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【データ解析】通貨現象に見る「バブル形成」→「バブル崩壊」→「デフレ不況」 [4種類のデータ付き] 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 31 日 15:38:12:

ここ数日間書いてきたことをデータで少し確認してみたのでアップします。

財務省の「匿名希望」さんらは既により精緻なデータをお持ちなのだろうが、我流でまとめたものを提示します。


1)「デフレ不況」へ至る過程

90年を基点とした通貨発行残高と国際収支による通貨発行残高増加値の乖離状況の推移を示したデータである。

「通貨達成率」の推移を見ればわかるように、90年から96年の期間と97年以降で顕著な差異が出ている。

90〜96年:

 銀行が、「バブル崩壊」により不良債権化した貸し出しにうろたえ、「信用創造機能」を喪失したことがよくわかる。商業銀行が中央銀行から通貨を借り入れる意欲をなくしていたために、国際的に稼いだ通貨が“不胎化”し続けた。
 この時期は、銀行・統治者・債務者が地価や株価が反転する期待を未だ持ち続けており、広範囲の債務者に対して支払いが出来ない利息分を追い貸ししていたと推測される。抵当権を設定した不動産も一部を除けば権利を行使しなかった。


97年以降:

資産価格の下落が長期的に続くことを銀行・統治者・債務者が共通して認識するようになった。
債務超過の銀行を破綻させる決意をするとともに、不良債権の処理に向け本格的に動き始めた。
98年及び99年の「通貨達成率」の高さは、同時期に行われた銀行への公的資金投入によるものと推定される。これは、前向きの通貨量増加ではなく、後ろ向きの通貨量増加


どちらの期間も、通貨が前向きのかたちでは機能していないことがわかる。

データから、94年から95年の時点で、銀行の「信用創造機能」の劣化と資産価格の長期的下落を見極め、不良債権処理政策を3年は先行させる必要があったのではないかということが指摘できる。

(dDogさんが取り上げられていたように故梶山氏流の処方箋がいいか悪いかは別として、不良債権問題を先送りしすぎたことは確かである。92年や93年でとは言わないが、94年までのデータを見れば事態の深刻さがわかるはずである)


[90年代通貨発行残高推移]単位:兆円

                   A    B     名目   通貨
   経常収支  資本収支 国際収支 通貨残高 理論通貨残 GDP  達成率
-------------------------------------------------------------------------------
90                 39.7 (90年)
91  9.1  −9.2 −0.1 39.8 39.7  6.2   0.3
92 14.2 −12.9  1.3 39.6 41.0  2.6  −3.4
93 14.6 −11.7  2.9 41.6 43.9  1.0  −5.2
94 13.3  −8.9  4.3 42.8 48.3  1.1 −11.4
95 10.3  −6.2  4.1 46.2 52.4  1.2 −11.9
96  7.1  −3.3  3.8 50.6 56.2  2.6 −10.0
97 11.4 −14.8 −3.3 54.6 52.8  2.2   3.4
98 15.7 −17.3 −1.5 55.8 51.3 −1.2   8.8
99 12.1  −5.3  6.7 65.4 58.0 −0.6  12.8
00 12.5  −9.1  3.4 63.3 61.5  0.1   2.9
===============================================================================

※ 「通貨達成率」:A/B*100−100

銀行資金注入:
98年3月:1兆7千億円?
99年3月:7兆4500億円?


2)名目GDPへの貸し出し残高と一般歳出の寄与

「バブル形成」の出発点である85年から手元にあるデータで全項目が揃っている00年までの推移を示す。

85年から87年までの「貸し出し残高」の異常な高さと、それに較べて穏やかな名目GDPの伸びが特徴的である。

名目GDPの伸びとGDPデフレターの推移を見るとわかるように、バブルがいわゆる実体経済(労働成果財の資本活動)に及ぼす影響のタイムラグは2年ほどで、それからさらに1年後に財価格の上昇が明確化している。87年のデフレータマイナスは、「プラザ合意」後の円高が貢献したものである。
株価上昇が需要増加として本格的に貢献し始めたのは88年で、バブルが崩壊した後の91年まで貢献が続いている。(“贅沢癖”はなかなかやめられないということもあるが...)

98年から本格化した「デフレ不況」は、98年から顕著になった「A+B伸び率」の低下に起因しているが、98年は、0.3%の増加でありながら、名目GDPはマイナスになっている。
これは、大きな伸びを示している財政支出が公共事業重視で行われたことから、土地所有者への通貨移転・建設業の債務負担軽減・建設業から銀行への利払いなどに使われたことによるものと推測できる。


[貸出残高・歳出と名目GDPの推移]単位:%

         A    B
   通貨残高 貸出残高 一般歳出  A+B  名目GDP GDP
   伸び率  伸び率  伸び率   伸び率  伸び率   デフレタ
------------------------------------------------------------------------
85  4.2 12.7  3.0 10.8  6.9   2.4
86  5.5 26.6  1.2 21.9  4.7   1.6
87  8.6 12.5  7.6 11.8  4.4  −0.1
88 10.7 10.2  6.5  9.6  7.2   0.7
89 15.8 10.8  7.1 10.3  7.3   2.0
90  6.4  7.5  5.2  7.2  7.9   2.4
91  0.2  4.4  1.8  4.0  6.2   3.0
92 −0.6  2.4 −0.1  2.1  2.6   1.7
93  5.0  1.3  6.5  2.0  1.0   0.6
94  3.0  0.1 −2.0 −0.2  1.1   0.1
95  7.8  1.3  3.2  1.5  1.2  −0.4
96  9.6  0.4  3.8  0.9  2.6  −0.8
97  7.9  1.0 −0.5  0.8  2.2   0.4
98  2.2  0.9  7.5  0.3 −1.2  −0.1
99 17.1 −4.1  5.5 −2.7 −0.6  −1.4
00 −3.1 −1.0 −4.5 −1.6  0.1  −1.6
=============================================================================


