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銀行危機の実態〜全国124行を「竹中基準」で本誌が試算(ウイークリーポストドットコム11月22日号)
投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 11 月 11 日 15:17:00:

(1) 山崎幹事長の“竹中つぶし”

政府と与党が金融再生をめぐって緊迫した攻防を続けているさなか、竹中平蔵・金融相兼経済財政相と山崎拓・自民党幹事長による次のやりとりを聞いたら、預金者や貸し剥がしで血まみれの中小企業経営者は怒髪天を突く思いをするだろう。
『総合デフレ対策』をまとめる10月29日の政府・与党協議の席だった。
山崎氏が目をむいて竹中氏に挑発的な言い方をした。
「あんたのところには米国のファンドから日本の銀行を買いたいという話が来ているそうじゃないか」
“邦銀を外資に売り渡すつもりか”といわんばかりの物言いに竹中氏は動揺し、懸命に否定した。
「い、いえ、幹事長、そんな話はありません」
山崎氏は畳み込んだ。
「とにかくあんたの不良債権処理策には銀行もつぶされると心配している」
山崎氏は竹中氏の不良債権処理加速策に反発する大手銀行首脳たちの陳情を受けた後、協議に臨んでおり、銀行と与党一体の竹中批判だったことは明らかだ。
山崎氏の一言が具体的に何を示唆していたかは後に詳しく述べるが、銀行の不良債権処理は、その匙加減一つで融資先の中小企業がつぶれ、庶民も住宅ローンなどの一括返済を求められるといった社会全体に深刻な影響を及ぼす問題である。それなのに政府・与党の首脳たちが銀行をつぶすだの、外資に売るだのといかにも安易に口にするとはどういうことか。

(2) 中小企業17万社を人質

竹中氏と与党・銀行連合は、預金者や中小企業を人質にした脅しと居直りの奇怪な駆け引きを続けている。
竹中氏が銀行の不良債権処理を加速させるために、経営内容を厳しく洗い直し、経営者の責任を追及したうえで税金投入する方針、いわゆる≪竹中プラン≫を打ち出すと、与党と銀行はスクラムを組んで竹中批判の集中砲火を浴びせた。とりわけ、竹中氏と再三、会談した銀行首脳たちの発言は聞き捨てならない。
みずほ銀行グループを率いる前田晃伸・みずほホールディングス社長は10月24日の会談で竹中プランにこうかみついた。
「この案ならわれわれは2兆円の増資か30兆円の資産圧縮が必要になる」
資産圧縮とは、融資の回収、つまり貸し剥がしを意味している。全国17万社の中小企業と取引があるみずほ銀行が30兆円分の融資を回収すれば、それこそ未曽有の倒産ラッシュを招きかねない。
まさに竹中氏が強硬に不良債権処理をやるなら、“中小企業17万社をつぶしてもいいのか”という恫喝であり、仮にもメガバンク首脳のいっていいことではない。
まだある。10月28日の銀行首脳と竹中氏の会談では、全銀協会長を務める寺西正司・UFJ頭取が吠えた。
「あなたは銀行を6〜7行、国有化するつもりか」
さらにみずほの前田氏が、「政治と経済を混同しないでほしい」と訴えると、逆ギレした竹中氏は居直った。
「小泉政権を批判しているのか。それならはっきりいってくれ。総理に伝える」
メガバンクの経営者と金融行政の責任者の話し合いにしてはいかにも次元が低い。銀行の経営者たちは自分たちの経営責任を回避するために国有化を逃れようとし、竹中氏は自らの経済政策の手腕を見せつけるために高圧的に威嚇する。預金者や中小企業を守るためにどうするかといった発想や視点はどこにもない。
それでも、政府は10月30日に『総合デフレ対策』を鳴りもの入りで発表した。その柱である不良債権処理策は与党・銀行連合と竹中氏の妥協で中途半端な内容となった。

(3) 試算ではメガバンクも軒並み失格

竹中氏と銀行経営者との対立がなぜこれほどエスカレートしているのか。理由は簡単だ。
小泉首相も柳沢伯夫前金融相も、今年9月まで国民に対して、
「金融危機はない」
そう説明してきた。が、現実は、金融庁が主導した大手銀行への税金投入や経理操作ですべての金融機関をいかにも健全かのように見せかけているだけで、中味はどの銀行も火の車なのだ。竹中氏も経済財政相としてそうした誤魔化し行政を追認してきた。それが金融相を兼務した途端に、“銀行の経営を丸裸にしてつぶすべきところはつぶす”という方針へと豹変したことから、銀行も自民党や金融庁もパニックに陥ったのである。
銀行がいかに経営実態を隠しているかを示すのが別掲の≪銀行危機リスト≫である。
銀行の経営健全度を表わす代表的な指標は『自己資本比率』といわれ、わかりやすくいえば、総融資額に対して資本金などの自己資本がどのくらいあるかの割合を示したものだ。
 金融庁は、国際業務を行なっている大銀行は自己資本比率8%以上、国内業務だけの銀行でも4%以上に維持することを定めており、それを下回れば経営再建計画の提出や業務改善命令が下される。いわば大銀行は8%、中小銀行は4%というのが銀行経営が失格とみなされるかどうかの最低ラインだ。
全国の都市銀行、地方銀行、第2地銀124行の02年3月期決算では、すべての銀行がそうした基準を上回っていることになっている。
本誌はそうした≪竹中基準≫に従って全国124行の経営健全度(自己資本比率)を独自に試算した。結果は驚くべきものだった。
リストをご覧頂きたい。まず都市銀行である。金融庁もまだ細かい計算条件は決めていないため、多少の誤差はあるにしても、現在いずれも自己資本比率10%台と公表している4大メガバンクのうち、東京三菱を除く3行が6%台に下がると試算され、海外業務からの撤退を迫られる水準になる。
また、『りそなグループ』のあさひ銀行と大和銀行はすでに海外業務から手を引いているが、その2行は本誌試算では国内行の基準である4%さえも下回り、“水増し”分をのぞいた実態は経営危機に直面していることがわかる。

