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須田日銀委員:外債購入は法律上「否定されず」実施は十分な検討必要(東京 6月5日ブルームバーグ) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 05 日 21:53:45:

日本銀行の須田美矢子審議委員は5日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、日銀による外債購入について「日本銀行法では否定されていない」としながらも、「実施するかどうかは十分検討しなければならない。大量に買うのであれば、米国や近隣諸国とも話をつけなければならない。従って、政府との協力は不可欠だ」と述べた。
足元では、米国株が不安定な動きを示しており、為替相場も円高気味に推移している。須田委員は「もともと日本経済の自律的な回復は期待できないと考えているので、米国はじめ海外経済がどれだけ順調に回復していくかが、日本経済にとって非常に大きな影響を持っている」と指摘する。
その米国経済については、「長い好況で生じた過大な設備投資の調整は、簡単には進まないだろう。金融緩和にもかかわらず、低格付け社債の金利は1年前とあまり変わっておらず、緩和効果は出てない。物価が上がらないため、実質でみると金利はまだ高水準にある。経常収支と財政赤字の双子の赤字問題が大きくなると、長期金利に悪影響を与えるかもしれない。資金の調達コストでみても、設備投資はどちらかと言うと下向きのリスクをみている」と言う。

外債購入のメリット

米国の個人消費についても、「消費がこれまで好調だった理由として、住宅価格の堅調が挙げられているが、一部の地域ではバブルではないかと指摘されており、住宅価格がこれからどんどん上がるとは考えにくい。原油やガソリン価格の上昇や、雇用の問題もあり、個人消費が今まで通り堅調に推移していくかどうか懸念している」と述べる。米国経済の先行きに対する不安が高まれば、当然、ドル相場にも影響が及んでくる。
「米国を中心とする世界的な資金フローは、為替相場に影響を与えるし、為替を通じて輸出収益や投資収益に影響するため、非常に重要なリスク要因だ。米国の経常収支の持続可能性が問題にされたり、為替の変動幅が大きくなるという予想自体がリスクプレミアムを上昇させ、資金フローに影響を与える。低金利で国内の投資収益機会が減るなか、それが機関投資家の投資姿勢に影響を及ぼす可能性もあるため、米国経済の動向を重視している」−−。
海外の学者を中心に、日銀による外債購入を勧める声が根強い。須田委員は外債購入についてまず、1)国債などよりベースマネーとの代替性が低いため、当座預金を供給しやすい、2)長期国債の買い入れと違い、財政規律をめぐる市場参加者の懸念を刺激する恐れがない、3)個別銘柄からなる株式や社債などと違い、中立性を確保しやすい−−など、「資金供給手段としてはそれなりのメリットがある」と指摘する。

為替介入との矛盾も

須田委員はそのうえで「金融調節手段として外債を購入することは、日銀法でも否定はされてないが、実際に実施するかどうかは十分検討しなければならない。今はそうした手段を取らなければならない状況ではないし、短期市場の参加者が担保の制約を意識しなければならない状況でもない。当然、外貨や外債を大量に買うのであれば、米国や近隣諸国とも話をつけなければならない。従って、政府との協力は不可欠であり、現状では無理だと思う」と語る。
須田委員は新日銀法の改正に、中央銀行研究会メンバーとして深くかかわった。「日銀法2条にある通り、金融政策の目的は、為替安定を含めた通貨価値の安定ではなく、対内的な通貨価値である物価の安定とされている。これは日銀法改正の際にも大きな議論になったテーマだが、最終的には、為替の安定と物価の安定の間に葛藤が生じる可能性があるため、為替の安定は政府が、物価の安定は日銀が責任を持つことで落ち着いた」と振り返る。
「こうした議論を踏まえると、日銀が金融調節の一環として外貨や外債を購入する場合には、為替相場には影響を与えないか、少なくともその意図がないことが不可欠だ。金融調節のためと位置付けて購入するからには、少なくとも現行の金融調節方針を継続する間は、為替相場が想定以上に円安方向に進んだ場合でも、淡々と購入を続ける覚悟が必要だ。果たして介入政策と整合性が取れるのか、矛盾が生じないのか、疑問がある」−−。

量的緩和の不確実性

金融政策は物価の安定を目的とし、為替相場の安定のための介入は政府が一元的に責任を持つという新日銀法の背景には、円高を抑えるために続けた超低金利の継続が、80年代後半のバブルを引き起こしたという反省に基づいている。しかし、そうした新日銀法の精神は未来永劫に不変なのか。「それは分からない。為替介入をやるのが政府なのか、中央銀行なのか、国によってそれぞれだ。それは、それぞれの政府が考えることだろう」と須田委員は指摘する。
量的緩和が採用されてから1年以上経った。現行の政策運営について、須田委員はこう語る。「暫定的な評価を言えば、異なる3つの効果がある。1つは、当預残高を目標に流動性を十分に増やした結果、短期金利は事実上ゼロ%で推移し、ゼロ金利政策と同様の効果が表れている。2つは、流動性リスクの顕現化を回避してきたこと。札割れが出るほど豊富に供給する姿勢を示してきたことで、いざとなったらいくらでも供給されるという安心感が醸成された」−−。
須田委員はさらに続ける。「もう1つは、量の拡大自体が長期金利や為替相場など資産価格、あるいは期待の変化を通じて実体経済に与える効果。これは前の2つと違って不確実な面が大きく、採用当初から実験的な性格を帯びていた。これまでのところ、その効果が表れているとは思っていない。だからと言って、今後も効果がまったくないとも考えていない。どのような効果が、どのようなラグをもって表れるか分からないので、今後も注視していきたい」−−。

長期金利は国債管理政策で

日銀政策委員会の一部メンバーが、日銀の長期国債買い入れと長期金利を絡める金融政策の可能性に言及している。須田委員は「日銀が国債買い入れを月 2000億円増やしても、年間2兆4000億円程度で、国債の発行残高や年間の発行額に比べて、大した規模ではない」と指摘する。当預残高目標が不変のもとで、国債買い入れを増額すれば、その分、短期のオペが減るので、民間ポートフォリオの短期債の残高を増やし、長期債の残高を減らすことになる。
須田委員は「そういったツイストオペをやることは、市場が効率的であれば、金利に影響に与えることはない、というのがわたしの考えだ。それより『消費者物価前年比伸び率が安定してゼロ%を上回るまで続ける』という時間軸の方が、よほど長期金利を安定化させている。財務省はこれから積極的に国債管理政策に取り組む姿勢のようなので、もし民間が持つ長期債と短期債のウエートを変えたいのであれば、国債管理政策で対応すればよい」と指摘する。
「市場が日銀の国債買い入れに注目し、それが財政規律やインフレ予想などさまざまな思惑と結び付いている現状では、どちらに作用するかは分からないが、期待を通じた影響は否定できない。ただ、これから国債買い入れの位置付けを考えていくとき、財務省をはじめ郵便貯金、簡易保険など、日銀よりビッグプレイヤーが存在する市場で、長期金利を特定水準以下に抑える手段として使うのは、『日銀は身のほど知らずだ』ということになるのではないか」−−。

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