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「規制緩和」という劇薬を、副作用をまったく知らせずに、投与したのは誰だ! 投稿者 紅梅仙人 日時 2002 年 2 月 14 日 06:44:05:


「規制緩和という悪夢」
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---副題---

「規制緩和」という劇薬を、副作用をまったく知らせずに、投与したのは誰だ!

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「規制緩和」運動は、細川護煕内閣当時の私的諮問機関であった「経済改革研究
会」の「規制緩和について」という中間レポート(1994年平成5年11月8日)から始
まります。
当時の新聞は朝日、産経から読売まで、政治家は小沢一郎から社会党まで「政・
官・財の癒着を打破し、生活主権の社会を規制緩和によって切り開こう」との大
合唱がおこりました。
しかし、平岩レポートの論理が正しいのかどうか、実証的な研究をしていた研究
者やメディアはなかったようです。

しかし1995年“内橋克人とグールプ21”が文春文庫より「規制緩和という悪夢」
を出版して大論争になりました。2002年1月10日に加筆再版されていますのでぜ
ひお読み下さい。

参考までに「規制緩和」推進派の論客として、一橋大学商学部教授の中谷巌氏、
イトーヨーカ堂の伊藤隆俊氏、ダイエーの中内功氏、トヨタ会長の豊田章一郎氏
が声を大にして推進してきたものですが、中内氏のダイエーが破綻寸前までいく
とは歴史のいたずらでしょうか、それとも天罰?なのでしょうか。

「経済改革研究会」のメンバー 当時の役職及び所属団体

     当時の役職及び所属団体 現行の役職及び所属団体

座長
平岩 外四 経済団体連合会会長*元東京電力会長
http://www.sanbou.net/retsuden/ha/hiraiwa.htm
有馬 朗人 法政大学教授     参議院議員(自民党;比例)
http://www.tepco.co.jp/custom/illume/data/a/arima-j.html
大田 弘子 大阪大学客員助教授  政策研究大学院大学教授
http://www.orix.co.jp/company/director34.htm
角道 謙一 農林中央金庫理事長
木内 昭胤 前フランス大使    アクサ生命保険会社 取締役会長
http://www2.axa.co.jp/release/000403.html
行天 豊雄 東京銀行会長*    (財)国際通貨研究所理事長 
http://www.php.co.jp/fun/people/gyouten.html
小長 啓一 アラビヤ石油社長*  日経連副会長
http://www.php.co.jp/fun/people/konaga.html
小林 陽太郎富士ゼロックス会長* 日米経済協議会会長
http://www.php.co.jp/fun/people/kobayasiy.html
小宮山洋子 日本放送協会解説委員
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/profile/214.htm
鈴木 淑夫 野村総合研究所理事長 衆議院比例代表>東京 自由党
http://www.suzuki.org/profile.html
豊田 章一郎トヨタ自動車会長*
http://www.php.co.jp/fun/people/toyoda.html
中谷 巌  一橋大学教授     一橋大学商学部教授
http://www.hit-u.ac.jp/commerce/jikohyouka/nakatani.html
(そういえば石原慎太郎のシンクタンクも一橋総研ですね・・)
宮崎 勇  大和総研理事長 元経済企画庁長官
http://www.php.co.jp/fun/people/miyazaki.html
山田 精吾 日本労働組合総連合会顧問 1996年2/10永眠
吉野 良彦 日本開発銀行総裁   日本原子力研究所副理事長
http://www.nira.go.jp/icj/tt-you/1728.html
http://www.nira.go.jp/icj/tt-you/1398.html

特別参与 田中 秀征 総理特別補佐 後に「新党さきがけ」

(参考として「*」は「外交問題評議会」(=CFR)、TC(日米欧三極委員
会)のメンバーです。)

「規制緩和」を語る前に当時の時代背景と経済論と言う観点からみると、政府に
よる規制・介入によって、成果の社会的配分の公正、貧困からの解放、失業の解
消、また有効需要の増大を目指すというケインズ主義的政策思潮は後退を続けて
いる最中でした。
「政府の失敗」を修復するには「市場の成功」によるべし、と言う考え方は、単
なる政策論から経済論の装いをもって語られるようになり、サッチャリズム、レ
ーガノミクス、中曽根民活に象徴される「新保守主義」の時代でもありました。

1970年代、日本経済は第一次・第二次オイルショックに打たれて痛手を受け、国
の財政も窮迫しました。非民営事業の経営悪化は深刻な物となったのです。そこ
で国有企業に「市場原理」の洗礼を受けさせ、それらを競争場裡に引き出すこと
が、経営の効率化、赤字構造の解消、財政負担の軽減に繋がると説かれました。

そして、1985年には電電公社・専売公社、1981年には国鉄分割民営化が断行され
ました。さらに中曽根政権は国有地の有効利用を検討するよう指示を出していま
す。国有地を民間に譲り渡して、新しいビジネスチャンスを創出して、民間企業
に利益機会を与えるべしと言う中曽根内閣の考えは後のバブル時代を象徴する
「時価高騰」の先駆けとなったと言う事実がありますのでおぼえておいてくださ
い。。

