した当時、米国はそうした国々に、「米国のコーポレート・ガバナンス(企業統治)や会計処理方法を模範とせよ」と主張していたことだ。ところが皮肉なことにエンロン事件は、米国が声高に自画自賛したコーポレート・ガバナンスや会計処理自体が腐っていたことを証明してしまった。
とはいえ、そうした米国の横暴を許してしまっていることに関しては、米国以外の国々の責任も重い。特に冷戦終焉前は、各国が米国の軍事的プレゼンスという傘のもとで保護きれてきたという過去があるせいか、米国に強い抗議ができずにいる。
しかし、現在はその当時と状況は変わり、米国はいまだに超軍事大国ではあるが、経済的には大国の一つに過ぎない。その意味で、米国以外の国々は米国に対してもっとものを言っていいし、自国の政策に関してももっと自信をもつべきだと考える。
IMFを始めとした国際機関の根本的変革については、ガバナンス、とりわけ政策決定における投票権の変更が必要だ。
また、IMFの政策決定までの経緯やその成果に関する透明性を高めることや、東アジア危機の際に日本がイニシアチブをとって提案した「アジア通貨基金」という考え方も、変革を実現する有効な手立てといえよう。
現在、IMFという突出した強い存在が一つしかないのが一番の問題で、こうした複数の国際経済機関を創設すれば、競争原理が働き、IMFも変わらざるをえなくなるからだ。しかし、97年に日本がこの創設に1000億ドルの提供を申し出た際、米国とIMFが協力してこの案を握りつぶしている。しかし今後は日本と中国が協力して創設に動けば、可能性は十分にある。
「あらゆるところで競争原理を推し進めろ。ただし米国自身は例外である」・・・実は、これこそがクリントン政権とそれに操られた国際機関の内部を貫く大原則だった。そしで米国はこの態度を今世紀も変えることはないだろう。

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