★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
なぜ不良債権処理か ビル・トッテン 投稿者 Ddog 日時 2002 年 10 月 24 日 23:28:08:

なぜ不良債権処理か
From : ビル・トッテン
Subject : なぜ不良債権処理か
Number : OW545
Date : 2002年10月23日
「構造改革なくして景気回復なし」。2001年自民党総裁選でそう語り就任した小泉首相が、不良債権処理の迅速化のために竹中氏を金融大臣に任命しました。しかし、今の状況において政府がなすべきことは、物価の下落をおさえ、失業率の低下を防ぐことではないでしょうか。なぜ不良債権処理なのか。なぜいま、米国の会計基準採用なのか。その裏にあるものをどうか考えていただきたいと思います。
(ビル・トッテン)
なぜ不良債権処理か
ビル・トッテン

内閣改造人事が発表され、柳沢金融担当大臣が更迭されて竹中経済財政担当大臣が金融大臣を兼務することになった。柳沢氏は「公的資金投入の必要なし」という見解を表明していたため、小泉首相が税金投入に熱心な竹中氏を金融大臣に担当させたことは誰の目にも明らかであろう。
与党政府にとっては、銀行への公的資金投入による不良債権処理の加速が最優先事項のようであり、G7に先立ったオニール米財務長官との会談で塩川財務大臣は「不良債権処理を加速させる」ことを約束したという。

明確な説明なし
ここでも米国の官僚に国内問題のお伺いをたて、約束を交わすといういつものパターンが見られる。そして、今回の竹中氏の金融大臣兼任は、その約束を最大課題として実行するための内閣人事だったといえる。
しかし、政治家やメディアが、低迷する日本経済を浮上させるために不良債権処理を熱心にけん伝する一方、なぜ不良債権を早く処理しなければならないのか、そしてそれが日本が抱えている深刻な問題であるデフレという経済問題をどのように軽減することになるのか、納得のいく明確な説明はまったく聞かれない。それもそのはずである。政治家もメディアもただ「不良債権処理を加速する」という言葉を繰り返しているにすぎないからである。
まず第一に、「不良債権処理」はデフレを悪化させることはあっても、デフレの解決策には決してならない。政府自民党や竹中氏は、低迷する日本経済を理由に、公的資金を注入することで銀行への福祉を増やそうとしているだけにすぎない。
これはすなわち、銀行が行ってきた投機やとばくの損失分や銀行の経営トップへの高額な報酬分に当たる。減るどころか増大する不良債権を、国民の税金で補てんしようということなのである。
不良債権問題があるから貸し渋りが解消しないという主張にも私は反対である。銀行が企業への貸し出しを渋っているのは不良債権のためではない。それは、橋本内閣時代に行った金融ビッグバンによって、世界のどこでも自由に移動できるようになった資金が、日銀によるゼロ金利政策によって、貸し付けても利益の少ない日本国内から、少しでも多くの利益が出る海外、それも米国に流出しているためである。

洗脳された竹中氏
ビッグバンが施行される前の一九九七年十二月から二〇〇二年七月までに、銀行の預金残高は四十兆円増加したが、貸付残高は百十兆円も減少した。この差額百五十兆円の大部分は米国へ向かったと私は見ている。預金率ゼロ、巨額の財政赤字と、より巨額の貿易赤字を抱える米国は、日本の預金なしにはやっていけないからである。
米国政府と、その政府を所有するに等しい米国の大企業が日本政府を脅し、または買収してビッグバンを行わせ、ゼロ金利政策をとらせることで、米国経済が止まることのないよう日本国民の預金を米国に送金させている。
米国の政府高官やメディアが、竹中氏の金融大臣就任を称賛するのは、竹中氏が、米国に決してノーと言わないよう完ぺきに洗脳された日本人の一人だからである。竹中氏は米国の命令に従い、彼らの要求を満たすよう素直にその仕事を行っていくであろう。
繰り返すが、日本が抱える経済問題はデフレである。デフレとは製品の価格が下がることである。価格が下がる唯一の理由は、製品やサービスの過剰供給であり、供給が需要を上回ることである。
ある国で生産される製品やサービスの総価値は、その国の国民総所得とほぼ等しい。所得は消費として使われるか、税金で徴収されるか、預金に回る。つまりデフレとは、所得の多くが消費されずに預金されることなのである。
それにもかかわらず、日本政府は預金を奨励し、消費を減退させる税制改革を行い、デフレを悪化させてきた。企業が経費を使った後の利益にかかる法人税を減税しても、企業の預金が増えるだけである。

資金が流出するだけ
所得税の累進率を弱めることは、所得のほとんどすべてを消費する低額所得者の消費を減らし、すでに十分消費している高額所得者の減税分を預金に回すだけである。消費税の導入と増税は消費への罰にも等しいものだった。そして政府はこれ以外にも国民への福祉を削減し、国民が将来を案じてますます消費を控え、預金に励みたくなるような政策をとり続けている。
さらに公的資金を銀行に注入することは、銀行が行った投機やとばくを悪事として認めることなく、さらにそれを行うことが奨励されるだろう。そして法人税が減税されれば利益の増えた分、企業がそれを投機に回したり、または預金に回せばその資金は銀行を経由してさらに海外へ流出するだけであろう。
竹中氏は小渕内閣時代の経済戦略会議のメンバーであり、バブルの清算を二年で行い、IT革命が日本を救う、これからはハイリスク・ハイリターンの時代である、そう言い続けてきた自民党の経済政策ブレーンである。
この四年間の日本の成績をみると、氏の大臣就任が何を意味するのか、結果を
見るまでもないと思うのは私だけではないはずである

 次へ  前へ



フォローアップ:



 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。