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第21回「『竹中大臣VS銀行経営者』の攻防戦から何を読み取るか?」(KFi〔KPMGフィナンシャル〕代表 木村 剛氏) ☆銀行経営陣を一掃してからのビジョンは?
投稿者 日時 2002 年 11 月 11 日 13:01:53:

☆無責任に税金を搾取する銀行経営陣を一掃したいというのは良く分かるが、その後のビジョンが無いんだよね。まあ今さら外資に売るって大きな声でも言えないってことなんだろうけど。


第21回「『竹中大臣VS銀行経営者』の攻防戦から何を読み取るか?」(KFi〔KPMGフィナンシャル〕代表 木村 剛氏)

最終更新日時: 2002/11/08
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「竹中プラン」が後退した理由を国民はどう考えたのか…

 不良債権処理加速策に関して、いわゆる「竹中プラン」が10月30日に公表された。「竹中路線 第1幕は挫折」(毎日新聞)、「竹中案『核心』先送り」(読売新聞)、「『手術』できず『内科治療』」(東京新聞)などメディアでは散々な評価だ。そのことについては、プロジェクトチームの一員として、わが身の非力を恥じる以外ないが、いわゆる「竹中大臣VS銀行経営者」の攻防について、このコラムの読者の方々から様々なご意見をいただいているので、いくつか紹介したい。

 「銀行の圧力で曲げられた」竹中プラン

    「はじめまして。私はコンピュータ関係の企業に勤めているエンジニアです。私自身は直接銀行に関わりがあるわけではないのですが、常日頃からなぜ日本の経済は停滞したままなのか、この状況の根源はどこにあるのかを気にかけてきました。結局、私の目に映る今の日本の現状は、銀行の腐敗によるところが大きいというのが正直なところです(もちろん、それ以外に金に群がる政治家や官僚といった存在も大きいのですが)」

 「さて今回、竹中大臣が策定しようとした不良債権処理案は銀行からの激しい圧力で捻じ曲げられてしまったように思えます。正直、銀行側の発言を聞いた時もう終わっているなという印象しか残りませんでした。今年4月に日本中の話題を掻っ攫った○○○銀行の△△社長。あの時は厳しい批判にようやく頭を下げた感じでしたが、今回は掌を返したように竹中大臣に牙を向く始末。そもそも損害賠償という形で○○○銀行という法人自体にもかなりの損害を与えた人間が未だに経営責任者として執務を続けているというその無責任さに怒りすら覚えました。それ以外にも、自身の経営努力もする事無く、社員をリストラすることもなく、不良債権を処理するために優良債権から貸し剥しを行い、安易に利息を徴収できる個人向けローンでサラ金まがいの金集め。いったい銀行のモラルはどうなってしまったのでしょうか。昨今いくつかの銀行や金融機関が大規模な合併を行ってきましたが、単純に足し合わせただけで余剰人員を吐き出さず、組織も最適化されていないように見受けられます(某銀行系証券会社はまさしくそんな感じです)」

 「私のような銀行とは無縁の人間ですら、今のひどい状況が銀行の責任によるところが大きい事を認識しているのです。悲しいのは、ただの国民ですら日本の今後を憂慮しているにも関わらず、政治家や官僚が全く昔のままで変わっていない事です。今回の騒動でも自民党からは結局銀行を擁護するような圧力ばかりが目立ちました。こんな連中に日本の予算配分が決定されているのかと思うと、日本の将来は暗いと感じざるを得ません。銀行には責任ある行動を取ってもらわなければなりません。彼らのエゴに負けないでください」

 やはり、「銀行からの激しい圧力で捻じ曲げられてしまった」という評価が多いようだ。そうしたマイナス評価をプラス評価に変えていくためには、より一層の努力が必要になるということを重々心に刻んだ上で、今後のプロジェクトチームの活動に貢献していきたいと思う。ちなみに「竹中大臣VS銀行経営者」については、次のようなご指摘もいただいている。

    「はじめてメールをいたします。コラムを読ませていただき、まったく同感しました。日本経済社会は、わたしがかねてより推測していたとおりに、腐敗しきっているのです」

 「おりしも、竹中金融相と大手都銀首脳とのやりとりが報道されましたが、わたしは竹中金融相を支持します。都銀首脳が抗議している目的は自分の保身だけです。日本経済を立て直し、国民を苦境から救うためにどうしたらいいかを、銀行はわかっているのに白状していません。ただ自分たちだけの収入減だけを嫌がっているのです。そしてこれまでの経営責任を自分に問うことをせず、政府や不良債権貸出先に転嫁しているのです。『卑劣きわまりない!!!』と私はずっと思っていました」

 「竹中氏の政策は、銀行関係者のためより国民のためを考慮したもので、正しい政策だと思います。小泉首相も卑劣な都銀の保身に手を貸すのではなく、国民全体のための政策を、ぜひとも断行していただきたいと願っています」

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 もし、この読者による「都銀首脳が抗議している目的は自分の保身だけ」という鋭い洞察が正しいとするならば、そういう志の低い経営者に「バンカー」という名誉あるポジションを与えておいてよいのかについて、改めて問い質す必要があると言えるのではないか。

