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世界を襲うニッポン発デフレの嵐 [ニューズウイーク日本版11・6] 投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 01 日 18:55:42:

今週号の「ニューズウイーク日本版」は、メイン特集が「激震世界経済 ジャパンクライシス 世界中が戦々恐々金融崩壊が招く日本発デフレの嵐」という今後予測される世界同時デフレ不況を“日本の責任”とするものである。

掲載記事には、話題になった竹中大臣発言の記事に関して翻訳にケチを付けたことへの反論「率直すぎて訳せない発言はない」というものも、やりとり内容の英文付きで掲載されている。

『世界を襲うニッポン発デフレの嵐』 (世界経済−住宅バブルのアメリカに銀行の不良債権に悩むドイツ 混迷を深める日本経済が不況の連鎖を引き起こすのか) 

※ 内容を読んでいて、人民元安固定化をデフレの最大問題と指摘されているDdogさんの名前が浮かんだほど、中国の安値輸出問題を等閑視した“日本原罪論”の内容である。
 4千億ドルもの経常収支赤字や2兆ドルもの対外債務などといった米国経済の問題をまったく無視して“被害者面”している。
 「円安にはするな、しかし、米国債は売るな(買え)」という支離滅裂なことを平気で書いているし、「良いデフレ」と「悪いデフレ」という経済論理を理解していない明るい分析までしている。
 何より、「90年代後半の米国繁栄」が日本からのドル還流に依存したものであったという認識さえ示さないまま、米国経済がおかしくなったら日本のせいだというのでは、日本国民の立つ瀬がない。
 世界同時不況の到来時に「日本の経済テロ」と言われることがないよう、政府は、総力を挙げて反論を行うべきだろう。
 書かれているような世界経済の見通しが出されているなかで、「不良債権処理加速化」というデフレ深化政策を採る政府に期待しても無理かも知れないが...。
 それにしても、世界デフレの可能性を予測していながら日本に「不良債権処理加速化」を求める米国政権は、よほどの経済論理無知か、何か隠れた意図を持っていると言わざるを得ない。


『デトロイトほど日本の脅威に敏感な都市はない。アメリカ自動車産業の中心地であるこの街は、日本車との競争で大きな打撃を受けてきた。
 そして今は、デフレという日本の新たな「輸出品」の恐怖に怯えている。
 アメリカでは、品質に対する評価は日本車のほうが高いのに、価格はビッグスリーのほうが3000〜5000ドル高いという現象が起きている。世界的な自動車産業の供給過剰という理由もあるが、円安という要因も見逃せない。
〈中略〉
円安が進めば進むほど収益が上がるという日本側の計算は明白だと指摘する。「(円安に)頼っているといいだろう」と、彼女は言う。
 世界経済に暗雲が立ち込めている。アメリカ、日本、ドイツという三大経済国の景気がそろって低迷し、市場関係者は世界同時不況が起こるシナリオを次々と描き出している。 景気回復の遅れをずっと責められてきた日本が、世界同時不況の責任を問われても驚きはない。それより重要なのは、日本経済が破綻したらアメリカとドイツにどんな影響があるのか、両国が日本と同じ道をたどる可能性はあるのかという問題だ。
〈中略〉
 回復の見込みはまだない。最近ではFRB(米連邦準備理事会)や国際決済銀行(BIS)までが、アメリカは日本のような政策の袋小路にはまるのではという懸念を表明するまでになった。
 米保険大手AIGのアナリスト、バーナード・コノリーは10月上旬の投資家向けリポートで次のように指摘した。アメリカの金利下降は「米経済が日本のように低迷するのではないかという不安の表れだ。FRBの金融政策も身動きが取れなくなるかも知れない」。
 そうなれば、世界経済は壊滅的な打撃を受けるおそれがある。
〈中略〉
 ドイツでは、すでに「日本病」に感染したのではという懸念が広がっている。
〈中略〉
たとえば、不良債権の処理に苦しむ銀行が貸し渋りをしている点だ。メリルリンチのリポートは最近、「ドイツの銀行は日本化している」と警告した。
〈中略〉
 日本発の経済危機のシナリオで最悪なのは、世界中にデフレが広がることだ。日本がデフレスパイラルに陥っていることは周知の事実だが、それが世界に伝播するのか、あるいはどう伝播するのかに世界は注目している。
〈中略〉
しかし問題は、どのくらい日本のデフレと関係があるかだ。デフレに突入したとしても、それは競争で生まれた「良いデフレ」なのか、日本のように消費低迷で起きる「悪いデフレ」なのか。
 どちらのデフレに転ぶかは、円が急落するかどうかにかかっている。
〈中略〉
 日本を見捨てた資金がドルに流れれば、世界中がデフレスパイラルに陥る可能性もある。円安で競争力をつけた日本に負けないよう、他のアジア諸国が通貨を切り下げかねないからだ。もし中国も通過を切り下げれば、世界的なデフレが進行して大混乱に陥るだろう。
〈中略〉
 日本は依然として世界の主要投資国であり、海外への直接投資残高は約40兆円に及ぶ。その資金が突然引き揚げられれば、株式から不動産まで資産価値が世界規模で下落するかも知れない。
 こうした混乱を事前に予測することは不可能だ。ただ、警戒信号を探すなら米国債市場に注目するといい。99年以来、日本の機関投資家は米国債を買い増してきた。20001年時点で、日本が保有するTボンド(財務省長期債券)は外国人保有分のほぼ32%に相当する3310億ドルに達している。
 株価の低迷とともに、米国債の価値は上がっている。日本の状況が悪化すれば、日本の金融機関が資産を処分しようとして、米国債を売却する可能性は高くなる。米国債市場から日本が撤退すれば、全世界規模のデフレに陥る危険はますます高まる。
〈中略〉
 幸いにもシリングによれば、アメリカは「デフレの瀬戸際にある」が、日本のデフレとは異なるという。日本を苦しめている「悪性デフレ」は、投資家が怯えて金を出さなくなったことから始まった。
 一方、アメリカで起きているのは「良性デフレ」だ。技術革新による供給過剰で物価が下落しているのであり、不景気に起因するものではない。
〈中略〉
シリングによれば、日本は2種類のルートで世界中にデフレを輸出しているという。
 日本はいまだに人件費の低い国々へ生産拠点を移転させ続けており、経済の重点を輸出産業においている。円安と国内物価の低下によって日本の輸出価格は下落傾向にあり、それが世界各地で物価を押し下げる要因になる。
〈中略〉
 危険なのは、アメリカが「好況から不況へ」という景気変動の渦中にある場合だ。ここで利下げをすると、最後に残った住宅バブルが拡大し、過剰設備をかかえた企業も延命させることになる。それはまさに日本で起きたことだ。
〈中略〉
日本の「デフレ病」の三つの主な症状のうち二つが既にドイツに現れている。一つは生産の縮小、もう一つは物価の下落だ。ただし、三つ目の通貨供給量の減少はドイツでは起きていない−−−今のところは。
 ただ、いくら現状が日本と似ていても、他の経済大国は日本の轍を踏まないかも知れない。基本的な財政・金融政策が、日本のように完全に失敗したわけではないからだ。アメリカがもとよりドイツでも、金利の低下で借金がしやすくなり、減税などで懐が潤えば消費者や企業は金を使う。
 ところが日本の場合は、国民の将来不安があまりにも大きく、何をしても消費は伸びない。日本病の拡大を恐れる国々は、胸をなで下ろしていることだろうが。』
−−−−トニー・エマソン

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