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米英の中東戦略 投稿者 あっしら 日時 2002 年 9 月 17 日 01:02:03:

(回答先: メディア的世間知では抜けている部分はあるでしょうが、 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 9 月 16 日 19:58:27)

レスありがとうございます。

最初に結論めいたことをまとめておきます。

● アフガニスタン軍事行動が既に“ベトナム化”している

アフガニスタンに対する軍事行動は当初から愚かな決定でしたが、各地から撤退してきたタリバン中核部隊が集結していたカンダハルが無血開城されたことで、アフガニスタンの“ベトナム化”が決定的なものになったと考えています。

北部同盟を体制内に繋ぎ止める資金供給は日本など同盟諸国に割り当てるとしても、タリバン+反米勢力との終わりが見えない戦争を米国政府は続けていくことになります。
(北部同盟諸勢力に資金を渡さなくなれば、カルザイ政権は完全に宙に浮いたものになります)

中東での軍事行動を始めなくとも、アフガニスタンだけで十分泥沼にはまっています。
地理的特性及び隣接するパキスタン西部領域の特殊性から、これから開始されようとしている中東以上に困難な戦いです。


● イラク攻撃を端緒とする中東軍事行動は「新国際信用制度」構築と一体のもの

米国政府のデフォルト問題とも絡むことですが、中東を「近代法国家」で覆い尽くすという戦略は、「新国際信用制度」の確立と一体のものです。
サウジアラビアとイランという有力産油国が「新国際信用制度」に組み込まれなければ、半端な制度となります。(クウェート・UAE・カタールなども含めれますが)

「新国際信用制度」は、イスラム法とは相容れないものです。

政治ではなく経済という観点から見たとき、今回のイラク攻撃は、偏にこの問題を動機にしたものだと思っています。

(イラク問題・原油問題・パレスチナ問題であれば、収拾困難であることが素人でもわかる「中東グチャグチャ作戦」を行おうとはしなかったはずです)

イラクやリビアといったいわゆる“ならず者国家”は、近代主義を基礎にしていますから、「新国際信用制度」を受け入れるでしょう。

サウド王家や湾岸首長群は、自身の経済的利益を優先していますから、政治的支配が維持できるのなら受け入れてもいいと思うはずです。
しかし、いわゆる保守的と呼ばれるイスラム国家の神学者やイスラム教徒は、それをイスラム法に反するものとして拒絶します。
“保守的”イスラム国家の支配者は、経済的利益とその基礎である政治権力の維持で揺れ動くことになります。

イラン政府は、今年利払い付き国債を初めて発行しましたが、さすがに。「新国際信用制度」を受け入れることはできないでしょう。


私の論拠をきちんとまとめていただき感謝します。
ひとつだけ、

>8.今のところ強力な反政府組織はアラブ世界で抑え込まれているが、フセイン打倒に
>より顕在化する

イラク内のクルド人勢力やシーア派勢力さらには外国を拠点とする勢力なども自身が対立構造を抱えていますので、米国は、イラク攻撃を機に火に油を注ぐかたちで様々な対立を顕在化させていくと思っています。


>まず、上記に掲げられたような泥沼化を本当に米国政権が望んでいるのかは疑問で
>す。そこまで中東が不安定化すると、石油問題は相当深刻な様相を呈してきます。こ
>れは米国の国益に合致するものではありません。次に騒乱が長期化し、911やテロ
>との繋がりが薄れるにつれてメディアや国民の間から米国の軍事的なコミットに対し
>て当然疑問が呈されるようになります。国民の支持なくして戦争遂行が不可能なのは
>世の習いです。さらに、こうした混乱状態を人工的に作り上げる事が、上記10の最終
>目標に近づくための最善策だとは、素人考えでも納得が行きません。むしろ目標は遠
>のくとすら言えます。

米国自身の中東原油依存度は10%強で、ロシアなど他の国からの供給体制を強化しています。(ほとんど手を付けていないアラスカもあります)

産油国も、原油を輸出し続けることが命綱という経済構造ですから、油田が破壊されることは米英と協力してでも極力防ぎます。
破壊があるとしても、当初は、湾岸戦争のときのように“管理された破壊”で留まるはずです。軍事的混乱に拍車が掛かれば、制御できない油田破壊も進むと思われます。

どちらにしても、石油メージャーは、産出量の減少を価格の上昇で補うということになりますので、中東地域における原油産出量の落ち込みは、60%超を中東産油国に依存している日本に、供給量と価格の両面で大きな打撃を与えることになります。

