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なんで日本のトップは無責任なのか? 投稿者   日時 2002 年 10 月 21 日 11:20:36:

第21回「北風と太陽〜なぜ業績不振企業の経営者は辞任しないか(その1)」
(アローコンサルティング事務所 代表
 箭内 昇氏)

最終更新日時: 2002/10/21
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 10月11日号の日経ビジネス・エクスプレスで、野村裕知日経ビジネス編集長が「1.5兆円の損失でも続投する不思議」と題して、素朴だが難しい問題を投げかけている。NTTドコモの例を引き出し、日本の大企業経営者は業績不振が続いても、巨額の赤字を出しても引責辞任しないのはなぜかという疑問だ。

 もちろん、この問題は経営学的にはコーポレート・ガバナンスや特殊な株主構成などが議論の中心になるであろう。しかし、長銀経営陣の末席に身を置き、また多くの大企業に係わってきた筆者にとっては、つきつめれば「人間」の性(さが)に帰着する問題のように思えてならない。当事者にしか理解できない「辞めたくない理由」、「辞められない理由」があるからだ。

 組織依存症

 その一つは、「ただの人」になる恐怖である。思い出すのは、トップまで昇りつめたある高級官僚の話だ。彼は、退官後しばらく浪人生活を送っていたが、あるパーティの席上で、筆者に対し真面目な顔で「下界」で出会った「無礼な」所業について語った。

 退官後初めて銀行に赴き、預金を引き出そうとカウンターに向かったところATMの利用を勧められた。しかし、使い方がわからず、どうやってもうまく引き出せない。頭に来たので、警備員に身分を明かした上で支店長を呼び出した。

 すぐに飛んできた支店長は平身低頭し、カウンターの行員に命じて最優先で処理した。ようやく溜飲を下げて店を出ようとしたところ、その支店長に、「○○様、次回からはぜひATMのご利用をお願いします。」といわれて怒りがよみがえったというのだ。 また、彼は夫人と海外旅行をするために、初めて私人としてパスポートを申請したが、戸籍抄本の取得などの煩わしさと、本人でなければ現物を受け取れないという融通のなさについても非難していた。

 一事が万事であり、その元高官は、それまで長年にわたって秘書や部下に、私的なものも含めてすべてを処理させていたのであろう。こうした人物がぽんと1人で社会に放り出される恐怖心というのは、大組織の中で昇りつめた者でないと理解できないだろう。

 筆者はわずか9ヶ月の役員生活だったが、それでも銀行を飛び出した直後は、年金や税金の処理など戸惑うことが多かった。いつの間にか組織依存症に陥っていたのだ。

 さらに驚くのは、この元高官の話を大企業の経営者にすると、異口同音に「自分にも笑えない」と答えることだ。「考えてみると、預金引き出しはもちろん、もう10年以上電車に乗っていないので切符の買い方も知らない」という経営者の何と多いことか。

 通常の退任でもこれだけの恐怖を味わうが、引責辞任となればなおさらだ。大組織は自分に不都合な人物と見ると、手のひらを返したように冷たくなることを知っているからである。

 しかし、引責辞任さえしなければ、社長を退任しても会長、相談役、顧問と後輩達が気遣って次々に用意してくれる快適な椅子に座ることができる。大企業の経営者は、組織が大きいほど、また出世するほど「乳離れ」が難しくなるという逆説的な話だ。

 仕事依存症

 経営者が辞めたがらない二つ目の理由には、仕事以外にすることがないという一種の職業病もある。数年前、ある業界トップの企業がキープヤング路線を打ち出し、役員年次を大巾に引き下げると同時に、そのしわ寄せを食った幹部社員のために特別ポストを用意した。給与面は定年まで役員とほとんど同じ処遇を約束したうえ、週1回だけ出社すればで後は何をやってもよい。他に仕事を持ってもよいという超優遇ポストだ。座敷牢的なリストラとはまったく意味が異なる。

 しかし、ふたを開いてみると全員が毎日出社し、昔の部下に電話をしたり資料作りをしたりで「仕事」から離れなかったという。当事者に聞くと、口をそろえて「他にライフワークも趣味もない」「今さら他の仕事などできない」「家で居場所がない」といったそうである。

