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「みずほ大失態の本質〜4つの嘘(その1)」 日経ビスプラス 投稿者 招き猫 日時 2002 年 4 月 11 日 14:48:30:


アローコンサルティング事務所 代表箭内 昇氏

 「やっぱりやったか」というのが筆者のとっさの感想だった。
 世界一の資産規模を誇るみずほフィナンシャルグループは、4月1日の再編スタート早々システム障害によって大混乱を引き起こした。プログラムミスと予想外の大量処理が原因と銀行側は説明するが、背景を探っていくとみずほの統合そのものが抱えている問題と国民に対する大嘘の構造が見えてくる。

「多数決の嘘」

 第一は「多数決の嘘」である。みずほグループのトップは統合発表の記者会見で、「3行もの合併は意思統一が困難では」と危惧する声に対して「2行より3行のほうが多数決で迅速に決断できる」と笑い飛ばした。

 しかし、報道によれば今回のシステム障害最大の要因は基幹システム統合を一気に一本化せず、三行の既往システムを残してそれを中継するという複雑な方法によったことだという。各行の勘定システムがIBM、富士通、日立とばらばらで、互いに自行システムにこだわって主導権争いをしたため、統合作業が遅れて見切り発車したというのが実情のようだ。多数決の原則などどこにもなかった。

 みずほ統合の発表から今日までの約2年間、ほとんどすべての部門、階層から絶えず不協和音が筆者の耳にも聞こえてきた。富士と第一勧銀は一緒になって「没落貴族のくせに誇りと給料だけは高い」と興銀をののしる。興銀は逆に「投資銀行業務などできまい」と両行をさげすむ。そして富士と第一勧銀はリテール業務での覇権争いを続ける。今回のシステム問題はこうした壮大な消耗戦の弊害のひとつにしかすぎず、ほかの部門でも同様の問題をいくつも抱えているはずだ。今後何が飛び出すか、そちらのほうが恐ろしい。

「大規模投資の嘘」

 二番目の嘘は「大規模投資の嘘」である。みずほは統合発表時「今後の銀行の生命線は金融テクノロジーであり、統合によって大規模なシステム投資ができるようになる」と強調した。しかし、今回の事件を見ると2年半もの時間があったにもかかわらず、システムには最小単位の資金と人員しか投じてこなかったとしか思えない。日本の銀行では長い間システム部門は日陰者扱いだったが、いまだに戦略部門として位置付けられていないのだ。

 外資系銀行のシステム部門を見ると勘定系はもちろん、顧客管理、収益管理、リスク管理など銀行戦略に直結するシステムの高度さに驚く。シティグループとJPモルガンチェースの昨年のシステム開発投資額は円換算でそれぞれ約6700億円、3600億円という巨費だ。しかも90年代から一貫して巨額投資を継続している。

 日本にはビッグフォーという4匹のダンボが生まれたが、いずれもシステムという神経系統が未発達なので、鼻は動かせても耳は動かせない。とても世界の空など飛べるはずもないのだ。

「お客様第一主義の嘘」

 第3の嘘は「お客様第一主義の嘘」だ。みずほ銀行発足時、工藤頭取は「お客様に喜んでいただける銀行を目指す」とスピーチした。みずほグループの年次報告書でも「顧客満足度(CS)ナンバーワン」を最大目標に掲げている。しかし、内部事情優先が原因で発生した今回のシステム障害に象徴されるように日本のメガバンクの顧客志向は羊頭狗肉だ。

 ペイオフ解禁で戸惑う顧客に有効な商品も提供できず、定期預金から普通預金への大量シフトを看過したあげく、東京三菱銀行はその普通預金も割に合わないとして0.001%という超低金利で顧客の追い出しにかかった。消費者意識が高く、金融商品も豊富なアメリカだったらたちまち銀行預金は投信などに大量流出するであろう。

 法人企業の顧客も銀行サイドの事情に振り回される。みずほグループはみずほ銀行とみずほコーポレート銀行に再編した際、銀行の選択は顧客が決めるといいながら、みずほ銀行を選択しようとしたJP各社など多くの大企業を強引にコーポレート銀行に変更させた。現金収入の多いJRが店舗の多いみずほ銀行を選択しようとするのは当然だが、「コーポレート銀行の目玉が抜けてもらっては困る」と拝み倒されたのだ。

アメリカは70年代のマネー革命で消費者は金利に目覚め、預金者から投資家に変身した。企業も社債や海外調達で銀行離れを加速した。銀行はじめ金融機関は商品開発、拠点整備、コンピュータ投資などの戦略を実行し生き残りをかけた顧客の獲得競争を展開した。その過程で多くの金融機関が姿を消し、80年代には10以上あったマネーセンター・バンクと呼ばれるメガバンクは今やシティとJPモルガン・チェースのわずか2行しか残っていない。
 日本のメガバンクは、超低金利、長期不況という異常な環境下で「洗練されていない」顧客相手にサービス競争のフリをしているにすぎない。広い牧場のほんの一部に家畜を囲い込み、味のない野菜カスや人工飼料を恩着せがましく与えているようなものだ。家畜たちには囲いの外のおいしい牧草や果物を見ることすらできない。もし日本の預金客にシティグループがアメリカで提供しているメニューを見せたら、預金、生命保険、損害保険、年金、株式、投信など豊富な品揃えに目がくらむであろう。

「隠蔽」という嘘


システム障害について答える前田晃伸・みずほホールディングス社長(9日午後、国会)
 最後は「隠蔽」という嘘である。みずほは今回のシステムトラブルで事故発生から5日目になってようやく記者会見を開き「遅きに失する」と非難された。その間トラブルの原因を開示することなく被害を拡大した。しかもこれだけ国民に迷惑をかけながら記者会見したのは持株会社の執行役員だ。そこにはこの事件は単なるシステム上の問題として封じ込めたいという銀行側の思惑と、決して頭を下げたがらない銀行トップの「誇り高さ」がある。

 みずほグループは再編直前の3月26日、興銀が関連会社の興和不動産と常和興産に対する総額約3500億円という巨額の金融支援を、また29日には第一勧銀も関連会社のオリエントコーポレーション子会社清算に伴う2180億円もの不良債権化を発表した。これらの企業はバブル時代に不良債権の山を築き、以前から興銀や第一勧銀のガンといわれていた。今まで沈黙しながらこんな再編直前のドサクサの中で処理をしたのは、その数日後には興銀も第一勧銀も消滅するし、責任者も雲散霧消するという姑息な思惑があったとしか思えない。こうした国民を欺こうとする隠蔽体質の遺伝子は残念ながら新銀行にしっかり受け継がれたようだ。

 メガバンクの経営者に思い出してほしい格言がある。「少しの人を長期間だますことはできる。多くの人を短期間だますこともできる。しかし、多くの人を長期間だますことはできない」

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