アメリカにおいて、早くから規制緩和の必要性を説き、70-80年代の理論的支柱
となったのが、経済学者のアルフレッド・カーン(現コーネル大学教授)で当時の
ジミー・カーター大統領の懇請を受けてホワイトハウス入りし、航空委員会長官
に就任します。そして全米から若く優秀な経済学者や弁護士を集められタスクフ
ォースチームが編成されました。そしてアメリカ初の規制緩和「航空自由法」が
実施されたのですが、実際は、カーター大統領が予測した事態とはまったく違っ
た驚くべき変化が現れたのです。これはカーンの元に集まった経済学者の予想を
も裏切
る?ものでした。そしてカーン自身も予想しえなかった?変化だったと述懐して
います。。
いやカーン自身は予想し得たのではないのか?またその変化をもたらすために送
られたエージェントだったと言う見方も出来るわけですが・・・いまでは闇の中
ですね。

「規制緩和」という福音(とかれらは言う)は、まず最初にアメリカ国民が犠牲と
なりました。規制緩和の壮大な実験が始まったのは、1978年航空自由法で航空業
界が過当競争になったのを皮切りに、78年天然ガス、80年トラック運輸、80年鉄
道、82年電信電話、82年金融、84年ケーブルテレビの自由化が実施されました。

これら規制緩和実施後、健全な競争によって、サービス、価格の恩恵を受けるは
ずだったのに、結果は78年に始まった航空業界の破壊的競争の激化と、それに続
く大企業の寡占化の進行でした。
その最も雄弁な証拠が、寡占の進行です。これこそが狙いだったような気がしま
すが。
当初28社だった航空会社に夢と希望を抱いて次々と新規参入会社が設立されまし
たが、78-92年の間に117社の航空会社が破産しました。78年の大手5社の市場占
有率は68.8%だったのが92年には79.7%に、これを大手10社で見てみると、78年
には88.9%だったものが、92年には99.7%まで上昇しています。一時的に下がっ
た価格(26%ダウン)も、寡占後は以前よりも高くなったようです。また運輸自由
法によって78年のトラック運送業の上位30社のうち90年には21社が消滅しまし
た。91年にはトラック業者の倒産件数は2300件に達しました。この業界も寡占化
が進んだわけです。上位4社の占有率が78年には27.7%だったものが90年には
49.2%まであがっています。

つまりアメリカ国民も「没落」させられているわけです。
何故かといますと、アメリカでの70-91年の顕著な変化は、製造業の仕事が減っ
てきたことです。1950年代には全労働者の33%が製造業に従事していたのが、
1991年には17%にまで激減したのです。その代わりに増えたのが、小売業とサー
ビス業に従事する労働者です。これが「規制緩和論者」のいう新産業で、ウオー
ルマート(スーパー)やマクドナルド(外食産業)といったこれまでになかったビジ
ネスです。しかしよく考えてみてください。この移行した新産業にある程度余剰
人員は吸収されたものの、その給料たるや「馬鹿みたいに安い賃金」であること

指摘をする学者やマスコミはいないのです。
例えば1992年の製造業の従業員の平均週給は469ドルですが、小売業の従業員は
半分以下の206ドルしかもらっていないのですよ。大企業の寡占化によってはじ
き飛ばされた中小企業の従業員は確かに「新産業」に吸収されましたが、そこで
は、歯医者にさえかかれないどん底の暮らししか保証されていないのです。

「規制緩和」進行するに連れて、アメリカの終身雇用制が終焉していったので
す。要するに競争のあるところでは労働力の移動の柔軟性は不可欠だったと言う
ことです。つまり規制緩和と終身雇用は両立しない概念だったということができ
ます。
さらに進んで、富の分配の不均衡が増大したこともあげられます、つまりほんの
一握りの非情で、貪欲な人間に、とてつもなく金持ちになる素晴らしい機会を与
えることになったことです。結果として中流の所得者層の賃金が目減りする中
で、金持ちはますます富んでいったのです。日本でもそんな本が出ていたような
記憶があります。

規制緩和が進み大企業の寡占化がより顕著となってきた米国経済、同時多発テロ
事件後の経済情勢と個人消費の冷え込み、エンロン規模の倒産続出・・・これら
を勘案しても、最近のアメリカの経済成長のコメントは変だなと考えさせられる
ものがあります。

