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最後の賭けに出た小泉首相の決断−竹中氏の登用は吉か、凶か(東京9月30日ブルームバーグ) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 9 月 30 日 19:25:02:

内閣改造の最大の焦点だった金融担当相のポストは、柳沢伯夫氏が辞任し、竹中平蔵・経済財政担当相が兼務することになった。政権発足から1年5カ月。不良債権処理の加速化を叫ぶ小泉純一郎首相がこの間の柳沢氏の金融行政に「ノー」を突きつけ、事実上、更迭した格好だ。辞任直前まで公的資金注入に慎重だった柳沢氏に代わって登板する竹中氏は公的資金注入の積極派。金融相の交代で公的資金再注入が一気に現実味を帯びてきた。

狂った柳沢シナリオ

小泉政権の国際公約でもある「2004年度末までに不良債権問題を正常化する」という政策目標は、元をたどれば、柳沢前金融相が昨年8月に打ち出した不良債権問題正常化への「柳沢シナリオ」がベースになっている。
しかし、経済は依然としてデフレ色が強く、不良債権の新規発生に歯止めはかからない。株価は底無しに下がり続け、銀行はますます体力をすり減らすばかり。現行の「柳沢シナリオ」が破たんするのは、時間の問題だったといえる。
それでも、国際公約は国際公約。デッドラインが決まっている以上、小泉首相としては、それまでに政策効果を上げなければならない。2000年12月の柳沢氏再登板から在任22カ月。「不良債権処理が進んでいない」と市場から見放された柳沢氏を外し、国際的にも知名度が高い竹中氏を金融相に指名することで、処理促進の意思を、内外にアピールする狙いがあったものとみられる。
竹中氏が金融行政を担当することで、金融庁は、処理の追加策を早急にまとめるか、場合によっては、柳沢シナリオの修正を迫られる公算が高い。
金融相の兼任要請にあたり、小泉首相は竹中氏に対し「早急に、不良債権処理の加速化について具体策をとりまとめて欲しい」と指示した。10月にもまとめられる対策では、政策の前倒し実行を掲げるか、処理促進のための新しい行程表を「竹中シナリオ」として打ち出す可能性も考えられる。

「あらゆる可能性を視野に入れ検討」

閣僚名簿発表後の会見では、早速、公的資金注入の是非について問われた竹中氏。だが、「あらゆる可能性を視野に入れて検討したい」とあいまいな表現に終始した。これまでは、経財相の立場から注入に積極的な発言を繰り返してきたが、いまや、注入の是非、タイミング、手法などを判断し、説明責任を負う「当事者」。発言は一転して、慎重なトーンに変わった。
竹中氏は「銀行が資産査定を厳格に行い、自己資本比率を十分に再検討する中で、経営のガバナンスを再考する――という3原則に照らして、本当に再注入が必要かどうかを判断したい」と述べつつ、「これからは金融当局の立場になるので、蓋を開けて(銀行の)中身を見せていただくことになる」と、まずは実態把握に努める姿勢を示した。

市場は竹中氏を疑問視

金融相の交代に対する市場の反応は複雑だ。この日の相場について、三井住友海上アセットマネジメントの本間基照エコノミストは「柳沢氏辞任で、相場は株安・債券安・円高で反応したが、引けにかけて、後任の竹中氏の政策実行性への懸念が徐々に台頭し、発表前の水準にまで戻ってしまった」と指摘。竹中氏の手腕を疑問視する向きから「処理は促進しない、との見方が現時点では優勢になっているようだ」と見ている。
中長期的な市場の展開についても、本間氏は「10兆円の処理額を目安に、規模が大きく膨らめば相場下落要因に、そうでなければ低水準横ばいで推移」と、慎重な見方を示す。特に、債券相場については「ファンダメンタル面では確かに相場を下支えする要因にはなるが、(処理追加策の)詳細が固まるまでは、相場下落リスクを抱えながらの展開になる」との見通しを示した。

ラストチャンス

竹中氏が与えられた“特命”は「不良債権処理を加速しつつ、デフレ経済を脱する」という、同時実現がきわめて困難な政策の実現。今回の改造が「構造改革を推進するという布陣」(山崎拓自民党幹事長)であり、とりわけ、金融相の交代が「不良債権処理を促進させるという首相の意思」(同)の表れならば、それは「これが金融機関の健全化に向けたラストチャンス」という小泉首相の判断があったためかも知れない。
金融行政の舵取りを任された竹中氏にとって、待ち受ける最大の難関は、公的資金再注入の実行するかどうかを含めた「見極め」だ。実行する場合は「劇薬で強い副作用を伴う」(柳沢氏)。公的資金を使うタイミング、規模、手法などさまざまな条件について、今度こそ、失敗は許されない。政治家ではなく、一経済学者の手に、日本の金融の健全化が委ねられた。それが、吉と出るか、凶と出るか。答えが出るのは、そう遠くない。

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