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財務省とムーディーズ・正しいのはどちら?(MSNマネー) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 06 日 16:50:33:

ムーディーズの格下げに財務省はカンカン。両者の主張は平行線のままで、マーケットは反応なし。結局、両者の主張はどちらが正しいの?

5月31日、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは日本国債(自国通貨建て)の格付けを2段階引き下げ、最上級から6番目のA2と発表した。とはいえ、マーケットは、日本国債の格下げをすでに織り込んでいた様子。この日の株式、債権はともに大きな変動を示さなかった(むしろこの日は、日銀が3度目の円売り介入で為替レートが話題だった)。
マーケットに変化がなかったとはいえ、メンツの問題なのだろうか、財務省や経済界は格下げ発表とほぼ同時に反論コメントを出していた。個々のコメントは引用しないが、格下げが不当に低いとする主な理由は以下の通りだ。
・日本が保有する債権額、外貨準備高は世界最大
・日本の民間金融資産額(約1,400兆円)も世界最大
・日本の経常黒字額(約10兆円)と、これまた世界最大
当然だが、彼らが利用しているデータはどれも事実である。そして彼らが言いたいことは、「日本は世界一のお金持ちだから借金の返済能力は高く、その国の政府が発行している債券の格付けが低いのはおかしい」ということ。一方、ムーディーズの反論は、以下の通りである。
・ムーディーズが重視するのは政府債務の対GDP比と対歳入比の2点
・政府債務GDP比は1.4倍とイタリアの最悪期(94年・1.2倍)を上回る
・政府債務対歳入比は14倍とやはり大きい
・どちらの比率も今後さらに拡大する可能性が高く、将来リスクは高い
彼らが利用しているデータもやはり全て事実である。彼らの言い分を簡単に書けば「収入と比べて借金額は大きいから、借金の返済能力は低い」ということ。おもしろいのは、両者とも事実・データを根拠としているのに、一方は「日本の国債償還(借金返済)能力は高い」とし、他方は「日本の能力は低い」としている点だ。
財務省は自らの言い分が正しいとする根拠の一つにマーケットの動きを指摘している。たしかに格下げ後の株式・債権マーケットの動きをみる限り、マーケット関係者は、今のところ財務省側の言い分が正しいとしているようだ。しかし、これはあくまで「今」のこと。じつはマーケットは、ムーディーズが重視する「将来リスク」に対しては何も意思表明をしていない。
日本政府は、将来リスクに対する安全性として、日本が保有している金融資産の大きさを根拠にしており、いざとなれば「徴税権の発揮」つまり増税によって借金を返すことができると(暗にだが)ムーディーズに反論している。しかし本当に財務省は将来、増税ができると思っているのだろうか。それは財務省の単なる希望ではないのか。
ムーディーズの格下げが発表される前日、経済財政諮問会議が開催された。マスコミ報道によると、会議中、増税路線の石弘光・政府税制調査会会長と減税路線の本間正明議員が、今後の税制改正について激しい論争を繰り広げたようだ。石会長が増税の必要性について説明したところ、本間議員が「政府税調は志が低い」「(政府税調の案は)国際的に恥ずかしい」と過激発言を連発。石会長も「財源のはっきりしない減税論議は無責任」と応酬し、会議後も「政府税調は諮問会議の許可を受けるわけではない」と自らの方針を強調した。
こうした石会長と本間議員のやり取りをみて誰もが思うことは、「税制を大きく変更する労力は非常に大きい」ということ。理論上、日本が保有する金融資産を国債償還に使えば国債残高はすぐに小さくなる。しかし日本の金融資産の多くは個人のものであり、政府のものではない。仮に政府が増税で個人資産を吸収しようとしても、個人は資産を海外に移すことで課税から逃れるだろう。政府が資産を召し上げようと思ったときには、日本には資産が何も残っていないということは十分にありえる。
感情的な政治家や実務を知らない官僚が考えているほど、経済事象や金融マーケットは理論通りに進まない。ムーディーズの格下げを無視して政策運営をするのは日本政府の勝手だが、その勝手についてくるほどマーケットや日本国民は愚かではない。他人のお金を楽観的にあてにする者と、自分のお金を厳しく管理する者、読者はどちらを信じるだろうか。
マーケットエコノミスト 秋新作
提供:株式会社FP総研

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