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デフレをあおる小泉改革  ビル・トッテン 投稿者 Ddog 日時 2002 年 7 月 27 日 13:15:56:

デフレをあおる小泉改革
ビル・トッテン http://www.ashisuto.co.jp/corporate/rinen/totten/ow.php

 小泉内閣の経済政策はデフレを解消するどころか悪化させている。デフレを解決するには、過去二十年間の政府の政策を撤回するしかない。
 デフレの原因は製品の過剰供給か、需要の不足にある。人々が必要な量だけを生産するのであれば過剰供給にはならないが、利益追求が目的であればどうしても過剰に生産する。日本が「過剰」状態になったのは、私の知る限り現代が最初である。

逆をいく税制改革

 過剰生産をやめる簡単な方法は法人税と個人所得税の増税により、利益を狙う気持ちをそぐしかない。しかし、政府はまったくその逆の大幅減税を行ってきた。
 三十年前、日本の税収のうち所得税収と法人税収はほぼ同額だった。今、法人税収は所得税収の三分の二に減った。また所得税率も累進性が弱まり、特に高額所得者が優遇された。一九八四年、最高税率70%で税率は十五段階に分かれていた所得税は、九九年には四段階、最高税率37%に引き下げられた。
 技術進歩で過剰生産の潜在的な問題が出始めたその時期に、日本政府は税法を変えて経営者や株主に生産増を奨励する税制改革を行ってきた。小泉首相は今、さらなる過剰生産をあおるように研究開発投資減税、設備投資減税を行おうとしている。
 デフレのもう一つの解決策は消費を増やすことである。消費されない所得は預金にまわるため、消費の増加は預金の減少と同じことでもある。それには個人消費を増やすか、あるいは社会消費を増やせばよい。

預金奨励する政策

 しかし、これについても政府はまったく逆のことを行おうとしている。消費税の導入および増税により消費を減退させたことを忘れたのか、5%からさらに増税しようとしている。
 平成に導入された消費税によって、低所得者層は大幅な増税となった。日本の全世帯数の約11%が年間収入三百万円以下であり、その消費支出は収入のほぼ九割以上である。
 そのうち収入を上回る消費をしている3%の世帯では、預金を崩したり、借金をして生活をしている。日本国民の24%に当たる年収四百万円以下の世帯でみても、年収の四分の三以上が消費に充てられている。
 もし消費税をここで再び増税すれば、こうした低所得者層に特に重い負担となる。なぜならこの層は収入に占める消費支出の割合が一番高いからだ。さらに過去の減税で受けた恩恵も一番低かった。
 課税所得四百万円以下の所得税プラス消費税の減税幅は20%未満だが、千五百万円以上の世帯の減税率は一・五倍の30%以上である。所得に消費の占める割合が少ない少数の世帯を最も優遇し、また所得のほとんどを消費している低所得世帯の減税幅を低くするのは、まさに消費を冷え込ませ、預金を奨励する政策だった。
 政府はさらに、国民がもっと預金に励みたくなる政策を打ち出した。将来が不確実で不安定になればなるほど、人は預金をしたいと思う。医療改革では国民負担増となり、高齢者は定額制の廃止と負担上限の大幅引き上げが予定されている。
 年金支給額は減額、社会保険料は値上げ、母子家庭の手当減額をはじめ福祉の削減と、不安定な競争社会を前にしては人々が消費より預金に傾くのは当然である。

社会消費を増やせ

 消費には個人消費と社会消費の二種類ある。日本の個人消費は、すでに国民一人当たり米国人の一・五倍、G7諸国平均の一・八倍、OECD諸国平均の三倍以上にも上る。一方の社会消費はOECD諸国が各国GDPの約20%を充てているのに対し、日本はその半分の10%しか費やしていない。もし社会消費を他の先進諸国並みに増やせばデフレは解決するだろう。
 ところが政府はその社会消費をさらに減らそうとしている。もはや日本はどの先進諸国よりも非社会主義的な国になった。デフレになり始めたのは、日本のメディアや政治家が「小さな政府」を標榜し始めたころであり、デフレが深刻化した今もそれを言い続けている。
 日本の公務員数は就労人口の6%だがEU諸国平均は18%で、日本の次に少ないルクセンブルグでも11%である。もし日本が公務員数をルクセンブルグ並み、つまり就労人口5%分を増員すれば、それだけで失業問題は解決する計算になる。
 日本のデフレは消費を上回る供給があるためである。その解決策は生産を削減するか、預金を減らして消費を増やすしかない。生産がここまで増えたのは技術革新による機械化が進んだことと、拝金主義によって企業が過剰生産に走ったためである。
 そしてその土壌としてそれをあおる税制改革が行われ、また政府の政策によって日本の社会消費は他の先進諸国よりもずっと少ない。デフレを解消するためには、従って、政府がこれまでとってきた政策の逆を行うしかないのである。
題名:No.531 超帝国主義国家アメリカの内幕

