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日本の科学技術は衰退しているのか? 投稿者 楽観派 日時 2002 年 7 月 06 日 19:06:40:

先日FTを読んでいると、現在日本が誇れる技術製品はPS2だけだという記事がでた。なるほど、英国ではそう見られているのかと感心したが、実はアメリカ人の日本の科学技術への侮蔑はもっとひどい。これは私の認識とあわない。私にできる範囲で日本の科学技術が現在どういう状態にあるのか報告したい。

アメリカ、フィラデルフィアにISIトムソンという会社がある。これは学問の格付け会社である。ただしS&Pなどと決定的に違うのはどうやって国や機関、個々の研究者の格付けをしているかそのプロセスをサイト上で完全に公開しているという点である。さらに情報サービスの契約を結べば全ての格付けの明細を知ることができる。あまりにプロセスが透明なために過去において自分たちの研究の格付けがおかしいという苦情を受けて調査しなおし再度発表したくらいである。

このページをよく読んでほしい。

www.in-cites.com/countries/Japan1.html

これは日本の科学の格付けをしたページである。いくつか私が重要と考える要点を紹介したい。

1981年から98年という期間において

1)日本の科学論文の世界でのシェアは6.2%から9.5%にあがったがアメリカのシェアは40%から35%まで落ちた

2)ハイインパクト論文(たくさん引用される論文)において1981年に日本は106本生み出したが98年には255本になった。これは141%の増加であり主要国の中では最高の伸び率である。一方アメリカのハイインパクト論文は81年の2942本から2875本にまで減少している。

ISIの解説によると日本はより科学の最先端部分で成長しているということだ。

またISIの発表によると2000−2001年に最も多くのハイインパクト論文を書いたのは国立循環器センター(阪大の一部)の寒川教授のグループであるという。

残念ながらISIは1991年から2001年までの最新の格付けを発表してないが、個々の分野(免疫学)などは発表しており私が目を通した範囲では日本の科学技術の勢いはさらに増している。

ではどうして欧米人は日本の科学技術が衰退しているという間違った認識を持っているのだろう。私が考えるのは90年代アメリカの大学はすぐに利益を生み出す科学技術に傾注し基礎研究をおこたったのである。ちなみにアメリカの大学が取得した特許数は90年代で4倍に増えている。これは大学教授がスピンオフしてヴェンチャービジネスをはじめた結果だと思う。

一方、日本はどうかというと全体的傾向として90年代は基礎研究に傾注したのである。それは例えばアポプトシーという重要な細胞活動を発見したのが筑波大学(現在は阪大)の長田教授であることからもあきらかである。

そうした日本の科学技術は成功の果実を生み出し始めている。東大はニュートリノに質量があることを発見した、世界最速のコンピュータは日本にあり、世界最速の情報ハイウエーは東京-大阪間にあり東に地球シミュレータがあり西に国立循環器センターがある。

私が日本の将来に関して基本的に楽観的なのは日本の科学技術を信頼しているからである。そういうとニュートリノに質量があることがわかっても国債の償還がすすむわけではないという声が聞こえてきそうだが、実は日本は無駄な道路を作る一方で世界最先端の研究所も作っている。具体例をあげよう。

大阪大にレーザー核融合研究所がある。ここのレーザーの出力は世界最高である。阪大は英国の研究機関とともにレーザー核融合発電所を建設した場合の費用見積もりをすでに発表している。約300から400億円である。

核融合は海水にふくまれる重水が原料だから原料費はただといってもよい。さらにレーザー核融合は熱核融合のような膨大な放射能汚染物質をださない。日本は年100兆円近いエネルギーを輸入しているがこの技術が完成すればそれをほとんどゼロにすることができる。さらに二酸化炭素を出さないから地球温暖化もとめることができる。現在進んでいる燃料電池と組み合わせればエネルギーを輸出することも可能である。

私は別に科学評論家ではないのでこのレーザー核融合がいつ実現されるか知らない。知っているのは確実に実現に向けて進歩をとげているということだ。自民党の山崎は死ぬまでに核融合の成功をみたいと今年の始めにいってるが、それも進捗状況を把握した上での発言と理解している。

しかしレーザー核融合が実現しなくても日本はたくさん種をまいている。光触媒、大容量Mラム、様々な技術が研究されている。そのどれかは数年内に果実を結ぶと考える。つまり国債は数年値崩れしなければよいと考えている。いつかはわからないが近年中にブレークスルーがおきて日本の競争力を飛躍的に高めるだろう。

ISIトムソンのサイトは情報の宝庫である。日本語のページは残念ながら内容が不備だ。辞書を使ってでもこのサイトの情報を全部読んでいただきたい。格付けはこうあるべきだ。ちなみに90年代初頭にこの傾向を憂いたアメリカ科学アカデミーはアメリカの科学者に日本語を勉強するように勧告している。だがアメリカは目先の実利に走った。しかも最近のベル研究所のスキャンダルが示すように科学論文の世界でもエンロン化が進んでいる。

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