3)名目GDPへの貸し出し残高と一般歳出の寄与性推移

2)を補足するためのデータだが、高度成長期の60年・65年、過渡期の70年・75年を加え、80年以降00年までの表にしたものである。

ざっと見てすぐに気づくのは、バブル形成が始まった86年以降今日まで、「貸し出し+一般歳出」の額が、名目GDPの額を超え続けていることである。

89年と90年に至っては、貸し出し残高単独で名目GDPの額を超過している。

「バブル形成期」と「バブル崩壊後」とに分けると、

「バブル形成期」は、労働成果財ではない土地や株式に大量の通貨が向かったため「B/C」((貸し出し+一般歳出)/名目GDP)100%を超え、

「バブル崩壊後」は不良債権化により帳簿上だけの貸し出しとなってしまったため、「B/C」が100%を超え続けている。


銀行の不良債権がそれなりに処理されたと言えるようになるのは、「B/C」の値が80%から85%になったときであろう。
経済活動が回復したと言えるようになるのは、80%以下になったときかもしれない。


[貸出残高・歳出と名目GDPの寄与性推移]単位:億円・%


     A     B      C
     貸出残高  貸出+歳出  名目GDP  B/C   A/C  A/B
-------------------------------------------------------------------------------
60   8183   9926  16010  62.0  51.1 82.4
65  19218  22941  32866  69.8  58.5 83.8
70  39479  47667  73345  65.0  53.8 82.8
75  88767 109628 148327  73.9  59.8 80.9
80 136475 179880 243235  74.0  56.1 75.9
81 151214 198135 261028  75.9  57.9 76.3
82 167678 214923 274050  78.4  61.1 78.0
83 186346 236981 285579  83.0  65.3 78.6
84 210479 261960 304859  85.9  69.0 80.3
85 237170 290175 325792  89.1  72.8 81.7
86 300165 353805 340948 103.8  88.0 84.8
87 337784 395515 355837 111.2  94.9 85.4
88 372176 433647 381579 113.6  97.5 85.8
89 412408 478267 409602 116.8 100.7 86.2
90 443304 512573 441915 116.0 100.3 86.5
91 462644 533191 469230 113.6  98.6 86.8
92 473913 544410 481582 113.0  98.4 87.1
93 479977 555079 486519 114.1  98.7 86.5
94 480268 553882 491835 112.6  97.6 86.7
95 486356 562295 497739 113.0  97.7 86.5
96 488291 567139 510802 111.0  95.6 86.1
97 493023 571493 521862 109.5  94.5 86.3
98 488820 573212 515835 111.1  94.8 85.3
99 468810 557847 512530 108.8  91.5 84.0
00 463915 548902 513006 107.0  90.4 84.5


4)銀行不良債権推定残高

預金残高に対する貸し出し残高の比率を、3)と同じ期間でまとめたものである。

85年と86年に100%を超え、92年から98年までの7年間も100%を超えている。
85年と86年は、商業銀行が「プラザ合意」を契機とした金融緩和政策にのっかり中央銀行から借り入れを積極的に行い、それを原資に貸し出しを拡大していった経済活動の現れである。

92年から98年まで100%を超え続けているのは、まさに不良債権が要因である。
死にかけや死んだ貸し出し債権が帳簿上残った状態を反映した値である。
通貨の“不胎化”という1)のデータを見ればわかるように、商業銀行は、中央銀行からの借り入れには積極的には動いていない。

銀行の不良債権推定額は、最小値:貸出残高−預金残高*0.9、普通値:貸出残高−預金残高*0.85、最大値:貸出残高−預金残高*0.8で算出したものである。

(なお、以降の01年と02年で20兆円ほど不良債権が処理されていると推測されるが、新規に発生した不良債権もあるもので、現在の値については言及しない)


[貸出残高/預金残高の推移]

          推定不良債権残高
   貸出/預金   (A)    (B)     (C)
===========================================================
60  91.8
65  93.1
70  95.6
75  95.6
80  89.2
81  89.6
82  93.2
83  94.3
84  89.7
85 102.8
86 102.2
87  96.2      銀行不良債権推定額
88  94.2
89  89.7   MIN.   MID.   MAX.
90  89.5  (兆円単位) (兆円単位) (兆円単位)
91  96.8  32.53  56.42  80.32
92 104.6  66.17  88.82 111.48
93 105.2  69.52  92.32 115.12
94 103.9  64.15  87.27 110.39
95 101.6  55.46  79.40 103.34
96 102.2  58.47  82.35 106.23
97 102.4  59.53  83.62 107.70
98 101.1  53.78  77.95 102.12
99  95.7  27.78  52.28  76.78
00  95.4  26.34  50.65  74.96


※「不良債権推定残高」

A:貸出残高−預金残高*0.9
B:貸出残高−預金残高*0.85
C:貸出残高−預金残高*0.8

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