 そういう観点を十分に反芻した上で、人生の大先輩から寄せられた以下の提言をじっくりと読んでみていただきたい。

 「高齢者は財産の30%を献納し総懺悔を」

    「私は、71歳、福祉ボランティアをしています。不良債権問題を解決するには、小出し先延ばしの対策では更なる窮地に落ちこむことは明白です。私は、『三方100兆円損』を提案します。65歳あるいは70歳以上の国民は私有財産の30%を国家に献納する。それと差し替えに政治家、官僚、大企業のトップ(65歳あるいは70歳以上)の人は全員退陣する。高齢者総懺悔をして健全財政にして若い世代に引継ぎ日本再生を図る」

 「大戦後の改革以上の手を打たなければ立ち直れないと見ています。政治家、銀行トップの無様な責任逃れを見過ごすわけにはいきません。若いビジネスマンに無情感を与える社会は滅亡して行きます。使い道のない高齢者の財産を活かし。若者の活力と結びつける事が本当の政治だと思います」

 このメールをいただいて、私の目頭は少なからず熱く潤んだ。日本の行く先を憂えて、自らの私有財産の30%を献納するというところまでの危機感に苛まれている方々がいるのだ。また、「わたしは65歳。定年退職後日本語教師をしていますが、ほとんどの欧米人は、『日本人には全体を見た発想がない。全体から見て最善は何かを求めることをしない』と言っています。小泉内閣は、過去のしがらみを今こそ断ち切って大英断を断行されるよう、国民は願っているのです」という暖かいエールを寄せられた方もいる。ベルギーにおいて商社を営んでいる方からは、「政治家や個々の銀行・企業の幹部の保身等を論じている段階ではないはずです。既に遅すぎると言われる対応をいち早く行い、その一方で失業者対策、雇用対策などのセーフティーネットを構築することが必要であると考える次第です」というお便りをいただいた。

 「高齢者総懺悔」と言い切った老練のサムライと比べれば、「保身目的」とまで蔑まれる銀行経営者の影はあまりにも薄い。「俺はバンカーだ」と胸を張るのであれば、以下のメールに示されるような批判に真摯に応える必要があるのではないだろうか。

 「日本を変え、『誇り』を取り戻せ」

    「ジャック・ウエルチ氏やカルロス・ゴーン氏の講演を聞く機会がありましたが、この両氏は明確なメッセージを発信していました。経営者としての優秀さに加え、燃えたぎる情熱を感じました。いまの大手銀行の経営者で、大勢の学生を前にして自らのビジョンを意思表示できる人はどれくらいいるのでしょうか? 日本にも優秀な経営者がまだまだ存在しているのは承知しています。ただ残念ながら、銀行の経営者には魅力ある人はほとんどいないように感じられるのです」 「岩月謙司氏が著した『女は男のどこを見ているのか』(ちくま新書)によれば、『いい男』とは『美しい行為ができる人』と定義されています。『男』に必要な要素とは、『実践で使えるような真の智恵と勇気をもっているかどうか』『誇りは命より大事なもの』ということのようです。いまの銀行経営者の方々にも子供はいると思います。男として、父として、次世代の子供達に伝えていかなければいけないものはなんなのでしょうか? 今の日本人にかけているものは、『誇り』なのではないでしょうか? 年間3万人もの人達が自殺する国家。今、変わらなければ、日本の将来はない」

 この批判に対して、正面から反駁できる銀行経営者が少なからずわが国に存在していることを私は望みたい。しかし、前回のコラムを読んだ方からは、「2000万円うんぬんというくだりがありましたが、どうせそんなことだろうと思っておりました。競争にまみれたことが無い人は、必死の思いというものの実質を知らないのでしょう。税金で延命しているくせに、社員の処遇を下げる苦しみさえ知らないとは、その人々の子供がどう教育されているか怖いぐらいです」という辛辣なメールもいただいてしまった。

 さらにシニカルな見方をされるリアリストからは、以下のような鋭いご指摘もいただいている。

 「竹中プランの成否は国民自身の責任」

    「銀行経営者も単なるサラリーマンである。彼らが自らの利益を図るのは当然といえば当然である。一般に人が自らの利益のために醜悪を演じるのを、非難する資格のある人は決して多くないだろう。問題はむしろ不良債権の先送りを可能にしてきた政治と行政にある。もっと言えば、それを許してきた日本社会の構造が問われるべきである。つまり、目先の痛みを恐れて改革を先送りしてきたのは国民自身の多数部分であると見るしかない。畢竟、竹中プランの成否は国民自身がそれを是とするか非とするかにかかっている」

 個人的には、「銀行経営者も単なるサラリーマンである」という指摘に対して軽々に頷きたくないという気持ちを大事にしたいと思っているが、「目先の痛みを恐れて改革を先送りしてきたのは国民自身の多数部分であると見るしかない。畢竟、竹中プランの成否は国民自身がそれを是とするか非とするかにかかっている」という推察は正に慧眼である。

 その意味で、いま価値を問われているのは銀行経営者だけではないと考えるべきだ。いま真価を問われているのは、われわれ国民自身なのである。私は、小泉政権が国民の支持を得て、正しい政治と行政を行うことを願って止まない。

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