●欧・米・アジア・中国の経済成長?
-----------------------------------
・米景気は回復始めた可能性、ペースは予想以上に緩やか=地区連銀総裁
・1月の英経済全般の生産性指数、過去10カ月で最高=調査
・ドイツ経済省、今春には景気が徐々に上向くと予想
・独経済は最悪期を脱したとみている=連銀総裁
・シンガポール、今年の経済成長見通しを上方修正=ゴー・チョクトン首相
以上はロイターニュース一覧 より
http://www.asahi.com/business/reuters/index.html
・G7好感し株高 アジア・ロンドン 東京市場 公的資金再投入に関心
http://www.sankei.co.jp/paper/today/business/keizai/12kei002.htm
・日本が、G7から転落する日
 日本と中国の経済規模が逆転する?
http://www.collectors-japan.com/nevada/content/c020201_2.html
・・・・・
完全に日本だけが取り残された格好です。

新しい規制緩和としては83年カリフォルニア州が全米で初めて「電力小売り」が
自由化されましたが、結果はご存じの通り夏場には大停電に怯える毎日だそうで
す。
馬鹿のことに日本でもこの流れを受け、電力の自由化は1995年に発電設備を
持つ企業が、余った電力を電力会社に入札で売る卸売りなどができるようになり
ました。2000年3月からは2000Kw以上の大口需要家への小売りが自由化され、こ
れまでに9社が新規参入しました。2003年から自由化が拡大される見通しだそう
です。
これは芦屋の六麓荘の住民だけが得られる特権、町内会に自前水道設備による六
甲の湧き水を各家庭に供給されていることと同じ事になると思います。この場合
は毎月40万円の維持管理費を払える人々のみが恩恵を受けうるということです
ね。東京で言えば田園調布地域内で自家発電設備を設置すれば、電力会社が不安
定供給になった場合にも、まったく影響を受けないことになるわけですね。

いま日本でも、大企業が規制緩和や不況によって早期依願退職者が募集していま
すが、かの大企業、松下電器でも10万人の従業員のうち1万人が依願退職に応じ
たそうです。それに応じている人々は何を根拠に在籍企業を離れるのでしょう
か?今後の生活の当ては、あなた方が考えているよりはるかに厳しい現実に晒さ
れることになるのに。もしあなたが会社の悪口を言い、上司に悪態を付く平凡な
人生を望む人であるなら、どんなことをしても会社に残りなさい、今後の就職先
は皆無、現実はもっと厳しいのです。
最近人気のテレビ東京が、「愛の貧乏脱出作戦」というふざけた番組を放映して
いますが、あの中でさえ、生き残れるのはほんの一握り(100分の22)だけだと言
うことを、肝に銘じてください。

「規制緩和」を例えるなら、大変危険な劇薬を患者に副作用をまったく知らせず
に投与しようとしたのとおなじことです。医療の場合であれば、薬効について作
用も副作用も、一人の患者に限って現れるでしょう。一人の患者がプラスとマイ

ナス効果を得ることが出来るのです。
しかし「規制緩和」の場合、問題なのは、プラスとマイナスの副作用が現れる場
所が違うと言うことです。つまり、権力の決定機構に近い投資家、大手企業グル
ープ、都市生活者といった集団は当面プラスの作用を受けます。しかし中流層を
なしていたサラリーマンを含む勤労者、中小企業、地方生活者、年金生活者とい
った集団は、激流の中に放り出され、多くの人々が辛酸をなめることになるでし
ょう。いやなりつつあります。今のところ、日本の規制緩和という治療法は、プ
ラスの作用が働くと思われる人々の手によって、一方的に決められています。

小泉内閣もこれを踏襲し、池田大作の公明党と結託して「聖域なき構造改革」と
言っていますが、中身はまったく「規制緩和という劇薬」の処方箋の延長です。

これから日本人が嘗めることになるであろう辛酸は、アメリカの人々が80年代に
嘗めた辛酸よりもさらに辛く耐え難いものになるのではないでしょうか?
「規制緩和」の進行とともに、新規業者の怒濤の参入、倒産の激増、寡占化の進
行。それにともなう業界伸張の停止、労働者の辛酸、少数の経営者への莫大な富
の集中。そして、経済学者たちが立てた仮説の破綻・・・と言うプロセスは、あ
らかじめ決められていた通りに誘導されたシナリオだったと言うことも出来るわ
けです。

「フィラデルフィア・インクワイラー」紙のジェームス・スティールとドナル
ド・バーレットはこう言っています。
「要するに規制緩和とは、これまで公平な《アンパイア》のいたゲームから《ア
ンパイア》を除いてしまうということだったのです。ゲームは混乱し、何でもあ
りの世界になりました。ところが多くの人々は「規制緩和」と言う言葉を経済学
者が振りまいたとき、ルールが変わると言うことに対して無自覚でした。皆が何
となく良くなるという錯覚を持ったのです。結局そうした人々はゲームからはじ
き飛ばされ、得をしたのは、権力の中枢にいて、ルールブックが変わる事を良く
自覚していた一握りの人々でした。」


---------以上----------

追伸 

日本を憂える者が広く国民に、今何が進行しつつあるのかを知らしめるために
書いたものです。
上記を読破すれば買わなくても良いぐらいに、集約して加筆しました。

規制緩和という悪夢 文春文庫
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/416765623X/

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