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米国中枢を震撼させた極秘報告書「日本は恐慌に突入した」堀田佳男(週刊文春4/18号) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 11 日 18:32:56:

いくら日本経済が大変な状況にあるとはいえ、恐慌状態にあるとは、誰も考えていないだろう。しかし米国では、知日派の経済学者の間からも、今の日本は不況を超えて恐慌の門をくぐってしまったと考えられている。いったい我々はどこで間違えてしまったのだろうか。
今年一月、ワシントンに一つの報告書が出回った。タイトルは「恐慌に陥った日本」である。
報告書の冒頭部分は、こう記す。
「日本経済についての議論はもう終わった。というのも、日本は長引く不況から完全に恐慌に突入したからだ。世界第二位の経済力せ誇る日本が恐慌に陥った今、世界経済の好転を期待することも難しい。日本はインフレ目標政策(一定の物価上昇率を目標にした金融政策)を取るとは思えず、まっすぐデフォルト(債務不履行)の道を歩み続けている」
この報告書の著者は、ワシントンの保守系シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)」の経済学者、ジョン・メイキン氏。メイキン氏は、ワシントン大学経済学部教授や議会予算局(CBO)の経済顧問を経て、現在は同研究所研究員。日本の金融システム研究のプロである。
メイキン氏が、この報告書を補足して説明する。
「日銀の金融政策が失敗した今、日本経済はまるで死んだ馬と同じだ。いくら蹴っ飛ばしてもびくともしない状態だ。日銀の無策ぶりには目を覆いたくなる。商業銀行は金融の仲介機能を果たしておらず、日銀から供給された資金で国債を買っているだけだ」
もちろんワシントンではこれまでも、邦銀の経営状態は不健全で、日本経済は厳しい状況におかれているとの議論が日本国内で頻出していることは、じゅうぶんに理解されている。日銀の金融政策は効果を発揮せず、不良債権が悪化して日本の金融システムを脆弱化させている。
三月期末に入って、政府の株価維持政策や空売り規制で一時的に株価は安定したが、不良債権問題は解決されたわけではない。それどころか、日を追うごとに劣悪化しているのが実際だ。
だが、それは目で見えるほどの惨状だとは思われていなかった。
「恐慌」という言葉は、株価が暴落して企業や金融機関の倒産が増え、失業者が町に溢れ、暴動がおきる、といった経済生活の錯乱を意味する。実生活で日本はまだそのレベルに到達していない、というのがワシントンの一般的な見方だった。
実際、二月中旬に訪日したプッシュ大統領は、この恐慌論のことなど、おくびにも出さなかったし、日本のメディアも、そのことはほとんど取り上げていない。
ところが、日本経済のプロが、「恐慌に陥った」という表現にまで踏み込んだのだから、プッシュ政権の高官だけでなく日本をよく知る経済学者をも驚かせた。
本当に日本は、すでに恐慌状態にあるのか。
メイキン氏は次の点を指摘する。
「大手銀行の株価は昨年四月からすでに六〇パーセント以上も下落しています。これが日本はすでに恐慌の門をくぐったということなのです」
もちろん、メイキン氏の「恐慌論」に反論を唱える学者はいる。
コロンビア大学日本経済経営研究所のヒュー・パトリック教授は、現在は確かに不況下にはあるが、恐慌ではないと語る。
「恐慌の定義は経済学でも曖昧で、私はGDP(国内総生産)の成長率が年マイナス四、五パーセントになった時に初めて使える言葉だと思っている。日本では国民性からいって、銀行が国有化になったらパニックになる。日本政府はそうさせないはずだ」
しかし、実は日本恐慌論を唱えているのは、メイキン氏だけではない。しかも、「賛成」と右手を上げる専門家の中に、知日派の経済学者が何人もいるのだ。
ワシントンの有名シンケタンク「国際経済研究所(IIE)」の上級研究員で、『日本の金融危機・・・米国の経験と日本への教訓』などの著書もあるアダム・ポーゼン氏がその一人だ。
「日本の銀行には、まだ国際競争力が残っているだろうか。答えはもちろん『ノー』だ。最終的に生き残れるのは、銀行で東京三菱、生保では日本生命くらいだろう。生き残れない一番の理由は自己資本比率の低さだ。名目では国際決済銀行(BIS)の定めた八パーセントを上回っていても、引当不足を計算すると、実際の数字はかなり低率だ。そして、デフレがいまだに進行中で、巨額な不良債権が処理出来ていない。もしも金融システムが崩壊したら、円と国債は暴落するし、海外投資家の資金は海外に流出してしまいます。私は、基本的にジョン(メイキン氏)の見解に賛成します」
