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デフレ・スパイラル突入を決定付ける米国FRBの利下げ − 「金利引き下げ」は物価下落(デフレ)を招く!! − 投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 07 日 17:03:15:

(回答先: FRB、0.50%利下げ 投稿者 二十 日時 2002 年 11 月 07 日 05:25:55)

何度か書いていることだが、「金利引き下げ」がデフレや不況を緩和したり解消することはない。

今回のFRBの利下げは織り込み済みのかたちで決定されたようだが、この利下げによって、米国経済のデフレはさらに進んでいくことになる。

金利引き下げが一時的に住宅や自動車の需要を押し上げることにはなるとしても、金利変動の影響を受けない財や用役の価格が下落することで、失業者の増加や設備投資の沈滞が起きるため、住宅や自動車の需要もまもなく減少することになる。
(ただし、米国の自動車販売は既に0%金利が定着しており、住宅ローンはFF金利に必ずしも連動するものではない)

「金利引き下げ」がデフレを抑制し景気を改善すると信じている経済学者は職を辞したほうがいい。


● 金利はコストである

インフレ(デフレ)と金利の関係を考えるときは、財や用役を供給する経済主体にとって金利の増減はコストの増減だと捉えると見えやすい。

お金に色が付いているわけではないので、金利であろうが賃金であろうが、その増減は純粋にコストの変動である。

一般的に、コストが上昇すれば物価も上昇し、コストが下落すれば物価も下落すると考えられている。そうでありながら、金利が下がることで、物価下落を抑制し上昇に向かわせると錯誤している。

金利が下がることはコストの軽減だから、財や用役の価格は下落する余地をより多く持つことになる。
(供給主体はできるだけ高く財や用役を販売したいと考えるので、“下落余地”が顕在化するかどうかは経済状況に拠る。価格を下げなくてもよい経済状況であれば、利益の拡大につながる)

経済学者のこのような倒錯した思考を支えているのは、「貨幣も商品であり、金利はその価格表示」という誤った理論であろう。
金利が高くなることは、貨幣という商品の価格が上昇することだからそれに対する需要が減少し、金利が低くなることは、貨幣という商品の価格が下落することだからそれに対する需要が増大するという説明がなされる。

このような論は、資本主義経済の根本を理解していないものである。
資本主義経済は、保有している貨幣(資本)を増大させていくことを目的として経済活動が営まれる。
であれば、貨幣に対する借り入れ需要は、借りた貨幣を使って供給活動を行うことで元本+利息を上回る利益が得られるかどうかで決定されることになる。

返済しなければならない貨幣を消費するものである商品とみなす考えは、近代経済の基本さえ理解していないことを表明したと言える。

名目金利が10%でも、使用総資本利益率が15%になると予測すれば資金不足の経済主体は借り入れをしたいと考える。
名目金利が1%でも、利益が見込めないと予測すれば、資金不足が破綻につながる状況でない限り借り入れをしようとは考えない。


● 「金利引き下げ」がデフレを抑制し景気を改善する条件

物理的な供給量の増加(減少)以上に需要額が増加する(減少しない)状況が続き、供給主体の供給余力があまりなく設備投資や雇用増加が行われるときである。

すなわち、インフレ状況で好況のときだけ、「金利引き下げ」がデフレを抑制し景気を改善するのである。

これは、「高金利は物価上昇を抑制する」という考えも虚妄であることを示す。

物価上昇を抑制するためには、金利を引き下げ、通貨供給量(通貨流通量)を減少させる政策を採るのが合目的的な政策である。

いやそんなことはない戦後の経済政策でも、インフレが高じれば金利引き上げが行われ成功を収めたではないかという反論もあろう。

通常、金利引き上げと同時に金融引き締め(通貨供給量の減少)が行われる。これが供給活動を冷やすことで、総需要を抑え込んで物価の下落を招くのである。

金利引き上げが果たす“役割”は、コストの増大になることで物価をさらに上昇させるが、それに見合う需要の増加がないことで販売不振に陥り利益を減少させて不況を招くことである。

インフレ対策としては、通貨流通量を減少させながら金利を引き下げるのが合目的的なものである。

戦後の金利政策は、デタラメな理論に基づいて実施されてきたのである。
(金本位制では異なる論理で動くので添付参照書き込みを参照して欲しい)


● 不況下の「金利引き下げ」

供給する財や用役に対する需要が思わしくないのが不況の原因である。

そのような経済状況で競争が行われているのなら、限られた需要を自分のものにしようとして価格競争が展開されることになる。
(中国など諸外国から低価格の商品が輸入されている米国や日本では激しい価格競争に巻き込まれる)

金利低下はコストの軽減で、財や用役の価格は下落する余地をより多く持つことになるのだから、そのような経済状況では、できるだけ高く財や用役を販売したいと考える経済主体も、“下落余地”を顕在化させざるを得なくなる。

現在の米国は日本と同じく不況である。
今回のFRBの利下げが、物価にどのような影響を与えるかは自明であろう。


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※ 金利と物価の関係

『【世界経済を認識する基礎】 “あっしら”的経済概念の説明:「近代経済システム」における金利と物価の変動 〈その8〉 前半部』
http://www.asyura.com/2002/dispute2/msg/108.html

「後半部」はそのレスとして存在。


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