From : ビル・トッテン
Subject : 超帝国主義国家アメリカの内幕
Number : OW531
Date : 2002年7月10日
以前からたびたびこのOur Worldシリーズに寄稿をしているNY在住のエコノミスト、マイケル・ハドソンが1972年にアメリカで出版した『スーパー・インペリアリズム』の邦訳が、30年後の今年5月、徳間書店から発売されました。その序文から一部抜粋して転載します。アメリカという国がいかにして国家の赤字を他国の中央銀行(日本は日銀)を通して、そこの国を搾取する経済侵略的な手段に変えるかについて書かれた本書をぜひお読みになることをお勧めいたします。

(ビル・トッテン)

超帝国主義国家アメリカの内幕
マイケル・ハドソン

 2001年の9月11日は、どうしてアメリカが、そして特にアメリカ政府が、これほど広範に憎まれているのかという問題をアメリカ人を含む世界中の人々につきつけた。アメリカの評論家すらもが、テロリストの攻撃は、かなりの程度アメリカ自身の外国での行動の結果であったとのべているが、それは、軍事面ばかりか、大多数の国々に対する財政的な圧力を通じての行動を指している。
 パキスタン政府がわずかな収入を外国の債権者への支払いにあてざるをえなくなったのは、結局のところ何年か前のIMFの「付帯条件」のせいだった。外貨調達にあたり、IMFのアドバイザーたちが繰り返したのは、過去50年間ワシントン・コンセンサスの核心となってきたフレーズだ。パキスタン政府は、外国の債権者に支払うためさらに多くの収入を“とりのける”べく、緊縮財政を実施するよう指図を受けたのである。
 特に腹立たしく思えるのは、アメリカ国際開発局が債権者となっていることだ。現在“対外援助”と称されているものは、主として、ドルで支払わねばならない貸付の形を取っている。そこでパキスタンは、国内収入を国民の教育に振り向けることをやめてまでも、外国の債権者に支払わざるをえない。公教育システムとそれにかかわる文化活動を奪い去るのは、子供たちに読み書きを教える役割を宗教教育施設に任せることにほかならない。そういう施設が“学生”を意味するタリバンなのである。ワシントンが押し付けたそういう緊縮財政に対する返答が激しい憤りであり、それがもっとも顕著な形で爆発した場所が貿易センタービルとペンタゴンだった。
 最初30年前に出版されたとき、本書はIMFと世界銀行が世界中の債務国経済に破壊的な政策を押し付けていることを批判し、それらの誤った政策がアメリカの外交的な圧力と今日ワシントン・コンセンサスと呼ばれているものから出ていることを突き止めた最初の一般向けの本となった。そこには、第二次大戦の終結期におけるイギリス―アメリカの戦略がいかにして、金融規制緩和のスローガンのもと、債務国からの資本逃避を促進したかが示されている。また、1950年代以来世界銀行の業務哲学が、どれだけアメリカの農産物輸出を推進する狙いを持ち、外国の土地改革や農業自給に逆らってきたかも詳細に明らかにされている。1991年以後、アメリカの後援による盗賊政治的なロシア改革を失敗させ、1997年のアジアとロシアの経済危機を生み出した政策の根源は、こうして、ブレトンウッズ会議の産物たる世界銀行とIMFが、当初からアメリカ経済外交官の主張を受けて歪んだ構造をもつにいたったという事実にさかのぼれるかもしれない。
1971年8月、ロンドン金市場が閉鎖され、ドルが10%切り下げられて通貨システムが大変動していた。そのため、アメリカの国際収支赤字は拡大しつづけたが、諸外国の中央銀行は余剰ドルを金と交換して、アメリカの対外債務増大を押しとどめる手段をとれなくなった。
1971年、スミソニアン会議で、世界主要国はアメリカの要求に関して激論を交わした。アメリカが対外経常収支を毎年150から200億ドルずつ改善できるよう平価を調整的に変更すべきだという要求である。現在のアメリカの年々何千億という単位で増える貿易赤字からすれば、その額はごくわずかで重要性も感じられない。諸外国とその政府が、他国経済を犠牲にしてのドルのいわば「ただ飯」にどのくらい屈服を続けてきたかが一目瞭然だろう。
1971年にドルが金と切り離されて以来、諸外国政府はどうしようもないジレンマに陥ってきた。使い道のないドルを自国の通貨に交換すれば、その通貨価値は上昇する。これはその国の輸出品を世界市場で買い手がつかない値段にしてしまう恐れがある。これを避けるため、各中央銀行は最小限の抵抗を行う新たな道をたどってきた。すなわち余剰ドルをアメリカに還流させて、アメリカ財務省の証券や手形を買うのである。