リベラル系のシンクタンクとして名高い「ブルッキングス研究所」の経済学者で、モンデール元駐日大使の経済顧問も務めたエド・リンカーン氏も鋭い口調で言う。
「メイキン氏の論文はいささか悲観的ではあるが、日本の金融システムの病巣を的確にえぐっている。私もたぶん日本の大手銀行の一部が潰れると思っている。というのも、彼らは膨大な不良債権処理に手間取っているからだ。これは日本経済の最大の足かせです。それなのに、政府が打ち出す新しい不良債権処理政策は、単なるガイダンスに過ぎない。強制力が伴っていないから、実効性がないのです」
知日派として忘れてはいけないのが、次期ノーベル経済学賞の最有力候補と言われる、プリンストン大学のポール・クルーグマン教授だが、氏も日本経済の先行きに悲観的である。
日本でも話題になった、近著『恐慌の罠』(中央公論新社)の中で、教授はこのように述べている。
「日本経済は、(アメリカの)一九三〇年代のモデルにだんだん似てきた。一九三一年、米国では全てのものが一瞬にして崩壊してしまったわけではない。恐慌はじわじわと忍び寄ってきた。私が恐れているのは日本経済が急速に収縮することだ。生産高が減少してデフレが加速し、金融システムが崩壊する。その場合、どこまで落ち込むかは想像できない」
彼らが描く日本経済の将来像は、一様に悲観的だ。
銀行株の下落は、すでに一年以上前から始まっている。それに追い討ちをかけるように、外資系証券会社が銀行株の空売りを繰り返した。幸いにも現在は、政府による空売り規制が効いて、株価下落は一応止まったようにみえるが、銀行の脆弱性はまったく改善されていない。
「公的資金再注入」問題に関しては、日銀と金融庁が正反対の論陣を張っており、いまのところまったく動く気配はないが、仮に公的資金再注入が行われたらどうなるか。
一時的に息を吹き返す銀行もあるだろう。だが、それは一時的なモルヒネ効果に過ぎず、本質的に恐慌から逃れる策には至らない、とメイキン氏は説く。
報告書には、このようにも書かれている。
「デフレが進行して株価や地価がさらに下落し、不良債権がさらに増える。処理が追いつかず、まず大手一行か数行が破綻する。それが金融システムの崩壊につながる。次の段階では、預金者の取り付け騒ぎが起こるだろう。すでに露見している外資系証券会社による銀行株売りは邦銀への信用が失墜しはじめた兆候だ」
日本の金融機関の信頼が失われると、円安が加速し、国債も暴落する。すると国債の金利は上がり、財政赤字が増えるという悪循環に陥るという。最悪の結末は、円の切り下げである。
メイキン氏は、大手邦銀が破綻して金融システムが崩壊した場合、
「日銀は預金者の資産を保護するため、一兆ドル(約百三十兆円)もの資金を銀行に再注入せざるを得なくなる」
と指摘する。
いうまでもないが、これは先ほど論じた「公的資金再注入」論とは根本的に違う。九八、九九年の公的資金注入では約九兆五千億円だったし、政府が現在論議している公的資金注入は、危機対応勘定枠の最大十五兆円を想定しているに過ぎない。
最悪のシナリオでは、その十倍近い資金が必要になるのである。これは銀行の国有化を意味し、日本は社会主義国のようになると未来図を描くのである。
前出のポーゼン氏も、「金融システムが破綻したら銀行は国有化されるだろう。日本企業の投資は急激に冷え込んで、GDPはマイナス成長が続く。そしてキャピタル・フライト(資金の海外流出)が起こる。外資系投資家が再度、日本の株を『買い』と思うまでには、あと二、三年かかる」とまで言う。
金融機関がいかに危機的な状況であるか、という兆候は、その他にもある。
ニューヨークに本社を構える大手証券会社、モルガン・スタンレーの経済アナリスト、レベッカ・マッカフリン氏は、市場からの日本経済分析を披露する。
「三月期決算を前にして、日本の金融機関は減益を埋め合わせるために外国債をすごい勢いで売っていました。一月だけで二百三十億ドル(約三兆円)を越えた。これは過去五年で最高です。いかに業績が悪化しているかが判る」
毎年、三月期決算前になると、金融機関は手持ちの外国債を手放してやりぐりする。しかし、今年は昨年と比べるとその額は二十倍に達していたというのだ。
