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同じ「デフレ状況」下で“縮みゆく”日本経済と“膨らむ”中国経済  [IMF世界経済見通し] 投稿者 あっしら 日時 2002 年 4 月 19 日 16:15:11:

今朝の「CNNニュース」が、IMFが発表した「世界経済見通し」を取り上げた。

そのなかで、日本経済の見通しと中国経済の見通しを比較した。

日本経済の予測:2002年−1.0%  2003年 0.8%
中国経済の予測:2002年 6.9%  2003年 7.4%


日本経済は、それ以前からの問題だが、誤った経済政策により97年度を境にして縮み続けている。

一方、中国経済も、年率1%を超える「デフレ状況」にある。

「デフレ」は、資金をいったん物や労働力に変え、時間を掛けて商品を生産し、それを売ることでより多くの資金を回収するという経済活動を抑制するものである。
それは、「デフレ」であれば、そのような過程を経て回収した金額が投下した金額より多くなるという見通しを持ちにくくなり、生産活動に投下するよりお金をそのまま保有していた方がいいという認識を多くの経済主体が持つ可能性が高いからである。


「デフレ」である中国が、実質とは言え7%前後の経済成長を遂げていることは脅威的である。
デフレ下での高成長の要因としては、次のようなことが考えられる。

● 物価下落が不況から生じたというより生産性の向上から生じた

中国経済の根幹を担っている国営企業のリストラ(余剰従業員解雇・生産設備の更新・従業員福祉の切り捨て)が進んだ。この結果が国営企業の輸出拡大につながれば、従業員の再雇用も実現される可能性がある。


● 輸出拠点として外資の直接投資が拡大

「デフレ」は経済活動を縮ませるものだが、日本のみならず欧米アジア諸国が生産拠点を中国に建設していることで、それを克服した。


● 政府の財政支出拡大

中国政府は、7%成長を“国是”としており、それを実現するために大規模な公共事業を立案し、財政支出を増大させている。「デフレ」下の政府債務は大きな負担になるが、名目でも6%前後の成長を遂げ、徴税さえきちんと行えば命取りにはならない。
また、財政支出拡大が「デフレ」を解消する可能性もある。


● 中国元の安め固定

中国経済の高成長は、現在のところ、日本の高度成長期と同じように、輸出の拡大に依存している。中国の輸出は、90年以降4年でほぼ2倍という急成長を遂げている。
中国経済の生産性の向上と「デフレ」を考え合わせると、中国元は価値が上がって当然である。
中国政府は、「アジア経済のために中国元を切り下げない」と胸を張っているが、お為ごかしで居直った論理である。
“元安”は機械類の輸入には不利だが、原油輸入依存度が低いことから、輸出条件で有利な“元安”をなんとしても維持したいということだろう。

中国経済の“成功要因”を簡単に説明したが、“成熟期”にある日本経済は、“高度成長期”の中国経済と同じ経済政策をとることはできない。

日本経済は、世界経済における中国経済との“棲み分け”を明確に認識し、貿易黒字の維持と付加価値(GDP)の合理的な分配をはかることで、国民生活の安定化を実現しなければならない。

現在のような誤った政策そして小泉政権が考えているさらに誤った政策を実行していけば、国民生活の一部困窮化や幅広い不安定化が拡大する。そして、貿易黒字も消え去り、アルゼンチン的状況に陥ることになるだろう。

日本が立ち直るために残された時間は、理想的(過去を言っても仕方がないから)には1年、ぎりぎりでも貿易黒字が維持できると思われる2年だろう。

日本企業は、生き残りと拡大のために中国進出を拡大させているが、企業栄えて国民生活窮乏ということがないようにしなければならない。
そのようにして日本企業が栄えた日本は、手足のない“本社管理国家”という脆弱なものになり、東京圏のみがそこそこで、それ以外は惨憺たる状況という国になってしまう。


[日本経済のGDP推移]

        名目         実質 デフレータ
----------------------------------------------------------------------
97年度 520,177( 3.6)521,315( 3.7)−0.1
98年度 513,245(−1.3)517,204(−0.8)−0.5
99年度 514,349( 0.2)526,951( 1.9)−1.7
00年度 513,006(−0.3)535,690( 1.7)−2.0


以前から書き込んでいるように、「デフレ状況」では経済指標を“実質”ではなく“名目”で見なければ錯誤に陥る。
“名目”を抑えなければ、企業業績も予測できなければ、人々の生活実態も見えなくなる。

一時期米国経済の“急回復”が喧伝されたが、4月以降第1四半期の企業業績が発表されるとそれほどの回復ではないという認識が広まった。

※ 参考書き込み

『【米国経済の崩壊過程】米国企業の第1四半期実績が“思わぬ”不調』
http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/753.html


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