素人考え(私)でも愚かだと思ったアフガニスタン作戦も、米国政権自身は、短期でケリを付けられると甘く考えて踏み切ったと推察しています。

今次の「対イスラム戦争」の出発点としてイラン以上に純粋なイスラム法国家であるタリバン政権アフガニスタンを選択したわけですが、それも全体像の部分でしかないので、それがうまくいかないからといって他を中止するわけにはいきません。
(米英支配層のなかではアフガニスタンがうまくいっていないことで微妙な対立が生まれていると想像しています)

戦後世界構造を大変革するという本来的な意味での戦略を達成するために組み込まれたものが、アフガニスタン戦争であり、これから始まる中東戦争です。

端的には、イラク攻撃の結果がうまくいきそうにないということでは、やめるるわけにはいかないのです。
どんな知恵や手段を使ってでも最期は必ず目標を遂げることができるという想定で攻撃を始めるはずです。


>では米国の真意は何か。国連査察が拒否されていることは間違いなくその一要因で
>す。イラクが主張するようにABC兵器の開発と本当に無縁なら査察を受け入れれば良
>いのです(太平洋戦争突入前の日本が感じたように米国の強引さには腹が立つでしょ
>うが、国土を焦土と化されるよりはマシでしょう。そうしないのはそれだけの理由が
>あると見るべきです)。

それでも米英の攻撃は避けられないと思っていますが、フセイン大統領は無条件の査察を受け入れるべきだと考えています。

イラクのアジズ副首相などが、国連を舞台に「条件付きの査察でなければ受け入れられない。どっちにしても米国は攻撃を仕掛ける」と拒絶の意思を表明していますが、国連決議が行われてもなおそのような態度を採るならば、それこそ、フセイン政権は、米英支配層のまごうことなく“お仲間”だと断じます。
(米英に対する同盟国の対応や“国際世論”動向を考えれば、無条件の査察を受け入れ続けたにもかかわらず攻撃されたというストーリーのほうがイラクにとって有利です)

逆に言えば、米英支配層にしてみれば、フセイン政権が「無条件査察など受け入れない」と拒絶してくれることを期待しているはずです。
それによって、日本・欧州諸国・アラブ諸国・中国・ロシアといった関連諸国の対応策の選択が楽になりますから...


>以上をまとめた見解として、上記1―12に対する私の意見は次の通りです。

>2.イスラム防衛派からの米国への攻撃形態はテロしかなく、911が再発すれば、
>アルカイーダ掃討と同じような手続きが踏まれるでしょう。アラブVS.米国には繋が
>らない。

イスラム防衛派は、タリバンなどと同じように、米英部隊を自分達の領域に誘い込んでゲリラ戦を展開するはずです。
ただでさえ貧弱な組織が、わざわざ敵陣に入り込んでの攻撃は仕掛けないでしょう。

タリバン政権が崩壊の危機にあったときやアルカイダの大掃討作戦が行われたときに、米国でテロがあったでしょうか?

(9・11同時多発テロは、米国権力機構の一部も関与した国家テロだとほぼ断定しています。ウサマ・ビンラディン氏のポジションや役割は不明です)

>6.これはそう言えると思いますが、米国がそれを意図してやったかは疑問が残ります。

アフガニスタンでは10日ほどで500人が収容できる医療施設付きの収容設備を完成させました。
目に見えない取り扱いの実態は別として、目に見えるグアンタモナ基地の収容施設を金網の犬小屋もしくや鳥小屋もどきにしたことを“意図なし”とは到底思えません。
(グアンタモナの収容人数は400人未満)

アフガニスタン攻撃もムスリムに大きな心の痛みを与えていますが、理不尽な経緯であっても、古来からある戦争の犠牲という見方もできます。
しかし、グアンタモナで行われているような侮辱的取り扱いは耐え難いものとして受け止められているはずです。

挑発の目的は、それでサウジアラビアやイランがキレてくれたら攻撃のネタとして利用できればというものであったり、あれが悔しかったらなんとかせんかいという純粋なイスラム教徒いびりでしょう。

9月11日のシカゴ商品取引所でS&P500の先物指数終値が911.00になったり、NYで販売している“ミニロト”の9月11日抽選分の当たりが911だったように、彼らは、“遊ぶ”のも好きです。


>7.米英は中東の大混乱、不安定化を望んでいません。最後に収拾する力もないしやる気もないでしょう。

大産油地域である中東を好ましい秩序に改変しなければ、新しい世界経済構造は出来あがりません。
アフガニスタンならまだ放置でもいいでしょうが、サウジ・イラン・その他湾岸諸国は、ある意味で日本よりも重要だと考えているはずです。

短期的には大混乱に陥っても、最後は望ましいかたちで収拾させることができると、今のところは過信しながらことに臨むはずです。

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