マッカフリン氏は、さらにこう言う。
「ウォールストリートの投資家の間には今、日本の金融機関は今後どうなるかわからないから、資金を米国に置いておくべきだ、というムードがある。これは日本の金融機関の信用が失墜し始めていることに他ならない」
つまりウォールストリートでは、日本の金融機関の破綻が現実的になっているのだ。
メイキン氏も報告書の中で、「日銀が今後、インフレ目標政策を取ったところで、その政策は失敗する」と書き、金融システム崩壊に救いの手はないという厳しい立場を取る。
メイキン氏と同じ見方をしながら、前出のクルーグマン教授は、「長期国債買切りオペレーション(公開市場操作)」「インフレ目標政策」「為替相場のターゲット設定」の三点セットによるデフレ対策を講じれば恐慌回避は可能だとみる。
だが、残念ながら、日銀の速水優総裁はこの三点セット、なかでも特にインフレ目標政策には現在のところ否定的である。
いっぽう、東京特派員の経験がある米国大手ビジネス誌記者は、こうした回避の処方箋の重要性も説くが、日本の本当の問題は別にある、と指摘する。
「日銀と金融庁の役人の多くは、金融システムの問題点を熟知している。崩壊させないために何をすべきかもわかっている。だが実際は、絶対にやらない。それは日銀と金融庁が、今のような状況を作り出した罪を擦り合っているだけだからだ。どちらの金融政策が悪かったのか、と争いあうだけでは先に進まない」
前出のリンカーン氏も、「思っていても何も出来ないのが日本」と、手厳しい。そして、「政策だけは発表されるが成果がついてこない。銀行家と企業家が二十年以上もー緒にゴルフをし、酒を酌み交わす関係を築いているため、破綻すべき企業を潰せないでいる。小泉首相は改革を実行するに違いない、と期待していたが、このままでは肩透かしをくらいそうだ」と肩をすぼめる。
こうした膠着状態になったとき、ワシントンが歴史的に、最後の手段として使ってきたのは「外圧」だった。
「だが、それはない」
こう断言するのは、ホワイトハウスの経済問題担当の補佐官たちに助言もするポーゼン氏だ。
「日本が不況下にあった九〇年代、クリントン政権はずっと日本の金融政策に口を出してきた。しかしほとんど実行されなかった。そこで、日本への外圧は効果がないことを学んだのだ。だからプッシュ政権は、敢えて日本には強く言わないでいるのだ。ホワイトハウスと米財務省の高官と話をすると、日本が今後どうなるのかはわからない、と口を揃えていう」
つまり米国は、「恐慌に陥った」日本を見捨てる、ということである。
実際、ある財務省高官はプライベートな席で、私に胸の内を語った。
「プッシュ政権は、公式の席では日本経済に立ち直ってほしいと言及している。けれども、政府高官や経済学者だけでなく、アメリカの金融関係者や財界人からも、日本へのフラストレーションが出ているのが実態だ。私はまだ恐慌ではないと思っているが、『日本は真の問題提起が出来ていないし、断固たる措置を取らない』というのが、米政府内でのコンセンサスになっている。金融危機脱出というのは、米国のためではなく、日本が自国のためにやるべきことだ。なぜなら、過去十年以上も日本がずっと不況下にいながら、米国経済は堅調な成長を遂げてきた。つまり、世界第二位の日本なしでも、米国は経済成長を遂げられることがわかってしまったからだ」
これは日本への「決別宣言」とも言える。
ワシントンのメリル・リンチ・オフィスのエコノミストは、恐慌を歓迎するかのような極論を語った。
「日本は落ちるところまで落ちて、第二次世界大戦直後のようになった所からやり直した方がいいかもしれない。そうすれば政治家も役人も目が覚めるだろう」
もちろん、日本に対して優しい言葉を投げる経済学者もいる。メイキン氏と同じシンクタンクに所属する研究者で元商務省次官補のポール・ロンドン氏だ。
しかし実際には、彼の言葉は崩壊後の日本を思いやる内容に過ぎない。
「たとえ日本の金融システムが崩壊しても、我々は忘れてはならないことがある。それは、すべての企業が破綻するわけではないことだ。日本中の建物は残る。世界一の製造業も残る。高い教育水準の国民も残る。世界一高い個人資産も残る。たくさんの人の金がなくなるが、すべての金がなくなるわけではないのだから」
どうやら彼の国の未来予想図からは、「日本」という名前の国は消えてなくなっているようだ。

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