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Re: 為替相場の長期判断は難しいが短中期は「円高・ドル安」 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 16 日 14:18:42:

(回答先: Re: あっしらさんは長期ドル安と判断されますか? 投稿者 Ddog 日時 2002 年 7 月 15 日 23:22:35)

Ddogさん、こんにちわ。

ドル安というより、「ドル安・円高」や「ドル安・ユーロ高」という設問と受け止めます。
中南米との関係で言えばドル高傾向で、中国との関係では変わらずです。
対米輸出が今なお年率17%の勢いで増大している中国とのレートが変わらないというのは、物価抑制に大きな意義を持っています。
(これが日本の競争力を劣化させるという問題は重要です)

外国為替レートの規定は、論理的には説明できても、現実的な変動の予測は極めて難しいと考えています。
それは、論理的な説明自体に通貨量という“恣意的”な変動要因が含まれているからです。
「労働価値」上昇ペースの相対的高低はある程度見通せますが、管理通貨制の通貨量増減は“資本の論理”以外に規定がないので予測が難しいものです。

さらに、米ドルは国際基軸通貨(国際商品の価格基準であり国際決済手段)という特殊な地位にあるので、FRBの通貨発行量の増加が米国国民経済の通貨量増加に直接は結びつきません。
米国国民経済の外を動き回っているドル紙幣は、米国国民経済内で流通している額よりも多い3兆ドルとも言われています。
また、各国中央銀行は、外貨準備という名目で、ドル紙幣を米国政府債務証書に変えて蓄蔵しています。
貿易収支や経常収支の赤字分が米国の労働成果財に向けられるかたちで還流してくれば、労働価値がその増加に見合うペースで上昇しない限り、米国で生産される労働成果財の価格が上昇するため、「ドル安・円高」や「ドル安・ユーロ高」を誘導します。

外に出た米ドルが株式市場や債券市場に向けられるかたちの還流であれば、それらの既保有者が売却で得たドルを米国内で生産された労働成果財に振り向けない限り(たぶん他の金融資産に振り向けられる)、その影響度はほとんどないどころか、通貨間の需給論理によりドル高方向に寄与することになります。
新規発行国際に振り向けられた還流ドルも、財政支出が軍需物資の購入とその消費に振り向けられるのなら、ドル安を促しにくくなります。(軍需産業が第二次世界大戦の時のように、雇用を大量に増やすかたちで増産し、一般労働成果財の「労働価値」上昇ペースがそのために生じる総家計収入の増加ベースに追いつかなければドル安要因になるのですが、そのような動きは見えません)

米国という一国民経済の通貨が、生半可な額ではない規模で、その国民経済の外にとどまっていたり、非労働成果財(金融資産)の購入に振り向けられているという状況にあります。

逆に言うと、このような米ドルの使われ方が、実質以上のドル高を支えてきた要因だと考えています。

国際決済手段という米ドルの役割はしばらく続くと思われるので、問題は、金融資産の購入に振り向けられる米ドルがどう変動するかだと思います。

株式市場は、年内にとどまらず、長期(1年超)的な下落傾向を辿っていくと予測しています。(陰謀論的な側面は抜きにして、「デフレ不況」による企業業績悪化がより明確になるからです)

債券市場は、株安傾向と長期名目金利が下げ止まりながらデフレによる実質金利の上昇がみられることで資金が流れ込む論理構造になっていますが、企業発行債券は業績悪化という問題があり、国債は冷静な外国人であれば積み増しを躊躇せざるを得ないという問題があります。(ユーロ圏の国債のほうが選好性が高い)

日銀のドル買い介入はドル高誘引ですが、大勢の流れをくい止めるだけの力はありません。(米国政府にとっては財政赤字を埋めてくれるありがたい介入ですが)

結論的に言えば、経常収支は従来通りであっても、資本収支の変動からしばらくは「ドル安・円高」や「ドル安・ユーロ高」の傾向が続くと予測します。

外国為替の投機も、経済論理に逆らった取引は損失を招き、経済論を先取りした取引は大きな利益を生むものです。


>さてドル高に誘導するのは、さほど難しくはないようなきがします。まずドル高政策
>が、依然変更していないことを、内外に示せばよい。

米国当局が現在の水準以上のドル高を望んでいるのなら、けっこう有効な策だと思っています。


>115円台突入したようで、円の最高値79円からロシア危機直後の円高値101.25円
>を結ぶ抵抗線113円の攻防ライン近辺で日米同時協調介入すればいい。

米国当局は、どうも、現段階の水準(115円)を超えてドル安が進むことを容認していると思われます。日銀からの委託による介入は行う可能性がありますが、米国当局が主体的に判断したドル買い介入はしばらくないと見ています。
(米国産業界の意向と言うより、対外公的債務の軽減になりますからね)


>10月予定のブラジルの危機も、今から世界中で騒いでいれば、なんとかなるもん
>だ、(根拠なき楽観)

既に手を打っている人、手を打ち始めている人、なんとかなるもんだと考えている人、まったく関係ないと思っている人、まったく知らない人という色分けになるのでしょうが、既に手を打っている人と手を打ち始めている人が損を被らないか損を少なくできる人だと思っています。(アルゼンチンもそうでした)


>ドル高政策の正式な撤回はしておりませんので、以上で十分かもしれない。非難反論
>の嵐となりそうなので、それでもだめなら危機の捏造(不適切な言葉か)ちょいと北
>朝鮮でも挑発すれば、たちまち円安。小泉政権の册封を与えなければいい。また円高
>で日本経済赤信号と、騒ぎ立てればいい。
>そしたら現在1ドル100円突破を叫ぶ評論家のたぐいも再び円のキャピタルフライ
>トを恥ずかしげも無く叫ぶことでしょう。中国経済もちょいと、外貨を遮断する政策
>をすればたちまち発火、隣国日本円も、かつてのソビエト崩壊じのマルクの暴落ごと
>くになるかも。

これらも、「ドル高・円安」に誘導する有効な策だと思っています。

しかし、米国当局は、円やユーロに対する基礎水準を変えたいと考えていると思われます。
「ドル高」基調が、基本姿勢であることは変わっていないと判断した上でです。

円で考えると、1ドル=125円を基礎水準と考えていたとしたら、1ドル=110円を基礎水準にして、そこから1ドル=115円になれば円安、そこから1ドル=105円になれば円高というような基準線の変更です。

望んでいる新たな基準線が110円なのか105円なのか100円なのかはわかりませんが、望み実現した基準線が経済論理を超えたものであれば、長続きせず修正されることになります。

直感ですが、110円から105円あたりを新基準ラインにしたいと思っているのではないかと考えています。(経済論理的には、1ドル=100円でも経済論理を超えたものではないと判断しています)

日本当局が、1ドル=105円や1ドル=100円になるのがイヤなら、そうならない政策(基本的には日本のインフレ率を米国以上にする)を採るべきであって、ドル買い介入や米国当局頼みでは阻止することはできません。


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