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日本経済は「管理されたダラダラ恐慌」状況 投稿者 あっしら 日時 2002 年 4 月 11 日 21:07:33:

機会があれば書き込もうと思っていたことですが、『米国中枢を震撼させた極秘報告書「日本は恐慌に突入した」堀田佳男(週刊文春4/18号)』(http://www.asyura.com/2002/hasan9/msg/126.html)の投稿があったのを機に書いてみました。

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「恐慌」は、経済が多発的な銀行破綻で一気に崩壊し、多くの企業倒産を伴いながら大不況に突入していくことであると定義している。

経済は多くの経済主体の思惑がぶつかり合いながら動いているので、波動として表現できる循環的な景気変動を避けることはできない。
しかし、銀行が次々と破綻し、企業も数多く倒産して経済が一気に瓦解していく「恐慌」は、循環的な景気変動とは異質の経済現象である。

(「恐慌」は、経済学的な法則で発生するものではなく、仕掛けられて起きるものである。これについては、『【経済学者のトンデモ理論】デフレーション・インフレーションそして通貨』(金本位制と中央銀行:http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/135.html)ならびに『【経済問題を認識する視点】『世界同時大不況』を歓呼の声で迎える人たち』(http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/534.html)を参照して欲しい)


「恐慌」が仕掛けられたものということはともかく、「恐慌」が起こる根源的な要因は、濡れ手に粟の利益を上げようと、銀行が自己資本の数倍から数十倍の貸し出しを行っていることにある。

銀行が完全に自己資本の範囲で貸し出しを行っていれば、利子を支払うような預金も受け付けないし(貸し出しもできないお金を預かって利子を支払う銀行家はいない)、貸し出しも限定的で慎重になる。銀行が破綻しても、銀行家や出資者が損失を被るだけで終わる。

近代の銀行は、貸し出しや投資の10%程度が焦げ付いただけで破綻する商売をしているのである。
また、いちどきに10%未満の預金が引き出されただけで対応しきれない営業を続けている。
(預金されたお金をそんなに手元に残していたら、貸し出しで得られる利息が預金者への支払い利息で減少するから、預金は貸し出しや投資にぎりぎりまで回す)

金本位制で連鎖的な銀行破綻の「恐慌」が発生すると、銀行券を保有している人たちは、経済活動で必要なお金の量も減り、銀行もあてにならないと考えるので、安全な“金貨”のかたちで退蔵したいと考える。
このような動きは、保有“金”量の数倍から数十倍の銀行券を発行することで、“詐欺的ボロ儲け”をしている銀行にとって最大の脅威である。
中央銀行(発券銀行)は、10%未満の銀行券が兌換請求されても、保有金をすべて失ってしまう。
政府は、このような動きを抑えるために、まずは預金の引き出しを止めるためにバンクホリデーを実施する。
(商業銀行は、貸し手であると同時に中央銀行からの借り手でもある。中央銀行は、最初の貸し手として債権を確保するために、破綻した商業銀行の資産を自分のものにする。商業銀行も、預金という債務よりも、貸し出し債権の確保を優先する)
イングランド銀行が、恐慌が発生した1797年から1821年まで「金兌換停止」を行ったように、金本位制や兌換というのは詐欺であり虚構である。


金本位制であれば、多大な災厄がもたらされるとしても、「恐慌」を仕掛けた人たちのボロ儲け(他の人たちの大損失)が終わり、供給力と需要が減少するなかで物価がある水準まで下落すると、需要が上回るようになり、経済活動が上向きに転じることになる。(スムーズに上向くためにはそれなりの“国外市場”があることが必要)

しかし、管理通貨制度であれば兌換という心配はないから、中央銀行が銀行に資金を供給し続ければ、多発同時的な銀行破綻を防ぐことができる。
経済実態は金本位制時の「恐慌」と同じ問題を内包しているのに、それを爆発させないことができる。
政府も、“管理”できることをいいことに、再上昇のためには下落すべき株価や地価をなんとか下落させないようにする。
銀行も、返済が滞っている貸し出し債権の担保としてとっている不動産を処分すると、それが不動産価格を押し下げることになるので二の足を踏む。(政府もやらせない)