 大組織になるほど、またトップに近くなる人物ほど私生活を犠牲にして働いているのも事実だが、エコノミック・アニマルを絵にしたようで、本人にとっても組織にとっても悲しい話ではある。

 数年前、業績絶好調だった取引先のトップが「当初予定の任期を終え、経営目標も達成したので後進に道を譲る」ときっぱりと退任した。彼はその後かねてよりライフワークに考えていた生物学の研究に没頭したが、こんな経営者は珍しいのだろう。

 退職慰労金の恐怖

 しかし、実はトップが辞められない最大の理由は、役員退職慰労金の存在だろう。本人達にとって、万一この退職慰労金がもらえなくなれば、それまでのサラリーマン人生が吹き飛んでしまうほどのダメージをこうむるからだ。

 役員退職慰労金は一般従業員の退職金にあたるが、その金額が圧倒的に大きい上、株主総会の承認がなければ支給されないという大きな関門がある。

 企業のサラリーマンは取締役に就任するとき、退職して従業員の身分を離れる。このとき従業員としての退職金を受け取るが、定年までだいぶ残しての退職なので、退職金の支給額は一般従業員より少ないことが多い。

 筆者も97年に取締役に就任したときの退職金は、住宅ローンの残金と自社株購入の借入金を返済するとほとんど残らず、しかもその株式は紙くずになった。その後退職した後輩達よりかなり少なかったであろう。

 そして日本の大企業では、役員になってからも意外に年収は伸びない。たとえば、東芝では、代表取締役5人の報酬が2億1200万円、取締役8人が1億6000万円と、単純平均では2000万円程度だ。また役員賞与は通常時では年収の2割程度を占めるが(2002年5月日本能率協会「役員の業績評価と報酬に関するアンケート結果」)、これも最近は業績不振で支給を見送る企業が多い。

 また、同調査によれば社長の年収は平均で平取締役の2.7倍にしかすぎない。高い所得税率のため手取りベースではさらに格差は縮まる。

 こうしてみると、アメリカ型の経営スタイルをとるソニーやオーナー企業などを別にすると、日本の役員の収入水準は意外に低く、経済面での期待が退職慰労金に収斂していくのも無理はない。退職慰労金は役員にとっての生命線になっているのだ。

 しかし、その退職慰労金の支給は株主総会の承認事項なので、不祥事による退任はもちろん、業績不振による退任でも議案として上程しにくくなる。先般、みずほグループはシステムトラブルの責任を取る形で3人のCEOの退職慰労金上程を見送ったが、UFJグループも約1兆2000億円赤字の責任を取って、通常の支給額を5割もカットした。

 筆者を含め、長銀最後の経営者はもちろん退職慰労金が吹き飛んだが、中には人生設計どころか生活設計も大変な者もいるはずだ。今銀行に対する公的資金注入論議が盛んだが、銀行経営者がかたくなにこれを拒絶している最大の理由は、責任をとらされて退職慰労金が吹き飛ぶことを恐れているからだと確信している。

企業と人−「破たん」から学んだこと−
第21回「北風と太陽〜なぜ業績不振企業の経営者は辞任しないか(その2)」
(アローコンサルティング事務所 代表
 箭内 昇氏)

最終更新日時: 2002/10/21
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 噴出する退職慰労金問題

 そもそも、わが国の退職慰労金制度には大きな問題点がいくつかある。一つは算定基準が在任期間をベースにしているため、典型的な年功序列型になっているということだ。つまり、従業員には業績重視の時代といっておきながら、役員の生涯収入の柱である退職慰労金は企業の業績とほとんど連動していないという矛盾がある。

 またその結果、退職慰労金の金額は在任期間が長いほど尻上がりに増大し、逆にもらい損なった場合のダメージも格段に大きくなる。トップに近い役員ほどポストにしがみつかまざるを得ないのだ。

 さらに、退職慰労金はその実態が外から把握しにくい。ほとんどの企業では、総会に上程する退職慰労金の議案を「○氏に慰労金を贈呈することとし、金額は社内規定に基づいて取締役会に一任する」という形をとっている。つまり、株主は支給総額も個別金額もまったく知らずに承認しているというのが実態だ。