(4) 竹中氏の金融再編の野望

竹中氏がこれまで政官業による護送船団行政で隠されてきた銀行の本当の経営内容を国民の目にさらし、経営責任の追及と銀行淘汰を進める姿勢は遅すぎたとはいえ、決して間違ってはいない。
気になるのは竹中氏の強硬論の背後にアメリカ政府や米国金融資本の思惑が見え隠れしていることなのだ。≪竹中プラン≫の中には、金融危機が発生した場合、政府は危機に陥った銀行に対して、日銀特融や税金投入、あるいは一時国有化などの『特別支援』を実施し、その銀行の融資を不良債権と正常債権とに分けて国が管理する仕組みが盛り込まれている。
竹中氏の金融再編計画の布石がそこには秘められている。金融庁中枢筋が明かした。
「竹中大臣は与党に叩かれても大手銀行の取りつぶしをあきらめていない。来年1月の通常国会冒頭に新法を成立させて、来年3月末の銀行決算までに総額15兆円ぐらいの公的資金を投入することを考えている。第一段階として大手行への特別検査の実施を指示した。その過程でどこかの銀行を一時国有化するつもりのようだ」
金融庁内ではどの大銀行がターゲットにされるかにかかわる情報が流れている。
<シティバンクがみずほ銀行の買収に強い関心を持っている>――というのだ。
「竹中プランで自己資本比率が急速に下がった銀行を一時国有化した場合、その後は旧日本長期信用銀行のように買い手を探すことになる。しかも、旧長銀のケースと違って今回は銀行の資産を厳密に区分するから、正常債権部分だけを引き継ぐ新銀行は最初から高い収益が見込める。竹中プランはまさに外資に“買い得ですよ”といっているようなもので、米国のヘッジファンドはこぞって触手を伸ばしてくるだろう」(前出の金融庁中枢筋)

(5) 竹中ブレーン「オレはみずほの頭取になる」

冒頭の政府・与党協議の場面で山崎氏が竹中氏に、“米国資本に銀行を売る気か”と迫ったのも、実はそうした情報があったからに他ならない。
当のシティバンク広報部は「仮定の話にはお答えできません」というが、金融ジャーナリスト・斎藤裕氏はこう指摘する。
「竹中氏は政官業のもたれ合いで先送りを続けてきた金融行政を壊すには外資の参入をもっと促した方がいいという発想があると思う。確かに、シティバンクはみずほが行なっている大企業取引から中小企業・個人向け融資、証券業務の3分野ともにノウハウがあり、世界最大の銀行を買収しても十分に経営できるが、みずほは日本の上場企業の7割と取引があり、規模からみても日本経済そのものだ。外資との資本提携や売却は、政治判断として難しいのではないか」
竹中ブレーンの一人は、みずほの国有化をにらんで、
「オレはみずほの頭取になる」――と周辺に吹聴しているが、竹中氏が邦銀を外資へ売り渡すために強硬路線をとっているとすればあまりにも不純であり、“30兆円貸し剥がす”といってのけたみずほ首脳ともども、金融行政や銀行経営にあたる資格はない。

<エディトリアル>「竹中試案」をめぐる朝日と読売の対立
両紙が議論を戦わせてはどうか

日本の新聞には個性がないといわれるが、不良債権処理を巡る竹中試案の評価については珍しく、朝日と読売がはっきりと対立している。
「不良債権から逃げるな」(24日社説)と唱える朝日は、「『竹中いじめ』の無責任」(26日社説)と竹中試案を支持、自民党と銀行を手厳しく批判している。27日付の3面漫画(山田紳作)では、布団をかぶり惰眠をむさぼる銀行幹部に竹中氏が水鉄砲で「竹中試案」という水をかけると、幹部は「チメテー、ゾクッとしたぞ訴えてやる」と喚く。それに「いいとも、じっくりこの10年間の『国民迷惑度』も査定しようじゃないか」という文章を添える。
 一方、読売は27日付の特集「激震 竹中リポート」で、「不良債権増 主因はデフレ」、「人気取りの経営責任論」と竹中試案を真っ向から否定してみせた。不良債権問題はデフレが引き起こしているのであり、個々の銀行経営者が努力してなんとかなったわけではない、という説だ。銀行幹部への批判は国民の嫉妬を煽るもの、ということだ。
だが、双方とも互いを明らかに意識する割には自説を連呼するのに止まっている。シンクタンクの試算では不良債権処理を実施すれば大手銀行は全体として93兆円からの貸し剥がしを行なうといい、国民迷惑は竹中試案の方かもしれないから朝日説には疑問があるし、読売のようにデフレ現象が諸悪の根源といったところでそれは「不況が悪い」を言い換えただけ、対策は明確でない。互いの欠点を強く指摘しないから、遠間から腰を引きつつヤジをとばしている印象がある。
朝日と読売は竹中氏を媒介にせず、論争の当事者として直接やり合ってはどうだろうか。
(東京大学大学院総合文化研究科教授
松原隆一郎)

http://www.weeklypost.com/jp/021122jp/index/index1.html

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