しかし、厖大な金融資産が喪失した経済(バブル)崩壊=恐慌だから、物価下落圧力は残り続ける。
そのような状況で破綻せざるを得ない銀行や企業は、金融当局の判断で現実の破綻を迎えることになる。この場合も、連鎖的な破綻が生じないように考慮される。

このように、管理通貨制度では、「恐慌」を、爆発ではなく、燃焼というかたちで処理することができる。

爆発ではなく燃焼で済ませればけっこうなことであるが、この処理方法には大きな問題がはらんでいる。
「デフレ不況」=恐慌から生じた大不況から脱却する有効な経済政策を採らないと、経済(バブル)崩壊で喪失した厖大な金融資産の処理が終わっても、「恐慌」の燃焼が続いてしまうのである。

それなりの“国外市場”があれば(現在の日本はある)、「供給力と需要が減少するなかで物価がある水準まで下落すると、需要が上回るようになり、経済活動が上向きに転じることになる」のだが、その過程が抑え付けられているので、経済活動が上向かない(GDP成長率が上昇しない)。このため、経済(バブル)崩壊で喪失した金融資産ではない、新しい金融資産の喪失が生まれる。

「公的資金を使った株価及び地価維持政策」・「高額所得者減税(地価・株価対策)」・「資産家優遇税制(地価・株価対策)」・「規制緩和(供給力アップ)」・「中低所得者増税(需要ダウン)」など、以前よりそして現在なおさらに志向されているすべての政策が、恐慌調整過程の完了を阻むものであり、“不良債権”の処理をいくら繰り返しても、新たな“不良債権”が生まれることにつながるものである。

政府及び日銀が管理しなければ、90年から91年にかけて、多発的な銀行破綻で一気に経済が崩壊し、多くの企業倒産を伴いながら大不況に突入する実態にあったことから、それ以降を「管理されたダラダラ恐慌」と呼ぶことができる。

「管理されたダラダラ恐慌」を続けているために、多くの国民が困窮と不安にさいなまれ、企業もより大きな損失を被っているのである。


元の記事は金融業界の問題に焦点を絞っているが、銀行は、ひとの利益を掠め取る存在でしかないから、ひとが利益を上げられなければ、掠め取りもできないのである。
“銀行の立ち直り”は、銀行以外の経済主体が好調に転じない限り、どうあがいても無理なのである。

(“利子の取得”に反対しており、預金利子も支払わず運用も国債のみに限定する「決済専門銀行」の設立を提唱しているくらいだから、銀行がどうなろうとかまわないのだが、将来どうしていくかをみんなで考えるためにも、「恐慌」状態だけは脱却しなければならないと思っている)


※ 元のような記事が出たのは、今後起きる「世界同時大不況」の責任を日本に押しつける策動の一環である。

[参考書き込み]

『コメント:米国は日本の合併を望まない 《日米共倒れだが先に逝くのは米国》』
http://www.asyura.com/2002/hasan9/102.html


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※ 参考書き込み

1)資産デフレ問題

『デフレの論理と「資産デフレ」罪悪説の問題点』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/216.html

『「資産デフレ」の問題点と「不良債権」罪悪説』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/217.html

『Re:「公的年金基金」と「株式投資」− PKO政策は地獄への道 −』
http://www.asyura.com/2002/hasan7/msg/966.html


2)不良債権問題

『「不良債権問題」と金融政策』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/136.html


3)個人所得税問題

『クリントン時代の「経済的繁栄」と「財政赤字」は“高額所得者増税”から始まった』 http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/374.html


『Re:【所得税の仕組みと所得税制変更後の所得税試算】あなたの年収では?』
http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/505.html


4)有効な経済政策

『ささやかながら少しはましな経済状況を』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/119.html

『【大間違いの経済理論】 “超低金利政策”はデフレを悪化させる 《金利引き上げがインフレを誘発し「デフレ不況」から脱却するための一つ方法》』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/302.html

『米国金利の反転と原油価格(ロスチャイルド投資顧問レポート2002/03/13)』
http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/145.html

『Re: 2chの「★阿修羅♪ 国家破産について語ろう」』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/336.html

『「インフレターゲット論」のトンデモ』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/148.html

『Re:政府はデフレ解消を願っているが政策はデフレを進めるものばかり』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/154.html


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