これはアメリカ当局にとってすら、いささか意外な結末だった。国際収支の赤字を計上しつづけたおかげで、諸外国の中央銀行がアメリカの債券を購入せざるをえなくなったのである。それにより、アメリカの国内予算の赤字にも資金が流れ込んだ。1990年以降、アメリカの全連邦予算の赤字が、アメリカの納税者や国内投資家ではなく、中国や日本、その他の東アジア諸国によって埋められることになるとは、当時は誰も予想していなかった。
1972年以降の米国債本位制により、アメリカ経済は、アメリカの外交官がIMFを通じて他の債務国に命じる行動、つまり緊縮財政をみずから実践する必要がなくなった。アメリカだけが、国際収支への影響をほとんど気にせず、国内で拡大路線をとり、外交を推し進める。債務国に緊縮財政を押し付けながら、世界最大の債務国、アメリカは、一人金融的束縛なしに行動するのである。
本書については時おり再版の論議がおきたが、それは1999年になるまで切実なものとはならなかった。その時ようやく、世界銀行とIMFの、いまではあきらかな失敗、あるいは、アメリカ中心的外交促進の成功といっても同じことだが、に対し、広く世界的に反対の声があがったのである。国際金融システムが、全世界に慢性的な国際収支の危機をひきおこす破滅的な道へと迷い込んでしまっていることが認められだしたのだ。したがって、この新版では、かわりゆく自国の立場に対するアメリカの対応の性格があきらかになりだしたばかりの時期に当初発表された、アメリカの金融外交についての研究を拡大した。
 1972年にはまだ潜在的でしかなかった多くの流れが、それ以後あからさまになってきている。その第一は、拡大する貿易収支赤字ばかりか国内の連邦予算赤字に対しても資金供給を行うために、6000億ドルの対外債務を計上するアメリカ財務省の能力だ。この財務省借用証書が世界のマネタリー・ベースの中に組み入れられる限り、それらは返済の必要がなく、限りなくいつまでも回転しつづけていく。
 1970年代初めに植え付けられた種子の第二の開花は、IMFや世界銀行を通じての債務を利用して、第三世界やロシアや東アジアの依存的な経済をワシントン・コンセンサスの推奨する方向にすすませようとしたことだった。この目的を推進するため、アメリカの外交官たちは、それら2つの機関の改革に反対し、農業・財政・技術面でのアメリカ依存より自国内や地域的な自給をめざすような経済哲学を持つ新たな国際的機関の設置を拒絶しつづけている。
 第三の力は、近年の世界的な民営化の波にもかかわらず、政府による経済生活の支配が増加していることだろう。実際、民営化は各国政府のワシントン・コンセンサスへの従属を反映している。自由な企業活動というのは単なる言葉のあやで、市場はアメリカの計画立案者との二国間取り決めにより形を定められることになっている。アメリカは、IMFや世界銀行経由の多角的対外援助を駆使して、自国民よりもアメリカの利益に奉仕するような政策を掲げるアメリカ従属的な寡頭政治や政党に援助を与えることができた。
 外国政府に自国の経済をねじまげてまでアメリカの計画に奉仕させるような、アメリカの影響力を如実に示す目印となるのは、1985年の日本やヨーロッパとのプラザ合意や、その後のルーブル合意だろう。それらの合意は日本のバブル経済の引き金を引き、「日本の経済的挑戦」を打ち砕いた。
 アメリカの力ずく外交を特徴づける第四の点は、世界貿易が二国間的な“秩序ある市場占有協定”へ移行したことだ。これは相手国内の生産能力の増加には何ら考慮を払わず、アメリカの供給者に固定的もしくは増加する市場占有率を確保させるよう強いる協定にほかならない。追い求めるべきは依存で、食糧や技術、あるいは他の重要な部門での自給ではないのである。
 現在のところ、アメリカ中心の金融システムと、それがアメリカを除く債務国経済に押し付けるマネタリスト的負債デフレーションに対し、重要な代替案は提示されていない。とどのつまりはこうだ。世界はそれぞれ南北問題を抱える次の5つの主な地域にまとまっているようにみえるにもかかわらず、どの地域もアメリカ中心の色彩が濃い。その5つの地域の状況を簡単にまとめてみよう。1.アメリカの支配する西半球のドル・ブロック。ここには北米自由貿易協定の一員であるカナダとラテンアメリカが含まれる。2.日本の支配するアジアの円通貨圏、ここの黒字は米国債を対外準備としているのでアメリカへと向かっていく。一方貯蓄は、1998年の金融ビッグバン以来、アメリカのブローカー会社や資金マネージャーへと流れつづけている。3.EC、近東、および北アフリカを含む新興の地中海三角地帯。4.旧ソ連と東欧経済圏、ここはアメリカの有害な経済的勧告を採用した結果、USドルを通貨に採用したも同然になっている。5.中国、WTOに加盟したが、それにより最終的にどんな地位を占めることになるのかはまだはっきりわかっていない。

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