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金融のしくみ 糸瀬茂 東洋経済 p163-165 投稿者 ファイナンシャル・ディテクタ 日時 2002 年 4 月 05 日 00:58:20:

(回答先: Re: 「日本に重なる大恐慌の影」 《小泉政権の経済政策は、1930年代のアメリカと不気味なほどよく似ている》 [ニューズウイーク日本版4・10] 投稿者 ファイナンシャル・ディテクタ 日時 2002 年 4 月 05 日 00:33:53)

財政赤字は深刻な問題でないという反論
公的部門の負債が六四五兆円あるとしても、その負債のかなりの部分は、公的部門のなかで「持ち合って」いる。一方、公的部門は負債に見合うだけの資産を有しており、いざとなればそれらの資産を売却すればよいので心配

上記の反論の問題点
この反論に対する再反論を述べるにあたっては、議論を簡略化するために、国(地方を除く)の借金のなかでも、国債の部分だけを考えてみることにします。すでに述べた通り、現在の国債発行残高は三三五兆円です。その一方で、公的部門は一六五兆円の国債を保有しています(内一〇二兆円は、資金運用部による保有)。つまり国は、自分が発行した債券のかなりの部分を自分で買っているわけです。それならば、「それらを相殺すれば、ネット(差し引き)の国債残高は大幅に減るので心配ない」というのが、この反論の一つ目のポイントです。これは、「会計上は」一見整理された議論のように聞こえますが、やはり落とし穴が存在します。単純な例を用いて説明してみましょう。図のようにある国が三〇〇兆円の国有資産を持っていて、それを三〇〇兆円の国債発行のみで賄っているとします。つまり、この国のバランスシートの資産勘定には国有資産が三〇〇兆円あり、負債勘定には国債三〇〇兆円があるということです(資本勘定はゼロとします)。同時に、この国には国営の郵便局があり、それが集めた郵便貯金一〇〇兆円はすべて国債で運用されているとします。つまり、郵便局のバランスシートの資産勘定には国債一〇〇兆円があり、負債勘定には郵便貯金一〇〇兆円があるということです。さて、これらのバランスシートを連結してみましょう。そうすると、国の負債である国債三〇〇兆円の内の一〇〇兆円部分は、郵便局の資産である国債一〇〇兆円と相殺されます。その結果、「連結バランスシート」の資産勘定には国有資産三〇〇兆円のみが残り、負債勘定には(相殺後の)国債二〇〇兆円と郵便貯金一〇〇兆円とが残ります。この連結バランスシートをじっくり眺めれば、だれしも次のことに気付くでしょう。連結前には、郵便貯金一〇〇兆円の返済原資は郵便局が保有する国債でした。ところが、連結をすることによって、郵便貯金の返済原資は(より換金の難しい)国有資産に置き換わってしまったということです。つまり、公的部門内部の国債は相殺できても、「公的部門が非公的部門に対して持っている資産(国有資産)と負債(郵便貯金)は相殺されずにそのまま残ってしまう」ということです。念のため、もう一度整理しましょう。連結前には、国は、国債三〇〇兆円の返済原資として国有資産三OO兆円を保有していました。ところが、連結をすることによって、国が返済しなければならない国債は確かに二〇〇兆円に減りましたが、それによって「浮いた」国有資産一〇〇兆円は、今度は郵便貯金一OO兆円の返済原資に充てなければならなくなったということです。これで、この反論の問題点が理解していただけたのではないでしょうか。続いてこの反論の二つ目のポイント、すなわち「資産を売却すれば返済できる」という点について考えてみましょう。現在日本の公的部門が保有する固定資産の内、いったいどの程度が換金可能かといえば、簿価べースでわずか一兆六〇OO億円に過ぎないと言われています。専門家の資産では、売れる資産をすべて売ったとしても、時価換算でせいぜい二〇兆円程度だということです。「焼け石に水」とはまさにこのことです。財政赤字は、やはり深刻な問題なのです。

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