 筆者も97年6月の総会で長銀の取締役に選任され、直後に開催された取締役会で退任役員の退職慰労金の具体的な金額を初めて知った。しかし、その基準たる社内規定については、取締役でありながら最後まで知る機会はなかった。

 経営者にとっては、実質的に身内で決められるという、この密室性こそが役員最後の特権なのだ。

 しかし、経営環境が大変動を迎えた今、退職慰労金が抱えるこうした問題点が急速に浮き彫りになってきた。

 経営の透明化の要請が強まる中で、日立製作所やUFJホールディングなど、退職慰労金の総額を開示する企業が増えているし、「支給額は取締役会に一任」方式の上程も総会で批判され始めた。

 こうなると、不祥事や業績不振で引責辞任した場合の退職慰労金はますます困難になる。逆に経営者は、何としても引責辞任を回避し、業績の回復を待ちたいと思うのも至極自然な人間の性だろう。

 逆に、日本ハムの大社前会長のような立志伝中の創業者が、晩年の不祥事のために退職慰労金を1銭ももらえないとすれば、いささか違和感がある。銀行経営者についても、いくら経営責任をとれといっても、バブルなどに無関係な者の慰労金まで全額カットするのは躊躇する。

 北風と太陽

 こうしてみると、退職慰労金の問題は、役員時代の業績の累積であるはずにもかかわらず、それが退任時の情勢で大きく左右されるという点に集約する。しかし、そのために世代交代が遅れ、企業モラルが低下するという弊害を引き起こしているのだとすれば、基本に立ち返って退職慰労金制度を見直す必要がある。

 結論的には、退職慰労金は廃止の方向を目指すべきだろう。その分役員賞与の割合を高め、業績に応じてメリハリをきかして支給する。もちろん、税制上の特典を受けられないなどの問題もあるが、ストック・オプションなどを絡めて工夫すれば、インセンティブを働かせる余地は十分にある。

 1.5兆円の損失を出しても、10兆円の公的資金の注入を受けてもポストにしがみつく経営者のマントを脱がせるには、冷たい北風の代わりに暖かい太陽の方が効果的かもしれない。

 「今なら退職慰労金を払いますよ。でも来年以降はわかりませんよ」とささやくのだ。業績不振企業や銀行の経営者はなだれを打って退任するかもしれない。


第18回「銀行の不良債権処理は真っ当なのか?」
(KFi〔KPMGフィナンシャル〕代表 木村 剛氏)

最終更新日時: 2002/10/21
 Eメールで皆様からのお便りをお願いしたところ、様々な情報が舞い込んでくるようになった。以下は、ある男性からの告発である。

    前略、私は、滋賀県○○○に住む44歳の男性です。私は、今回、貴殿に初めてお手紙をお書きします。私は平成7年まで、当時の△△△銀行の子会社である□□□に勤務しておりました不動産鑑定士であります。私は、□□□において、△△△銀行が不良債権処理に際して必要とされる書類を作成しておりました。当時の大蔵省は、担保価格の査定のために不動産鑑定評価書の提出を要求していたからです。

 銀行が求めた不動産の大幅な水増し評価

 要するに、不良債権処理の現場に居た方なのだ。その方がこう証言している。

    貴殿は、銀行が大幅な引当金の不足に陥っているとたびたび著書において指摘されております。また銀行は不良債権処理において真実を隠しているとも指摘されております。私は、実際に△△△銀行の不良債権処理の実務に携わっており、貴殿の指摘は全面的に正しいものと思います。・・・・・・不良債権処理(間接償却)において、その時点における担保不動産の現在価値の査定が必要です。そのために不動産鑑定評価書が必要とされるのですが、現実には、大幅な水増し評価が行なわれております。同封した不動産鑑定評価書がご覧になればよくわかるように、架空の想定条件(これを鑑定評価条件)につけて、大幅な水増し評価が公然と行なわれております。貴殿がこれまで著書において指摘されていた、銀行の引当金不足は真実です。ただしそれについてマスコミも監督官庁も容認していたことは確かです。

 これが、もし、真実であるとしたら大変なことである。

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